ネットワークスペシャリスト 2011年 午後1 問01
宿泊施設へのLAN導入に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。
Z社は、通信機器の販売代理店であり、取扱い製品の幅広さを生かしたネットワークの設計・構築には定評がある。このたび、地方都市にあるXホテルからZ社に対し、次の要件でLAN導入について引合いがあった。
・宿泊客にビデオオンデマンド(以下、VODという)サービス及びインターネットアクセスを提供するために、客室にLANを導入する。
・設備室とインターネット接続回線を引き、ルータ、レイヤ2スイッチ(以下、L2SWという)及びVOD配信サーバを設置する。
・インターネット経由で、VOD配信サーバにコンテンツを蓄積する。
・VOD配信サーバとVODセットトップボックス(以下、STBという)間の通信には、十分な通信帯域を確保するとともに、通信遅延のゆらぎを抑える。
・配管の制約上、客室内に新たに配線するのは困難である。また、営業の都合上、客室内及び設備室内以外の配線工事も極力回避する。
Z社のO主任は、各階の廊下にアクセスポイントを配置する無線LAN構成では、Xホテルの要件を満たせないと考え、現在の構内配線を伝送路として使うLAN構成を提案することにした。Xホテルの現在の構内配線は、図1のとおりである。

〔採用する製品の選定〕
Z社では、電力線を伝送路に使う製品(以下、製品Pという)、テレビアンテナ用同軸ケーブルを伝送路に使う製品(以下、製品Cという)及び電話配線を伝送路に使う製品(以下、製品Vという)を取り扱っている。本案件には、通信の機能及び性能の面で、どの製品も採用可能である。これらの製品の共通点は、次のとおりである。
・親機は、親機と子機で構成される。1台の親機には、複数台の子機を収容できる。
・親機を伝送路の集線箇所に接続し、子機は伝送路の末端に接続する。
・親機と子機間の通信は、搬送波の変調及び復調によってデータ伝送を行う、アバンド伝送方式と呼ばれる技術が使用されている。
O主任からLAN設計を指示されたU君は、製品の選定に着手した。
最初に、通信品質について検討した。製品Pと製品Cは同じ通信技術を用いているが、①伝送路として使う構内配線の通信媒体の優位性という面で、製品Cの方が優れている。製品Cと製品Vは、優劣がつけ難い。
次に、各製品の親機とL2SW間の配線について検討した。各製品の親機のLANポートは、1000BASE-T規格である。製品P及び製品Cでは、親機の接続箇所と設備室内に新たな配線工事が必要になる。その配線長は、1000BASE-T規格の最大セグメント長であるam以下であるが、配線経路の電磁環境を考慮すると波長850nmの光信号で通信を行う1000BASE-イ規格で中継することが望ましい。そのためには、UTPではなくマルチモード光ファイバでの配線と、メディアコンバータが必要になる。製品Vでは電話交換機と主配線盤周りの電話配線を中継する形で親機を接続するので、設備室内でのUTPの引回しで済む。また、②製品Vでは、親機が故障したときに通信に影響しないように対応する機能を有することを確認している。
最後に、客室内の子機の設置、及びSTBとテレビ受像機(以下、TVという)の接続作業について検討したが、製品による大きな差はない。これらの検討結果から、U君は製品Vを選定し、LAN設計に取り掛かった。
〔LAN設計及び端末の設計〕
製品Vの親機(以下、V親機という)1台には、製品Vの子機(以下、V子機という)を25台収容できる。V親機及びV子機には、ポートA及びポートBの二つのLANポートがある。製品Vの工場出荷時の設定では、ポートAとポートBに別々のVLANが割り当てられ、V規模とV子機間の通信ではポートBの通信が優先されている。また、同じV規模に収容されている異なるV子機によっては、ポートA間及びポートB間の通信が遮断されている。本案件では、工場出荷時の設定のままで使用する。Xホテルで必要なV子機は81台で、V規模は最少でb台必要になるので、V規模のLANポートをL2SWに接続して束ねる。この構成では、迂断すべきV子機間の通信が可能になってしまうところがあるので、L2SWの機能で解決する。インターネット接続回線とL2SW間は、ルーターで接続する。U君が設計した、XホテルのLAN構成案を、図2に示す。

