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ネットワークスペシャリスト 2014年 午後1 問01


ネットワーク構成の見直しに関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。

 A予備校は、東京に本部、全国に5支部がある。従来、本部で行った人気授業は録画して、物理媒体を各支部に配布していたが、各支部からの要望を受け、本部に動画サーバを置き、本部から各支部に授業の動画を配信することにした。また、運用管理の一元化と情報保護の強化のために、業務系のファイルサーバ(以下、FSという)を本部に集約することにした。  情報システム部のM課長は、N君に対し、A予備校の新ネットワーク構成の方針を提示し、ネットワーク構成の見直しとその運用について検討するように指示した。N君が考えたA予備校の新ネットワーク構成を、図1に示す。
ネットワークスペシャリスト(平成26年度 午後1 問01 図01)
 M課長が提示した、A予備校の新ネットワーク構成の方針を、次に示す。  ・本部及び各支部では、業務系システムと動画系システムのセグメントを分け、それぞれ業務系セグメントと動画系セグメントとする。  ・本部と各支部間は、異なる通信事業者の広域イーサ網1及び広域イーサ網2によって冗長化する。広域イーサ網1と広域イーサ網2は、等しい帯域とする。  ・本部と各支部間のネットワーク経路は、業務系セグメント間を広域イーサ網1経由とし、動画系セグメント間を広域イーサ網2経由とする。  ・一方の広域イーサ網が使用できなくなった場合には、他方の広域イーサ網によって業務系セグメント間及び動画系セグメント間の通信を行う。障害時には、動画系セグメント間の通信は、業務系セグメント間の通信よりも優先し、支障なく維持されるものとする。  ・各支部からのFSのアクセスの高速化のために、WASを導入する。   〔ネットワーク経路の検討〕  N君は、まず、支部1と本部間のネットワーク経路について検討した。ルータ1とルータ2の組、及びルータ3とルータ4の組には、それぞれ業務系セグメント用と動画系セグメント用のVRRPを設定する。①PC及びルータの設定を適切に行うことによって、業務系セグメント間のデータはルータ1とルータ3を経由させ、動画系セグメント間のデータはルータ2とルータ4を経由させることができる。  次に、採用する経路制御プロトコルを検討した。障害発生時には、できるだけ早く代替のネットワーク経路に切り替えて通信を回復させたい。よって、経路情報の再構成が高速なOSPFを採用することにした。一般的なルータのOSPFでは、物理ポートの ア を基にしたコストをメトリックとしてネットワーク経路の選択を行う。しかし、ネットワーク経路を方針どおりにするために、コストを図1に示す値に設定した。  OSPFでは、経路制御の範囲を設定するエリアという概念がある。一つのOSPFのネットワークは、複数のエリアに分けることができる。エリア番号が イ であるエリアはバックボーンエリアと呼ばれ、必ず存在しなければならない。エリアを複数に分割する場合には、バックボーンエリアとその他のエリアが隣接するようにエリア分けを設計する。バックボーンエリアとその他のエリア間を相互接続するルータは、エリア境界ルータ(以下、ABRという)と呼ばれる。また、ABRではエリア内の経路情報を集約して、他のエリアに送ることができる。N君は、本部、広域イーサ網1及び広域イーサ網2をバックボーンエリアに、各支部をそれぞれ別のエリアに分け、ABRで最もプレフィックスが短くなるように経路情報の集約を行う設計とした。  N君の設計に基づく、本部から支部1への動画データの送信経路を、表1に示す。
 続いて、一方の広域イーサ網が使用できなくなった場合にも、動画系セグメント間の通信を支障なく維持する方法について検討した。広域イーサ網1及び広域イーサ網2の通信帯域には若干の余裕を見込んでいるが、帯域不足は避けられない。各ルータにQoSを設定し、動画系セグメント間の通信を優先することにした。ルータのQoSとしては、RFC 2474に基づいて、IPヘッダのウフィールドをDSフィールドとして再定義して通信の優先評価を行うエモデルが実装されている。  一方の広域イーサ網が使用できなくなった場合は、非優先である業務系セグメント間の通信はある程度の影響が予測される。FSと業務サーバは、散発的に利用されている。TCPで実装されている業務系システムの通信アプリケーションの場合は、データ転送速度が低下しても通信の維持とデータの保全は確保できる。しかし、業務によっては、応答時間の増大によって業務に支障が出る場合がある。よって、②業務系システムのアクセス集中を避けるための方策を定め、マニュアル配布及び掲示板で利用者に周知することにした。   〔WASの導入〕  FSを本部に集約することに伴い、FSのアクセス速度の低下が懸念される。その対応策としてWASを導入することにした。WASを導入したときの通信、WASのデータ処理は、次のとおりである。  ・ルータ1及びルータ3では、PBR(Policy Based Routing)を動作させる。PBRの動作によって、③ルータはFSで使用しているCIFS(Common Internet File System)プロトコルのパケットを識別してWAS宛てに転送する。PBRによる経路制御は、OSPFによる経路制御よりも優先度が オ となっている必要がある。  ・WASは、データを受信した後に、“データの高速化処理” を行う。    N君は、PCとFS間でのWASによるデータの高速化処理について調査した。調査の結果、WAS間では、データ圧縮機能による通信データ量の削減だけでなく、④データの送信元に対して代理応答を行ってデータをキャッシュに蓄積した後に、もう一方のWAS宛てに一括してデータを送信することによって、高速化を図っていることが分かった。また、⑤データの高速化処理を自動的に停止する機能があることを確認した。    N君がまとめた検討結果はM課長に承認され、新ネットワークの構築準備を開始することになった。

