ITパスポート 2024年 問41
問題文
あるプロジェクトの作業間の関係と所要時間がアローダイアグラムで示されている。このアローダイアグラムのBからEの四つの結合点のうち、工程全体の完了時間に影響を与えることなく、その結合点から始まる全ての作業の開始を最も遅らせることができるものはどれか。ここで、各結合点から始まる作業はその結合点に至る作業が全て完了するまで開始できず、作業から次の作業への段取り時間は考えないものとする。

選択肢
ア:B
イ:C(正解)
ウ:D
エ:E
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アローダイアグラムで最も遅らせられる結合点【ITパスポート 解説】
正解の理由
与えられた図では、各矢印(作業)の所要時間が示されています。丸で囲まれた点は結合点(イベント:作業の「区切り」や「始点/終点」)です。結合点から始まる全ての作業の開始をどれだけ遅らせられるかは、その結合点の「余裕時間(スラック)」で決まります。各結合点の最早発生時刻(前向き計算)と最遅発生時刻(後ろ向き計算)を求め、その差(最遅 − 最早)が最大になる結合点が最も遅らせられます。
計算の結果、結合点 C は最早時刻 10、最遅時刻 25 で差が 15 になり、他の結合点より大きな余裕(15)があるため、最も遅らせられます。したがって正しい選択肢は イ です。
解法ステップ
以下の手順で計算します。アローダイアグラムでは「矢印が作業(activity)、丸がイベント(node)」であることを確認してください。
-
最早発生時刻(Earliest Event Time:EET)を前方(始点 A → 終点 F)へ計算
- 始点 A = 0
- B = A + 15 = 15
- C = A + 10 = 10
- D = B + 10 = 25
- E = max(B + 25, C + 15, D + 10) = max(15+25, 10+15, 25+10) = max(40,25,35) = 40
- F = max(D + 20, E + 15) = max(25+20, 40+15) = max(45,55) = 55
-
最遅発生時刻(Latest Event Time:LET)を後方(終点 F ← 始点 A)へ計算
- 終点 F = 55(プロジェクト完了時刻と一致)
- E = LET(F) − 15 = 55 − 15 = 40
- D = min(LET(E) − 10, LET(F) − 20) = min(40−10, 55−20) = min(30,35) = 30
- B = min(LET(D) − 10, LET(E) − 25) = min(30−10, 40−25) = min(20,15) = 15
- C = LET(E) − 15 = 40 − 15 = 25
- A = min(LET(B) − 15, LET(C) − 10) = min(15−15, 25−10) = min(0,15) = 0
-
各結合点の余裕(スラック) = LET − EET
- A: 0 − 0 = 0
- B: 15 − 15 = 0
- C: 25 − 10 = 15 ← 最大
- D: 30 − 25 = 5
- E: 40 − 40 = 0
- F: 55 − 55 = 0
-
余裕が最大の結合点が、工程全体の完了時間に影響を与えずに開始を遅らせられる結合点です。ここでは C(余裕 15)なので イ が正しい。
選択肢別の誤答解説
-
ア: B
B の最早時刻・最遅時刻はどちらも 15 で、余裕は 0 です。つまり B からの作業を遅らせると即ちプロジェクト全体の完了時刻に影響します。よって B は遅らせられません。 -
イ: C
C の余裕は 15 あり、ほかより大きいので、C から始まる全作業の開始を最大で 15 遅らせても完了時刻に影響しません。これが正答です。 -
ウ: D
D の余裕は 5 です。わずかに遅らせる余地はありますが、C(15)ほど大きくありません。D を 6 以上遅らせると最終完了時刻が遅れます。 -
エ: E
E は最早=最遅で余裕 0、つまりクリティカル(遅らせると即影響)です。E からの作業は遅らせられません。
よくある誤解
- 最長の「作業時間(辺の長さ)」がある結合点が遅らせられると思い込みがち。実際には「結合点(イベント)の余裕」が判断基準で、長い辺があっても他の経路の合計によって余裕が変わります。
- ノード(結合点)とエッジ(作業)の区別を忘れる。アローダイアグラムでは「時間は矢印につく(作業)」「遅らせる判断は丸(イベント)の時刻差で行う」ことを意識してください。
- 最早時刻は「最大」を、最遅時刻は「最小」を使う点を逆に計算してしまうミス。前方計算は複数入力の最大、後方計算は複数出力の最小です。
補足コラム
- 余裕(スラック、float)には「イベントのスラック」と「作業のスラック」があります。ここで扱ったのはイベント(結合点)のスラックです。
- 典型的なクリティカルパス(最短完了できない最長経路)は EET を辿って最終時刻に一致する経路(ここでは A→B→E→F)です。クリティカルパス上のイベント・作業は余裕 0 です。
- アローダイアグラム(Activity on Arrow:作業が矢印)と、よく使われるアクティビティオンノード(Activity on Node:作業がノード)では表現方法が違います。考え方(最早/最遅の計算)は同じ目的で使えますが、実際の計算ルールは図の形式に合わせてください。
FAQ
Q. 「開始を遅らせる」と「作業時間を遅らせる」は同じですか?
A. 違います。「開始を遅らせる」は作業の開始時刻を遅らせること、「作業時間を遅らせる」はその作業自体の所要時間を増やすことです。ここで求めているのは開始時刻をどれだけ遅らせられるか(余裕)です。
A. 違います。「開始を遅らせる」は作業の開始時刻を遅らせること、「作業時間を遅らせる」はその作業自体の所要時間を増やすことです。ここで求めているのは開始時刻をどれだけ遅らせられるか(余裕)です。
Q. 余裕が 0 の結合点は必ず遅らせられないのですか?
A. はい。余裕 0 はクリティカルで、そこでの遅れはプロジェクト全体の完了時刻に直ちに影響します。
A. はい。余裕 0 はクリティカルで、そこでの遅れはプロジェクト全体の完了時刻に直ちに影響します。
Q. 複数の経路が同じ最長時間ならどうなりますか?
A. その場合、複数のクリティカルパスが存在します。クリティカルパス上のイベント・作業は全て余裕 0 になります。
A. その場合、複数のクリティカルパスが存在します。クリティカルパス上のイベント・作業は全て余裕 0 になります。
関連キーワード: アローダイアグラム、クリティカルパス、フロート(スラック)、前方計算、後方計算、イベント時刻、プロジェクト管理

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