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ITパスポート 2024年 09


問題文

企業の戦略立案やマーケティングなどで使用されるフェルミ推定に関する記述として、最も適切なものはどれか。

選択肢

正確に算出することが極めて難しい数量に対して、把握している情報と論理的な思考プロセスによって概数を求める手法である。(正解)
特定の集団と活動を共にしたり、人々の動きを観察したりすることによって、慣習や嗜好、地域や組織を取り巻く文化を類推する手法である。
入力データと出力データから、その因果関係を統計的に推定する手法である。
有識者のグループに繰り返し同一のアンケート調査とその結果のフィードバックを行うことによって、ある分野の将来予測に関する総意を得る手法である。

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企業の戦略立案やマーケティングなどで使用されるフェルミ推定に関する記述【ITパスポート 解説】

正解の理由

選択肢の中で最も適切なのは です。
フェルミ推定(Fermi estimation:厳密なデータがないときに概算を出す手法)は、正確な値を直接測れない場合に、既知の情報と論理的な分解(問題をいくつかの要素に分ける)を使って概数(だいたいの値)を求める方法です。
この説明は、選択肢の「把握している情報と論理的な思考プロセスによって概数を求める手法である」という点と一致します。フェルミ推定は「桁(オーダー)での見当を付ける」ことを重視します。発案者の一人である物理学者エンリコ・フェルミ(Enrico Fermi)の名前に由来します。

解法ステップ

  1. 問題文で求められている概念を確認する(ここでは「フェルミ推定」)。
  2. 各選択肢を用語定義と照らし合わせる。フェルミ推定が「概算」「分解と論理的推論」による手法であることを思い出す。
  3. 他の選択肢と比較して、フェルミ推定の特徴(数値の分解、推定のための仮定の設定、オーダー感覚)に合致するものを選ぶ。
  4. 選択肢が具体的な他の手法(エスノグラフィー、回帰・因果推定、デルファイ法)を説明していれば、それらと一致しないことを確認して除外する。
実務でフェルミ推定を行う場合の基本的手順(具体的な見積りの流れ):
  1. 問いを分解する(例:「ピアノ調律師の数」→人口、世帯数、ピアノ保有率、調律頻度、1人当たりの年間対応数)。
  2. 各要素について妥当な仮定(ラウンドした数値)を置く。
  3. 仮定を掛け合わせて概算を出す。
  4. 桁違いの誤りがないか常識チェックを行う。
簡単な例(ピアノ調律師の推定):
  • 都市の人口 = 1,000,000人
  • 世帯人数 ≒ 2.5人 → 世帯数 ≒ 400,000世帯
  • ピアノ保有率 ≒ 1% → ピアノ数 ≒ 4,000台
  • 1台あたり年1回調律 → 年間調律件数 ≒ 4,000回
  • 1人の調律師が年に1,000回対応できる → 調律師数 ≒ 4人
    このように分解して概算を出します。

選択肢別の誤答解説

  • ア(正しい記述)
    フェルミ推定の本質を正しく説明しています。重点は「把握している情報」と「論理的な思考プロセス」による概数算出です。
  • イ(誤り)
    これはエスノグラフィー(ethnography:人々の行動や文化を観察・参加観察で理解する手法)の説明です。フェルミ推定は観察を通じた文化理解ではなく、数値の概算手法です。
  • ウ(誤り)
    これは因果推定や回帰分析(regression analysis:入力データと出力データの関係を統計的に推定する方法)の説明に当たります。データを基に統計的に関係を求める点でフェルミ推定とは異なります。
  • エ(誤り)
    これはデルファイ法(Delphi method:専門家グループに繰り返しアンケートを行い意見の収束を図る予測手法)の説明です。フェルミ推定は個人や少人数でも行える数値分解の方法で、 Delphiとは目的と手法が違います。

よくある誤解

  1. フェルミ推定は「適当な当てずっぽう」だと思う
    • 実際は仮定を明示し、論理的に分解して計算します。仮定が妥当かどうかを説明できることが重要です。
  2. 結果は必ず正確でなければならない
    • フェルミ推定は「概数(だいたいの桁)を得る」ことが目的です。精密な測定が必要な場合には向きません。
  3. 仮定を多くすれば良いと思う
    • 要素を細かくしすぎると仮定の不確かさが積み重なり誤差が増えます。重要な要素に絞って単純にする方が実践的です。

補足コラム

  • なぜビジネスで使うか?
    データ取得に時間やコストがかかる場面で、意思決定の初期段階においてざっくりした見積りが欲しいときに役立ちます。マーケティング、製品需要のラフ見積り、リソース配分の仮説立てなどで多用されます。
  • 精度を上げるコツ
    信頼できる参考値(人口データ、業界平均など)を使う。仮定を数値でなくレンジ(例:1%〜3%)で表し、上限・下限で計算して幅を示すと説得力が増します。
  • 面接やプレゼンでの使い方
    仮定を明確に示し、どういう情報に基づくかを伝えます。「仮に〜だとすると、概ね〜になる」と論理の流れを簡潔に示すことが重要です。

FAQ

Q. フェルミ推定と「勘」はどう違いますか?
A. 勘は根拠なしの直感です。フェルミ推定は仮定と分解という論理的根拠に基づく概算です。
Q. どれくらいの精度が期待できますか?
A. ケースによりますが、同じ仮定を共有すれば概ね桁(10倍単位)の精度で一致することが多いです。重要なのは方向性と桁感覚です。
Q. 練習方法は?
A. 身近な量を題材に繰り返すことです。例えば「自分の街のカフェ数」「通勤電車の1両あたりの座席数」などを分解して見積ると慣れます。

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