ITサービスマネージャ 2025年 午後1 問01
インシデント管理プロセスの分析と改善に関する次の記述を読んで、設問に答えよ。
J社は、全国で電子機器を製造し、販売する電子機器メーカーである。J社の情報システム部は、販売システム(以下、Kシステムという)の開発と運用を行っている。J社の全国の支店には販売部の販売担当者がおり、販売サービス(以下、Kサービスという)を利用して販売活動を行っている。Kサービスは、Kシステムによって実現されている。
情報システム部には、開発課と運用課がある。開発課は、管理者の開発課長及び数名の開発担当者で構成され、主に機能追加などの開発業務を開発計画に基づいて実施している。運用課には、管理者の運用課長及び運用業務の取りまとめを行うL氏がおり、システムの運用を担当する運用チーム及び利用者からの問合せやインシデントの対応を行うサービスデスクがある。サービスデスクは担当者(以下、オペレーターという)の離職率が高く、経験の浅いオペレーターも多い。また、情報システム部は、インシデント管理、問題管理、変更管理などのサービスマネジメント活動ごとに、対応手順を定めている。サービスマネジメント活動全体はL氏が統括している。
Kサービスについて、情報システム部と販売部とは表1に示すSLAを合意している。

今年になって、Kシステムを更改したこともあり、インシデントの発生が多くなっている。先月は、重大インシデントはなかったが、通常インシデントが200件発生した。インシデントの解決時間は最長で7時間40分も掛かっており、SLAの目標値達成が危ぶまれる状況になっている。そこで、通常インシデントの管理について分析することにした。
〔インシデント管理の概要〕
オペレーターは、利用者から“Kサービス利用中にある事象が発生し、対処の仕方が分からない”との問合せを受け、事象について利用者とコミュニケーションを行った結果、当該事象をインシデントと認識する場合がある。このようにインシデントの発生を認識した場合は、自らが解決担当者となってインシデント管理プロセスを開始する。サービスデスクにおけるインシデント管理プロセスの手順を表2に示す。

オペレーターは、手順を効率的に実施するために、ソフトウェアツールとしてインシデント管理システムを使用し、インシデント管理ファイルに対応した内容を登録している。インシデント管理ファイルには、データ項目として、インシデント番号、活動番号、担当者のID、対応日時(開始日時、終了日時)、対応内容などがあり、インシデントの活動ごとにデータ項目の内容が記録される。オペレーターは、インシデントの発生を認識した場合、活動番号I11で、“担当者のID”に自らの社員番号を登録する。社員番号が登録されると、インシデント管理システムは“開始日時”を記録する。オペレーターは活動ごとに対応した内容を入力していく。インシデント管理システムはオペレーターの入力と連動して活動の対応日時を記録していく。なお、活動番号I41でエスカレーションを行った場合、オペレーターはI41の終了日時にエスカレーションの電子メールの発信日時を登録する。
サービスデスクからエスカレーションされたインシデントについて、開発課又は運用チームで、再度、回避策が存在するかどうかを詳細に調査する。調査した結果で回避策が見つかった場合は、インシデント管理の解決担当者に回避策の内容を提示する。回避策が見つからなかった場合は、インシデントの原因となる問題を調査する必要があり、問題管理プロセスの手順を実施する。エスカレーション先におけるインシデント管理プロセスの手順を表3に示す。

〔問題管理の概要〕
問題管理には、インシデント発生に伴って実施するリアクティブな問題管理の作業だけでなく、ベンダーから公開されるパッチ情報がKシステムのアプリケーションに影響するかどうかに関する調査などのプロアクティブな問題管理の作業がある。開発課の場合、パッチ情報の適用時期などを踏まえ、プロアクティブな問題管理の作業は開発計画に織り込んで実施する。問題管理のうち、リアクティブな問題管理は突発的な作業であり、計画した作業を中断して実施する必要がある。リアクティブな問題管理に関連する問題管理プロセスの手順(抜粋)を、表4に示す。

〔改善活動の実施〕
L氏は、表2、表3及び表4の活動を可視化、分析し、インシデントを解決する活動の全体像を捉えて課題を発見し、改善することにした。
〔インシデント対応の分析〕
まず、先月発生したインシデントの200件を対象として課題となる活動を特定することにした。そこで、インシデントの対応時に記録しているインシデント管理ファイルと問題管理ファイルの対応履歴を使って、分析対象の(ア)インシデント対応の業務フロー図を作成した。作成したインシデント対応の業務フロー図を図1に示す。