U君は、インターネット接続回線の混雑時に特定のアプリケーションが通信帯域を占有することを避けるために、ルータで通信制御を行うことにした。ルータによる通信制御を行うと、ブラウザでWebを閲覧するインターネットの利用において③PC1台当たりの通信帯域がほぼ同じになることも期待できるので、本案件では更に都合がよい。ルータによる通信制御は、次のようである。
・ルータは、中継するパケットのヘッダから、TCP又はUDPのプロトコル種別、送信元及び宛先のウ番号とIPアドレスを参照して、トラフィックをトランスポート層での管理単位(以下、フローという)として識別する。
・インターネット接続回線の混雑時には、各フローの占有通信帯域が均等になるようにパケットの転送を制御する。混雑していないときには、制御を行わない。
U君がLAN機器の構成案をO主任に報告したときに、O主任から受付カウンタの担当者向けの簡易監視端末を提案に盛り込むように指示があった。監視端末は、V子機のLANポートのリンク状態及び通信状況を、アイコンの色の変化、点滅又はブザー音によって通知する仕組みである。この仕組みを満たすには、SNMPを使って、LANポートの状態や送受信パケット数を表すMIBを取得する機能と、LANポートのリンク状態の変化に伴ってV子機から送信されるエを検知する機能があればよいので、ソフトウエアの開発は容易である。
VODのコンテンツには、デジタルデータの著作権を保護し、その利用や複製を制御し、制限する、オと呼ばれる技術が適用されているので、宿泊客がV子機のLAN配線を触って通信フレームを不当なキャプチャリングでコンテンツとして再生するのは極めて困難である。しかし、通信フレームのキャプチャリング自体は好ましくない行為である。監視端末で監視することによって、その抑止効果が期待できる。
設計完了後、O主任とU君は提案書を携えてXホテルを訪問した。Z社の提案は、Xホテルの要件を満たし、高い評価を得て、Z社は本案件を受注することができた。
設問1:
本文中のア〜オに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
ア:ブロード
イ:SX
ウ:ポート
エ:Trap
オ:ディジタル著作権管理 又は DRM 又は Digital Rights Management
解説
解答の論理構成
-
アの導出
- 原文では「搬送波の変調及び復調によってデータ伝送を行う、アバンド伝送方式」と記述されています。
- 電力線・同軸・電話線など既設配線で高速通信を実現する技術は周波数帯域を分割して複数チャネルを同時に流す方式であり、一般に「ブロードバンド伝送方式」と呼ばれます。
- したがってア=「ブロード」です。
-
イの導出
- 原文では「波長850nmの光信号で通信を行う1000BASE-イ規格」とあります。
- 1000BASE‐Tを光で延伸する際、850 nmのマルチモード光ファイバを用いる規格は「1000BASE-SX」です。
- よってイ=「SX」です。
-
ウの導出
- 原文には「TCP又はUDPのプロトコル種別、送信元及び宛先のウ番号とIPアドレスを参照して」とあります。
- トランスポート層で通信相手を識別する番号は「ポート番号」です。
- よってウ=「ポート」です。
-
エの導出
- 原文は「リンク状態の変化に伴ってV子機から送信されるエを検知する機能」と記載。
- SNMPで状態変化を通知するメッセージは「Trap」です。
- したがってエ=「Trap」です。
-
オの導出
- 原文では「デジタルデータの著作権を保護し、その利用や複製を制御し、制限する、オと呼ばれる技術」とあります。
- デジタル著作権保護技術の総称は「ディジタル著作権管理(DRM, Digital Rights Management)」です。
- よってオ=「ディジタル著作権管理 又は DRM 又は Digital Rights Management」となります。
誤りやすいポイント
- 1000BASE光規格の選択
850 nm⇒マルチモード⇒「SX」と覚えていないと「LX」と誤記しやすいです。 - SNMPメッセージ種別
Trap と InformRequest を混同しがちですが、機器から“自発的に”送信されるのは Trap です。 - ブロードバンド/ナローバンドの混同
既設配線活用の文脈では「ブロードバンド伝送方式」を指す点に注意してください。 - DRMの表記揺れ
「Digital Right Management」と単数形にしてしまう誤りが頻発します。
FAQ
Q: 「1000BASE-LX」と「1000BASE-SX」は何が決定的に違いますか?
