ITパスポート 2013年 秋期 問20
問題文
ITを企業の経営戦略の実現に役立てて行くために、情報戦略の立案に当たって留意すべきこととして、最も適切なものはどれか。
選択肢
ア:経営戦略の立案はトップマネジメントが担い、他方、情報戦略の立案は情報システム部門が担当するものであり、これらは独立して進めていくこと
イ:情報化に当たっては、現行業務の業務機能や業務フローを調査した上で、現行業務のプロセスそのものを、ITを活用して自動化することを目指していくこと
ウ:情報化に当たっては、情報システムのあるべき姿を明確にし、情報システムの目的や機能が経営戦略に適合しているかなどを検討すること(正解)
エ:情報戦略の立案段階においてシステムの費用として初期コストを評価し、システム運用や保守に関する費用は、運用が開始する時点で改めて評価すること
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情報戦略の立案で留意すべきこと【ITパスポート 解説】
正解の理由
情報化(ITを使った業務や仕組みの改善)を進めるときは、まず「経営戦略(会社が目指す方向)」に合っているかを確認する必要があります。選択肢のうち、ウは「情報システムのあるべき姿を明確にし、目的や機能が経営戦略に適合しているかを検討すること」と述べています。これは、ITを手段として使い、会社の目標達成に役立てるための基本的で正しい考え方です。
ポイントを簡単に言うと:
- ITは目的ではなく手段です。まず経営の目的を決め、そこに合うシステム像(あるべき姿)を定める必要があります。
- そのうえで、機能や優先順位、投資効果を検討します。
したがって、情報戦略の立案で最も適切なのは ウ の考え方です。
解法ステップ
- 問題文で何を問われているか確認する:経営戦略の実現に役立てるために情報戦略で留意すべきこと。
- 各選択肢のキーワードに注目する:
- ア:独立して進める → 「合致」という観点に反する。
- イ:現行業務のプロセスそのまま自動化 → 改善や再設計を無視している。
- ウ:あるべき姿を明確にし、経営戦略との適合を検討 → 目的に合致している。
- エ:運用・保守費用を後回しにする → 全体コストを見落とす可能性がある。
- 「ITは経営戦略に従う」という原則から最も整合する選択肢を選ぶ → ウ を選択。
選択肢別の誤答解説
- ア: 経営戦略の立案はトップマネジメント(会社の経営陣)が担い、情報戦略は情報システム部門(IT部門)が担当するとするが、これらを独立して進めてよいとは言えません。情報戦略は経営と連携して策定する必要があります。孤立したIT施策は経営目標にそぐわないことが多いです。
- イ: 「現行業務のプロセスそのものを自動化する」とありますが、これは誤りです。現状の非効率なプロセスをそのまま自動化すると、非効率を固定化してしまいます。業務プロセスの見直し(BPR:Business Process Reengineering=業務プロセスの抜本的再設計)を検討することが重要です。
- ウ: 正しい。情報システムのあるべき姿(目指すべきシステムの姿)を定め、機能や目的が経営戦略に合致するか検討するという方針は、経営とITを結びつけるための基本です。
- エ: 初期コストだけ評価して運用・保守費用を後回しにするのは危険です。システムの総費用(TCO:Total Cost of Ownership=総所有コスト)は初期投資だけでなく、運用・保守・教育・更新なども含めて最初から評価する必要があります。
よくある誤解
- 「IT化=単に業務を自動化すること」
→ 自動化の前に業務の見直しや改善案を検討するのが正解です。非効率なまま自動化すると逆効果になることがあります。 - 「情報戦略はIT部門だけの仕事」
→ 情報戦略は経営戦略と整合させる必要があります。経営陣や業務部門と協働して策定します。 - 「導入時の費用だけ見れば十分」
→ 運用・保守、教育、更新などを含めたTCOで判断することが重要です。
補足コラム
情報戦略の立案でよく使う基本的な流れ(簡潔版):
- 経営戦略の確認:会社が何を達成したいか明確にする。
- 情報システムのあるべき姿の定義:目標達成に必要な機能やデータを考える。
- 現状分析とギャップ分析:現在の仕組みと目標の差を洗い出す。
- 優先順位とロードマップ作成:投資・実施順序を決める。
- コスト評価(TCO)と効果測定:初期費用だけでなく、維持費や効果も含めて判断する。
用語メモ:
- BPR(Business Process Reengineering:業務プロセスの抜本的再設計)— 現行プロセスをそのままにせず、根本から改善する考え方。
- TCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)— 購入費だけでなく、運用・保守・教育・更新などのすべてのコストを合計した概念。
FAQ
Q1. 情報戦略は誰が主導すべきですか?
A1. トップマネジメント(経営陣)が主導し、IT部門・業務部門・財務などの関係部署が協働して作ります。経営目標と合致していることが最優先です。
A1. トップマネジメント(経営陣)が主導し、IT部門・業務部門・財務などの関係部署が協働して作ります。経営目標と合致していることが最優先です。
Q2. まず業務プロセスを自動化すればよいですか?
A2. いいえ。まず業務を見直して改善点を洗い出し、必要ならプロセスを再設計してから自動化するのが望ましいです。
A2. いいえ。まず業務を見直して改善点を洗い出し、必要ならプロセスを再設計してから自動化するのが望ましいです。
Q3. コスト評価はいつ行うべきですか?
A3. 初期段階からTCOの視点で評価します。運用・保守費用や更新費用も含めて判断する必要があります。
A3. 初期段階からTCOの視点で評価します。運用・保守費用や更新費用も含めて判断する必要があります。
Q4. 「あるべき姿」とは具体的に何ですか?
A4. 将来の理想的なシステム構成や業務の流れ、ユーザーが得られる効果(例:顧客対応時間の短縮、在庫削減など)を指します。数年後にどうなっていたいかを描くことです。
A4. 将来の理想的なシステム構成や業務の流れ、ユーザーが得られる効果(例:顧客対応時間の短縮、在庫削減など)を指します。数年後にどうなっていたいかを描くことです。
関連キーワード: 情報戦略、経営との整合、業務改善、BPR、TCO、ガバナンス、ロードマップ

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