ITパスポート 2016年 春期 問01
問題文
連結会計システムの開発に当たり、機能要件と非機能要件を次の表のように分類した。aに入る要件として、適切なものはどれか。

選択肢
ア:故障などによる年間停止時間が、合計で10時間以内であること(正解)
イ:誤入力した伝票は、訂正用伝票で訂正すること
ウ:法定帳票以外に、役員会用資料作成のためのデータを自動抽出できること
エ:連結対象とする会社は毎年変更できること
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連結会計システムの要件分類問題【ITパスポート 解説】
正解の理由
この表は左列が「機能要件」、右列が「非機能要件」に分かれています。機能要件は「システムが何をするか(機能)を示す要件」、非機能要件は「性能・信頼性・セキュリティなど品質に関する要件」です。右列には「最も処理時間を要するバッチ処理でも、8時間以内に終了すること(性能の制約)」や「保存するデータは全て暗号化すること(セキュリティ)」といった、品質や制約を数値や方針で示す項目があります。選択肢のうち、年間停止時間が合計で10時間以内であることは「可用性(availability:システムが利用可能である割合やダウンタイムの制約)や信頼性に関する定量的な条件」です。したがって右列の非機能要件に入るのは ア です。
(用語補足)
- 可用性:システムが使える時間の程度。ダウンタイム(停止時間)で表現することが多いです。
- 暗号化:データを第三者が読めない形に変える処理。
解法ステップ
- 「機能要件」と「非機能要件」の定義を確認する。
- 機能要件:システムが提供する具体的な機能や振る舞い(例:データを自動で抽出する、伝票を訂正するフロー)
- 非機能要件:性能・可用性・信頼性・セキュリティなど、システム品質や制約(例:処理時間、暗号化、ダウンタイム上限)
- 表にある各項目が「機能(何をするか)」か「品質(どの程度か)」かを分類する。
- 「〜できること」「〜を自動抽出できること」は機能。
- 「8時間以内に終了すること」「暗号化すること」は非機能(どれくらいの性能・セキュリティかを示す)。
- 選択肢を同様に分類する。
- 年間停止時間10時間以内 → 可用性の定量的要件 → 非機能
- 誤入力の訂正手順 → 処理の振る舞い(機能)
- 自動抽出機能 → 機能
- 連結対象の会社を毎年変更すること → データ管理や設定変更の機能(機能性)
- 右列の非機能要件と同じ性質(品質・制約)を持つ選択肢を選ぶ。これが ア。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 故障などによる年間停止時間が、合計で10時間以内であること
→ 正解。可用性/信頼性に関する定量的な非機能要件です。運用上の目標(SLAに相当)として右列に合います。 -
イ: 誤入力した伝票は、訂正用伝票で訂正すること
→ 誤り。これは業務ルールやシステムの振る舞い(どう訂正するか)を定めています。機能要件(あるいは運用ルール)に該当します。 -
ウ: 法定帳票以外に、役員会用資料作成のためのデータを自動抽出できること
→ 誤り。これはシステムが提供する具体的な機能(データ抽出)です。機能要件に分類されます。 -
エ: 連結対象とする会社は毎年変更できること
→ 誤り。これは「どの会社を連結対象にするかを設定・変更する機能」を要求しています。機能要件です。非機能(品質)ではありません。
よくある誤解
-
「記録を残す(ログ)」は非機能だと思う誤解
- 実務では「ログ機能を持つこと」は機能要件です。一方、「ログをX年間保存する」「ログの保存先は暗号化する」は非機能要件(保存期間・セキュリティという品質)になります。要件の表現が「何をするか」か「どの程度か」で変わります。
-
「毎年変更できる」は非機能だと勘違いする
- 変更できるかどうかは「できる機能(設定変更)」の問題です。非機能は「変更したときの応答時間が速い」など品質面の条件です。
補足コラム
非機能要件は「測定可能(testable)であること」が重要です。たとえば「使いやすい」だけでは曖昧です。代わりに「新規ユーザが初めて操作する場合、基本操作を習得する時間が30分以内である」など、数値や基準で示すとテスト可能になります。試験問題では、非機能要件は「時間・回数・割合・暗号化・可用性」などの具体的な品質指標で表されることが多いです。
用語メモ:
- バッチ処理:大量のデータをまとめて決まった時間に一括で処理すること(例:夜間に給与計算を一括で行う)。
- 暗号化(encryption):データを第三者に読まれない形に変えること。復号(decrypt)して元に戻す。
FAQ
Q1: どのような書き方だと非機能要件として正解になりやすいですか?
A1: 「○○以上」「○時間以内」「○%以下」「暗号化する」「冗長化して可用性を確保する」など、測定・検証できる具体的な基準がある表現です。
A1: 「○○以上」「○時間以内」「○%以下」「暗号化する」「冗長化して可用性を確保する」など、測定・検証できる具体的な基準がある表現です。
Q2: ある要件が機能か非機能か迷ったら?
A2: 「その要件はシステムが何を『する』ことを求めているか?」を考えてください。動作や機能を要求しているなら機能要件。品質や制約(どれくらい速いか、どれだけ安全か)を示すなら非機能要件です。
A2: 「その要件はシステムが何を『する』ことを求めているか?」を考えてください。動作や機能を要求しているなら機能要件。品質や制約(どれくらい速いか、どれだけ安全か)を示すなら非機能要件です。
Q3: 非機能要件はどの段階で決めるべきですか?
A3: 要件定義の初期段階で決めます。性能や可用性を後で追加すると設計やコストに大きく影響するためです。
A3: 要件定義の初期段階で決めます。性能や可用性を後で追加すると設計やコストに大きく影響するためです。
関連キーワード: 機能要件、非機能要件、可用性、信頼性、パフォーマンス、暗号化、バッチ処理、監査証跡、SLA

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