A: 使用波長と想定ケーブルです。原文にある「波長850nm」はマルチモード光ファイバ用の 1000BASE-SX を指します。LX は 1310 nm でシングルモード中心です。
A: 使用波長と想定ケーブルです。原文にある「波長850nm」はマルチモード光ファイバ用の 1000BASE-SX を指します。LX は 1310 nm でシングルモード中心です。
Q: SNMP Trap を受信する側に必要な設定は?
A: 監視端末側で UDP 161/162 を開け、受信した Trap を MIB と突き合わせてアイコン変化などの UI に反映させます。
A: 監視端末側で UDP 161/162 を開け、受信した Trap を MIB と突き合わせてアイコン変化などの UI に反映させます。
Q: DRM があるとなぜフレームキャプチャが無意味なのですか?
A: キャプチャしても暗号化・ライセンス認証が必要なため再生できず、改変・複製も制御されるからです。
A: キャプチャしても暗号化・ライセンス認証が必要なため再生できず、改変・複製も制御されるからです。
関連キーワード: VLAN, SNMP, 光ファイバ, TCP/UDP, DRM
設問2:〔採用する製品の選定〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(1)本文中のaに入れる適切な数値を答えよ。
模範解答
a:100
解説
解答の論理構成
- 問題文の該当箇所
引用:「その配線長は、1000BASE-T規格の最大セグメント長であるam以下であるが、…」 - 1000BASE-T 規格の仕様
1000BASE-T(IEEE 802.3ab)はカテゴリ5e 以上のUTPケーブルで を伝送し、最長距離は「100 m」と定められています。 - 置換手順
• 最大セグメント長=100 m との技術仕様 → a に当てはめる。 - 結論
a = 100
誤りやすいポイント
- 1000BASE-SX/1000BASE-LX と混同し、光ファイバ系の「550 m」「10 km」などを選んでしまう。
- 100BASE-TX の感覚で「100 mだから同じだろう」と思いつつ、根拠を示さず曖昧に覚えている。
- 規格名に「T」が付く=ツイストペアと結び付かず、最大長の数字を失念する。
FAQ
Q: 1000BASE-T と 100BASE-TX の最大セグメント長が同じ「100 m」なのはなぜですか?
A: どちらもUTPを物理媒体とし、信号減衰・クロストークの許容値を IEC/ISO 規格で共通に設けているためです。
A: どちらもUTPを物理媒体とし、信号減衰・クロストークの許容値を IEC/ISO 規格で共通に設けているためです。
Q: 100 m を超える場合はどう対処すべきですか?
A: スイッチを途中に入れてリピータセグメントを分割するか、問題文にあるように「波長850nmの光信号で通信を行う1000BASE-SX規格」で中継します。
A: スイッチを途中に入れてリピータセグメントを分割するか、問題文にあるように「波長850nmの光信号で通信を行う1000BASE-SX規格」で中継します。
Q: 規格の最大長はケーブル品質が良ければ延ばしても良いですか?
