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ITパスポート 2012年 春期 39


問題文

インシデント管理に関する記述のうち、適切なものはどれか。

選択肢

SLAで定められた時間内で解決できないインシデントは、問題管理へ引き継ぐ。
インシデントの再発防止のための対策を実施する。
インシデントの原因追究よりも正常なサービス運用の回復を優先させる。(正解)
解決方法が分かっているインシデントの発生は記録する必要はない。

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インシデント管理に関する記述のうち、適切なものはどれか。【ITパスポート 解説】

正解の理由

インシデント管理とは、障害などで「サービスが正常に使えない状態(インシデント)」を早く元に戻すことを最優先にする運用活動です。ここで重要なのは「復旧を優先する」ことで、原因の詳細な追究(根本原因の究明)は通常、問題管理(問題管理:原因を調査して再発防止策を行う活動)で扱います。したがって「インシデントの原因追究よりも正常なサービス運用の回復を優先させる」ことを述べた選択肢、すなわち が適切です。
用語説明(初出)
  • インシデント管理:サービスの中断や品質低下が起きたとき、まずサービスを素早く回復することを目的とする運用管理。
  • 問題管理:繰り返す障害の根本原因を調べ、恒久対策を行う管理。
  • SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意):サービス提供者と利用者で合意した性能や応答時間などの目標。

解法ステップ

  1. 問題文を読み「インシデント管理」の役割を思い出す(目的は「復旧」を最優先)。
  2. 各選択肢が「復旧優先」という観点に合うかを判断する。
  3. 復旧優先なら正解、根本原因を優先するような記述は問題管理の仕事なので誤りとする。
  4. 記録やエスカレーション、再発防止などの役割分担も確認して除外する。
短く言うと:まず「サービスを回復する」→その後「原因究明・再発防止」を行う、という順序を基準に選ぶと速く解けます。

選択肢別の誤答解説

  • ア: SLAで定められた時間内で解決できないインシデントは、問題管理へ引き継ぐ。
    → 誤り。SLA(Service Level Agreement:合意された対応目標)は対応の目安ですが、時間内に解決できない場合はエスカレーション(上位担当への引き継ぎ)や臨時対応で復旧を図るのが先です。問題管理へ「自動的に」引き継ぐわけではありません。問題管理は再発を防ぐための調査段階であり、まずは復旧の手段を継続します。
  • イ: インシデントの再発防止のための対策を実施する。
    → ほぼ正しく感じますが、誤り。インシデント管理の主目的は「迅速な復旧」です。再発防止(恒久対策)は問題管理の役割で、インシデント管理は一時的な回避策(ワークアラウンド:暫定的な対処法)を実施し、必要に応じて問題管理に引き継ぎます。
  • : インシデントの原因追究よりも正常なサービス運用の回復を優先させる。
    → 正しい。インシデント管理はまずサービスの回復を優先し、利用者への影響を最小化することが目的です。原因調査は後続のプロセスで行われます。
  • エ: 解決方法が分かっているインシデントの発生は記録する必要はない。
    → 誤り。解決方法が既知でも記録は必須です。記録は将来の類似事象の速やかな対応や、再発傾向の分析、SLA管理の根拠になります。ログやインシデントチケットは常に残すことが運用の基本です。

よくある誤解

  1. 「原因をすぐに突き止めないとダメだ」と考える
    → インシデント対応ではまず使えるサービスに戻すことが優先です。根本原因の究明は時間が掛かることが多く、その間に利用者が困るためです。
  2. 「SLAに間に合わなければすべて問題管理に移すべき」
    → SLA違反のリスクがある場合は迅速なエスカレーションやリソース投入で復旧を優先します。問題管理は別プロセスで、状況に応じて連携します。
  3. 「既知の解決法があれば記録は不要」
    → 既知の解決法こそ記録してナレッジ(知識)化し、次回の対応を早めるべきです。

補足コラム

インシデント管理の流れ(簡単に)
  1. 検知:問題が起きたことを検知・報告する
  2. 優先度判定:影響範囲や緊急度で優先度を決める
  3. 復旧作業:まずサービスを使える状態に戻す(ワークアラウンド:暫定対処を含む)
  4. 記録・通知:対応内容や時間を記録して関係者に連絡する
  5. 引き継ぎ:必要なら問題管理に原因調査を依頼する
  6. 恒久対策・再発防止:問題管理が根本原因を調べ、恒久対策を実施する
身近な例え:ビルのトイレが詰まったとき
  • インシデント管理=詰まりをすぐにバケツで水を流す、臨時のトイレを案内する(まず使える状態にする)。
  • 問題管理=なぜ詰まったか長期的に調べ、配管を直す(再発防止)。

FAQ

Q. 「ワークアラウンド」とは何ですか?
A. ワークアラウンド(workaround:暫定回避策)は、根本的な原因を解消せずに影響を軽くしサービスを使えるようにする一時的な処置です。インシデント管理でよく使われます。
Q. インシデントを記録するメリットは?
A. 将来の同様事象に迅速に対応できる、再発傾向の分析ができる、SLAや報告資料の根拠になる、という利点があります。
Q. インシデント管理と問題管理は同じ人がやるのですか?
A. 小規模な組織では同じ人が兼任することもありますが、役割は別です。運用上は「復旧」と「原因究明」を分けて扱うのが望ましいです。

関連キーワード: インシデント管理、問題管理、SLA(Service Level Agreement)、ワークアラウンド、エスカレーション、サービス復旧、ナレッジ管理
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