ITパスポート 2015年 春期 問31
問題文
製造業のA社は、製品開発のリードタイムを短縮するために、工程間で設計情報を共有し、前工程が完了しないうちに、着手可能なものから後工程の作業を始めることにした。この考え方は何に基づくものか。
選択肢
ア:FMS
イ:MRP
ウ:コンカレントエンジニアリング(正解)
エ:ジャストインタイム
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製造業の設計情報を早めに共有して後工程を先行させる考え方【ITパスポート 解説】
正解の理由
問題文の「工程間で設計情報を共有し、前工程が完了しないうちに着手可能なものから後工程の作業を始める」という考え方は、まさにウのコンカレントエンジニアリング(concurrent engineering:同時並行設計)に当てはまります。
コンカレントエンジニアリングは、設計や製造、品質管理、調達などの関係部門が情報を早期に共有し、作業を並行(同時)に進めることで、製品開発全体のリードタイム(最初から完成までの所要時間)を短縮する手法です。前工程の「完成待ち」ではなく、「着手可能な範囲から先に進める」点が特徴です。
コンカレントエンジニアリングは、設計や製造、品質管理、調達などの関係部門が情報を早期に共有し、作業を並行(同時)に進めることで、製品開発全体のリードタイム(最初から完成までの所要時間)を短縮する手法です。前工程の「完成待ち」ではなく、「着手可能な範囲から先に進める」点が特徴です。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを探す
- 「設計情報を共有」「前工程が完了しないうちに」「着手可能なものから後工程を始める」→ 同時並行で作業を進める、と読む。
- 各選択肢の意味を短く思い出す
- FMS、MRP、コンカレントエンジニアリング、ジャストインタイム(各用語は下で詳述)。
- キーワードと照合する
- 「同時に進める」=コンカレントエンジニアリングが該当する。
短時間で解くコツ:問いに「同時」「並行」「情報共有」「リードタイム短縮」といった言葉があれば、コンカレントを疑う。
選択肢別の誤答解説
- ア: FMS(Flexible Manufacturing System:柔軟な生産システム)
生産ラインや機械の柔軟性を高め、少量多品種や切り替えを容易にする仕組みです。工程間で設計情報を早期共有して後工程を先行する、という考え方そのものではありません。機械の柔軟性に関する選択肢です。 - イ: MRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)
部品や材料の必要量と発注時期を計算して在庫や調達を管理する手法です。計画・発注のタイミング管理が主で、設計と工程を並行して進める考え方ではありません。 - ウ: コンカレントエンジニアリング(同時並行設計)
設計・製造・調達などを早期に連携させ、重なり(オーバーラップ)を持って進めることで短納期化を図ります。設問の状況に一致します。 - エ: ジャストインタイム(Just-in-Time:必要なものを必要なときに必要な量だけ)
在庫を持たずに必要時に必要量だけ供給する方式で、生産や在庫管理の効率化が目的です。工程の「同時着手」という点とは異なり、主に在庫削減・ムダの排除に関する考え方です。
よくある誤解
- 「リードタイム短縮=ジャストインタイム」と考える誤り
- JIT(ジャストインタイム)は在庫削減や供給タイミングの最適化であって、設計工程を並行させる意味ではありません。目的は似ていても手法が違います。
- 「並行でやれば必ず早くなる」と考える誤り
- 並行作業は調整コストや手戻り(やり直し)が増えることがあります。情報共有や設計変更の管理がないとかえって遅くなる可能性があります。
- FMSや自動化=コンカレントエンジニアリングと混同する誤り
- FMSは製造現場の機械やラインの柔軟性の話で、設計段階の並行性とは別次元です。
補足コラム
- コンカレントエンジニアリングの語源と目的
英語では "concurrent"(同時)と "engineering"(設計・開発)。1980年代以降に欧米・日本で注目され、特に製品の市場投入を早める必要がある業界(自動車、家電、電子機器など)で導入が進みました。 - 実務でよく使うツール例(初出時に説明)
- CAD(Computer-Aided Design:コンピュータ支援設計):設計図をコンピュータで作るツール。
- PLM(Product Lifecycle Management:製品のライフサイクル管理):設計・製造・保守の情報を一元管理する仕組み。
- PDM(Product Data Management:製品データ管理):設計データや図面の管理を行うシステム。
これらは、設計情報の早期共有や変更管理を支えます。
- メリットとデメリット(簡潔に)
- メリット:リードタイム短縮、早期の問題発見、部門間の連携向上。
- デメリット:調整コスト増、手戻りでの無駄、情報管理の負担増。
FAQ
Q1. コンカレントエンジニアリングはどの段階から始めるべきですか?
A1. 製品の企画・基本設計段階から関係部門(設計、製造、調達、品質など)を巻き込むのが効果的です。早期に意見を集めることで後の手戻りを減らせます。
A1. 製品の企画・基本設計段階から関係部門(設計、製造、調達、品質など)を巻き込むのが効果的です。早期に意見を集めることで後の手戻りを減らせます。
Q2. 小さな会社でもできるでしょうか?
A2. 規模に関係なく、関係者間の早い情報共有と簡単なルール(誰が何を決めるか)を作れば実施できます。ツールは紙や共有フォルダから始められます。
A2. 規模に関係なく、関係者間の早い情報共有と簡単なルール(誰が何を決めるか)を作れば実施できます。ツールは紙や共有フォルダから始められます。
Q3. アジャイル開発と関係ありますか?
A3. 本質は似ています(短いサイクルで早く価値を出す、並行で検討する)が、対象が製品開発かソフトウェアかで手法や管理の細かさが異なります。
A3. 本質は似ています(短いサイクルで早く価値を出す、並行で検討する)が、対象が製品開発かソフトウェアかで手法や管理の細かさが異なります。
関連キーワード: コンカレントエンジニアリング、同時並行設計、リードタイム短縮、CAD、PLM、PDM、ジャストインタイム、MRP、FMS

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