A: 規格値は相互接続性を担保する上限であり、超えて配線すると機器間のリンク確立や通信品質が保証されません。
A: 規格値は相互接続性を担保する上限であり、超えて配線すると機器間のリンク確立や通信品質が保証されません。
関連キーワード: 1000BASE-T, UTPケーブル, セグメント長, ギガビットEthernet, 光ファイバ
設問2:〔採用する製品の選定〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(2)製品P又は製品Cを採用する場合に、それぞれの機器の接続箇所を、図1中の名称を用いて答えよ。
模範解答
製品P:主分電盤
製品C:分配器 又は 増幅器と分配器の間
解説
解答の論理構成
-
伝送路ごとの“集線箇所”を特定
【問題文】には「親機を伝送路の集線箇所に接続し、子機は伝送路の末端に接続する。」とあります。したがって、使用する媒体ごとにホテル内で線が集中しているポイントを探すことが最初の手がかりです。 -
製品P(電力線)の集線箇所
製品Pは「電力線を伝送路に使う製品」と明記されています。図1では、各階の「分電盤」へ電力幹線が枝分かれする前に全電力が集まる地点が「主分電盤」です。ここが電力線における集線箇所なので、親機を置くのは「主分電盤」となります。 -
製品C(同軸ケーブル)の集線箇所
製品Cは「テレビアンテナ用同軸ケーブルを伝送路に使う製品」とあります。同軸ケーブルは屋上の「増幅器」から「分配器」へ入り、そこから各フロアへ分岐します。したがって、
• 分岐の直前である「分配器」
• または電気的に同一位置である「増幅器と分配器の間」
が集線箇所になります。どちらも図1中で名称が示されているため、答えとして妥当です。 -
以上より
• 製品P:主分電盤
• 製品C:分配器 又は 増幅器と分配器の間
誤りやすいポイント
- 電力線の集線箇所を各階の「分電盤」と誤認する
→ 幹線が合流するのは「主分電盤」であり、分電盤はすでに枝線側です。 - 同軸側で客室の「テレビ端子」を選んでしまう
→ 末端ではなく分岐前を選ぶ必要があります。 - 「増幅器」だけを答える
→ 増幅器直後で系統がまだ一本化されていれば良いが、問題文は分配器側も認めている点に注意。
FAQ
Q: 親機を集線箇所に置かないと何が問題ですか?
A: 途中で分岐した後に親機を置くと、枝線ごとに別の親機が必要となり、コスト増だけでなくネットワーク分断が発生します。
A: 途中で分岐した後に親機を置くと、枝線ごとに別の親機が必要となり、コスト増だけでなくネットワーク分断が発生します。
Q: 同軸ケーブルの「増幅器と分配器の間」とは具体的にどこですか?
A: アンテナから来た同軸が増幅器を通った直後、まだ一本の状態で分配器に入るまでの短い区間を指します。物理的に同じラックやボックスであることが多いです。
A: アンテナから来た同軸が増幅器を通った直後、まだ一本の状態で分配器に入るまでの短い区間を指します。物理的に同じラックやボックスであることが多いです。
Q: 主分電盤に通信機器を設置する際の注意点は?
A: 強電設備と近接するため、筐体の絶縁とノイズ対策(シールドやフィルタ)が必須です。
A: 強電設備と近接するため、筐体の絶縁とノイズ対策(シールドやフィルタ)が必須です。
関連キーワード: 電力線通信, 同軸ケーブル, 集線箇所, 分配器, 増幅器
設問2:〔採用する製品の選定〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(3)本文中の下線①について、その優位性の内容を具体的に30字以内で述べよ。
模範解答
伝送路が通信特性に優れている同軸ケーブルであること
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には「製品Pと製品Cは同じ通信技術を用いているが、①伝送路として使う構内配線の通信媒体の優位性という面で、製品Cの方が優れている。」とあります。
- さらに製品Cの説明として【問題文】は「テレビアンテナ用同軸ケーブルを伝送路に使う製品(以下、製品Cという)」と明示しています。
- 一方、製品Pは「電力線を伝送路に使う製品」と記載されており、電力線は外来ノイズが多く信号減衰も大きいという弱点を持ちます。
- したがって「通信媒体の優位性」とは、シールドが施され減衰が小さい「同軸ケーブル」が伝送路である点を指します。
- 以上から、解答は「伝送路が通信特性に優れている同軸ケーブルであること」となります。
誤りやすいポイント
- 電力線の“屋内配線が既に張り巡らされている”利便性を優位性と誤解し、通信特性と混同する。
- 「同軸ケーブルはテレビ信号用なのでデータ通信には不向き」と思い込み、ノイズ耐性や減衰特性の良さを見落とす。
- 「同じ通信技術を用いている」ことを理由に媒体差を軽視し、PとCを同評価にしてしまう。
FAQ
Q: 同軸ケーブルのどの特性が通信品質に効くのですか?
A: シールド構造によるノイズ耐性と、特性インピーダンスが整えられている点が大きく、結果として減衰が小さく高周波伝送に適します。
A: シールド構造によるノイズ耐性と、特性インピーダンスが整えられている点が大きく、結果として減衰が小さく高周波伝送に適します。
Q: 電力線でも高速通信製品は存在しますが、なぜ不利なのですか?