設問1:

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本文中のア〜オに入れる適切な字句又は数値を答えよ。

模範解答

ア:帯域幅 又は 通信速度 イ:0 ウ:TOS エ:DiffServ又はDifferentiated Services オ:高く

解説

解答の論理構成

  1. ア
    引用:“一般的なルータのOSPFでは、物理ポートの ア を基にしたコストをメトリックとしてネットワーク経路の選択を行う。”
    OSPFの標準仕様ではインタフェースの帯域幅(通信速度)が大きいほどコストを小さく設定する仕組みです。したがって “ア” には「帯域幅」または「通信速度」が入ります。
  2. イ
    引用:“エリア番号が イ であるエリアはバックボーンエリアと呼ばれ、必ず存在しなければならない。”
    OSPFではエリア番号0(0.0.0.0)がバックボーンエリアで、全エリアを必ず経由します。よって “イ”=「0」です。
  3. ウ・エ
    引用:“IPヘッダのウフィールドをDSフィールドとして再定義して通信の優先評価を行うエモデルが実装されている。”
    RFC 2474はTOSフィールドを再定義しDiffServ(Differentiated Services)モデルで優先付けを行う規格です。
    よって “ウ”=「TOS」、 “エ”=「DiffServ又はDifferentiated Services」となります。
  4. オ
    引用:“PBRによる経路制御は、OSPFによる経路制御よりも優先度が オ となっている必要がある。”
    Policy Based RoutingはIGPより先にルーティングを決定させる必要があります。OSPFより優先度を「高く」設定しなければ期待どおりに転送できません。したがって “オ”=「高く」です。

誤りやすいポイント

  • “ア” を「MTU」や「ポート番号」と誤認するケース。OSPF costは帯域幅依存です。
  • “ウ” と “エ” をまとめて「DSCP」と回答してしまうミス。DSCPはDiffServで使う値だが、問われているのは再定義前のフィールド名とモデル名です。
  • “オ” で「低く」と答える逆転ミス。PBRはルーティングテーブル参照より前に評価される設計が必須です。

FAQ

Q: OSPFのコストは帯域幅以外でも変更できますか?
A: はい。手動で任意の値を設定してトラフィックエンジニアリングを行うことも可能です。本問でも分野別経路分離のために手動で値を設定しています。
Q: DiffServでは具体的にどのように優先制御されますか?
A: 送信元ルータでDSCP値を付与し、中間ルータはその値に応じてキューイングやスケジューリング(PQ、WFQなど)を行います。本問では動画系通信を高優先に設定します。
Q: PBRとOSPFを併用するときの注意点は?
A: ルーティング処理順序を理解することです。PBR → ルーティングテーブル(OSPF学習)→ デフォルトルートの順になるよう、PBRの優先度を「高く」設定します。

