ITパスポート 2016年 春期 問87
問題文
公開鍵暗号方式を用いた機密データの受渡しに関する記述中のa, bに入れる字句の適切な組合せはどれか。
データの受信者Aは、自分の[ a ]鍵と[ b ]鍵を用意して[ a ]鍵を送信者Bに送付する。データの送信者Bは、受信者Aから送付された[ a ]鍵を用いてデータを暗号化して受信者Aに送信する。受信者Aは、送信者Bから受信した暗号化されたデータを自分の[ b ]鍵を使って復号する。

選択肢
ア:
イ:(正解)
ウ:
エ:
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公開鍵暗号方式による機密データの受渡し【ITパスポート 解説】
正解の理由
受信者が自分の鍵を2つ(対になった鍵)用意し、送信者に送るのは「公開鍵」です。一方、受信者が受け取った暗号文を復号(暗号を元に戻す)するために使う鍵は受信者だけが持つ「秘密鍵」です。したがって、設問の空欄 a には「公開」、b には「秘密」が入ります。これは選択肢のうち イ に当たります。
補足説明:
- 公開鍵暗号方式(public-key cryptography:公開鍵と秘密鍵のペアを使う暗号)は、暗号化と復号に別々の鍵を使います。
- 受信者は自分の公開鍵を送信者に渡し、送信者はその公開鍵で暗号化します。復号は受信者の秘密鍵で行います。秘密鍵は決して他人に渡しません。
解法ステップ
- 問題文を読み、誰がどの鍵を「送る」か、「暗号化」するか、「復号」するかを整理する。
- 「送信者Bは、受信者Aから送付された a 鍵を用いてデータを暗号化」→ 暗号化に使われる鍵は、送られてきた鍵(第三者に渡しても問題ない鍵)であると判断する。
- 「受信者Aは…自分の b 鍵を使って復号する」→ 復号に使う鍵は受信者だけが持つ秘密の鍵であると判断する。
- 公開鍵暗号方式の性質(暗号化に公開鍵、復号に秘密鍵)を当てはめ、a=公開、b=秘密を選ぶ。
選択肢別の誤答解説
-
ア(a=公開、b=共通)
誤り。共通鍵(対称鍵、symmetric key:暗号化と復号に同じ鍵を使う方式)を受信者だけが持ち「自分の共通鍵で復号する」とすると、送信者と共有する必要があるため設問の流れと合いません。設問では送信者は「受信者から送られた a 鍵」を使って暗号化しており、暗号化と復号で別の鍵を使うことが前提になっています。 -
イ(a=公開、b=秘密)
正解。公開鍵(public key:誰でも入手できる鍵)で暗号化し、秘密鍵(private key:受信者だけが保持する鍵)で復号するのが公開鍵暗号方式の基本的な流れです。 -
ウ(a=秘密、b=公開)
誤り。受信者が「秘密鍵を送る」ことは矛盾です。秘密鍵は決して他人に渡してはいけません。また、公開鍵で復号できる仕組みは通常の公開鍵暗号では存在しません(復号は秘密鍵で行う)。 -
エ(a=秘密、b=共通)
誤り。a に秘密鍵を送付すること自体が誤りであり、b に共通鍵とするのも設問の流れと一致しません。公開鍵暗号方式の前提と合致しません。
よくある誤解
-
「公開鍵で暗号化したら公開鍵で復号できる」
→ 誤りです。公開鍵で暗号化したデータは対応する秘密鍵で復号します。公開鍵と秘密鍵はペアですが、同じ鍵で暗号化・復号するわけではありません。 -
「公開鍵は安全性が低いから使わない方がいい」
→ 公開鍵は公開して構わない設計です。問題は公開鍵が本当にその人のものかどうか(なりすまし対策)で、これを解決するのが証明書や指紋(後述)です。
補足コラム
- 公開鍵暗号方式は計算コストが高めです。実務では「ハイブリッド暗号方式」がよく使われます。これは、まず公開鍵で「共通鍵(セッション鍵)」だけを安全に送って、実際の大量データは共通鍵(高速な対称暗号)で暗号化する方法です。
- 署名(デジタル署名)は逆の使い方をします。送信者が自分の秘密鍵で署名し、受信者が送信者の公開鍵でその署名を検証します。これで「改ざんされていない」ことや「送信者の本人性」を確認できます。
- 鍵の正当性を確かめる仕組みが PKI(Public Key Infrastructure:公開鍵基盤)です。認証局(CA:Certificate Authority)が鍵の所有者を証明する電子証明書を発行します。
FAQ
Q1. 公開鍵は誰でも見られますか?
A1. はい。公開鍵は配布して問題ない設計です。ただし「本当にその人の公開鍵か」を確認する必要があります(証明書や指紋で検証します)。
A1. はい。公開鍵は配布して問題ない設計です。ただし「本当にその人の公開鍵か」を確認する必要があります(証明書や指紋で検証します)。
Q2. 秘密鍵を失くしたらどうなりますか?
A2. 秘密鍵を失うと、その鍵で復号できるデータを読み取れなくなりますし、漏えいするとなりすましの危険があります。秘密鍵は厳重に管理してください。
A2. 秘密鍵を失うと、その鍵で復号できるデータを読み取れなくなりますし、漏えいするとなりすましの危険があります。秘密鍵は厳重に管理してください。
Q3. 共通鍵と公開鍵、どちらが良いですか?
A3. 用途によります。大量データの暗号化は共通鍵(対称鍵)が速いです。安全に鍵を共有するために公開鍵を使う、というのが一般的な組み合わせ(ハイブリッド方式)です。
A3. 用途によります。大量データの暗号化は共通鍵(対称鍵)が速いです。安全に鍵を共有するために公開鍵を使う、というのが一般的な組み合わせ(ハイブリッド方式)です。
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