A: 電力線は弱電通信用に設計されておらず、漏話や外来ノイズの影響を受けやすく、信号品質が安定しにくいからです。
A: 電力線は弱電通信用に設計されておらず、漏話や外来ノイズの影響を受けやすく、信号品質が安定しにくいからです。
Q: 光ファイバを使えば媒体差は無視できるのでは?
A: 本設問は“既設構内配線をそのまま利用する”前提です。追加配線を行わずに済むという条件下では媒体差が支配的になります。
A: 本設問は“既設構内配線をそのまま利用する”前提です。追加配線を行わずに済むという条件下では媒体差が支配的になります。
関連キーワード: 同軸ケーブル, シールド, 伝送損失, ノイズ耐性, インピーダンス整合
設問2:〔採用する製品の選定〕について、(1)〜(4)に答えよ。
(4)本文中の下線②の機能を、V規模の接続形態に着目して、25字以内で述べよ。
模範解答
製品Vの故障時に電話信号を素通しする機能
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には
「②製品Vでは、親機が故障したときに通信に影響しないように対応する機能を有することを確認している。」
とあり、機能の目的が明示されています。 - さらに接続形態として
「製品Vでは電話交換機と主配線盤周りの電話配線を中継する形で親機を接続する」
と記述されています。 - 上記 2 文を合わせると、親機は“電話配線を中継”しているため、万一故障しても“中継”部分を物理的に迂回(バイパス)できれば電話信号はそのまま流れ続けます。
- よって「通信に影響しないように対応する機能」とは、親機がダウンしても電話線を素通しさせるバイパス機構を指すと判断できます。
- 以上を25字以内でまとめたものが模範解答「製品Vの故障時に電話信号を素通しする機能」です。
誤りやすいポイント
- 「冗長化電源」や「二重化ポート」などの耐障害策と混同しがちですが、本問は物理バイパスによる“素通し”が主旨です。
- STB や LAN 側の通信継続と誤解し、電話信号ではなく IP パケットの話だと思い込むケースがあります。
- 「親機と子機の両方が二重化される」と誤読しがちですが、対象はあくまで親機のみです。
FAQ
Q: 「素通し」とは具体的にどのような仕組みですか?
A: 親機内部にリレーやスイッチを設け、故障や停電時に自動で閉結して入力と出力を直接つなぐバイパス回路です。
A: 親機内部にリレーやスイッチを設け、故障や停電時に自動で閉結して入力と出力を直接つなぐバイパス回路です。
Q: 子機側には同様の機能は不要ですか?
A: 子機は客室末端に設置されるため、故障しても電話幹線を遮断する位置にはありません。必要なのは幹線を横切る親機側です。
A: 子機は客室末端に設置されるため、故障しても電話幹線を遮断する位置にはありません。必要なのは幹線を横切る親機側です。
Q: IP 通信には影響しないのでしょうか?
A: 故障時は電話線がバイパスされますが、IP 伝送は停止します。したがって本機能は“電話業務の継続性”を優先する設計です。
A: 故障時は電話線がバイパスされますが、IP 伝送は停止します。したがって本機能は“電話業務の継続性”を優先する設計です。
関連キーワード: バイパス回路, フォールトトレランス, 音声通話, 物理層, 耐障害設計
設問3:〔LAN 設計及び監視端末の設計〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(1)本文中のbに入れる適切な数値を答えよ。
模範解答
b:4
解説
解答の論理構成
-
収容能力の把握
【問題文】には「“製品Vの親機(以下、V親機という)1台には、製品Vの子機(以下、V子機という)を25台収容できる。”」とあります。よって、1台のV親機で扱えるV子機の上限は“25台”です。 -
必要台数の把握
同じく【問題文】に「“Xホテルで必要なV子機は81台”」と明記されています。
したがって、81台すべてを収容するためのV親機の台数を算出します。 -
計算と切り上げ
1台が25台を収容できるので、
端数が出た場合は切り上げて追加のV親機を準備する必要があります。 -
結論
切り上げ後は“4台”となり、【問題文】の空欄 b に入る数値は 4 です。
誤りやすいポイント
- 端数処理を切り捨てて“3台”としてしまう。3台では 台しか収容できず、81台を満たせません。
- “25台収容”を“25台まで+α”と誤読してしまう。上限を超えて収容することは仕様外です。
- “V規模”を“V子機”と取り違え、空欄 b に“81”を入れてしまうミス。
FAQ
Q: 25台収容の制限はソフトだけでなくハード制限ですか?