関連キーワード: OSPF, DiffServ, QoS, VRRP, PBR

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設問2:〔ネットワーク経路の検討〕について、(1)~(4)に答えよ。

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(1)本文中の下線①について、業務系セグメントのPCのデフォルトゲートウェイの設定を30字以内で述べよ。 また、通常時、業務系セグメントのPCから送信されたパケットを適切な通信経路で中継するためには、ルータのVRRPの設定をどのようにすればよいか。50字以内で具体的に述べよ。

模範解答

デフォルトゲートウェイの設定:業務系セグメントに対応した仮想ルータのIPアドレス VRRPの設定:業務系セグメントの仮想ルータがルータ3でアクティブになるようにプライオリティ値を設定する。

解説

解答の論理構成

  • 【問題文】には「ルータ1とルータ2の組、及びルータ3とルータ4の組には、それぞれ業務系セグメント用と動画系セグメント用のVRRPを設定する。」とあります。
    すなわち業務系セグメントでは“仮想ルータ”が1つ用意され、そのIPアドレスをPCのデフォルトゲートウェイにすれば、機器故障時でもVRRPが自動で経路を切り替えます。したがってデフォルトゲートウェイは「業務系セグメントに対応した仮想ルータのIPアドレス」となります。
  • さらに同じ文中で「業務系セグメント間のデータはルータ1とルータ3を経由させ」と要求されています。経由ルータを固定するにはVRRPのアクティブ(Master)側を支部側ルータ3、本部側ルータ1にしておく必要があります。VRRPではプライオリティ値が大きいルータがMasterになるため、「業務系セグメントの仮想ルータがルータ3でアクティブになるようにプライオリティ値を設定」することで要件を満たせます。
  • これにより通常時はルータ3(支部側)とルータ1(本部側)が主経路となり、VRRP障害発生時にはルータ4/ルータ2へ自動でフェイルオーバーし、設問が求める“適切な通信経路”が実現できます。

誤りやすいポイント

  • PCのデフォルトゲートウェイを「ルータ3の実IP」と思い込み、VRRPの仮想IPを設定し忘れる。
  • VRRPのプライオリティ値を両ルータで同じにしてしまい、Masterが想定外のルータ4になる。
  • VRRPとOSPFの役割を混同し、OSPFのコスト設定だけで経由ルータの固定ができると誤解する。

FAQ

Q: VRRPでMasterを固定してもOSPFのコストが低いルータに経路が流れませんか?
A: VRRPはL3デフォルトゲートウェイのIPを提供し、PCが送出する最初のホップを決定します。次ホップ以降はOSPFのコストですが、設計どおりにコストを設定していれば経路は一致します。
Q: ルータ1側のプライオリティはどう決めればよいですか?
A: 本部側でも同様に、業務系セグメントの仮想ルータがルータ1でアクティブになるよう、ルータ1をルータ2より高いプライオリティに設定します。
Q: VRRPのバックアップルータを手動で切り替える必要がありますか?
A: ありません。VRRPはMaster障害を自動検出し、数秒でバックアップがMasterに昇格します。

関連キーワード: VRRP, デフォルトゲートウェイ, ルーティング, OSPF, フェイルオーバー

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設問2:〔ネットワーク経路の検討〕について、(1)~(4)に答えよ。

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(2)ルータ3がルータ1へ送る、業務系セグメントと動画系セグメントの経路情報のプレフィックスを答えよ。

