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ネットワークスペシャリスト 2021年 午後103


通信品質の確保に関する次の記述を読んで、設問1〜4に答えよ。

 Y社は、機械製品の輸入及び国内販売を行う社員数500名の商社であり、本社のほかに5か所の営業所(以下、本社及び営業所を拠点という)をもっている。このたび、Y社では、老朽化した電話設備を廃棄して、Z社の音声クラウドサービス(以下、電話サービスという)を利用することで、電話設備の維持管理コストの削減を図ることにした。情報システム部のX主任が、電話サービス導入作業を担当することになった。   〔現状の調査〕  X主任は、既設の電話設備の内容について総務部の担当者から説明を受け、現在の全社のネットワーク構成をまとめた。Y社のネットワーク構成を、図1に示す。
ネットワークスペシャリスト(令和3年度 午後1 問03 図01)
 Y社のネットワークの使用方法を次に示す。  ・社員は、本社の DMZ のプロキシサーバ経由でインターネットにアクセスするとともに、本社のサーバ室の複数のサーバを利用している。  ・拠点間の内線通話は、IP-GW を介して広域イーサ網経由で行っている。   〔電話サービス導入後のネットワーク構成〕  次に、X 主任は、電話サービスの仕様を基に、図2に示す、電話サービス導入後のネットワーク構成を設計した。
ネットワークスペシャリスト(令和3年度 午後1 問03 図02)
 図2中のaには VLAN10、bには VLAN15、c、d、e には VLAN20、f には VLAN100、g には VLAN150、h には VLAN25、i には VLAN200、j には VLAN210 という VLAN がそれぞれ設定されている。  ITEL は、PoE の受電機能をもつ製品を導入して ITEL 用の電源タップを不要にする。PC は、ITEL の PC 接続用のポートに接続する。①営業所の L2SW 及び本社の L2SW01 と L2SW02 は、PoE の給電機能をもつ製品に交換する。  電話サービス導入後は、音声を全て IP パケット化し、データパケットと一緒に LAN 上に流す。Y社が利用する VoIP (Voice over Internet Protocol) では、音声の符号化に G.729 として標準化された CS-ACELP が使用される。CS-ACELP のビットレートは、a k ビット/秒であり、音声を IP パケット化して LAN 上に流すと、イーサネットフレームヘッダのほかに、IP、b 及び RTP ヘッダが付加されるので、1 回線当たり 34.4 k ビット/秒の帯域が必要となる。しかし、全社員が同時に通話した場合でも、本社の LAN の帯域には余裕があると考えた。  電話サービスには、本社の IPsec ルータ経由で接続する。電話サービスは、Y社から送信された外線通話の音声パケットを GW で受信し、セッション管理を行う。    X 主任は、図2の構成への変更作業完了後、電話サービスの運用テストを実施し、問題なく終了したので、電話サービスに切り替えた。   〔電話サービスで発生した問題と対策〕  電話サービスへの切替後のあるとき、eLN サーバで提供する動画コンテンツの情報セキュリティ基礎コース(以下、S 基礎コースという)を、3 日間で全社員に受講させることが決まった。受講日は部署ごとに割り当てられた。  受講開始日の昼過ぎ、本社や営業所の電話利用者から、通話が途切れるというクレームが発生した。X 主任は、S 基礎コースの受講を停止させて原因を調査した。調査の結果、eLN サーバから S 基礎コースの動画パケットが大量に送信されたことが分かった。大量の動画パケットが L3SW0 に入力されたことによって、L3SW0 で音声パケットの遅延又は c が発生したことが原因であると推定できた。  そこで、X 主任は、本社の ITEL、L3SW0、L2SW01 及び L2SW02 と、全営業所の ITEL、L3SW 及び L2SW に、音声パケットの転送を優先させる設定を行うことにした。例として、本社と営業所1に設定した優先制御の内容を次に示す。  (レイヤ2マーキングによる優先制御)  ・ITEL、L2SW01、L2SW02 及び L2SW1 に、CoS (Class of Service) 値を基にした PQ(Priority Queuing)による優先制御を設定する。  ・ITEL には VLAN 機能があるので、音声フレームと PC が送受信するデータフレームを異なる VLAN に所属させ、②ITEL のアップリンクポートをタグ VLAN を設定する。  ・L2SW01 に接続する ITEL には、VLAN100 と VLAN105 を、L2SW02 に接続する ITEL には、VLAN150 と VLAN155 を、L2SW1 に接続する ITEL には、VLAN210 と VLAN215 を設定する。  ・ITEL は、音声フレームとデータフレームに異なる CoS 値を、フレーム内の TCI (Tag Control Information) の上位 3 ビットにマーキングして出力する。  ・ITEL と L3SW に接続する、L2SW01, L2SW02 及び L2SW1 のポートには、それぞれキュー1 とキュー2 の二つの出力キューを作成し、キュー1 を優先度キューとする。最優先の設定によって、キュー1 のフレーム出力が優先され、キュー1 にフレームがなくなるまでキュー2 からフレームは出力されない。  ・L2SW01, L2SW02 及び L2SW1 では CoS 値を基に、③音声フレームをキュー1, データフレームをキュー2 に入れる。  (レイヤ3マーキングによる優先制御)  ・L3SW に、Diffserv (Differentiated Services) による優先制御を設定する。  ・優先制御は、PQ と WRR (Weighted Round Robin) を併用する。  ・L3SW の f〜j には、キュー1〜キュー3 の 3 種類の出力キューを作成し、キュー1 は PQ の最優先キューとし、キュー2 及びキュー3 より優先させる。キュー2 には重み比率 75%、キュー3 には重み比率 25% の WRR を設定する。a〜e の出力キューでは、優先制御は行わない。  ・ から受信したフレームには CoS 値がマーキングされているので、CoS 値に対応した DSCP (Diffserv Code Point) 値を、IP ヘッダの d フィールドを DSCP として再定義した 6 ビットにマーキングする。  ・ から受信したパケットは、音声パケット、eLN サーバのパケット (以下、eLN パケットという)、その他のデータパケット (以下、D パケットという) の 3 種類に分類し、対応する DSCP 値をマーキングする。  ・L3SW の内部のルータは、受信したパケットの出力ポートを経路表から決定し、DSCP 値を基に、音声パケットをキュー1, ④eLN パケットをキュー2, D パケットをキュー3 に入れる。    上記の設定を行った後に S 基礎コースの受講を再開したが、本社及び営業所の電話利用者からのクレームは発生しなかった。X主任は、優先制御の設定によって問題が解決できたと判断し、システムの運用を継続させた。