A: はい。【問題文】に「“収容できる”」とある通り、ハードウェア/ファームウェア両面で決め打ちの設計と読むのが妥当です。
A: はい。【問題文】に「“収容できる”」とある通り、ハードウェア/ファームウェア両面で決め打ちの設計と読むのが妥当です。
Q: もし将来V子機が増えた場合、親機を追加するだけで対応できますか?
A: 25台単位で増設する設計なので、空きポート・電源・ラックスペースが確保できるなら親機追加で対応可能です。
A: 25台単位で増設する設計なので、空きポート・電源・ラックスペースが確保できるなら親機追加で対応可能です。
Q: 収容台数の計算で切り上げる理由は何ですか?
A: 1台の親機で25台を超えて収容できないため、端数が出た場合は必ずもう1台を用意して不足分を収容する必要があるからです。
A: 1台の親機で25台を超えて収容できないため、端数が出た場合は必ずもう1台を用意して不足分を収容する必要があるからです。
関連キーワード: 収容設計, 切り上げ計算, VLAN, トポロジ, 端末増設
設問3:〔LAN 設計及び監視端末の設計〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(2)図2中の設備室及び客室201にある機器のポート間の接続を、解答欄に示せ。
模範解答
下図の通り


解説
解答の論理構成
-
客室201側での機器配置
問題文には「V子機には、ポートA及びポートBの二つのLANポートがある」「ポートAとポートBに別々のVLANが割り当てられ、…ポートBの通信が優先されている」と明記されています。
• ポートBは優先帯域が必要な「STB→VOD配信サーバ」の映像系トラフィックに割り当てるのが自然です。
• ポートAは一般的な「PC→インターネット」のデータ系トラフィックに割り当てれば、ホテルの想定通り「③PC1台当たりの通信帯域がほぼ同じになること」が実現できます。
• 製品Vは「電話配線を伝送路に使う製品」であり、電話のパススルーを前提としているので、電話機—V子機間を接続してアナログ通話を保持します。
• TV と STB は映像出力‐入力という家電側の必須接続です。
したがって客室201では
① V子機ポートA ─ PC
② V子機ポートB ─ STB
という4本の物理接続が必要になります。 -
設備室側での親機収容
「V親機のLANポートをL2SWに接続して束ねる」とあるため、
• すべての V親機ポートA を L2SW の同一 VLAN(データ系)に、
• すべての V親機ポートB を L2SW の別 VLAN(映像系)に
ポートベースで登録します。 -
サーバ・ルータとの配線
• 映像系 VLAN は「VOD配信サーバ」に直結して低遅延を確保する必要があります。したがって L2SW の映像系 VLAN から VOD配信サーバのポートへリンクを敷設します。
• データ系 VLAN も、L2SW のデータ系側からVOD配信サーバのポートへリンクを敷設します。 -
以上の要件を満たすと、模範解答図のように
・客室201:電話機→V子機、V子機A→PC、V子機B→STB、STB→TV
・設備室:すべての V親機A/B → L2SW(2系統の VLAN)、
映像系 VLAN → VOD配信サーバ データ系 VLAN → VOD配信サーバ という接続構成になります。
誤りやすいポイント
- ポートA/ポートBを逆に配線してしまい、STB が遅延の大きいデータ系 VLAN に入る。
- V親機ポートA と B を同じ VLAN にまとめてしまい、「迂断すべきV子機間の通信が可能」になる。
- VOD配信サーバをルータ側 VLAN に接続してしまい、外部トラフィックと競合させて帯域保証を失う。
- 電話機を直接主配線盤へ戻してしまい、V子機側のパススルー設計を崩して工事量が増える。
FAQ
Q: なぜ V親機‐L2SW 間を2つの VLAN に分ける必要があるのですか?