模範解答

10.1.0.0/16

解説

解答の導き方

設問は「ルータ3がルータ1へ送る、業務系セグメントと動画系セグメントの経路情報のプレフィックスを答えよ」です。図1から次が読み取れます。
「支部1には、業務系セグメント10.1.1.0/24と動画系セグメント10.1.2.0/24がある」。また設計方針として「各支部をそれぞれ別のエリアに分け、ABRで最もプレフィックスが短くなるように経路情報の集約を行う設計とした」とあります。これは、ABRがそのエリア内の全てのプレフィックスを包含する範囲で、他エリアのネットワークを含まない限り可能な限り「短いプレフィックス(=プレフィックス長が小さい、より大きなネットワーク)」でまとめることを意味します。
以下、手順を段階的に示します。
  1. 対象となるプレフィックスの確認
     図1より対象は10.1.1.0/24と10.1.2.0/24です。
  2. 最長共通接頭辞(LCP)の確認(確認手順)
     2つのアドレスをビットで比較します(各オクテットは8ビット表現)。  - 10.1.1.0 = 00001010.00000001.00000001.00000000
     - 10.1.2.0 = 00001010.00000001.00000010.00000000
     先頭から比較すると、最初の16ビット(10.1)は一致し、3番目のオクテットでは上位6ビットまで一致し、7ビット目で差が出ます。したがってLCPは22ビットで、LCPによるまとめは10.1.0.0/22になります。これは技術的に正しい最長共通まとめです。
  3. 設計方針に基づく「可能な限り短いプレフィックス」への拡張確認
     設計方針は「最もプレフィックスが短くなるように集約する」ことなので、LCP(/22) よりもさらにプレフィックス長を小さく(より大きなネットワークに)できないか検討します。候補を小さくしていって、他エリアのネットワークを含まない最小のプレフィックス長を探します。
 - /15(例:10.0.0.0/15)は10.0.0.0 ~ 10.1.255.255を含み、本部のネットワーク(図1の10.0.1.0/24や10.0.2.0/24)を含んでしまうため不可。
 - /16(10.1.0.0/16)は10.1.0.0 ~ 10.1.255.255を表し、支部1のみ(10.1.x.x)を包含する。支部2~5は10.2.x.x ~ 10.5.x.xであり、本部の10.0.x.xも含まないため /16は許容される。
 以上より、設計方針「他エリアを含まない範囲で可能な限りプレフィックスを短くする」を満たす最短(=プレフィックス長が最も小さい)まとめは10.1.0.0/16です。
したがって、ルータ3がルータ1へ送る経路情報のプレフィックスは10.1.0.0/16になります。

誤りやすいポイント

  • 最長共通接頭辞(LCP)だけで答えてしまう(LCPは /22になるが、設計方針によりさらに広く集約できる場合がある)。
  • /23の扱いの誤解:/23(255.255.254.0)は /24を「ペア(0–1、2–3、…)」でまとめるものであり、10.1.1.0と10.1.2.0は別の /23(10.1.0.0/23と10.1.2.0/23)に属するため /23ではまとめられない。
  • 他エリアのネットワークを確認せずに /15や /8等にしすぎる(本部や他支部のアドレス帯を含んでしまう)。
  • オクテット内での差を十進数のまま見て誤判断する(差がある場合は該当オクテットを二進で比べる)。

FAQ

Q: LCPを求めると /22になるのに、どうして /16を選ぶのですか?
A: LCP(/22) は2つのサブネットを最小限にまとめる最長共通接頭辞ですが、設計方針で「ABRで最もプレフィックスが短くなるように集約する」とあるため、LCPよりもさらにプレフィックス長を小さく(より大きな集約)できるかを検討します。/16は他エリア(本部の10.0.xや 他支部の10.2.x〜10.5.x)を含まない最大の(=プレフィックス長が最も小さい)集約なので /16を選びます。
Q: なぜ /23ではまとめられないのですか?
A: /23(255.255.254.0)は第三オクテットの上位7ビットをネットワーク部として /24を隣接ペア(0–1、2–3、…)にまとめます。10.1.1.0は10.1.0.0/23の範囲(0–1)に含まれますが、10.1.2.0は10.1.2.0/23の範囲(2–3)に含まれるため、1つの /23には収まりません。
Q: 速くまとめを決めるコツはありますか?
A: まずオクテット単位で左から共通部分を探し、差が出たオクテットがあればそのオクテットを二進数で比較して最長共通ビット長(LCP)を出します。次に設計制約(他エリア/他ネットワークを含めない等)に照らして、LCPを超えてさらに大きくまとめられるか(より小さいプレフィックス長にできるか)を検証します。