設問1

本文中の ad に入れる適切な字句又は数値を答えよ。

模範解答

a:8 b:UDP c:廃棄 又は ドロップ 又は 損失 d:ToS

解説

解答の論理構成

  1. CS-ACELP のビットレート
    【問題文】には
    “CS-ACELP のビットレートは、a k ビット/秒であり…”
    とあります。G.729 の CS-ACELP は教科書的に “8 kbit/s” と定義されているため、
    a=「8」。
  2. トランスポート層プロトコル
    【問題文】
    “イーサネットフレームヘッダのほかに、IP、b 及び RTP ヘッダが付加される…”
    RTP はリアルタイム性を重視し TCP のようなコネクション確立を行いません。
    VoIP では “UDP” が標準で用いられるので、
    b=「UDP」。
  3. L3SW0 での障害内容
    【問題文】
    “L3SW0 で音声パケットの遅延又は c が発生したことが原因…”
    輻輳時にスイッチが行うのはバッファからのパケット “廃棄(ドロップ/損失)” です。
    よって、c=「廃棄」(同義語として ドロップ・損失 も可)。
  4. DSCP を設定する IP ヘッダ領域
    【問題文】
    “IP ヘッダの d フィールドを DSCP として再定義した 6 ビットにマーキング…”
    IP ヘッダの ToS(Type of Service) フィールドの上位 6 ビットを DSCP に再定義する
    仕様( RFC 2474 )に基づくので、d=「ToS」。

誤りやすいポイント

  • G.729 のビットレートを “8 kbit/s” と “8.0 kbit/s” で迷い、桁や単位を変えてしまう。
  • RTP が UDP の上で動くことを忘れ、TCP と回答してしまう。
  • 輻輳時の現象を “ジッタ” や “エラー” と誤記し、廃棄(ドロップ)を思い付かない。
  • DSCP の再定義先を “DS( Differentiated Services ) フィールド” などと書き、IP ヘッダ項目名「ToS」を書かない。

FAQ

Q: RTP と UDP の両方を書かなければならないのですか?
A: 設問は “b 及び RTP ヘッダ” と記述しているため、空欄は RTP ではなくその下位プロトコルを問うています。答えは “UDP” だけで十分です。
Q: “廃棄” 以外の語を記述した場合は誤答になりますか?
A: 【模範解答】欄に “廃棄 又は ドロップ 又は 損失” と並記されているので、そのいずれかであれば正解となります。
Q: DSCP と ToS の違いは何ですか?
A: ToS は IPv4 で定義された 8 ビットのサービス識別領域です。その上位 6 ビットを再定義して QoS を行う仕組みが DSCP であり、元々の ToS の拡張版と考えれば理解しやすいです。

