ITパスポート 2017年 春期 問47
問題文
あるシステム開発プロジェクトでは、システムを構成する一部のプログラムが複雑で、そのプログラムの作成には高度なスキルを保有する特定の要員を確保する必要があった。そこで、そのプログラムの開発の遅延に備えるために、リスク対策を検討することにした。リスク対策を、回避、軽減、受容、転嫁に分類するとき、軽減に該当するものはどれか。
選択肢
ア:高度なスキルを保有する要員が確保できない可能性は低いと考え、特別な対策は採らない。
イ:スキルはやや不足しているが、複雑なプログラムの開発が可能な代替要員を参画させ、大きな遅延にならないようにする。(正解)
ウ:複雑なプログラムの開発を外部委託し、期日までに成果物を納品する契約を締結する。
エ:複雑なプログラムの代わりに、簡易なプログラムを組み合わせるように変更し、高度なスキルを保有していない要員でも開発できるようにする。
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システム開発の要員不足対策の分類【ITパスポート 解説】
正解の理由
この問題で正しいのは、複雑なプログラムの開発が可能な代替要員を参画させる選択肢、すなわち イ です。
理由は次の通りです。
理由は次の通りです。
- 「軽減(mitigation)」は、リスクの発生確率や影響を小さくする対策を指します。完全にリスクを消すわけではなく、起きても被害が小さくなるようにする対応です。
- イ は、高度スキルを持つ特定要員に依存しすぎないよう、代替要員を投入することで「遅延が大きくならないようにする」という影響の低減をねらっています。したがってこれは典型的な「軽減」に当たります。
(参考:回避=リスクの原因を取り除く、受容=対策を行わず受け入れる、転嫁=第三者に責任を移す、という違いがあります。)
解法ステップ
- リスク対策の分類の意味を確認する
- 回避(avoidance):原因をなくしてリスクそのものを消す
- 軽減(mitigation):発生確率や影響を下げる(被害を小さくする)
- 受容(acceptance):対策をせずリスクを受け入れる
- 転嫁(transfer):保険や外部委託などで第三者に負担させる
- 各選択肢が「原因を消す」「影響を下げる」「第三者に移す」「何もしない」のどれに該当するかを当てはめる
- 「影響を小さくする」に該当する選択肢を選ぶ(それが軽減)
この流れで選ぶと、イが「代替要員で影響を小さくする」ため軽減に該当すると判断できます。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 高度なスキルを保有する要員が確保できない可能性は低いと考え、特別な対策は採らない。
- これは「受容(acceptance)」です。リスクを認識しているが、対策を講じず受け入れる方法なので、軽減ではありません。
-
イ: スキルはやや不足しているが、複雑なプログラムの開発が可能な代替要員を参画させ、大きな遅延にならないようにする。
- これは正解です。リスクが起きても影響(遅延)を小さくするための対策であり、「軽減」に当たります。
-
ウ: 複雑なプログラムの開発を外部委託し、期日までに成果物を納品する契約を締結する。
- これは「転嫁(transfer)」です。リスク(開発できない問題)を外部のベンダーに引き受けさせるので、責任やリスクを移す行為です。契約の内容次第で完全に転嫁できない点には注意が必要です(後述の補足参照)。
-
エ: 複雑なプログラムの代わりに、簡易なプログラムを組み合わせるように変更し、高度なスキルを保有していない要員でも開発できるようにする。
- これは「回避(avoidance)」です。問題の原因(高度なスキルが必要な設計)を取り除き、リスクを発生させないようにする対応です。
よくある誤解
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「外部委託=軽減」と考える誤解
- 外部委託(outsourcing:外の業者に仕事を任せること)は基本的に「転嫁」です。社内の負担は減りますが、リスクを完全にゼロにするわけではなく、契約条項で守る必要があります。
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「簡単にするのも軽減だろう」と考える誤解
- 設計を変えてそもそもリスクの根本原因をなくす場合は「回避」です。影響を小さくする(軽減)とは異なります。分類を混同しないようにしましょう。
-
「何もしない=軽減」と誤解する人がいる
- 対策を行わないのは「受容」です。発生後の対策時間や影響を考えると危険です。
補足コラム
- 実務では「軽減」と「転嫁」を組み合わせることが多いです。例えば代替要員を入れ(軽減)、足りない部分だけを外注する(転嫁)というように、リスク対策は単独で行うとは限りません。
- 外部委託するときは、納期や品質、責任範囲を契約で明確にしておくことが重要です。契約に「成果物の品質保証」や「遅延時のペナルティ」などを盛り込むことで、転嫁の効果を高められます。
- 軽減策の具体例:追加の人員投入、教育(トレーニング)、詳細なレビュー、スケジュールのバッファ(余裕)設定など。
FAQ
Q1: 軽減と回避の違いを一言で教えてください。
A1: 回避は「リスクの原因をなくして起こさない」こと、軽減は「リスクが起きても被害を小さくする」ことです。
A1: 回避は「リスクの原因をなくして起こさない」こと、軽減は「リスクが起きても被害を小さくする」ことです。
Q2: 外部委託しても自社にリスクが残ることはありますか?
A2: はい。外注先の品質不良や納期遅延、契約不履行など別のリスクが生じます。契約管理や監督が必要です。
A2: はい。外注先の品質不良や納期遅延、契約不履行など別のリスクが生じます。契約管理や監督が必要です。
Q3: 軽減策として具体的に何をすればよいですか?
A3: 代替要員の用意、既存要員のトレーニング、開発プロセスの見直し(レビュー強化)やスケジュール緩和(バッファ)などが効果的です。
A3: 代替要員の用意、既存要員のトレーニング、開発プロセスの見直し(レビュー強化)やスケジュール緩和(バッファ)などが効果的です。
関連キーワード: リスクマネジメント、リスク対策、回避、軽減、転嫁、受容、外部委託、代替要員

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