関連キーワード: ルーティング集約、プレフィックス長、サブネットマスク、CIDR、最長共通接頭辞(LCP)、ABR

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設問2:〔ネットワーク経路の検討〕について、(1)~(4)に答えよ。

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(3)表1中のa、bに入れる適切な動画データの送信経路を、表1中の表記に従ってそれぞれ答えよ。

模範解答

a:ルータ1 → ルータ3 b:ルータ2 → ルータ1 → ルータ3

解説

解答の導き方

まず、設問の対象と前提を整理します。問題文の記述により、初期状態では「PC及びルータの設定を適切に行うことによって、業務系セグメント間のデータはルータ1とルータ3を経由させ、動画系セグメント間のデータはルータ2とルータ4を経由させることができる」とされています。したがって通常時の動画データ経路は表1の「動画サーバ → L2SW → ルータ2 → ルータ4 → L2SW → PC」であることが前提です。
次に、経路選択のルールと図1のコスト値を使って場合分けで検討します。OSPFはリンクごとのコストを合計して最小コスト経路を選びます。図1の設定では「広域イーサ網1」「広域イーサ網2」がcost 20、ルータ1–ルータ2間およびルータ3–ルータ4間の直接接続がcost 10になっています。したがって主要な経路コストは次のとおりです。
  • ルータ1 → 広域イーサ網1 → ルータ3:cost 20
  • ルータ2 → 広域イーサ網2 → ルータ4:cost 20(ルータ2→ルータ4間のWAN区間)
  • ルータ2 → ルータ1:cost 10、ルータ4 → ルータ3:cost 10
これを踏まえて、表1の各事象ごとに経路を決めます。
(1) ルータ2本体の障害時
  • 事象の意味:ルータ2が完全に故障しているため、ルータ2上のOSPF経路情報も消え、ルータ2側のインタフェースは利用不能になります。
  • VRRPの扱い:問題文の「PC及びルータの設定を適切に行う」によって、ルータ1/ルータ2のVRRPは冗長化されており、ルータ2が落ちればルータ1が動画系の仮想ゲートウェイを引き継ぎます(ホストは仮想ゲートウェイへ送る)。
  • 経路選択の観点:ルータ1が動画トラフィックの送出元となったとき、ルータ1から支部1(10.1.2.0/24)へ到達する経路候補は
    • 直接のWAN経路:ルータ1 → 広域イーサ網1 → ルータ3(cost 20)
    • ルータ2経由の経路:ルータ1 → ルータ2 → 広域イーサ網2 → ルータ4 → ルータ3(ただしルータ2が故障しているため利用不可) となり、利用可能な最短経路はルータ1 → ルータ3(広域イーサ網1経由)です。
      従って、ルータ2本体の障害時の送信経路は「動画サーバ → L2SW → ルータ1 → ルータ3 → L2SW → PC」となり、表1の a 部分は ルータ1 → ルータ3です。
(2) ルータ4 p10の障害時
  • 事象の意味:ルータ4のポートp10(広域イーサ網2接続)がダウンしており、ルータ4と広域イーサ網2の接続が切れています。ルータ4本体は稼働している可能性がありますが、WAN側接続が使えません。
  • OSPFの影響:p10のダウンにより、広域イーサ網2経由で支部側へ到達する経路(ルータ2 → 広域イーサ網2 → ルータ4 → …)は利用不可となるか経路情報が変化します。
  • VRRPの影響:支部側のVRRP(ルータ3/ルータ4)はp10の状態を監視する設定(問題文の「適切に行う」に含まれる想定)であれば、p10ダウンを検知してルータ3が動画側の仮想ゲートウェイを引き継ぐことになります。したがって支部側の受信側はルータ3へ来る経路を期待します。
  • 経路選択の観点:ルータ2は支部1への到達において、もともと広域イーサ網2経由(ルータ2 → 広域イーサ網2 → ルータ4 → ルータ3)という経路を使っていましたが、p10ダウンでその経路は使えません。残る経路はルータ2 → ルータ1(cost 10)→ 広域イーサ網1 → ルータ3(cost 20)、合計cost 30です。よってルータ2はルータ1経由で支部1へ送ります。
    従って、ルータ4 p10の障害時の送信経路は「動画サーバ → L2SW → ルータ2 → ルータ1 → ルータ3 → L2SW → PC」となり、表1の b 部分は ルータ2 → ルータ1 → ルータ3です。
以上より、表1の空欄はそれぞれ次の経路になります(説明中に示したとおりです)。
  • a:ルータ1 → ルータ3
  • b:ルータ2 → ルータ1 → ルータ3

