ITパスポート 2019年 秋期 問71
問題文
複数のIoTデバイスとそれらを管理するIoTサーバで構成されるIoTシステムにおける、エッジコンピューティングに関する記述として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:IoTサーバ上のデータベースの複製を別のサーバにも置き、両者を常に同期させて運用する。
イ:IoTデバイス群の近くにコンピュータを配置して、IoTサーバの負荷低減とIoTシステムのリアルタイム性向上に有効な処理を行わせる。(正解)
ウ:IoTデバイスとIoTサーバ間の通信負荷の状況に応じて、ネットワークの構成を自動的に最適化する。
エ:IoTデバイスを少ない電力で稼働させて、一般的な電池で長期間の連続運用を行う。
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エッジコンピューティングに関する記述【ITパスポート 解説】
まず用語をやさしく整理します。
- IoT(Internet of Things:モノのインターネット)―― センサーや機器がネットワークに接続され、データを送る仕組み。
- IoTサーバ(IoT機器を管理するサーバ)―― IoT機器から集めたデータを受け取り、保存や解析、制御を行うコンピュータ(サービスを提供するコンピュータ)。
- エッジコンピューティング(edge computing:端(エッジ)に近い場所で処理を行う仕組み)―― センサーやデバイスの近くにあるコンピュータで、データの前処理や解析を行い、クラウドや中央サーバへの負荷や遅延(レイテンシ)を減らす仕組み。
この問題で正しいのは、IoT機器の近くにコンピュータを置いて処理をさせることを説明した選択肢、すなわち イ です。
正解の理由
エッジコンピューティングは「データを送る先(中央のサーバ)ではなく、機器の近くで処理を行う」ことを指します。これにより、中央のIoTサーバの負荷を下げられますし、通信遅延を短くできるためリアルタイム性(すぐに反応する必要がある処理)が向上します。選択肢の イ はまさにこの説明に一致するため適切です。
解法ステップ
- 問題文で問われている概念(エッジコンピューティング)を定義する。
- 各選択肢が「機器の近くで処理をする」かどうかを見極める。
- 「機器の近くで処理」=エッジコンピューティングに合致する選択肢を選ぶ。
- 残りの選択肢が別の技術(データベースの冗長化、ネットワーク最適化、低消費電力設計など)を説明していないか確認する。
この順で考えれば、自然に イ が選べます。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「IoTサーバ上のデータベースの複製を別のサーバにも置き、両者を常に同期させて運用する。」
- これはデータベースのレプリケーション(複製)や冗長化の説明です。可用性や障害対策を目的とします。処理を「端で行う」説明ではないため、エッジコンピューティングではありません。
-
イ: 「IoTデバイス群の近くにコンピュータを配置して、IoTサーバの負荷低減とIoTシステムのリアルタイム性向上に有効な処理を行わせる。」
- これがエッジコンピューティングそのものです。デバイス近傍で前処理や解析を行い、通信量や遅延を減らします。
-
ウ: 「IoTデバイスとIoTサーバ間の通信負荷の状況に応じて、ネットワークの構成を自動的に最適化する。」
- これはネットワーク制御や自動最適化(例:SDN=Software-Defined Networking:ソフトウェアでネットワークを制御する技術)に近い話です。エッジは処理の場所に関する概念であり、ネットワーク再構成そのものを指すわけではありません。
-
エ: 「IoTデバイスを少ない電力で稼働させて、一般的な電池で長期間の連続運用を行う。」
- これは低消費電力設計や省電力技術(ハードウェアやソフトウェアの工夫)に関する記述で、エッジコンピューティングの定義とは異なります。電力削減はエッジ導入の副次的効果になることはありますが、説明としては不十分です。
よくある誤解
-
「エッジ=デバイス自体で全部処理する」と思う誤解
- 実際は、エッジ処理はデバイス近傍のゲートウェイやローカルサーバで行うことが多く、機器自体の能力に依存しません。クラウドと役割を分けて連携することが一般的です。
-
「エッジ導入でクラウドが不要になる」と考える誤解
- エッジはクラウドを置き換えるわけではありません。大量データの長期保管や重い解析はクラウドで行い、瞬時に判断が必要な処理をエッジで行う、といった分担が普通です。
-
「通信量を減らせば必ず電池が長持ちする」との誤解
- 通信削減は電力に寄与しますが、エッジ処理そのものが追加の計算で電力を使う場合もあります。総合的な設計(処理の場所と頻度の最適化)が必要です。
補足コラム
- フォグコンピューティング(Fog computing:フォグ=雲の手前の層)という言葉もあります。フォグはエッジとクラウドの中間層にあたる概念で、複数のエッジノードをまとめて管理したり、ローカルでより強力な解析を行ったりします。
- 実際の利用例:
- 監視カメラの映像をカメラ近くで顔検出して、問題のある映像だけをクラウドへ送る(帯域削減)。
- 工場のロボットが危険を検知したら即座に停止命令を出す(低遅延で安全を確保)。
- メリット:遅延低減、通信コスト削減、部分的なプライバシー保護(生データを送らない)など。デメリット:分散管理の複雑さ、エッジ機器の運用・保守が必要になる点。
FAQ
Q1: エッジとクラウド、どちらを優先すべきですか?
A1: 処理の目的で決めます。即時性や帯域節約が必要ならエッジ、長期保存や大量解析はクラウド、両方を組み合わせるのが一般的です。
A1: 処理の目的で決めます。即時性や帯域節約が必要ならエッジ、長期保存や大量解析はクラウド、両方を組み合わせるのが一般的です。
Q2: エッジは小さなコンピュータで十分ですか?
A2: 実行する処理内容によります。簡単な前処理やフィルタリングなら軽量な機器でOKですが、重い解析ならより高性能なエッジサーバやフォグ層が必要です。
A2: 実行する処理内容によります。簡単な前処理やフィルタリングなら軽量な機器でOKですが、重い解析ならより高性能なエッジサーバやフォグ層が必要です。
Q3: セキュリティはどうなる?
A3: 分散する分、各エッジ機器のセキュリティ対策が重要になります。暗号化や認証、ソフトウェアの更新などの運用が必須です。
A3: 分散する分、各エッジ機器のセキュリティ対策が重要になります。暗号化や認証、ソフトウェアの更新などの運用が必須です。
Q4: 小規模でもエッジは効果がありますか?
A4: センサー数やデータ量、必要な応答時間次第です。少量データでリアルタイム性が不要なら効果は小さいですが、応答性を改善したい場面では有効です。
A4: センサー数やデータ量、必要な応答時間次第です。少量データでリアルタイム性が不要なら効果は小さいですが、応答性を改善したい場面では有効です。
関連キーワード: エッジコンピューティング、IoTデバイス、フォグコンピューティング、レイテンシ、分散処理、ゲートウェイ、データレプリケーション

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