関連キーワード: G.729, UDP, CoS, DSCP, ToS

設問2〔現状の調査〕について、(1)、(2)に答えよ。

(1)図1において、音声信号が IP パケット化される通信はどのような通話か。本文中の字句を用いて答えよ。

模範解答

拠点間の内線通話

解説

解答の論理構成

  1. 問題文には、現状のネットワーク利用方法として
    「・拠点間の内線通話は、IP-GW を介して広域イーサ網経由で行っている。」
    と明記されています。
  2. 質問は「図1 において、音声信号が IP パケット化される通信はどのような通話か」と尋ねています。
  3. IP パケット化は IP-GW が行う処理であり、上記引用に該当する通話は「拠点間の内線通話」です。
  4. したがって、答案は「拠点間の内線通話」となります。

誤りやすいポイント

  • 「外線通話」や「本社内の通話」と混同する。IP-GW による IP パケット化がどの通信で行われているかを読み落とすと誤答につながります。
  • 「広域イーサ網経由」のフレーズだけに着目し、通信種別を特定せずに答えてしまう。問題は“音声信号が IP パケット化される”という条件を明示している点に注意が必要です。

FAQ

Q: IP-GW は必ず拠点間の通信でしか使われないのですか?
A: 本文では「拠点間の内線通話は、IP-GW を介して広域イーサ網経由で行っている」と示されています。ほかの通話形態に IP-GW を使う記述はありません。
Q: 「拠点間の内線通話」と「拠点内の内線通話」の違いは?
A: 拠点間は本社‐営業所など地理的に離れた拠点を結ぶ内線、拠点内は同じ拠点内で完結する内線です。本問では“IP パケット化”がキーワードとなり、離れた拠点間で IP-GW を経由する通話が該当します。
Q: 外線通話は IP パケット化されないのですか?
A: 問題文には外線通話について IP パケット化の説明がないため、本問の対象外です。

関連キーワード: VoIP, VLAN, 広域イーサネット, IPパケット, Quality of Service

設問2〔現状の調査〕について、(1)、(2)に答えよ。

(2)図1中の IP-GW は、音声パケットのジッタを吸収するためのバッファをもっている。しかし、バッファを大きくし過ぎるとスムーズな会話ができなくなる。その理由を、パケットという字を用いて、20 字以内で述べよ。

模範解答

パケットの音声化遅延が大きくなるから

解説

解答の論理構成

  1. 問題文は「図1 中の IP-GW は、音声パケットのジッタを吸収するためのバッファをもっている。しかし、バッファを大きくし過ぎるとスムーズな会話ができなくなる。」と述べています。
  2. ジッタ吸収用バッファは、揺らぎを平均化するため到着済みのパケットを一時的に溜め込みます。
  3. バッファを拡大すると、後続パケットが蓄積される時間が長くなるので、パケットが再生処理へ渡されるまでの待ち時間=遅延が増加します。
  4. 音声はリアルタイム性が要求されるため、遅延が大きくなると会話のキャッチボールが噛み合わず「スムーズな会話ができなくなる」現象が起こります。
  5. したがって、解答は「パケットの音声化遅延が大きくなるから」となります。

誤りやすいポイント

  • ジッタ対策=バッファは大きいほど良いと短絡し、遅延増大の副作用を忘れがちです。
  • 「パケット損失が増えるから」と混同しやすいですが、本設問は損失ではなく遅延に着目しています。
  • 「音質が劣化する」という表現だけではジッタ吸収との因果が曖昧になり減点対象になる可能性があります。

FAQ

Q: ジッタと遅延はどう違うのですか?
A: ジッタはパケット到着間隔のばらつき、遅延は送信から再生までの総時間です。ジッタ抑制のためにバッファを増やすと、遅延が大きくなるトレードオフがあります。
Q: どのくらいの遅延で会話が不自然になりますか?
A: 一般的に150 msを超えると相手の発話と自分の応答が重なりやすく、250 msを超えると強いストレスを感じると言われます。
Q: バッファ以外のジッタ対策はありますか?
A: QoS制御で音声パケットを優先転送し、遅延変動を小さくする方法があります。バッファ拡大に依存しないので遅延を抑えられます。

