ITパスポート 2023年 問24
問題文
需要量が年間を通じて安定している場合において、定量発注方式に関する記述として、最も適切なものはどれか。
選択肢
ア:最適な発注量は、発注費用と在庫維持費用の総額が最小となる場合である。(正解)
イ:発注回数の多寡で比較したとき、発注回数の多い方が商品を保管するスペースを広くする必要がある。
ウ:発注は毎週金曜日、毎月末など、決められた同じサイクルで行われる。
エ:毎回需要予測に基づき発注が行われる。
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定量発注方式に関する記述【ITパスポート 解説】
正解の理由
需要量が年間を通じて安定している(需要が一定)場合、定量発注方式は「発注量を一定にして、在庫が一定の水準(再発注点)まで減ったら同じ量を発注する」方式です。発注量を決めるときは、1回の発注にかかる費用(発注費用)と、在庫を保有することでかかる費用(在庫維持費用)を合わせた年間コストが最小になる点を探します。したがって、最も適切なのは ア の記述です。
(用語補足)
- 発注費用:1回の発注ごとに固定でかかる費用(発注処理・輸送の開始費用など)
- 在庫維持費用:在庫1単位あたり年間でかかる費用(保管費・資金コスト・劣化など)
解法ステップ
- 問題文から「定量発注方式」と「需要が安定」を確認する。
- 定量発注方式の特徴を思い出す:発注量は一定、発注タイミングは在庫が再発注点に達したとき。
- 選択肢をそれぞれ、定量発注方式の特徴や在庫コストの考え方と照合する。
- 発注量の決定は「発注費用と在庫維持費用のトレードオフ」で行うことを根拠に ア を選ぶ。
実務でよく使われる理論的な式(覚えやすい目安):
EOQ(Economic Order Quantity:経済的発注量)という考え方では、年間需要 , 1回の発注費用 , 在庫の単位当たり年間保有費用 のとき、最適発注量は
で与えられます。これも「発注回数を減らすと発注費用は下がるが在庫は増えて維持費が上がる。そのバランスの最小点を取る」という考えです。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 最適な発注量は、発注費用と在庫維持費用の総額が最小となる場合である。
→ 正しい。先に示したEOQの考え方そのものです。 -
イ: 発注回数の多寡で比較したとき、発注回数の多い方が商品を保管するスペースを広くする必要がある。
→ 誤り。発注回数が多い(=1回ごとの発注量が小さい)と、平均在庫量は小さくなります。平均在庫量が小さければ保管スペースは小さくて済むため、イは逆です。 -
ウ: 発注は毎週金曜日、毎月末など、決められた同じサイクルで行われる。
→ 誤り。これは定期発注方式(定期的に発注する方式)の特徴です。定量発注方式は「同じ量を発注するが、発注タイミングは在庫水準によって異なる」方式です。 -
エ: 毎回需要予測に基づき発注が行われる。
→ 誤り。需要が変動する場合は発注量を変えることもありますが、定量発注方式は「発注量を固定」するのが基本です。需要予測に基づいて毎回量を変えるのは別の運用(例えば都度発注や一部の定期方式)に近い考えです。
よくある誤解
-
「発注回数が多い=在庫が増える」
→ 実際は逆で、発注回数が多いと1回の発注量が小さくなり、平均在庫は下がります。発注回数と在庫量は反比例の関係です。 -
「定量発注方式=発注のタイミングが決まっている」
→ 定期発注方式と混同しやすい点です。定量は発注量が固定、定期は発注タイミングが固定、両者は別の方式です。 -
「最適発注量は単純に安ければ多く発注すればよい」
→ 発注回数を減らして大量に発注すれば発注費用は減りますが、在庫維持費が増えて総コストが上がります。両者のバランスが大事です。
補足コラム
- 再発注点(発注点、reorder point):リードタイム(発注から納品までの時間)中に必要な需要量+安全在庫で決めます。安定需要なら再発注点は「リードタイム×1期間あたりの需要」となります。
- 安全在庫:需要や納期にばらつきがある場合に備える余分の在庫です。需要が本当に安定していれば少なくできますが、現実には一定の安全余裕を持つことが多いです。
- EOQの前提条件:需要が一定、リードタイム一定、発注費用・保有費用は一定という仮定があります。これらが崩れる場合は、EOQだけでは十分でないことがあります。
FAQ
Q1. 定量発注方式はどんな場面で向いていますか?
A1. 需要が安定していて、発注処理コストが無視できない場合に向きます。部品や定期的に使う消耗品の管理でよく使われます。
A1. 需要が安定していて、発注処理コストが無視できない場合に向きます。部品や定期的に使う消耗品の管理でよく使われます。
Q2. 需要が変動する場合はどうするべきですか?
A2. 需要が不安定なら安全在庫を増やしたり、需要予測に応じて定期発注方式や発注量を変えるハイブリッド方式を検討します。
A2. 需要が不安定なら安全在庫を増やしたり、需要予測に応じて定期発注方式や発注量を変えるハイブリッド方式を検討します。
Q3. EOQを実務でそのまま使ってよいですか?
A3. EOQは目安として有効ですが、現実の最適解は取り扱いロット、発注単位、発注先の最小ロット、保管スペースなど制約を考慮して調整する必要があります。
A3. EOQは目安として有効ですが、現実の最適解は取り扱いロット、発注単位、発注先の最小ロット、保管スペースなど制約を考慮して調整する必要があります。
関連キーワード: EOQ(経済的発注量)、定量発注、定期発注、再発注点、発注費用、在庫維持費用、リードタイム、安全在庫

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