なお、作成に当たっては、あるインシデントで実施した活動番号ごとの実施時間の合計が当該インシデントの解決時間となるように工夫した。具体的には、I11の実施時間はI11の開始日時と終了日時の時間差とし、それ以降の活動番号の実施時間は、一つ前に実施した活動番号の終了日時と当該活動番号の終了日時との時間差とした。
L氏は、図1から、対象の200件のうち、解決担当者が問題管理ファイルから回避策を見つけることができずエスカレーションを行ったものはa件で、全てアプリケーションに関する内容であり、開発課にエスカレーションされていることを把握した。また、開発課にエスカレーションされたもののうち、開発課で回避策が見つからなかったインシデントは、b件であることを把握した。
次に、L氏は図1からインシデント対応には次の三つのパスがあることを確認した。
・パス1:表2の活動だけを行う。
・パス2:表2及び表3の活動を行う。
・パス3:表2、表3及び表4の活動を行う。
L氏は、それぞれのパスにおける活動の平均実施時間を考慮し、三つのパスのうち、(イ)優先的に分析すべきパスを一つだけ特定した。
〔改善策の検討〕
L氏は、図1から、エスカレーションされたインシデントの解決に多くの時間が掛かっていることについて課題があると認識し、開発課及び運用課の業務に着目して調査を進めることにした。まず、図1の活動番号P21の調査を行ったところ、P21は新しい問題を解決する活動であるため、時間が掛かることが分かった。そこで、表3及び表4の手順の中で、図1の活動番号P21の次に時間が掛かっている活動番号I71を調査した。L氏は、I71の活動は、サービスデスクからエスカレーションされて開発課が実施する活動となるので、(ウ)インシデント管理ファイルを使って、作業待ちが発生していないかどうかを調査し、その後、開発課にヒアリングすることにした。
また、(エ)図1から、既知の誤りを調査して回避策を探す活動についても課題があると考えて調査を進めた。
サービスデスクの要員は、開発課が使用しているツール(以下、Mツールという)を使って問題管理ファイルの回避策を検索している。Mツールは、開発課が問題管理ファイルへの回避策の登録・検索をする目的で開発したツールで、サービスデスクでも、そのツールを使用している。そこで、L氏は、サービスデスクの要員構成に着目し、Mツール操作方法の習熟度合いに差がないかどうかについて、経験豊富なベテランオペレーターと経験の浅い新人オペレーターとに分けてヒアリングした。ベテランオペレーターはMツールの高度な検索機能を使っていたが、新人オペレーターは検索機能を使いこなせていなかった。ベテランオペレーターは、インシデント解決手順の中での開発課要員とのコミュニケーションを通じて、Mツールの検索機能の使い方を習得していた。そこで、L氏は、オペレーターが使用するツールに関して根本的な対策が必要と考え、cについて、開発課に依頼できないか検討を開始した。さらに、L氏は、図1を確認し、回避策のあるインシデントが多いことに着目した。そこで、問題管理の活動について、開発課にヒアリングを行うことにした。
設問1:
問題文を見る〔改善活動の実施〕について、L氏が行った改善活動の目的を、Kサービスの提供者の立場から20字以内で答えよ。
模範解答
・SLAの目標値を確実に達成するため
・インシデントの解決時間を短縮するため
解説
解答の導き方
-
問われているのは、個々の調査や改善策の目的ではなく、L氏が改善活動全体を行う目的です。また、「Kサービスの提供者の立場から」とあるため、情報システム部が合意したサービス水準に注目します。
-
表1では、通常インシデントの解決時間の目標値が「8時間以内」と定められています。一方、本文には、先月の通常インシデントは200件で、最長の解決時間が「7時間40分」になり、SLAの目標値達成が危ぶまれるとあります。目標時間までの余裕が小さく、今後の対応によっては目標を達成できないおそれがある状況です。
-
L氏は、インシデント対応の活動を可視化して分析し、課題を発見して改善しようとしています。したがって、改善活動の目的は、インシデントの解決時間を短縮し、合意したSLAの目標値を確実に達成することです。
誤りやすいポイント
- 「新人オペレーターの検索機能の習熟」など、本文中の個別の改善課題を、改善活動全体の目的と取り違えないようにします。
- 解決時間の最長値は「7時間40分」であり、8時間を超えたとは書かれていません。「すでに目標未達だから改善する」ではなく、目標値の達成が危ぶまれるため改善すると捉えます。
- 利用者側の目的ではなく、Kサービスの提供者として、合意したSLAを達成する観点で考えます。
FAQ
Q: 解決時間の短縮とSLAの目標値達成は、別々の目的ですか?
