ITパスポート 2011年 春期 問05
問題文
ソフトウェアライフサイクルを企画プロセス、要件定義プロセス、開発プロセス、運用プロセスに分けたとき、企画プロセスの成果として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:開発するソフトウェアの要件が定義され、レビューされている。
イ:システムに対する要件と制約条件が定義され、合意されている。
ウ:システムを実現するための実施計画が策定され、承認されている。(正解)
エ:データベースが最上位のレベルで設計され、レビューされている。
🔒 解説は解答すると表示されます
ソフトウェアライフサイクルの企画プロセスの成果はどれか【ITパスポート 解説】
正解の理由
ソフトウェアライフサイクル(ソフトウェアの企画から廃棄までの一連の流れ)を、企画プロセス、要件定義プロセス、開発プロセス、運用プロセスに分けたとき、企画プロセスの主な役割は「何を作るか」「なぜ作るか」「いつ・どのように進めるか」を決めることです。ここで示されている選択肢のうち、プロジェクト全体の進め方(スケジュール、予算、体制、マイルストーンなど)をまとめて承認する成果に当たるのは ウ の「システムを実現するための実施計画が策定され、承認されている」です。
「実施計画」は、企画段階での意思決定の成果物です。企画段階ではまず事業目的・費用対効果・実現可能性を評価し、その結果に基づいて実施するかどうか、実施するならいつ・誰が・どのくらいの費用で行うかを決めます。したがって、承認された実施計画が企画プロセスの適切な成果となります。
解法ステップ
- 各プロセスの目的を短く確認する
- 企画プロセス:事業目的・方針の決定、実施の可否と計画の策定
- 要件定義プロセス:システムに必要な機能や制約(要件)を明確化し合意する
- 開発プロセス:設計・実装・テストなど実際に作る作業を行う
- 運用プロセス:稼働後の保守・運用を行う
- 選択肢の文言をプロセス目的に当てはめる
- 「要件が定義されている」は要件定義プロセス向け
- 「要件と制約が合意されている」も要件定義プロセス向け
- 「実施計画が策定・承認されている」は企画プロセス向け → 正解候補
- 「データベースが設計されている」は開発(設計)プロセス向け
- 最も企画段階らしい成果を選ぶ → ウ
選択肢別の誤答解説
-
ア: 開発するソフトウェアの要件が定義され、レビューされている。
解説:具体的な「ソフトウェアの要件」を定義・レビューする作業は、ユーザー要求をシステム要件に落とし込む要件定義プロセスの役割です。企画は「何をするか」の大枠を決めますが、詳細な要件定義やレビューは次の段階で行います。 -
イ: システムに対する要件と制約条件が定義され、合意されている。
解説:システム要件(機能要件や非機能要件)や制約(例えば予算上限、技術的制約など)を定義して関係者と合意するのは、要件定義プロセスの中心的な成果物です。企画段階では制約の検討はしますが、合意された要件の確定は要件定義で行います。 -
ウ: システムを実現するための実施計画が策定され、承認されている。
解説(正答の補足):実施計画にはスケジュール、予算、体制、リスク対策、マイルストーンなどが含まれます。企画段階の目的である「実行するか否かの判断」と「実行方法の決定」に合致します。よって企画プロセスの成果として適切です。 -
エ: データベースが最上位のレベルで設計され、レビューされている。
解説:データベース設計(概念設計や論理設計を含む)は設計工程で行う作業で、開発プロセスの一部です。企画段階でここまで具体的に設計することは通常ありません。
よくある誤解
-
「企画=詳細な要件決定・設計までやる」と考える誤解
- 企画は「やるか・やらないか」「どのような方針で進めるか」を決める段階です。詳細な機能や設計は次の要件定義・開発の段階で詰めます。
-
「承認=レビューと同じ」と考える誤解
- レビューは成果物の内容をチェックすること(品質確認)です。一方、承認(意思決定)はプロジェクトを実際に進めるかを決める公式な合意です。企画では承認が重要です。
補足コラム
実施計画(いわゆるプロジェクト計画)に書くべき典型的な項目:
- 目的・背景:なぜこのシステムが必要か
- スコープ:何を作るか、何を含めないか
- 主要スケジュール:マイルストーンと期間
- 体制:役割と責任(誰が何をするか)
- 予算:概算費用と資金計画
- リスクと対策:想定される問題と予防策
- 品質基準:受け入れ条件や品質の指標
これらが揃って承認されると、プロジェクトは正式に始動できます。
FAQ
Q1: 企画書と実施計画は同じものですか?
A1: 完全には同じではありません。企画書は事業性や目的を示す文書で、実施計画は企画を実行するための具体的な計画(スケジュールや予算など)です。企画書が承認された後に実施計画が策定・承認される流れが一般的です。
A1: 完全には同じではありません。企画書は事業性や目的を示す文書で、実施計画は企画を実行するための具体的な計画(スケジュールや予算など)です。企画書が承認された後に実施計画が策定・承認される流れが一般的です。
Q2: 要件定義プロセスで「合意」が得られなければどうなる?
A2: 合意が得られないと上流の決定(企画)と下流の開発が噛み合いません。合意は後戻りを減らすために重要で、関係者の調整やトレードオフの検討が必要になります。
A2: 合意が得られないと上流の決定(企画)と下流の開発が噛み合いません。合意は後戻りを減らすために重要で、関係者の調整やトレードオフの検討が必要になります。
Q3: 小規模開発なら企画で詳細設計も済ませていいですか?
A3: 小規模であっても役割を分けて段階的に進める方が失敗を減らせます。ただし、柔軟な開発手法(例えばアジャイル)では企画と要件定義・設計が並行したり簡略化されたりします。基本の考え方は同じです。
A3: 小規模であっても役割を分けて段階的に進める方が失敗を減らせます。ただし、柔軟な開発手法(例えばアジャイル)では企画と要件定義・設計が並行したり簡略化されたりします。基本の考え方は同じです。
関連キーワード: ソフトウェアライフサイクル、企画プロセス、実施計画、要件定義、開発プロセス、運用プロセス、システム要件、設計工程、レビュー、承認、スケジュール、予算、リスク管理

\ せっかくなら /
ITパスポートを
クイズ形式で学習しませんか?
クイズ画面へ遷移する→
すぐに利用可能!

