ITパスポート 2019年 春期 問37
問題文
プロジェクトにおけるリスクマネジメントに関する記述として、最も適切なものはどれか。
選択肢
ア:プロジェクトは期限が決まっているので、プロジェクト開始時点において全てのリスクを特定しなければならない。
イ:リスクが発生するとプロジェクトに問題が生じるので、リスクは全て回避するようにリスク対応策を計画する。
ウ:リスク対応策の計画などのために、発生する確率と発生したときの影響度に基づいて、リスクに優先順位を付ける。(正解)
エ:リスクの対応に掛かる費用を抑えるために、リスク対応策はリスクが発生したときに都度計画する。
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プロジェクトにおけるリスクマネジメントに関する記述【ITパスポート 解説】
正解の理由
プロジェクトのリスクマネジメント(risk management:将来起こり得る不確実な事象に対処する活動)では、すべてのリスクを同じ扱いにするのではなく、「発生する確率」と「発生したときの影響度」に基づいて優先順位を付け、重要なものから対策を計画・実行します。したがって、選択肢の中では、リスクを確率と影響度で評価して優先順位を付けるもの、つまり ウ が最も適切です。これにより限られた資源(時間・人手・予算)を効果的に使えます。
解法ステップ
- 設問のキーワードを確認:「リスクマネジメント」「最も適切」などを拾う。
- 各選択肢の極端な表現(「全て」「すべて回避」「都度」など)をチェック。極端な断定は誤りの可能性が高い。
- リスク管理の基本サイクルを思い出す:識別 → 評価(確率・影響度)→ 対応(計画)→ 監視。評価に基づく優先付けが正しい流れか確認する。
- 上記に合致する選択肢を選ぶ(今回は確率と影響度で優先順位を付ける ウ)。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「開始時点において全てのリスクを特定しなければならない。」
誤り。プロジェクト開始時に可能な限りリスクを洗い出すのは重要ですが、すべてを完全に特定することは現実的ではありません。新しい情報や状況の変化で後から出てくるリスクも多く、継続的に「識別(特定)」と「監視」を行う必要があります。 -
イ: 「リスクは全て回避するように計画する。」
誤り。リスク対応には主に回避(avoidance)、軽減(mitigation)、移転(transfer、例えば保険や外部委託)、受容(accept)があります。すべてを回避するとコストや実現可能性の面で非現実的になるため、状況に応じた対応を選ぶことが求められます。 -
ウ: 「発生する確率と発生したときの影響度に基づいて、リスクに優先順位を付ける。」
正しい。これはリスクアセスメント(評価)として標準的な考え方です。確率と影響度を掛け合わせた重要度や、リスクマトリクス(確率×影響度の表)で優先度を決めます。重要度の高いリスクから対応策を検討・実施します。 -
エ: 「リスク対応策はリスクが発生したときに都度計画する。」
誤り。リスクが実際に発生してから対応を考えると、対応が遅れ被害が大きくなることがあります。事前に発生確率や影響を評価して対応計画(コンティンジェンシープラン=代替計画、または予防策)を用意しておくのが望ましいです。
よくある誤解
-
「リスク=悪いことだけ」と考える誤解
リスクは『良い影響がある可能性』(機会)も含みます。リスク評価では悪影響(脅威)と良い影響(機会)を分けて扱うことがあります。 -
「リスクは全部ゼロにできる」と思う誤解
リスクを完全になくすには大きなコストやプロジェクトの停止が必要になる場合があり、現実的でないことが多いです。コスト対効果を見て適切に管理します。 -
「リスク対応は一度決めれば終わり」とする誤解
プロジェクトは変化します。リスクの発生確率や影響度は変化するため、定期的な見直し(監視とコントロール)が必要です。
補足コラム
- リスクの優先順位付けに使う「リスクマトリクス」は、縦軸に影響度、横軸に発生確率を取り、マス目ごとに「高」「中」「低」を割り当てる図です。視覚的で判断しやすく、チームで共有しやすいツールです。
- 代表的なリスク対応手段:
- 回避(Avoidance):リスクの原因を取り除く。例:不安定な外部サービスの利用をやめる。
- 軽減(Mitigation):発生確率や影響を下げる。例:バックアップを取る。
- 移転(Transfer):リスクの影響を他者に移す。例:保険加入、外部委託。
- 受容(Acceptance):コストが見合わないためそのまま受け入れる(事後対応を準備する場合もある)。
- 用語の区別:「リスク」はまだ起きていない可能性事象。「課題(Issue)」は既に発生している問題です。対応の優先度や手順が異なります。
FAQ
Q. なぜ「確率と影響度」の両方で評価するのですか?
A. 低確率でも影響が非常に大きければ重要度は高く、対応が必要になるからです。逆に確率は高いが影響が小さければ軽微な対策で済むこともあります。両方を組み合わせてバランス良く判断します。
A. 低確率でも影響が非常に大きければ重要度は高く、対応が必要になるからです。逆に確率は高いが影響が小さければ軽微な対策で済むこともあります。両方を組み合わせてバランス良く判断します。
Q. 優先順位付けの基準はどう決める?
A. 組織やプロジェクトの許容リスク(リスク許容度)に合わせて「高・中・低」を定義します。現場やステークホルダーと合意しておくことが重要です。
A. 組織やプロジェクトの許容リスク(リスク許容度)に合わせて「高・中・低」を定義します。現場やステークホルダーと合意しておくことが重要です。
Q. 事後に対応する(エのように)ケースは全くダメですか?
A. 緊急対応だけでは被害が拡大しやすいので原則として避けます。ただし、対応コストが非常に高く、許容範囲内の小リスクは「受容」して事後対応の準備だけすることはあります。
A. 緊急対応だけでは被害が拡大しやすいので原則として避けます。ただし、対応コストが非常に高く、許容範囲内の小リスクは「受容」して事後対応の準備だけすることはあります。
関連キーワード: リスクマネジメント、リスクアセスメント、リスク対応、リスクマトリクス、プロジェクト管理、監視とコントロール、リスク優先順位付け

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