A: 解決時間を短縮することは、SLAの目標値を確実に達成するための具体的な方向性です。両者は一連の目的として捉えられます。
A: 解決時間を短縮することは、SLAの目標値を確実に達成するための具体的な方向性です。両者は一連の目的として捉えられます。
Q: 先月は8時間以内に解決できているようですが、なぜ改善が必要なのですか?
A: 最長が「7時間40分」で目標値までの余裕が小さく、発生状況や対応時間が変われば、目標を達成できない可能性があるためです。
A: 最長が「7時間40分」で目標値までの余裕が小さく、発生状況や対応時間が変われば、目標を達成できない可能性があるためです。
Q: ツールの改善やオペレーター教育を目的として答えてもよいですか?
A: それらは個別の改善策や課題です。設問は改善活動全体の目的を尋ねているため、解決時間の短縮とSLAの目標値達成にまとめます。
A: それらは個別の改善策や課題です。設問は改善活動全体の目的を尋ねているため、解決時間の短縮とSLAの目標値達成にまとめます。
関連キーワード: SLA、インシデント管理、解決時間、業務フロー分析、サービスレベル
設問2:〔インシデント対応の分析〕について答えよ。
設問2(1)
問題文を見る下線(ア)では、インシデント管理ファイルと問題管理ファイルを使って、業務フロー図を作成する。両ファイルを結び付けるデータ項目を、10字以内で答えよ。
模範解答
インシデント番号
解説
解答の導き方
問われているのは、インシデント管理ファイルと問題管理ファイルの対応履歴を結び付けるデータ項目です。両方のファイルに記録され、同じインシデントを特定できる項目を探します。
さらに、表4のP11では、問題を「エスカレーションされたインシデントとひも付けて問題管理ファイルに記録する」とされています。つまり、問題管理ファイルに記録された問題が、どのインシデントに関係するかを両ファイル間で特定する必要があります。そのため、共通して記録される「インシデント番号」が、業務フロー図を作成するときに両ファイルを結び付ける項目です。
誤りやすいポイント
- 問題番号は問題を識別する番号であり、インシデント管理ファイルとの共通項目ではありません。
- 活動番号は実施した活動を示す番号です。同じインシデントに関する両ファイルの記録を結び付ける役割とは異なります。
- 「ひも付ける」という記述だけで判断せず、両ファイルに共通して記録されるデータ項目を確認します。
FAQ
Q: なぜ問題番号ではないのですか?
A: 問題番号は問題を識別するための項目だからです。インシデント管理ファイルと問題管理ファイルの記録を対応付けるには、両方に記録されているインシデント番号を使います。
A: 問題番号は問題を識別するための項目だからです。インシデント管理ファイルと問題管理ファイルの記録を対応付けるには、両方に記録されているインシデント番号を使います。
Q: 活動番号も両方のファイルにありますが、使えませんか?
