ITパスポート 2009年 春期 問32
問題文
システム開発プロジェクトにおけるリスク管理として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:リスク管理は、要件定義が完了した時点から実施する。
イ:リスク管理を行う範囲には、スキル不足など個人に依存するものは含まない。
ウ:リスクに対しては発生の予防と、発生による被害を最小限にする対策を行う。(正解)
エ:リスクの発生は予防措置を徹底することで防止でき、その場合は事後対策が不要になる。
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システム開発プロジェクトにおけるリスク管理として、適切なものはどれか。 【ITパスポート 解説】
正解の理由
リスク管理(risk management:問題になる可能性がある事象を見つけ、対策する活動)は、発生を防ぐ「予防」と、発生したときの被害を小さくする「影響緩和(ミティゲーション)」の両方を含みます。選択肢の中でこの考えを正しく示しているのが ウ です。
理由をかみくだくと二点です。
- 発生の確率を下げる対策(例:設計レビューで致命的な手戻りを減らす)は重要です(予防)。
- しかし、どんなに予防してもゼロにはならないため、発生時に被害を小さくする対策(例:バックアップや代替手順、スケジュールに余裕を持たせる)は必須です(影響緩和・事後対応)。
この「予防+被害最小化」の組み合わせが標準的なリスク管理の考え方です。
解法ステップ
- 問題文のキーワード「リスク管理」を確認する。ここでの「リスク」は「将来起こり得る悪影響の原因」を指す。
- 各選択肢が「予防(発生を防ぐ)」と「事後対策(発生時の被害を小さくする)」のどちらを含んでいるかを見る。
- 両方を含むものが正解。片方しか書かれていない、あるいは誤った前提を置いている選択肢は除外する。
- 以上から、予防と被害最小化の両方を明示する ウ を正解と判断する。
選択肢別の誤答解説
-
ア: リスク管理は、要件定義が完了した時点から実施する。
解説:誤り。リスク管理はプロジェクト立ち上げ時(企画や計画段階)から開始し、プロジェクト全体を通じて継続的に行います。要件定義後に始めると、初期段階で見つかるべきリスクや方針の見落としが生じます。 -
イ: リスク管理を行う範囲には、スキル不足など個人に依存するものは含まない。
解説:誤り。個人のスキル不足はスケジュール遅延や品質低下など実際のリスク原因になります。これもリスクとして特定し、教育・メンバー補強・外部委託などで対策します。 -
ウ: リスクに対しては発生の予防と、発生による被害を最小限にする対策を行う。
解説:正しい。予防(発生確率を下げる)と影響緩和(発生時の被害を小さくする)の双方を実施することが、実務でも推奨される方法です。 -
エ: リスクの発生は予防措置を徹底することで防止でき、その場合は事後対策が不要になる。
解説:誤り。予防は重要ですが、完全にゼロにすることはほとんど不可能です。残る「残存リスク」に対する事後対策(コンティンジェンシープラン:contingency plan)を用意しておく必要があります。
よくある誤解
-
「リスク=問題(既に起きていること)」だと思う
- 実際はリスクは「将来起こる可能性のある事象」です。起きたものは「問題(インシデント)」として対応しますが、リスク管理はどちらも扱います(予防と事後対応の両方)。
-
「予防できれば事後対策は不要」と考える
- 予防で減らせますが100%防げるとは限りません。万が一に備えるのがリスク管理の基本です。
-
「個人スキルは個人の問題だからリスクではない」と考える
- スキル不足はプロジェクトの遅延や品質低下を招くため、組織として対策(教育、バックアップ体制など)を講じるべきリスクです。
補足コラム
-
リスク対応の代表的な方針(英語名も併記)
- 回避(Avoid):リスクを起こさない選択をする。例:リスクの高い機能を後回しにする。
- 軽減(Mitigate):発生確率や影響を下げる。例:テスト強化、レビュー導入。
- 移転(Transfer):第三者にリスクを移す。例:保険や外部委託。
- 受容(Accept/Retention):対策を取らず、発生したら対応する。例:低影響のリスクを容認する。
- これらは組み合わせて使われます。
-
用語メモ
- リスク登録簿(risk register):見つけたリスク、発生確率、影響度、対応策、担当者などを記録する一覧表。管理の基本ツールです。
- コンティンジェンシープラン(contingency plan:緊急対応計画):リスクが現実化したときに実行する具体的手順。バックアップ手順や代替作業の定義などを含みます。
-
簡単な実務例
- リスク:コア担当者が病気で離脱する可能性
- 予防:複数メンバーで知識共有(ドキュメント化、クロストレーニング)
- 影響緩和:代替要員リストと引継ぎ手順、スケジュールのバッファ設定
- リスク:コア担当者が病気で離脱する可能性
FAQ
Q1. リスク管理はどの段階で終わりますか?
A1. 終わりはプロジェクトの終了時です。プロジェクト全体を通じて、リスクの特定・評価・対策・監視を繰り返します。
A1. 終わりはプロジェクトの終了時です。プロジェクト全体を通じて、リスクの特定・評価・対策・監視を繰り返します。
Q2. どのリスクまで対策すればよいですか?
A2. 発生確率×影響度で優先順位をつけ、重要度の高いものから対策します。完全にゼロにする必要はありません。コストと効果のバランスを見ます。
A2. 発生確率×影響度で優先順位をつけ、重要度の高いものから対策します。完全にゼロにする必要はありません。コストと効果のバランスを見ます。
Q3. 個人のスキル不足はどう対処すればよい?
A3. 教育やメンター、外部支援の導入、作業割当の見直し、バックアップ担当の設定などを行います。記録して監視することが重要です。
A3. 教育やメンター、外部支援の導入、作業割当の見直し、バックアップ担当の設定などを行います。記録して監視することが重要です。
Q4. 予防と影響緩和の例をもう一つ教えてください。
A4. データ消失リスク:予防=入力チェックや権限制御。影響緩和=定期バックアップと復旧手順の準備。
A4. データ消失リスク:予防=入力チェックや権限制御。影響緩和=定期バックアップと復旧手順の準備。
関連キーワード: リスク管理、リスク対応、リスク評価、リスク登録簿、コンティンジェンシープラン、軽減策、予防措置、影響緩和

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