関連キーワード: ジッタ, バッファ, 音声遅延, リアルタイム通信

設問3〔電話サービス導入後のネットワーク構成〕について、(1)、(2)に答えよ。

(1)図1中に示した現在の回線数を維持する場合、図2中の L3SW0 のポートaから出力される音声パケットの通信量の最大値を、kビット/秒で答えよ。

模範解答

4,472

解説

解答の論理構成

  1. 外線の最大同時通話数を把握
    • 本社について【図補足情報】の「注1」に「本社のPBXには 80回線 の外線が収容」と記載。
    • 各営業所について同じく「各営業所のPBXにはそれぞれ 10回線 の外線が収容」と記載。
    • 営業所は5か所なので、営業所全体での外線回線数は
    • よって、全社の外線回線総数(=最大同時外線通話数)は
  2. 1通話あたりの帯域を確認
    • 【問題文】に「1 回線当たり 34.4 k ビット/秒の帯域が必要」と明示。
    • したがって、1通話が34.4 kbit/sを消費する。
  3. ポートaに集約される音声トラフィックを算出
    • 営業所からの外線通話も広域イーサ網経由でL3SW0に集まり、最終的にポートa(IPsecルータ側)からZ社電話サービスへ出力される構成(図2)。
    • 最大同時通話数がそのままポートaを通過すると考える。
    • 必要帯域の計算
  4. よって、設問の答えは 4,472 kビット/秒 となる。

誤りやすいポイント

  • 「注2」の 100回線/20回線(内線専用)を合算してしまう
    → 外線ではなく社内内線用なので今回の計算対象外です。
  • G.729 の符号化ビットレート(8 kbit/s)をそのまま用いる
    → IP・UDP・RTP・イーサネットの各ヘッダオーバヘッドを含めた値が 34.4 kbit/s です。
  • 片方向だけを計算して 34.4/2 を用いる
    → 「1 回線当たり」には双方向が含まれるとみなされます。

FAQ

Q: 「130回線」はどこから出てきますか?
A: 本社 80回線 と営業所5か所×10回線50回線を合算した値です。
Q: 内線通話もポートaを通過しませんか?
A: 内線通話は電話サービスのGWを経由せず社内IPネットワーク内で完結すると読み取れるため、外線回線数だけを対象にします。
Q: 34.4 kbit/sにはIPsecのオーバヘッドは入っていますか?
A: 問題文が「LAN上に流すと… 1 回線当たり 34.4 k ビット/秒」としており、追加オーバヘッドを考慮する旨の指示がないため、そのまま用いるのが適切です。

関連キーワード: VoIP, G.729, 外線回線, 帯域計算, Priority Queuing

設問3〔電話サービス導入後のネットワーク構成〕について、(1)、(2)に答えよ。

(2)本文中の下線①の L2SW について、PoE 未対応の機器を設置して接続した場合の状態について、PoE の機能に着目し、20 字以内で述べよ。

模範解答

L2SW からの給電は行われない。

解説

解答の論理構成

  1. 問題文では、下線①で「①営業所の L2SW 及び本社の L2SW01 と L2SW02 は、PoE の給電機能をもつ製品に交換する」と記載されています。ここから、L2SW は Power over Ethernet(PoE)で接続機器に電力を供給できる前提です。
  2. しかし設問は「PoE 未対応の機器を設置して接続した場合」を問うています。PoE 未対応機器は、PoE での受電に必要なハンドシェイク信号を送出できません。
  3. PoE 規格(IEEE 802.3af/at など)では、受電機器(PD)が検出・分類シグナルを返さない限り、給電側(PSE)は電力を供給しません。
  4. よって、PoE 未対応機器を L2SW(PSE)に接続すると、L2SW は安全上の仕様どおり「電力を供給しない」状態になります。
  5. 以上より解答は「L2SW からの給電は行われない。」となります。

誤りやすいポイント

  • 「PoE 未対応でも少しは給電される」と勘違いする。実際は認証信号が無い限り 0 V です。
  • 「通信までできなくなる」と早合点する。データ通信は別途 AC アダプタを用意すれば可能で、給電だけが行われません。
  • PoE の“受電”と“給電”を混同し、スイッチ側が受電すると誤記するケースがあります。

FAQ

Q: PoE 未対応の機器でも、LAN ケーブルを差せばリンクは上がりますか?
A: 上がります。PoE 制御は電源供給可否の判定であり、リンク信号自体には影響しません。
Q: PoE 給電が行われないと、機器が壊れたりしませんか?
A: 壊れません。給電動作自体が開始されないため、過電圧などのリスクはありません。
Q: L2SW に外部電源を別途接続した機器なら、PoE 未対応でも問題ない?
A: はい。機器自身を AC アダプタなどで給電すれば、PoE に頼る必要がなく正常に動作します。