A: 活動番号は各活動を区別するものです。異なる管理ファイルの記録が、どのインシデントに関係するかを示す項目としては、インシデント番号が適切です。
A: 活動番号は各活動を区別するものです。異なる管理ファイルの記録が、どのインシデントに関係するかを示す項目としては、インシデント番号が適切です。
関連キーワード: インシデント管理、問題管理、データ項目、識別番号
設問2(2)
問題文を見る本文中のa、bに入れる適切な数値を整数で答えよ。
模範解答
a:60
b:40
解説
解答の導き方
まず、図1に示された割合は、先月のインシデント200件全体に対する割合です。したがって、各活動の割合を200件に掛ければ、その活動を行った件数が分かります。
aは、サービスデスクの解決担当者が回避策を見つけられず、エスカレーションしたインシデントの件数です。表2では、既知の誤りから回避策が見つからなかった場合にエスカレーションするとあります。図1では、その経路にある活動I41の割合が30%なので、件数は 件です。本文には、これらは全てアプリケーションに関する内容で、開発課にエスカレーションされたとあります。
次に、bは、開発課で回避策が見つからなかったインシデントの件数です。表3では、エスカレーション先が再調査し、回避策が見つからなければ問題管理プロセスを実施するとあります。図1では、その場合に活動P11へ進み、割合は20%です。よって、件数は 件です。
図1の内訳は、開発課で回避策が見つかった場合のI72が10%、見つからなかった場合のP11が20%で、合計30%です。これは、サービスデスクからエスカレーションされた30%のインシデントが、開発課での再調査によって二つに分かれることとも一致します。
誤りやすいポイント
- P11の20%は、エスカレーションされたインシデントの中での割合ではなく、200件全体に対する割合です。したがって、60件の20%ではなく、200件の20%を計算します。
- aは、開発課での再調査結果ではなく、サービスデスクがエスカレーションした件数です。図1ではI41の割合を使います。
- bは、開発課で回避策が見つからなかった件数です。問題管理の活動に進む経路にあるP11の割合を使います。
FAQ
Q: I71の割合30%を使ってbを求めないのはなぜですか?
A: I71は、サービスデスクからエスカレーションされたインシデントの再調査を行う活動です。回避策が見つかった場合と見つからなかった場合の両方を含むため、開発課で回避策が見つからなかった件数には、P11の割合を使います。
A: I71は、サービスデスクからエスカレーションされたインシデントの再調査を行う活動です。回避策が見つかった場合と見つからなかった場合の両方を含むため、開発課で回避策が見つからなかった件数には、P11の割合を使います。
Q: P21の割合ではなく、P11の割合を使うのはなぜですか?
A: 表4では、P11で問題を記録し、その後P21で回避策を策定します。開発課で回避策が見つからなかったことを表すのは、問題管理に進む時点のP11です。
A: 表4では、P11で問題を記録し、その後P21で回避策を策定します。開発課で回避策が見つからなかったことを表すのは、問題管理に進む時点のP11です。
Q: I72とP11の割合を足すと何が分かりますか?