誤りやすいポイント

  • 図のコスト値を読み違える:広域イーサ網はcost 20、ルータ間の内部接続がcost 10である点を取り違えると経路比較が逆になる。
  • VRRPの挙動を過大または過少評価する:ルータ本体が完全に落ちた場合と特定ポートだけが落ちた場合でVRRPのフェイルオーバ条件が異なる(インタフェース監視/トラッキングが必要)。問題文の「設定を適切に行う」を前提に動作を想定する。
  • p10(インタフェース)障害を「ルータ4全体の障害」と混同する:p10ダウンではルータ4は本体は生きているがWAN接続を失っているため、経路情報とVRRPの動作が異なる。
  • OSPFの経路コスト合計を間違える:経路ごとにリンクのcostを正しく合算すること(経路を開始するルータや中継リンクにより合算値が変わる点に注意)。

FAQ

Q: ルータ2が落ちた場合、動画は必ずルータ1経由になりますか?
A: はい。問題文で「PC及びルータの設定を適切に行う」とあるため、ルータ1/ルータ2のVRRPでルータ1が仮想ゲートウェイを引き継ぐ想定です。ルータ2が完全にダウンしていればルータ2経由の経路は利用できず、ルータ1→広域イーサ網1→ルータ3が最短かつ利用可能な経路になります。
Q: ルータ4のp10が落ちたときに、なぜルータ2→ルータ4→ルータ3の経路が使えないのですか?
A: p10はルータ4と広域イーサ網2を接続するポートです。p10がダウンすると広域イーサ網2経由でルータ4へ到達できなくなるため、その経路はルーティング上利用不可になります。OSPFはリンク切れを検知して代替経路(ここではルータ2→ルータ1→広域イーサ網1→ルータ3)を選びます。
Q: OSPFで等コストの経路が存在する場合、負荷分散されることはありますか?
A: OSPFは等コスト経路を複数インストールして等コストマルチパス(ECMP)を行える実装が多いです。しかし本問ではVRRPとホスト側設定により送信方向が制御されており、障害時の動作はOSPFの再計算結果とVRRPのフェイルオーバの組合せで決まります。

関連キーワード: VRRP、OSPF、リンクコスト(メトリック)、等コスト経路分散(ECMP)、PBR

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設問2:〔ネットワーク経路の検討〕について、(1)~(4)に答えよ。

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(4)本文中の下線②の方策を、運用の観点で、25字以内で具体的に述べよ。

模範解答

利用者をグループ化して使用時間帯をずらす。

解説

解答の論理構成

  1. まず【問題文】では、広域イーサ網が片系障害となった際に
     「一方の広域イーサ網が使用できなくなった場合は、非優先である業務系セグメント間の通信はある程度の影響が予測される。」
     と明記されています。
  2. 影響を緩和するために
     「②業務系システムのアクセス集中を避けるための方策を定め、マニュアル配布及び掲示板で利用者に周知」
     と指示されています。
  3. 混雑の主因は同時アクセスの集中です。したがって、利用者を時間的に分散させれば帯域占有が平準化され、QoSで優先度が低い業務系通信でも必要な応答性を確保できます。
  4. 具体策として「利用者をグループ化し、使用時間帯をずらす」ことが最もシンプルかつ運用で実施可能です。
  5. 以上より、模範解答は「利用者をグループ化して使用時間帯をずらす。」となります。

誤りやすいポイント

  • 技術的な増速策(回線増設・プロトコル最適化)を答えてしまう
    → 設問は「運用の観点」であり、利用者告知で実現できる方策を求めています。
  • 「アクセス制限」「優先制御」などQoS設定の追記を書く
    → QoSは既にルータ設定に組み込まれており、②は別軸の運用施策です。
  • 回線障害時のみの臨時措置と誤解し、恒常的な運用手順を忘れる
    → 掲示板・マニュアル配布とあるため、平時からの周知が前提です。

