ITパスポート 2016年 秋期 問23
問題文
特段の取決めをしないで、A社がB社にソフトウェア開発を委託した場合、ソフトウェアの著作権の保有先として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:ソフトウェアの著作権はA社とB社の双方で保有する。
イ:ソフトウェアの著作権はA社とB社のどちらも保有せず、消滅する。
ウ:ソフトウェアの著作権は全てA社が保有する。
エ:ソフトウェアの著作権は全てB社が保有する。(正解)
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委託開発での著作権の帰属【ITパスポート 解説】
正解の理由
特段の取決め(契約)がない場合、ソフトウェアの著作権(copyright:作品を作った人が持つ複製・頒布などの権利)は、実際に制作した側が持ちます。つまり、A社がB社にソフトウェア開発を委託し、契約で著作権の扱いを決めていなければ、制作を行った受託者であるB社が著作権者になります。これが選択肢の中で正しいのは、エの「ソフトウェアの著作権は全てB社が保有する」です。
補足説明:
- 著作権は「誰が作ったか(著作者)」が基本的に権利を持ちます。委託の場合、作業を実際に行った側(受託者)が著作者として扱われます。
- ただし「職務著作(しょくむちょさく)」という例外があります。これは会社の社員が職務として作った場合に雇用主が著作権を持つ場合です(社員が作ったのか、外注の会社が作ったのかを区別します)。
解法ステップ
- 「誰が実際にソースコードを書いたか」を考える。
- その作成者が発注元の社員か外部の受託者かを確認する。
- 社員が職務として作った → 雇用主(発注者)が持つ場合がある(職務著作)。
- 受託会社・外注(今回のB社)が作った → 受託側が著作権者(契約がなければ)。
- 問題文に「特段の取決めをしない」とあるので、契約による譲渡や使用許諾は無いと判断する。
- 以上より、受託者(B社)が著作権を持つので選択肢はエ。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「A社とB社の双方で保有する」
→ 双方共有になるには明確な合意が必要です(契約で共有と定める等)。契約が無い場合、勝手に双方で共有とはなりません。 -
イ: 「著作権はA社とB社のどちらも保有せず、消滅する」
→ 著作権が消滅するのは保護期間が満了したときです。委託契約がないだけで著作権が消えることはありません。 -
ウ: 「全てA社が保有する」
→ 発注した側(A社)が自動的に著作権を持つわけではありません。A社が社員の職務として制作させた場合は別ですが、外部の受託(B社)が制作したなら、契約が無ければB社に著作権があります。したがってウは誤りです。 -
エ: 「全てB社が保有する」
→ 正答。委託で外部が制作し、特段の取決め(著作権譲渡や使用許諾)が無ければ、制作側(B社)が著作権者となります。
よくある誤解
-
「発注した側が当然に権利を持つ」
→ 発注=権利移転ではありません。権利の移転や使用範囲は契約で明確にする必要があります。 -
「納品・検収したら使ってよい」
→ 納品物を受け取っても、著作権は移っていない限り自由に再配布・改変できません。使用許諾(ライセンス)や譲渡が必要です。 -
「契約が口頭なら有効」
→ 重要な権利関係は書面で明確にしておくのが実務上の常識です(口頭だと証拠が残りにくい)。
補足コラム
実務上のポイント(A社が権利を確保したい場合):
- 「著作権譲渡(copyright assignment)」や「利用許諾(ライセンス:license)」を契約書に明記します。
- 著作権譲渡:著作権そのものを移す方法。
- 利用許諾(ライセンス):著作権は残すが、利用範囲(使用できる目的、期間、再許諾の可否など)を定める方法。
- 「著作者人格権(moral rights)」は譲渡できない性質の権利(作者の氏名表示や同一性保持を求める権利)なので、実務では行使しない旨の合意(将来的なトラブル回避のための取り決め)を交わすことが多いです。
- 契約書では「成果物の定義(ソースコード・ドキュメント等)」「権利の帰属」「保守・バグ対応」「二次利用の可否」などを具体的に記載すると安心です。
FAQ
Q1. 社員が作ったプログラムはどうなる?
A1. 社員が職務として作成した場合は「職務著作」として会社(雇用主)が著作権を持つ場合があります。雇用契約や就業規則も確認します。
A1. 社員が職務として作成した場合は「職務著作」として会社(雇用主)が著作権を持つ場合があります。雇用契約や就業規則も確認します。
Q2. フリーランスに頼んだら誰の権利?
A2. 特段の取り決めがなければ作成者(フリーランス側)が著作権を持ちます。発注者が権利を欲しい場合は契約で取り決めます。
A2. 特段の取り決めがなければ作成者(フリーランス側)が著作権を持ちます。発注者が権利を欲しい場合は契約で取り決めます。
Q3. 契約で「納品時に著作権は発注者に移る」と書けばいい?
A3. 著作権譲渡や使用範囲を明確に書くことが重要です。譲渡かライセンスか、範囲や期間、代金の取り扱いも契約で定めます。書面での合意が安全です。
A3. 著作権譲渡や使用範囲を明確に書くことが重要です。譲渡かライセンスか、範囲や期間、代金の取り扱いも契約で定めます。書面での合意が安全です。
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