A: 開発課で再調査したインシデントのうち、回避策が見つかったものと見つからなかったものの合計が分かります。図1では10%と20%を合わせた30%となり、I71の割合と一致します。
A: 開発課で再調査したインシデントのうち、回避策が見つかったものと見つからなかったものの合計が分かります。図1では10%と20%を合わせた30%となり、I71の割合と一致します。
関連キーワード: インシデント管理、エスカレーション、回避策、既知の誤り、問題管理
設問2(3)
問題文を見る下線(イ)について、L氏が優先的に分析すべきと考えた理由を、当該パスの番号を含めて、40字以内で答えよ。
模範解答
パス3は6時間45分で通常インシデントの解決目標時間に近づいているから
解説
解答の導き方
-
まず、SLAで通常インシデントの解決目標時間が「8時間以内」と定められていることを確認します。設問では、三つのパスのうち、平均実施時間を基に優先して分析するパスを選びます。
-
図1では、各活動の平均実施時間が示されています。インシデントの解決時間は、実施した活動の時間を順に合計して求めます。活動の横にある割合は、その活動を通ったインシデントの割合を表しており、時間の計算に掛ける値ではありません。
-
パス1は、I11、I21、I31、I51、I61、I62を実施する経路です。平均実施時間の合計は、5分+5分+15分+100分+15分+15分=155分で、2時間35分です。
-
パス2は、パス1と異なり、I41、I71、I72を経てからI52に進む経路です。平均実施時間は、5分+5分+15分+10分+80分+10分+100分+15分+15分=255分で、4時間15分です。
-
パス3は、I71で回避策が見つからず、問題管理のP11、P21、P22を実施してからI52に進む経路です。平均実施時間は、5分+5分+15分+10分+80分+5分+140分+15分+100分+15分+15分=405分となり、6時間45分です。
-
パス3の平均解決時間は、通常インシデントの目標である8時間まで1時間15分しか余裕がありません。ほかのパスよりも目標時間に近いため、優先して分析すべきなのはパス3です。
誤りやすいポイント
- 図1に示された割合を、活動の平均実施時間に掛けてしまう誤りです。割合はインシデントの発生割合であり、パスの所要時間を求めるための係数ではありません。
- パス3の時間にI72を加える誤りです。I71で回避策が見つからなかった場合は、問題管理の活動を経てP22を実施するため、I72は通りません。
- パス3の平均実施時間が8時間を超えていると判断する誤りです。405分は6時間45分であり、8時間以内です。ただし、目標までの余裕が小さいことが、優先して分析する理由です。
- 先月の最長解決時間である7時間40分と、図1から求める各パスの平均実施時間を混同しないようにします。
FAQ
Q: パス3の平均実施時間は、なぜ各活動の時間を足すのですか?
A: 図1は、各活動の実施時間を示し、あるインシデントの活動時間の合計がそのインシデントの解決時間になるように作成されています。そのため、パスに含まれる活動の時間を順に合計します。
A: 図1は、各活動の実施時間を示し、あるインシデントの活動時間の合計がそのインシデントの解決時間になるように作成されています。そのため、パスに含まれる活動の時間を順に合計します。
Q: パス3は8時間以内なのに、なぜ優先して分析するのですか?
A: 目標時間以内であっても、平均で6時間45分を要し、8時間までの余裕が1時間15分しかありません。パス1やパス2より目標時間に近く、目標達成が危ぶまれるリスクが高いためです。
A: 目標時間以内であっても、平均で6時間45分を要し、8時間までの余裕が1時間15分しかありません。パス1やパス2より目標時間に近く、目標達成が危ぶまれるリスクが高いためです。
Q: パス3に含まれる問題管理の活動はどれですか?
A: I71で回避策が見つからなかった後に実施するP11、P21、P22です。特にP21は平均140分で、パス3の時間を大きく占めています。
A: I71で回避策が見つからなかった後に実施するP11、P21、P22です。特にP21は平均140分で、パス3の時間を大きく占めています。
関連キーワード: インシデント管理、SLA、解決時間、業務フロー、エスカレーション
設問3:〔改善策の検討〕について答えよ。
設問3(1)
問題文を見る下線(ウ)について、インシデント管理ファイルを使って調査する内容を、30字以内で具体的に答えよ。
模範解答
I41の終了日時とI71の開始日時の時間差の状況
解説
解答の導き方
-
下線(ウ)では、サービスデスクから開発課へエスカレーションされた後、I71の作業が始まるまでに待ち時間が発生していないかを調べます。調べるには、エスカレーションした時点と、開発課が作業を始めた時点を特定する必要があります。
-
本文には、I41の終了日時にエスカレーションの電子メールの発信日時を登録するとあります。したがって、I41の終了日時は、サービスデスクがエスカレーションを行った時点を示します。
-
一方、表3の注記には、開発課又は運用チームの担当者が担当者のIDを登録すると、インシデント管理システムが開始日時を記録するとあります。I71の開始日時を見れば、エスカレーション先が調査を始めた時点が分かります。
-
この二つの日時の差が、エスカレーション後、I71の作業開始までに経過した時間です。その時間差を調べれば、開発課で作業待ちが発生していたか、どの程度待っていたかを把握できます。よって調査する内容は、I41の終了日時とI71の開始日時の時間差の状況です。
誤りやすいポイント
- I71の開始日時から終了日時までの時間を調べると、開発課が調査に要した時間になり、作業開始前の待ち時間は分かりません。
- I41の開始日時を基準にすると、サービスデスクがエスカレーションの準備などに要した時間まで含まれてしまいます。エスカレーション後の待ち時間を調べるため、基準にするのはI41の終了日時です。
- P21は問題を調査する活動です。ここで問われているのは、I71の作業開始前に待ち時間があるかどうかです。
FAQ
Q: I41の終了日時とI71の終了日時を比べればよいですか?
