ITパスポート 2021年 問13
問題文
FinTechの事例として、最も適切なものはどれか。
選択肢
ア:銀行において、災害や大規模障害が発生した場合に勘定系システムが停止することがないように、障害発生時には即時にバックアップシステムに切り替える。
イ:クレジットカード会社において、消費者がクレジットカードの暗証番号を規定回数連続で間違えて入力した場合に、クレジットカードを利用できなくなるようにする。
ウ:証券会社において、顧客がPCの画面上で株式売買を行うときに、顧客に合った投資信託を提案したり自動で資産運用を行ったりする、ロボアドバイザのサービスを提供する。(正解)
エ:損害保険会社において、事故の内容や回数に基づいた等級を設定しておき、インターネット自動車保険の契約者ごとに、1年間の事故履歴に応じて等級を上下させるとともに、保険料を変更する。
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FinTechの事例として、最も適切なものはどれか。【ITパスポート 解説】
正解の理由
FinTech(Financial Technology:金融にITを活用して新しいサービスや利便性を提供する技術や事業)の代表的な例は、金融サービスをITで自動化・個人向けに最適化して提供するものです。選択肢の中でこれに当てはまるのは、顧客の画面上で株式売買を行う際に、「顧客に合った投資信託を提案したり自動で資産運用を行ったりする、ロボアドバイザのサービスを提供する」ウです。
ロボアドバイザ(robo-advisor:アルゴリズムやソフトウェアを使って投資助言や資産運用を自動で行うサービス)は、従来の対面の金融サービスをITで置き換え、低コスト・24時間利用可・個別最適化を実現します。これがFinTechの典型です。
解法ステップ
- 「FinTech」の意味を確認する。
- FinTech = Financial Technology(金融とITの融合)。金融の商品・取引・助言などをITで新しく効率化・自動化・UX改善するもの。
- 各選択肢が「新しいITを使った金融サービス」か、あるいは単なる「既存システムの運用・安全対策」かを判定する。
- 自動で投資提案・運用を行うロボアドバイザは、まさにITによる金融サービス革新なので、ウを選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: 銀行の「障害発生時に即時にバックアップシステムに切り替える」は、業務継続(BCP:Business Continuity Planning=事業継続計画)や冗長化と呼ばれるITインフラの対策です。重要なIT運用の話ですが、新しい金融サービスを作るという意味のFinTechではありません。
- イ: クレジットカードの暗証番号(PIN:Personal Identification Number=個人識別番号)を規定回数間違えたら利用停止にする仕組みは、セキュリティ対策です。これも金融サービス自体の提供方法を革新するFinTechではなく、既存サービスの安全対策にあたります。
- ウ: 顧客に合わせた投資信託の提案や自動運用は、アルゴリズムとITで投資サービスを提供する典型的なFinTech事例です。
- エ: 損害保険の等級制度に基づいて保険料を変更する仕組みは、保険のリスク評価・価格設定(アクチュアリー業務)による運用です。保険料を自動で変動させる仕組みが高度なITを使う場合はInsurTech(Insurance Technology:保険分野のFinTech)に入ることもありますが、提示された記述は従来からある等級制度の運用例であり、問題文ではFinTechの代表例とは見なされません。
よくある誤解
- 「ITが関わっていれば全部FinTech」と考える誤解
- 銀行や保険のシステム運用やセキュリティ強化もITですが、FinTechは「ITで新しい価値や提供方法を作る」ことを指します。単なる安定化や保守は含まれません。
- 「自動化=FinTech」と短絡的に考える誤解
- 自動化はFinTechの一部ですが、自動化の目的や提供される価値(消費者向けの新サービス・UX改善・コスト削減など)があるかで判断します。内部業務の自動化だけではFinTechとは言いにくいです。
補足コラム
ロボアドバイザは一般に、簡単な質問(年齢、投資目的、リスク許容度など)に基づいて資産配分を決め、ETF(上場投資信託)や投資信託を自動で売買・リバランスします。人間の助言者より手数料が低く、スマホやPCで手軽に使える点が普及の理由です。最近はAI(人工知能:Artificial Intelligence)や機械学習を使ってより高度な提案を行うサービスも出ています。
また、保険分野でITを活用するInsurTechや、規制対応を効率化するRegTech(Regulatory Technology)など、FinTechの中でも領域ごとの呼び方があります。選択肢のエのような保険料の自動変更も、文脈によってはInsurTechの一例と見なせますが、本問では「顧客向けの新しい金融サービス」を問う意図があります。
FAQ
Q1: FinTechと単なる銀行のITシステムはどう違いますか?
A1: 銀行のITシステムは業務を支えるインフラや安全対策が中心です。FinTechはその上で、消費者向けに新しい価値(例:自動投資、モバイル決済、個人向け融資の自動審査)を提供するサービスです。
A1: 銀行のITシステムは業務を支えるインフラや安全対策が中心です。FinTechはその上で、消費者向けに新しい価値(例:自動投資、モバイル決済、個人向け融資の自動審査)を提供するサービスです。
Q2: ロボアドバイザは完全に人の助言を置き換えますか?
A2: 小額・標準的な資産運用では十分に役立ちますが、複雑な状況や高度な税務判断などでは人間の専門家が必要な場合もあります。両者を組み合わせるケースも増えています。
A2: 小額・標準的な資産運用では十分に役立ちますが、複雑な状況や高度な税務判断などでは人間の専門家が必要な場合もあります。両者を組み合わせるケースも増えています。
Q3: エの保険料変動は将来的にFinTechに入りますか?
A3: 保険料の設定自体は伝統的な保険業務ですが、テレマティクス(車載データを使った個別料金化)などITを使って新たな個人向けサービスを提供する場合はInsurTechとしてFinTechに含まれることがあります。
A3: 保険料の設定自体は伝統的な保険業務ですが、テレマティクス(車載データを使った個別料金化)などITを使って新たな個人向けサービスを提供する場合はInsurTechとしてFinTechに含まれることがあります。
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