A: 「ポートAとポートBに別々のVLANが割り当てられ」と初期設定で決まっており、映像系とデータ系を論理分離することで帯域競合と不正アクセスの両方を防ぐためです。
A: 「ポートAとポートBに別々のVLANが割り当てられ」と初期設定で決まっており、映像系とデータ系を論理分離することで帯域競合と不正アクセスの両方を防ぐためです。
Q: V子機ポートBを PC、ポートAを STB に接続しても動きますか?
A: 物理的にはリンクアップしますが、ポートBは映像優先キューになっているので PC 側が帯域を占有し、ポートA 側の STB がコマ落ちする恐れがあります。
A: 物理的にはリンクアップしますが、ポートBは映像優先キューになっているので PC 側が帯域を占有し、ポートA 側の STB がコマ落ちする恐れがあります。
Q: VOD配信サーバと L2SW を2本でつなぐ理由は何ですか?
A: 1ポート当たりの帯域不足やリンク障害に備えたロードバランシング/リンクアグリゲーションを確保し、客室数増加に伴う同時視聴でも滑らかな再生を維持するためです。
A: 1ポート当たりの帯域不足やリンク障害に備えたロードバランシング/リンクアグリゲーションを確保し、客室数増加に伴う同時視聴でも滑らかな再生を維持するためです。
関連キーワード: VLAN, ポートベース隔離, リンクアグリゲーション, QoS, SNMPトラップ
設問3:〔LAN 設計及び監視端末の設計〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(3)本文中の下線③となるためには、ブラウザの通信動作がどうあるべきか。ルータの通信制御に着目して、25字以内で述べよ。
模範解答
最大同時フロー数が同じであること
解説
解答の論理構成
-
ルータの制御単位を確認
【問題文】には
「ルータは…送信元及び宛先のウ番号とIPアドレスを参照して…(以下、フローという)として識別する」
とあり、ルータは“フロー”単位で帯域を割り当てます。 -
フロー単位での公平制御
続けて
「インターネット接続回線の混雑時には、各フローの占有通信帯域が均等になるように…」
と明記されています。つまり 1 フローあたりの帯域が同じになるよう制御される仕組みです。 -
PC 単位の帯域をそろえる条件
下線③は「PC1台当たりの通信帯域がほぼ同じになること」。
ルータは PC ではなくフロー単位でしか公平化しません。そこで PC が生成するフロー数が異なると、フローが多い PC ほど帯域を多く得てしまいます。 -
ブラウザがとるべき振る舞い
PC ごとに同数のフローが生成されれば、
・各フロー帯域 = 等しい
・フロー数 = 同じ
となり、結果として「PC1台当たり」の帯域も等しくなります。
この条件をブラウザ側で満たす必要があるため、解答は
「最大同時フロー数が同じであること」
となります。
誤りやすいポイント
- 「フロー」=「IP アドレス単位」と誤解し、ポート番号を見落とす
- PC の通信量そのものを制限する方式と混同し、フロー数が公平化条件であることに気付かない
- ブラウザが HTTP/2 などの多重化機能を持つ場合でも、並列フロー数の影響が残る点を忘れる
- “最大”ではなく“平均”同時接続数と書いてしまう
FAQ
Q: フロー数が違うと、なぜ帯域に差が出るのですか?
A: ルータは「各フローの占有通信帯域が均等」としか規定していないため、フロー数が多い PC は均等帯域をフロー数分受け取り、結果として PC 単位では大きな帯域を得てしまいます。
A: ルータは「各フローの占有通信帯域が均等」としか規定していないため、フロー数が多い PC は均等帯域をフロー数分受け取り、結果として PC 単位では大きな帯域を得てしまいます。
Q: HTTP/2 や QUIC のように 1 コネクション内で複数リクエストを多重化するプロトコルの場合は?
A: 1 コネクション=1 フローとして扱われるため、同時フロー数は少なくなります。PC 間で同数のコネクションを用いる設計にしておけば同じ論理が成り立ちます。
A: 1 コネクション=1 フローとして扱われるため、同時フロー数は少なくなります。PC 間で同数のコネクションを用いる設計にしておけば同じ論理が成り立ちます。
Q: ルータ側で PC 単位の帯域制御を設定できないのですか?