A: それではI71の調査時間も含まれます。作業開始までの待ち時間を調べるため、I71の開始日時と比べます。
A: それではI71の調査時間も含まれます。作業開始までの待ち時間を調べるため、I71の開始日時と比べます。
Q: I41の終了日時は、なぜエスカレーションした時点として扱えるのですか?
A: 本文に、I41の終了日時としてエスカレーションの電子メールの発信日時を登録するとあるためです。
A: 本文に、I41の終了日時としてエスカレーションの電子メールの発信日時を登録するとあるためです。
Q: 時間差が大きい場合、何が分かりますか?
A: エスカレーション後、開発課がI71を開始するまでに時間がかかっている可能性が分かります。作業の開始前に待ちが発生していないかを確認する手掛かりになります。
A: エスカレーション後、開発課がI71を開始するまでに時間がかかっている可能性が分かります。作業の開始前に待ちが発生していないかを確認する手掛かりになります。
関連キーワード: インシデント管理、エスカレーション、タイムスタンプ、待ち時間分析、業務フロー
設問3(2)
問題文を見る下線(エ)について、サービスデスクと開発課の活動結果の差異に着目して、課題の内容を、50字以内で具体的に答えよ。
模範解答
サービスデスクで回避策を発見できなかった60件のうち、20件を開発課が発見していること
解説
解答の導き方
-
図1のI31は、サービスデスクの解決担当者が既知の誤りを調査して回避策を探す活動です。I31で回避策が見つからなかったインシデントは全体の30%なので、200件のうち60件です。これらはI41でエスカレーションされています。
-
エスカレーション先の開発課では、I71で改めて既知の誤りを調査します。図1では、I71の後に回避策が見つかってI72に進むインシデントが全体の10%です。200件の10%は20件です。
-
したがって、サービスデスクで回避策を見つけられなかった60件の中に、開発課では回避策を見つけられた20件があります。サービスデスクでは発見できなかった回避策を開発課が発見している点が、活動結果の差異から分かる課題です。
誤りやすいポイント
- I72の10%を、I71で回避策が見つかったインシデント全体に対する割合と取り違えないようにします。図1の割合は200件全体に対する割合です。
- サービスデスクが回避策を見つけられなかった件数は、I31の30%に当たる60件です。I71で見つかった20件と混同しないようにします。
- P21に進んだインシデントは、I71でも回避策が見つからず、新たな問題として調査するものです。今回問われているのは、I71で回避策が見つかりI72に進む活動結果との差異です。
FAQ
Q: なぜサービスデスクで見つからなかった回避策を、開発課が見つけられるのですか。
A: 図1では、サービスデスクのI31で回避策が見つからなかった後、開発課のI71で改めて調査する流れがあります。調査する担当者や検索方法の違いによって、結果に差が生じることが考えられます。
A: 図1では、サービスデスクのI31で回避策が見つからなかった後、開発課のI71で改めて調査する流れがあります。調査する担当者や検索方法の違いによって、結果に差が生じることが考えられます。
Q: 開発課で回避策が見つからなかった場合は、どうなりますか。
A: 表3では、新たな問題として問題管理プロセスの手順を実施します。図1では、この場合にP11、P21、P22へ進みます。
A: 表3では、新たな問題として問題管理プロセスの手順を実施します。図1では、この場合にP11、P21、P22へ進みます。
Q: この差異から、どのような改善の方向性が考えられますか。