FAQ

Q: 技術的な帯域制御を追加設定する回答は認められますか?
A: 設問が「運用の観点」を強調しているため、ユーザ行動を変える策を示す必要があります。
Q: グループ化の基準は部門ごとでなくても良いですか?
A: はい。利用者数や業務ピークを見て時間帯を分けられれば部門・学年など任意の基準で構いません。
Q: 掲示板周知だけで十分でしょうか?
A: 問題文に「マニュアル配布及び掲示板で利用者に周知」とあるため、複数チャネルでの告知が求められます。

関連キーワード: 負荷分散, QoS, 帯域制御, 利用時間調整, WAN障害対策

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設問3:〔WASの導入〕について、(1)~(3)に答えよ。

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(1)本文中の下線③の識別に使用される、OSI基本参照モデルの第3層以上の情報を二つ答えよ。

模範解答

①:IPアドレス ②:ポート番号

解説

解答の論理構成

  1. 問題文では、PBR(Policy Based Routing)によって「ルータはFSで使用しているCIFS(Common Internet File System)プロトコルのパケットを識別」するとあります。CIFSはTCP上で動作するファイル共有プロトコルであり、通常TCP/445(旧来はTCP/139)を使用します。
  2. ルータがPBRで特定のアプリケーション通信を抜き出すとき、一般的に参照できるのは
    ・IPヘッダ中の送信元/宛先「IPアドレス」
    ・TCP/UDPヘッダ中の「ポート番号」
    の2つです。
  3. これらはOSI基本参照モデルで見ると、
    ・IPアドレスは「第3層(ネットワーク層)」、
    ・ポート番号は「第4層(トランスポート層)」
    の情報に該当し、PBRが利用できる最小限かつ代表的な識別子です。
  4. よって、設問で求められる「OSI基本参照モデルの第3層以上の情報を二つ」は
    「IPアドレス」と「ポート番号」になります。

誤りやすいポイント

  • アプリケーション固有のバナーやペイロード内容を答えてしまう。「第3層以上」には第7層も含まれますが、PBRが標準機能だけで扱えるのはレイヤ3・4情報である点に注意が必要です。
  • プロトコル名(CIFS)そのものを回答に書き、識別“手掛かり”として求められているヘッダ情報を外すケース。
  • VLAN IDなどデータリンク層の識別子を書く誤答。設問はIPルータが参照する情報を問うています。

FAQ

Q: Deep Packet Inspection装置ならアプリケーション層のシグネチャも使えますか?
A: 可能ですが、本設問は「ルータ」「PBR」という前提なので、標準的なレイヤ3/4情報を答えるのが適切です。
Q: 送信元IPアドレスと宛先IPアドレスのどちらを書くべきですか?
A: どちらでもIPアドレスという分類は同じため、試験では「IPアドレス」とまとめて記述すれば正解になります。
Q: ポート番号はTCPとUDPのどちらを指定すべきか?
A: CIFSはTCP上で動作するためTCPポート番号を利用します。設問は識別に使われる情報として「ポート番号」とだけ書けば十分です。

関連キーワード: ポリシーベースルーティング, IPヘッダ, TCPポート, パケット識別, PBR

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設問3:〔WASの導入〕について、(1)~(3)に答えよ。

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(2)本文中の下線④の処理の効果がより高くなるのは、本部と支部間の通信の特性がどのような場合か。20字以内で具体的に述べよ。

模範解答

ラウンドトリップ時間が大きい場合

解説

解答の論理構成

  1. 問題文の確認
    下線④には「データの送信元に対して代理応答を行ってデータをキャッシュして静止した後に、もう一方のWAS宛てに一括してデータを送信する」とあります。これは、WASがTCPなどの上位プロトコルに対し“近く”でACKを返すことで待ち時間を隠蔽し、区間間の転送をバッチ化する仕組みです。
  2. 代理応答型高速化の原理
    ・通常のTCPでは、送信側はACKを受け取るまでウィンドウを拡大できません。
    ・WASが「代理応答」を返せば、送信側は即座に次のデータを送出できます。
    ・キャッシュ完了後に遠隔側WASへまとめて送るため、WAN区間での“往復待ち”が大幅に減ります。
  3. 効果が最大になる条件
    TCPのスループット近似式は

