ネットワークスペシャリスト 2019年 午前2 問02
問題文
図は、OSPFを使用するルータa〜iのネットワーク構成を示す。拠点1と拠点3の間の通信はWAN1を、拠点2と拠点3の間の通信はWAN2を通過するようにしたい。xとyに設定するコストとして、適切な組合せはどれか。ここで、図中の数字はOSPFコストを示す。


選択肢
ア:
イ:(正解)
ウ:
エ:
🔒 解説は解答すると表示されます
OSPFコストによる経路制御【午前2解説】
正解の理由
設問の条件(拠点1はノードa、拠点2はノードc、拠点3はノードiに接続されていることを前提)で、リンクコストを合算して最短経路を比較すると、選択肢イ(x=30, y=30)が、拠点1→拠点3はWAN1経由、拠点2→拠点3はWAN2経由にそれぞれなる唯一の組合せです。具体的には右側クラスタ内の最短経路(e→i は e-h-i = 30+10 = 40、g→i は g→h→i または g→f→i の小さい方)を考慮して合計コストを計算すると、拠点1経由は WAN1 がより小さく、拠点2経由は WAN2 がより小さくなります。したがって経路選択の観点で要件を満たします。
解法ステップ
- 右側クラスタ(e,f,g,h,i)内の部分最短を先に求める
- e→i: e-f-i = 40+10 = 50、e-h-i = 30+10 = 40 → 最短は 40
- g→i: g-f-i = x+10、g-h-i = y+10 → g→i の最短は min(x+10, y+10)
- 左側から右側へ到る各経路候補の合計コストを求める(拠点1 は a、拠点2 は c と仮定)
- 拠点1(a) → i:
- WAN1経由: a-b (30) + b-e (100) + e→i (40) = 30 + 100 + 40 = 170
- WAN2経由: a-d (40) + d-g (100) + g→i (min(x+10,y+10)) = 140 + min(x+10,y+10) (a-d + d-g = 40+100 = 140)
- 拠点2(c) → i:
- WAN1経由: c-b (50) + b-e (100) + e→i (40) = 50 + 100 + 40 = 190
- WAN2経由: c-d (40) + d-g (100) + g→i (min(x+10,y+10)) = 140 + min(x+10,y+10)
- 拠点1(a) → i:
- 各選択肢の x,y を代入して比較し、拠点1は WAN1 を、拠点2 は WAN2 を選ぶ組合せを探す
(以下で各選択肢ごとの計算を示します)
選択肢別の誤答解説
-
ア: x=20, y=20
- 拠点1:
- WAN1 = 30 + 100 + 40 = 170
- WAN2 = 140 + min(20+10,20+10) = 140 + 30 = 170 → 等コスト(170 = 170)
→ OSPFでは等コストならECMP(負荷分散)になる可能性があり、必ずWAN1のみを通るとは限らない。よって要件を満たさない。
- 拠点2:
- WAN1 = 190、WAN2 = 140 + 30 = 170 → WAN2 を選択(これはOK)
- 結論: 拠点1側が等コストで要件不達
- 拠点1:
-
イ: x=30, y=30 ← 正しく要件を満たす
- 拠点1:
- WAN1 = 30 + 100 + 40 = 170
- WAN2 = 140 + min(30+10,30+10) = 140 + 40 = 180 → WAN1 を選択
- 拠点2:
- WAN1 = 190
- WAN2 = 140 + 40 = 180 → WAN2 を選択
- 結論: 拠点1→拠点3 は WAN1、拠点2→拠点3 は WAN2 となり要件を満たす
- 拠点1:
-
ウ: x=40, y=40
- 拠点1:
- WAN1 = 170、WAN2 = 140 + (40+10) = 190 → WAN1 を選択(OK)
- 拠点2:
- WAN1 = 190、WAN2 = 140 + 50 = 190 → 等コスト(190 = 190) → ECMPになり得るため要件不達
- 結論: 拠点2側が等コストで要件不達
- 拠点1:
-
エ: x=50, y=50
- 拠点1:
- WAN1 = 170、WAN2 = 140 + 60 = 200 → WAN1 を選択
- 拠点2:
- WAN1 = 190、WAN2 = 140 + 60 = 200 → WAN1 を選択(要件は WAN2 を通すことなので不達)
- 結論: 拠点2が誤った経路を選ぶため不正解
- 拠点1:
以上より、要件を同時に満たすのは選択肢イのみであると判断できます。
よくある誤解
- 右側クラスタの経路を単純に e→f→i(40+10=50)だけで見てしまい、e→h→i(30+10=40)を見落とすことがある。部分経路の最短を必ず先に求めること。
- 等コスト(同一の合計コスト)でも「一方が選ばれる」と考えてしまうこと。OSPFは等コスト複数経路(ECMP)を行う可能性があり、必ず片方だけを通すとは限らない(実装依存の挙動もある)。
- 経路判定は「各送信元ノードからの合計コスト」で判断する点を忘れ、単に WAN1 と WAN2 の直感的なコスト比較だけで決めてしまうこと。出発地点ごとに合計を計算する必要がある。
補足コラム
- OSPF はリンク単位のコストを足し合わせ、最終的に各ルータで最小コスト経路を SPF(Dijkstra)で算出します。したがって「部分経路(サブパス)の最短化」が全体最短に直結します。
- 等コスト時の取り扱いは機器ベンダや設定で異なります。負荷分散(ECMP)を有効にしていると複数の同コスト経路へフローごとに分散されます。片方向に強制したい場合はコスト調整のほか、ポリシーベースルーティングやルートマップ、フィルタの適用を検討します。
- 問題解法のコツ:右側(到達先側)での最短分岐(ここでは e→i, g→i)を先に求め、その結果を左側の合計に足して比較すると計算ミスが減ります。
FAQ
Q1. OSPFで合計コストが等しいとどうなる?
A1. OSPFは等コストの複数経路をサポートし、ECMPとしてトラフィックを分散することが多いです。ただし実際の分散方法(フロー単位やパケット単位、または単一ネクストホップの選択)は実装や設定によって異なります。
A1. OSPFは等コストの複数経路をサポートし、ECMPとしてトラフィックを分散することが多いです。ただし実際の分散方法(フロー単位やパケット単位、または単一ネクストホップの選択)は実装や設定によって異なります。
Q2. 等コストを避けて確実に1経路にしたい場合は?
A2. リンクコストを微調整して厳密に差をつける、ポリシーベースルーティングで経路を固定する、あるいはルーティングフィルタ・ルートマップで優先度を操作する方法があります。
A2. リンクコストを微調整して厳密に差をつける、ポリシーベースルーティングで経路を固定する、あるいはルーティングフィルタ・ルートマップで優先度を操作する方法があります。
Q3. 計算を速くするコツは?
A3. 末端側(到達先周辺)の最短区間を先に確定し、その値を左側の各候補経路へ加算して比較すること。部分経路を省略せず最短を先に求めるとミスが減ります。
A3. 末端側(到達先周辺)の最短区間を先に確定し、その値を左側の各候補経路へ加算して比較すること。部分経路を省略せず最短を先に求めるとミスが減ります。
関連キーワード: OSPF, ECMP, ルーティングコスト, SPFアルゴリズム, 経路選択, リンクウェイト, ポリシーベースルーティング

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