ITストラテジスト 2018年 午前2 問06
問題文
多角化戦略のうち、M&Aによる垂直統合に該当するものはどれか。
選択肢
ア:銀行による保険会社の買収・合併
イ:自動車メーカーによる軽自動車メーカの買収・合併
ウ:製鉄メーカによる鉄鉱石採掘会社の買収・合併(正解)
エ:電機メーカによる不動産会社の買収・合併
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垂直統合のM&A【午前2解説】
正解の理由
選択肢の中では、製鉄メーカが鉄鉱石採掘会社を買収するケース、すなわち ウ が垂直統合に当たります。垂直統合とは、事業者が自社の供給(上流)または販売(下流)の過程にある企業を取り込むことで、製造から原料調達や流通までのチェーンを自社で統合することを指します。製鉄メーカ(製造側)が原料である鉄鉱石の供給源を直接抑えることは「後方(上流)統合」に該当し、まさに垂直統合の典型例です。
解法ステップ
- 企業A(買収側)と企業B(被買収側)が「同じ業種か」「供給チェーンの上下か」を判定する。
- 供給チェーン上で位置が異なり、原材料や流通など前後関係にあれば垂直統合(後方または前方)。
- 同一の業種で同じ工程にある場合は水平統合(競合の吸収)。
- 業種・業界がまったく異なる場合は異業種(コングロマリット)型の多角化。
この手順で各選択肢を当てはめれば、ウが該当することが明確になります。
選択肢別の誤答解説
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ア: 銀行による保険会社の買収・合併
- 銀行と保険はともに金融サービス分野で関連性は高いが、原材料→生産→販売の上下関係ではなく「関連多角化(関連事業の拡大)」または広義の水平的・関連的統合に当たる。したがって垂直統合ではない。
-
イ: 自動車メーカーによる軽自動車メーカーの買収・合併
- 両者は同じ製造業で同じ工程レベルにあるため、競合や製品ライン拡充を目的とする水平統合に近い。垂直(上下)関係ではない。
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ウ: 製鉄メーカによる鉄鉱石採掘会社の買収・合併
- 製鉄(製造)は鉄鉱石(原料)の上流に依存する。製造側が原料供給側を取り込むため、後方(上流)統合の典型であり垂直統合に該当する。
-
エ: 電機メーカーによる不動産会社の買収・合併
- 業種が明確に異なり、供給チェーンの上下関係もないため、無関連多角化(コングロマリット)であり垂直統合ではない。
よくある誤解
- 「業種が異なれば垂直統合だ」と誤認する
- 業種が違っても上下の供給関係がなければ垂直統合ではありません。上下関係の有無がポイントです。
- 「金融同士の統合は垂直統合だ」と考える
- 銀行と保険の統合は関連業種の拡大であり、垂直(原料⇄製品の前後関係)とは区別されます。
補足コラム
垂直統合には「後方統合(原料・部品側の取り込み)」と「前方統合(販売・流通側の取り込み)」があります。メリットは調達安定化、コスト低減、品質管理強化、情報共有の向上など。デメリットは固定費増加、柔軟性低下、規制や独占禁止法の問題などです。製鉄メーカが鉄鉱石採掘会社を取得する例は、原料価格変動対策や安定供給確保の観点から戦略的に用いられます。
FAQ
Q1: ジョイントベンチャー(JV)は垂直統合に含まれますか?
A1: JVは完全買収ではありませんが、供給チェーンの上下関係を強化する目的で設立されれば「垂直的提携」の一形態と見なせます。垂直統合とは厳密には一体化の度合い(所有や統制)による分類です。
A1: JVは完全買収ではありませんが、供給チェーンの上下関係を強化する目的で設立されれば「垂直的提携」の一形態と見なせます。垂直統合とは厳密には一体化の度合い(所有や統制)による分類です。
Q2: 提携や長期契約で原料を抑える場合は垂直統合ですか?
A2: 所有や完全統合を伴わない場合は「垂直統合」とは呼ばれず、垂直的な取引関係・提携と表現します。M&Aは所有を通じた垂直統合に該当します。
A2: 所有や完全統合を伴わない場合は「垂直統合」とは呼ばれず、垂直的な取引関係・提携と表現します。M&Aは所有を通じた垂直統合に該当します。
Q3: 買収側が販売チャネルを買うケースは?
A3: それは前方統合(下流統合)であり、垂直統合に当たります。
A3: それは前方統合(下流統合)であり、垂直統合に当たります。
関連キーワード: 垂直統合、後方統合、前方統合、水平統合、多角化、供給チェーン、鉄鉱石、原料調達、企業買収、戦略的統合

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