ネットワークスペシャリスト 2013年 午前2 問04
問題文
図は、OSPFを使用するルータa~iのネットワーク構成を示す。拠点1と拠点3の間の通信はWAN1を、拠点2と拠点3の間の通信はWAN2を通過するようにしたい。xとyに設定するコストとして、適切な組合せはどれか。ここで、図中の数字はOSPFコストを示す。


選択肢
ア:
イ:(正解)
ウ:
エ:
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OSPF経路コスト調整【午前2解説】
正解の理由
拠点1→拠点3はWAN1経由、拠点2→拠点3はWAN2経由にしたいので、OSPFで「WAN1経由となる最短経路」と「WAN2経由となる最短経路」がそれぞれ他の経路よりも低コストである必要があります。表から選ぶ組合せのうち、これを満たすのは イ(x=30、y=30)のみです。x=30,y=30 とすると拠点1側の最短経路はWAN1経由(コスト170)、拠点2側の最短経路はWAN2経由(コスト180)となり、意図した経路制御が成立します。
解法ステップ
- 拠点1→拠点3、拠点2→拠点3それぞれの候補経路を列挙する(WAN1側の経路群、WAN2側の経路群、クロス経路も含む)。
- 各候補経路の合計コストを計算する。
- WAN1経由のいずれかの経路が拠点1の最小コストになっていること、かつWAN2経由のいずれかの経路が拠点2の最小コストになっていることを確認する。
- 等コスト(同値)が存在する場合はECMPにより分散され得るため「確実に指定WANを通る」とは言えない(不可)。
以下で各経路の合計コストを明示して判定します。
(注)図中の主要リンクコスト:
- a→b = 30, a→d = 40, c→b = 50, c→d = 40
- b→e (WAN1) = 100, d→g (WAN2) = 100
- e→f = 40, e→h = 30, g→f = x, g→h = y
- f→i = 10, h→i = 10
各選択肢での経路コスト計算と判定
以下は代表的な最短候補のみ(拠点1/拠点2それぞれについて最短になり得る経路を列挙)。
-
ア(x=20, y=20)
- 拠点1→i(WAN1側短絡経路): a→b→e→h→i = (WAN1)
- 拠点1→i(WAN2直通): a→d→g→h→i = (WAN2)
- 拠点1ではWAN1とWAN2が同コスト(170)。等コストになり得るためWAN1に限定されない(不可)。
- 結論: 不適(拠点1で等コスト)
-
イ(x=30, y=30)
- 拠点1→i
- a→b→e→h→i = (WAN1)
- a→b→e→f→i = (WAN1, 長い)
- a→d→g→h→i = (WAN2)
- a→d→g→f→i = (WAN2)
- 最小は170(WAN1に確実に向かう)
- 拠点2→i
- c→d→g→h→i = (WAN2)
- c→b→e→h→i = (WAN1)
- c→b→e→f→i = (WAN1)
- 最小は180(WAN2に確実に向かう)
- 結論: 適(拠点1はWAN1、拠点2はWAN2)
- 拠点1→i
-
ウ(x=40, y=40)
- 拠点1→i
- a→b→e→h→i = (WAN1)
- a→d→g→h→i = (WAN2)
- 拠点1はWAN1に向かう(良好)
- 拠点2→i
- c→d→g→h→i = (WAN2)
- c→b→e→h→i = (WAN1)
- 拠点2ではWAN1とWAN2が同コスト(190)になり得る→等コストで分散されるため不可
- 結論: 不適(拠点2で等コスト)
- 拠点1→i
-
エ(x=50, y=50)
- 拠点1→i
- a→b→e→h→i = (WAN1)
- a→d→g→h→i = (WAN2)
- 拠点1はWAN1(良好)
- 拠点2→i
- c→d→g→h→i = (WAN2)
- c→b→e→h→i = (WAN1)
- 拠点2はWAN1経由が短くなってしまう(WAN2にしたい条件を満たさない)
- 結論: 不適(拠点2がWAN1を選択してしまう)
- 拠点1→i
以上より、要件を満たすのは イ(x=30,y=30)のみです。
選択肢別の誤答解説
- ア(20,20): 拠点1でWAN1とWAN2が同コストとなるため、OSPFは等コスト経路を両方使い得る(ECMP)。「必ずWAN1を通る」とは言えない。
- イ(30,30): 拠点1の最短がWAN1(170)であり拠点2の最短がWAN2(180)で、双方とも他経路より小さいので意図どおり。
- ウ(40,40): 拠点2でWAN1経路とWAN2経路が同コストになり、どちらかに限定できない(誤答)。
- エ(50,50): 拠点2が逆にWAN1経由を選んでしまう(誤答)。
よくある誤解
- 「WAN1直接経路(a→b→e→f→i)のみを比較すれば良い」
→ e→h や g→f のような横断リンク経路も最短候補になり得るため、必ず全経路を合計して比較する必要があります。 - 「等コストならどちらか一方が選ばれるはず」
→ OSPFは等コスト経路が複数あるとECMP(均等負荷分散)する場合があり、単一経路に固定されないため、要件では等コストを避けるべきです。
補足コラム
- OSPFで経路を意図的に制御する際は、リンクの「コスト」を調整して唯一の最短経路を作るか、等コストによる分散を利用するかを設計段階で決めます。今回のように「特定のサイト間は必ず特定のWANを使う」要件がある場合は、等コストを発生させないように余裕を持ったコスト差を設けるのが安全です。
- 実運用では単純なコスト調整だけでなく、QOSやポリシーベースルーティング(PBR)、BGPやMPLS-TEの導入も検討されますが、午前試験ではコスト合算の考え方が問われます。
FAQ
Q. なぜ横のリンク(e→h, g→f)も考慮する必要があるのですか?
A. OSPFはグラフ上の最短経路を探すので、見かけ上「遠回り」に見える経路でも合計コストが小さければその経路が選ばれます。したがって全候補を合計して比較します。
A. OSPFはグラフ上の最短経路を探すので、見かけ上「遠回り」に見える経路でも合計コストが小さければその経路が選ばれます。したがって全候補を合計して比較します。
Q. 等コストなら必ず両方に流れるのですか?
A. 実装依存ですが、標準的なOSPF実装では等コスト経路を複数持つ場合に均等分散(ECMP)することが多く、「必ず片方だけを通す」保証はありません。要件が「必ず」となっている場合は等コストを避ける必要があります。
A. 実装依存ですが、標準的なOSPF実装では等コスト経路を複数持つ場合に均等分散(ECMP)することが多く、「必ず片方だけを通す」保証はありません。要件が「必ず」となっている場合は等コストを避ける必要があります。
Q. 今回のようにリンクのコスト変更で対応すべき状況とは?
A. 回線の選択制御、冗長化設定、トラフィック分散の調整などです。コスト設定は単純で有効ですが、複雑な要求がある場合はPBRやTEの方が適切な場合があります。
A. 回線の選択制御、冗長化設定、トラフィック分散の調整などです。コスト設定は単純で有効ですが、複雑な要求がある場合はPBRやTEの方が適切な場合があります。
関連キーワード: OSPF、コスト合算、経路選択、ECMP、トラフィックエンジニアリング

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