    で示され、RTT(ラウンドトリップ時間)が大きいほど理論上の上限は低下します。代理応答でRTT依存を縮小できるため、
    「RTTが大きい=待ち時間が長い」ほど改善幅が大きくなります。
  4. 結論
    よって、問われている「本部と支部間の通信の特性」は
    「ラウンドトリップ時間が大きい場合」
    となります。

誤りやすいポイント

  • 帯域幅(Mbps)が狭い区間と誤解し、帯域不足こそが効果要因と答えてしまう。実際は待ち時間(遅延)への対策です。
  • パケット損失率が高い区間と混同する。損失は再送制御で別の問題ですが、設問は「RTT」に着目しています。
  • 「距離が長い」とだけ記述して具体性を欠く。距離は遅延に影響しますが、評価指標は“ラウンドトリップ時間”です。

FAQ

Q: 帯域が十分でもRTTが大きければ高速化装置は有効ですか?
A: はい。広帯域でもRTTが大きいとACK待ちでスループットが頭打ちになるため、代理応答型WASは効果を発揮します。
Q: パケットロスが多い場合は別途対策が必要ですか?
A: 代理応答で遅延は隠蔽できますが、損失が大きいと再送が頻発し効果が薄れます。ロスはQoSや回線品質改善で別途抑制するのが望ましいです。
Q: 代理応答は通信の信頼性に影響しませんか?
A: WAS同士でエンドツーエンドの信頼性を維持するため、キャッシュ保持期間中に障害が起きても再送・再同期機能でデータ整合性を確保します。

関連キーワード: WAN高速化, RTT, TCPウィンドウ, キャッシュ, 代理応答

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設問3:〔WASの導入〕について、(1)~(3)に答えよ。

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(3)本文中の下線⑤の機能はどのような場合に必要になるのか。20字以内で具体的に述べよ。

模範解答

片側のWASが故障した場合

解説

解答の論理構成

  • 【問題文】には、WASが「“データの高速化処理” を行う」とあり、さらに下線⑤で「データの高速化処理を自動的に停止する機能」があることが示されています。
  • 同じ段落には、下線④として「データの送信元に対して代理応答を行ってデータをキャッシュして…一括してデータを送信」と記されています。これは、WAS同士が互いに “通信の中継兼キャッシュ” を行うプロキシ型の動作であり、両端装置が正常に連携して初めて成立する仕組みです。
  • したがって、一方のWASが故障するともう一方はキャッシュしたパケットを相手に渡せず、結果として通信が停止してしまいます。この事態を避けるため、正常側は自動的に高速化処理(=プロキシ的な介在)を停止し、通常のルータ経由で直接通信させる必要があります。
  • 以上より、下線⑤の機能が必要になる具体的な場面は「片側のWASが故障した場合」です。

誤りやすいポイント

  • 「帯域圧縮が効果を発揮しないほど回線が空いている場合」と誤解してしまう。実際には装置障害時のフェールセーフが主目的です。
  • 「両方のWASが同時に故障した場合」と回答してしまう。自動停止は“一方が生きている”状態で直接通信へ切り替えるための機能です。
  • 高速化処理を“手動で切る”運用手順だと思い込み、設問に“自動”のキーワードを落とす。

FAQ

Q: 片側障害時に自動停止しないと何が起こるのですか?
A: 故障している側へキャッシュを転送できず、正常な側が再送を繰り返してタイムアウトし、通信全体が遅延または停止します。
Q: 両側とも正常でも高速化を停止するケースはありますか?
A: 運用上のメンテナンスや検証を行う場合に手動で停止することはありますが、“自動停止”は主に故障検知時に働きます。
Q: 自動停止後に通信品質は落ちますか?
A: 高速化は無効になるためスループットは低下しますが、TCPの再送制御によりデータ整合性は確保されます。

関連キーワード: WAN高速化, フェールセーフ, プロキシキャッシュ, QoS

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