A: サービスデスクが回避策を見つけられなかった要因を調べ、既知の誤りの検索方法や、回避策の記録・検索の仕組みを改善する方向性が考えられます。
A: サービスデスクが回避策を見つけられなかった要因を調べ、既知の誤りの検索方法や、回避策の記録・検索の仕組みを改善する方向性が考えられます。
関連キーワード: インシデント管理、既知の誤り、回避策、エスカレーション、業務フロー分析
設問3(3)
問題文を見る本文中のcに入れる適切な内容を、30字以内で答えよ。
模範解答
・オペレーターが回避策を効果的に検索できるツールの開発
・開発課要員によるオペレーターへのMツール使用法の教育
解説
解答の導き方
cには、オペレーターが回避策を見つけやすくするために、開発課へ何を依頼するかが入ります。手掛かりは、回避策の検索方法に経験による差があることです。
まず、サービスデスクでは、問題管理ファイルに記録された回避策をMツールで検索しています。つまり、回避策を調べるための情報やツールは既にあります。
一方、ヒアリングでは「ベテランオペレーターはMツールの高度な検索機能を使っていたが、新人オペレーターは検索機能を使いこなせていなかった」と分かっています。また、ベテランオペレーターは、開発課要員とのコミュニケーションを通じて検索方法を習得していました。このため、検索の成否が、オペレーターの経験や個人ごとの習熟度に左右されていると考えられます。
したがって、対策は、オペレーターが回避策を検索しやすいようにツール自体を改善すること、または開発課要員が検索機能の使い方を教えて、オペレーター間の習熟度の差を小さくすることです。どちらも、回避策を効果的に検索できる状態を整える依頼なので、cに入る内容として適切です。
誤りやすいポイント
- 回避策の登録数を増やすことだけを答えると、問題の中心を外します。本文で示されている課題は、回避策の有無ではなく、検索機能を使いこなせるかどうかの差です。
- 開発課にインシデントの調査や解決を依頼する内容にしないようにします。ここで問われているのは、オペレーターが使うツールに関する根本的な対策です。
- オペレーター個人の努力や経験に任せるのではなく、ツールの改善や教育によって、経験の浅いオペレーターも検索できるようにする観点が必要です。
FAQ
Q: 開発課に依頼する内容として、ツールの改善と教育のどちらを答えてもよいですか?
A: どちらも、オペレーターが回避策を効果的に検索できるようにする対策です。いずれかを具体的に示せば、模範解答の趣旨に合います。
A: どちらも、オペレーターが回避策を効果的に検索できるようにする対策です。いずれかを具体的に示せば、模範解答の趣旨に合います。
Q: なぜ回避策の登録を増やすことが主な対策ではないのですか?
A: 本文では、ベテランオペレーターは高度な検索機能を使える一方、新人オペレーターは使いこなせていないとされています。そのため、まずは検索のしやすさや使い方の差を解消することが課題です。
A: 本文では、ベテランオペレーターは高度な検索機能を使える一方、新人オペレーターは使いこなせていないとされています。そのため、まずは検索のしやすさや使い方の差を解消することが課題です。
Q: なぜ開発課に依頼するのでしょうか?
A: Mツールは開発課が問題管理ファイルへの回避策の登録・検索を目的に開発したツールであり、開発課はツールの改善や検索方法の教育を担える立場だからです。
A: Mツールは開発課が問題管理ファイルへの回避策の登録・検索を目的に開発したツールであり、開発課はツールの改善や検索方法の教育を担える立場だからです。
関連キーワード: インシデント管理、既知の誤り、回避策、検索機能、ユーザー教育



