ITパスポート 2023年 問99
問題文
バイオメトリクス認証の例として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:機械では判読が困難な文字列の画像をモニターに表示して人に判読させ、その文字列を入力させることによって認証する。
イ:タッチパネルに表示されたソフトウェアキーボードから入力されたパスワード文字列によって認証する。
ウ:タッチペンなどを用いて署名する際の筆跡や筆圧など、動作の特徴を読み取ることによって認証する。(正解)
エ:秘密の質問として、本人しか知り得ない質問に答えさせることによって認証する。
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バイオメトリクス認証の例 +【ITパスポート 解説】
正解の理由
バイオメトリクス認証とは、バイオメトリクス(biometrics:生体または行動の特徴)を使って本人確認を行う方法です。たとえば指紋、虹彩(こうさい:目の色模様)、顔、声、歩き方などが該当します。選択肢の中では、署名の「筆跡や筆圧など、動作の特徴を読み取る」ことを利用する ウ が該当します。これは「人が行う動きそのもの」(行動的生体特徴)を認証に使うため、バイオメトリクス認証の典型例です。
解法ステップ
- 「バイオメトリクス(生体/行動の特徴)」の意味を確認する。
- 身体的特徴(physiological:例 指紋、顔、虹彩)
- 行動的特徴(behavioral:例 筆跡の動き、タイピングの癖)
- 各選択肢を「何で認証するか」の観点で分類する。
- 知識(something you know:例 パスワード、秘密の質問)
- 所持(something you have:例 セキュリティトークン、ワンタイムパスワード生成器)
- 生体/行動(something you are / do:バイオメトリクス)
- 「行動の特徴」を使っている選択肢を選ぶ。該当するのが ウ であるため正解と判断する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 機械では判読が困難な文字列(CAPTCHA:人間か機械かを判定する手法)を表示して人に判読させる方法。
- 理由:これは「人間であるかを確かめる」ための識別(ボット対策)であり、個人の身体や行動的特徴による本人認証ではありません。知識や生体情報を使う認証ではないため誤りです。
- イ: タッチパネルのソフトウェアキーボードから入力されたパスワードによる認証。
- 理由:入力されたパスワードは「知識」(something you know)にあたります。たとえ入力手段がタッチパネルでも、使われている情報はバイオメトリクスではありません(ただし、タイピングやタップの癖(キー入力のタイミングなど)を測定する場合は行動的生体認証になり得ますが、この選択肢は単にパスワード入力を示しています)。
- ウ: タッチペンでの署名時の筆跡や筆圧など動作の特徴で認証。
- 理由:筆跡の「形」だけでなく、書く時の速度・筆圧・筆順などの「動きの特徴」は行動的生体認証に該当します。したがってバイオメトリクス認証の例として適切です。
- エ: 秘密の質問に答えさせることによる認証。
- 理由:これは「本人だけが知っているはずの情報」を使う知識ベースの認証です。生体情報は使わないため誤りです。
よくある誤解
- 「署名は見た目(画像)だから生体認証ではない」と考える誤解
- 静的な署名の画像(形だけ)を比較するだけだと本人確認の精度は低く、純粋な生体認証とは区別されることがあります。しかし問題文のように「筆圧や動作の特徴」を用いる場合は行動的生体認証に当たります。ポイントは「動き(時間的特徴)を使うかどうか」です。
- 「タッチ操作=生体認証」と考える誤解
- 端末がタッチか否かは関係ありません。重要なのは何を手がかりに本人確認するかです。タッチ入力であっても、入力された文字そのものは『知識』です。タッチ時の押下時間や圧力などを測る場合のみ生体的な情報になります。
- 「CAPTCHAは本人確認の一種で生体認証に入る」と考える誤解
- CAPTCHAは「人間かプログラムか」を判定するテストで、個人の身体的・行動的特徴を用いるものではないため、生体認証には含みません。
補足コラム
- 生体認証の分類
- 生理的(physiological):指紋、虹彩、顔、静脈パターンなど。身体そのものの特徴を使います。
- 行動的(behavioral):筆跡(署名の動き)、声の話し方、タイピングの癖、歩き方(ゲイト)など。動きや習慣を測定します。
- 精度の指標(用語)
- FAR(False Acceptance Rate:誤受入率)=他人を誤って本人と認める割合
- FRR(False Rejection Rate:誤拒否率)=本人を誤って拒否する割合
- 実運用ではこれらのバランス(トレードオフ)が重要です。
- プライバシーと安全性の注意点
- 生体データは一度流出すると変更できない(指紋や顔は変えにくい)ため、取り扱いと保護が重要です。多要素認証(パスワード+生体など)で補うのが一般的です。
FAQ
Q1: 「筆跡」と「筆跡の動き」はどう違いますか?
A1: 筆跡は紙に残る形(静的情報)です。筆跡の動きは書くときの速度や筆圧、順序などの時間的な情報(動的情報)で、後者が行動的生体認証になります。
A1: 筆跡は紙に残る形(静的情報)です。筆跡の動きは書くときの速度や筆圧、順序などの時間的な情報(動的情報)で、後者が行動的生体認証になります。
Q2: スマホの顔認証や指紋認証もバイオメトリクスですか?
A2: はい。顔や指紋は生理的特徴を使うバイオメトリクス認証の代表例です。
A2: はい。顔や指紋は生理的特徴を使うバイオメトリクス認証の代表例です。
Q3: パスワードの入力速度で本人確認できると聞きました。本当ですか?
A3: 可能です。キー入力のタイミングなどの「タイピング動作」は行動的生体認証(キー入力ダイナミクス)になります。ただし、選択肢に単に「パスワードの文字列を入力する」とある場合は知識認証と判断します。
A3: 可能です。キー入力のタイミングなどの「タイピング動作」は行動的生体認証(キー入力ダイナミクス)になります。ただし、選択肢に単に「パスワードの文字列を入力する」とある場合は知識認証と判断します。
Q4: 生体認証は完全に安全ですか?
A4: 完全ではありません。精度の問題(FAR/FRR)や、なりすまし(指紋のコピー、写真を使った顔認証回避など)の危険があります。多要素認証で補強するのが望ましいです。
A4: 完全ではありません。精度の問題(FAR/FRR)や、なりすまし(指紋のコピー、写真を使った顔認証回避など)の危険があります。多要素認証で補強するのが望ましいです。
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