A: 可能な機種もありますが、本問題では「各フローの占有通信帯域が均等」としか条件が示されていないため、PC 単位の細分化は前提になっていません。ブラウザ側で同時フロー数をそろえるほうが要件③を満たしやすいという設計意図です。
A: 可能な機種もありますが、本問題では「各フローの占有通信帯域が均等」としか条件が示されていないため、PC 単位の細分化は前提になっていません。ブラウザ側で同時フロー数をそろえるほうが要件③を満たしやすいという設計意図です。
関連キーワード: フロー制御, 公平帯域割り当て, TCPセッション, 同時接続数, ポート番号
設問4:
無線LAN構成が、Xホテルの要件を満たしていない点は何か。無線LANの機器配置及び通信特性に着目して、それぞれ30字以内で述べよ。
模範解答
機器配置:無線アクセスポイントの設置に配線工事が発生する。
通信特性:通信帯域又は通信遅延の条件を満足できないことがある。
解説
解答の論理構成
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要件で明示された配線制約
- 【問題文】に「配管の制約上、客室内に新たに配線するのは困難である。また、営業の都合上、客室内及び設備室内以外の配線工事も極力回避する。」とある。
- 廊下にアクセスポイントを設置する場合、電源ケーブルやUTPケーブルを廊下の天井裏などへ新設する必要が生じるため、配線工事を回避できない。
- したがって「無線アクセスポイントの設置に配線工事が発生する」という結論になる。
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通信品質に関する要件
- 【問題文】には「VOD配信サーバとVODセットトップボックス(以下、STBという)間の通信には、十分な通信帯域を確保するとともに、通信遅延のゆらぎを抑える。」とある。
- 無線LANは電波干渉や距離減衰の影響を受けやすく、利用者が増えると帯域が変動しやすい。また CSMA/CA による衝突回避で遅延のゆらぎ(ジッター)も大きくなる。
- そのため「通信帯域又は通信遅延の条件を満足できないことがある」という指摘が導かれる。
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問題文での整理
- O主任自身が「各階の廊下にアクセスポイントを配置する無線LAN構成では、Xホテルの要件を満たせない」と判断している。
- その根拠が①機器配置面の配線工事発生と②通信特性面での帯域・遅延保証の難しさであり、模範解答の二点と一致する。
誤りやすいポイント
- 「客室内に配線できない」とあるため廊下への配線は許されると誤解しがちですが、「客室内及び設備室内以外の配線工事も極力回避」と明記されているため廊下も対象です。
- 通信特性で「速度」だけに注目し「遅延のゆらぎ」を見落とすと半分の説明しかできません。
- 電波到達距離を理由に不適合と書いてしまい、要件の「十分な通信帯域」と「通信遅延のゆらぎ」から離れてしまうケースが散見されます。
FAQ
Q: 電源を既設の非常灯回路などから取れば廊下での配線工事は不要では?
A: 電源供給のために露出配線や追加コンセント設置が必要になるため、「配線工事を回避」の条件に抵触します。
A: 電源供給のために露出配線や追加コンセント設置が必要になるため、「配線工事を回避」の条件に抵触します。
Q: 11n や 11ac なら帯域不足は解消できないのか?
A: 宿泊者が同時にストリーミングする環境では無線は共有媒体であり、干渉・遮蔽によるスループット低下とジッターを完全に排除できません。
A: 宿泊者が同時にストリーミングする環境では無線は共有媒体であり、干渉・遮蔽によるスループット低下とジッターを完全に排除できません。
Q: メッシュ Wi-Fi を導入すれば要件を満たせる?
A: メッシュでも中継区間は無線で共有されるため帯域保証と遅延のゆらぎ抑制が難しく、本問題の要件には不適と判断されます。
A: メッシュでも中継区間は無線で共有されるため帯域保証と遅延のゆらぎ抑制が難しく、本問題の要件には不適と判断されます。
関連キーワード: アクセスポイント, 帯域保証, ジッター, 共有媒体, 配線工事


