ITパスポート 2017年 春期 問07
問題文
エンタープライズアーキテクチャ(EA)の説明として、最も適切なものはどれか。
選択肢
ア:企業の情報システムにおいて、起こり得るトラブルを想定して、その社会的影響などを最小限に食い止めるための対策
イ:現状の業務と情報システムの全体像を可視化し、将来のあるべき姿を設定して、全体最適化を行うためのフレームワーク(正解)
ウ:コスト、品質、サービス、スピードを革新的に改善するために、ビジネス・プロセスを考え直し、抜本的にデザインし直す取組み
エ:ソフトウェアをサービスと呼ばれる業務機能上の単位で部品化し、それらを組み合わせてシステムを柔軟に構築する仕組み
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エンタープライズアーキテクチャ(EA)の説明【ITパスポート 解説】
正解の理由
エンタープライズアーキテクチャ(Enterprise Architecture:企業全体の設計)とは、企業の「現在(現状の業務と情報システム)」を可視化し、「将来のあるべき姿(目標)」を定めて、企業全体として最適化するための枠組み(フレームワーク)です。したがって、選択肢のうち、業務と情報システムの全体像を可視化し、将来像を設定して全体最適化を行う説明である イ が最も適切です。
ポイントは「全体(enterprise)を設計(architecture)する」という考え方です。単にシステムや一部の業務を改善するのではなく、ビジネス、データ、アプリケーション、インフラなど複数の層を横断して整合性を取り、経営戦略に沿った形に整えることを目指します。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを拾う:「全体像を可視化」「将来のあるべき姿」「全体最適化」など。
- 用語の意味を思い出す:architecture(設計・構造)、enterprise(企業・組織全体)。
- 各選択肢とキーワードを照らし合わせる。該当するのは「企業全体を設計して最適化する」説明か?
- 他の選択肢が別の概念(例:事業継続、業務再設計、ソフトウェア設計)を指していないか確認して除外する。
- 最終的に企業全体の設計を述べている イ を正答とする。
このように、まず問題のキーワードで概念を突き合わせると早く正解に辿り着けます。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「起こり得るトラブルを想定して、その社会的影響などを最小限に食い止めるための対策」
→ これは主に事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)やリスクマネジメントの説明です。EAの目的は予防的な対策だけでなく、戦略とITを整合させる「設計」ですので、異なります。 -
ウ: 「コスト、品質、サービス、スピードを革新的に改善するために、ビジネス・プロセスを考え直し、抜本的にデザインし直す取組み」
→ これは業務プロセス再設計(BPR:Business Process Reengineering)の説明です。BPRはプロセスの抜本的改善に焦点を当てますが、EAはその前後のシステムやデータ、技術も含めた全体設計を扱います。 -
エ: 「ソフトウェアをサービスと呼ばれる業務機能上の単位で部品化し、それらを組み合わせてシステムを柔軟に構築する仕組み」
→ これはサービス指向アーキテクチャ(SOA:Service-Oriented Architecture)やマイクロサービスの説明に近いものです。EAはこうした技術的手法を選定・導入する際の上位設計(何を目指すかを決める枠組み)になります。
よくある誤解
-
「EAはIT部門だけの話だ」
- 誤りです。EAは経営戦略と業務をITで支えるための全社的な設計で、経営層・業務部門・IT部門が協働します。
-
「EAはただ図を作るだけの仕事だ」
- 図(アーキテクチャ図やAS-IS/TO-BE)は重要な成果物ですが、目的は方針決定や投資判断の支援、ガバナンス確立などの実行です。
-
「EAとBPRやSOAは同じものだ」
- それぞれ目的・スコープが異なります。EAは「全体の設計」、BPRは「業務プロセスの抜本改善」、SOAは「技術的な構築方法」のように役割が分かれます。
補足コラム
EAの典型的な構成要素(レイヤー)は次の4つです。短く説明します。
- ビジネス層:何を提供するか、業務プロセスや組織(例:販売プロセス)。
- データ層:業務で使うデータや情報の設計(例:顧客情報の定義)。
- アプリケーション層:業務を支えるソフトウェアや機能(例:受注システム)。
- 技術(インフラ)層:サーバ(サービスを提供するコンピュータ)やネットワークなど基盤。
また、EAでは「AS-IS(現状)」と「TO-BE(あるべき姿)」という考え方がよく使われます。AS-ISで現状の問題点を整理し、TO-BEで目標を描き、ギャップを埋める計画を立てます。
簡単な例:ネット販売を始めるとき、EAは「ビジネス(受注・在庫の仕組み)」「データ(商品・顧客データ)」「アプリ(ECサイト、決済)」「インフラ(クラウドや通信)」を横断して整合性を取ります。これにより無駄なシステム投資や運用の混乱を防げます。
FAQ
Q1: EAは中小企業でも必要ですか?
A1: 規模に合わせて簡易なEAでも有効です。事業とITの整合を考える習慣がコスト削減や意思決定の質向上につながります。
A1: 規模に合わせて簡易なEAでも有効です。事業とITの整合を考える習慣がコスト削減や意思決定の質向上につながります。
Q2: EAを担当するのは誰ですか?
A2: 専任のエンタープライズアーキテクト(役割)や、経営・業務・ITの代表からなるガバナンス組織が関わります。小規模ではITリーダーや経営者が担うこともあります。
A2: 専任のエンタープライズアーキテクト(役割)や、経営・業務・ITの代表からなるガバナンス組織が関わります。小規模ではITリーダーや経営者が担うこともあります。
Q3: EAを始める第一歩は何ですか?
A3: 現状(AS-IS)の主要な業務とシステムを可視化することです。その上で、経営目標に沿ったTO-BEを描きます。
A3: 現状(AS-IS)の主要な業務とシステムを可視化することです。その上で、経営目標に沿ったTO-BEを描きます。
Q4: BPRやSOAはEAの代わりになりますか?
A4: 代わりにはなりません。BPRやSOAはEAの下位や補完的な手法として位置づけられます。EAが「何を目指すか」を示し、BPRやSOAはその実現手段になります。
A4: 代わりにはなりません。BPRやSOAはEAの下位や補完的な手法として位置づけられます。EAが「何を目指すか」を示し、BPRやSOAはその実現手段になります。
関連キーワード: エンタープライズアーキテクチャ, EA, AS-IS, TO-BE, 全体最適化, BPR(業務プロセス再設計), SOA(サービス指向アーキテクチャ), 事業継続計画, アーキテクト, アーキテクチャ図

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