ITパスポート 2016年 春期 問44
問題文
システム開発プロジェクトにおけるリスク対応には、回避、転嫁、軽減、受容などがある。転嫁の事例として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:財務的なリスクへの対応として保険を掛ける。(正解)
イ:スコープを縮小する。
ウ:より多くのテストを実施する。
エ:リスク発生時の対処に必要な予備費用を計上する。
🔒 解説は解答すると表示されます
リスク対応の転嫁の事例【ITパスポート 解説】
正解の理由
リスク転嫁とは、問題が起きたときの損失や責任を自分(プロジェクト側)から第三者に移すことです。英語では transfer と言います。第三者が代わりに負担するよう、契約や保険で取り決めます。
選択肢の中で、ア「財務的なリスクへの対応として保険を掛ける。」は典型的な転嫁です。保険は保険会社に損失の金銭的負担を引き受けてもらう仕組みです。プロジェクト側は保険料を支払いますが、リスク発生時の大きな支出は保険会社が支払います。これが「転嫁」に該当します。
解法ステップ
- 「転嫁」が何を意味するかをはっきりさせる(第三者に移すこと)。
- 各選択肢が「誰が損失を負うか」にどう影響するかを考える。
- 第三者に損失や責任を移す方法かどうかで選ぶ。
- 最も典型的に第三者へ移すもの(保険や外部委託、固定価格契約など)を正答にする。
短く言えば、「その対処法でリスクの負担が自分から他人に移るか?」を基準に判断します。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 財務的なリスクへの対応として保険を掛ける。
→ 正答。保険契約により、金銭的損失の負担を保険会社に移します。 -
イ: スコープを縮小する。
→ 誤り。スコープ(作業範囲)を縮小するのはリスクの発生確率や影響を減らす「回避(avoidance)」または「軽減(mitigation)」に近い対応です。リスク自体を第三者に移すわけではありません。 -
ウ: より多くのテストを実施する。
→ 誤り。テストを増やすのは問題発生の可能性を下げる「軽減(mitigation)」です。自分たちでリスクを低くする方法であり、転嫁ではありません。 -
エ: リスク発生時の対処に必要な予備費用を計上する。
→ 誤り。予備費(コンティンジェンシー)は、発生した損失を自分たちがカバーする準備をすることであり「受容(acceptance)」に近い対応です。リスクを第三者に移すわけではありません。
よくある誤解
-
「保険も予備費も同じ金銭対処だから同じ」と考える誤解。
→ 実際は、保険は第三者(保険会社)に支払い責任を移すのに対し、予備費は自分たちが支払うため「転嫁」になりません。 -
「外部に委託すれば必ず転嫁になる」と考える誤解。
→ 外部委託はリスクの一部を移せますが、契約条項次第では発生責任が委託元に残る場合があります。転嫁したいなら、責任範囲を明確に契約で定める必要があります。
補足コラム
転嫁の代表例は保険だけではありません。プロジェクトでは次のような方法で転嫁を図ります。
- 保険契約(損害保険など): 金銭的損失の補填を保険会社が行う。
- 固定価格契約(Fixed-price contract): サービス提供者が予定外のコスト増を負担する場合がある。
- 下請け・外注(outsourcing): 専門業者に作業と一部責任を任せる。
ただし、転嫁しても「リスクが完全に無くなる」わけではありません。たとえば、保険金請求の可否や契約の範囲、外注先の債務不履行など、新たなリスクが残ることがあります。転嫁は「リスクの管理手段」の一つで、他の対応(軽減や回避、受容)と組み合わせて使います。
FAQ
Q1: 転嫁はいつ使うべきですか?
A1: 自社で負うと影響が大きいが第三者に任せられる場合に有効です。金銭的損失を避けたいときや専門知識が必要なリスクで使います。
A1: 自社で負うと影響が大きいが第三者に任せられる場合に有効です。金銭的損失を避けたいときや専門知識が必要なリスクで使います。
Q2: 全てのリスクを転嫁すればよいですか?
A2: いいえ。転嫁は費用(保険料や外注費)や契約の制約が必要です。経済合理性や管理のしやすさを考えて選びます。
A2: いいえ。転嫁は費用(保険料や外注費)や契約の制約が必要です。経済合理性や管理のしやすさを考えて選びます。
Q3: 保険でカバーされないリスクもありますか?
A3: はい。保険契約には免責(保険が適用されない場合)や限度額があります。契約内容をよく確認する必要があります。
A3: はい。保険契約には免責(保険が適用されない場合)や限度額があります。契約内容をよく確認する必要があります。
関連キーワード: リスク管理、リスク転嫁、保険、契約管理、回避、軽減、受容、スコープ管理、外注、固定価格契約

\ せっかくなら /
ITパスポートを
クイズ形式で学習しませんか?
クイズ画面へ遷移する→
すぐに利用可能!