関連キーワード: PoE, 給電制御, IEEE802.3af, イーサネット, スイッチ

設問4〔電話サービスで発生した問題と対策〕について、(1)〜(5)に答えよ。

(1)本文中の下線②について、レイヤ 2 の CoS 値を基にした優先制御にはタグ VLAN が必要になる。その理由を、30 字以内で述べよ。

模範解答

フレーム中のタグ情報内の優先ビットを使用するから

解説

解答の論理構成

  1. 問題文は、レイヤ 2 の優先制御で「②ITEL のアップリンクポートをタグ VLAN を設定する」と指示しています。
  2. 同じ段落で「ITEL は、音声フレームとデータフレームに異なる CoS 値を、フレーム内の TCI (Tag Control Information) の上位 3 ビットにマーキングして出力する」と明記されています。
  3. 上位 3 ビットは IEEE802.1Q タグの PCP (Priority Code Point) であり、ここに CoS 値を載せます。
  4. タグ無しフレームには TCI が存在しないため、優先ビットを付加できません。
  5. したがって「フレーム中のタグ情報内の優先ビットを使用するから」が理由となります。

誤りやすいポイント

  • VLAN=セグメント分割と短絡的に捉え、QoS との関係を見落とす。
  • DSCP と CoS を混同し、L3 と L2 の優先ビット位置を取り違える。
  • 「タグ VLAN を設定」と「トランクポート設定」を同一視し、アクセスポートでも CoS が使えると思い込む。

FAQ

Q: タグ VLAN にしても VLAN ID を使わないと意味が無いのでは?
A: VLAN ID の有無ではなく、TCI が付与されるかどうかが重要です。TCI が付くことで PCP に CoS 値を埋め込めます。
Q: 802.1p 優先制御と本問の CoS は同じですか?
A: はい。802.1p は 802.1Q の PCP を使うレイヤ 2 QoS 方式で、本問の CoS 値マーキングと同義です。
Q: タグ VLAN でも CoS が伝わらない機器はありますか?
A: 一部の旧式スイッチは PCP を解釈せずに転送します。優先制御を適用するには、PCP 対応機器であることを確認する必要があります。

関連キーワード: CoS, VLANタグ, PCP, 802.1Q, QoS

設問4〔電話サービスで発生した問題と対策〕について、(1)〜(5)に答えよ。

(2)優先制御の設定後、L3SW0 の内部のルータに新たに作成される VLAN インタフェースの数を答えよ。

模範解答

2

解説

解答の論理構成

  1. 現在、L3SW0 の各ポートに設定済みの VLAN は【問題文】の
    「aには VLAN10、bには VLAN15、c、d、e には VLAN20、f には VLAN100、g には VLAN150、h には VLAN25」
    で示されています。すなわち、本社側で既に存在する音声系 VLAN は「VLAN100」「VLAN150」です。
  2. 優先制御を導入する際、ITEL で音声用と PC 用を分離するため【問題文】の
    「L2SW01 に接続する ITEL には、VLAN100 と VLAN105 を、L2SW02 に接続する ITEL には、VLAN150 と VLAN155 を設定する。」
    と指定されています。
  3. このうち「VLAN105」「VLAN155」は PC 用の新しい VLAN であり、L2SW01・L2SW02 から L3SW0 にタグ VLAN として到達します。L3SW0 の内部ルータが PC 用トラフィックをルーティングできるようにするには、新たに各 VLAN のインタフェース(SVI)を作成する必要があります。
  4. 本社側で新設が必要なのは上記 2 つだけであり、「VLAN210」「VLAN215」は営業所側(L3SW1)の話なので L3SW0 には関係しません。
  5. よって、L3SW0 に新たに作成される VLAN インタフェースの数は
    ・VLAN105
    ・VLAN155
    の「2」です。

誤りやすいポイント

  • 「VLAN210」「VLAN215」も L3SW0 で受けると勘違いし、4 と答えてしまう。営業所側の VLAN は広域イーサ網を経由せず、L3SW1 で終端される点に注意です。
  • 既に存在する「VLAN100」「VLAN150」まで数え直してしまう。設問は“新たに作成される”インタフェースに限定しています。
  • “タグ VLAN”というキーワードから trunk 設定に気を取られ、ルータ部に SVI が必要であることを見落とす。

FAQ

Q: VLAN105 と VLAN155 は必ずルーティングが必要ですか?
A: はい。本社 LAN 内で PC 用トラフィックを相互接続するため、L3SW0 のルータ部に SVI を用意し IP アドレスを付与する必要があります。
Q: L3SW0 と L2SW01/L2SW02 間は access ポートでも動作しますか?
A: ITEL のアップリンクを「タグ VLAN」で流すため trunk(タグ付き)リンクが前提です。access にすると複数 VLAN を一本で運べません。
Q: 優先制御設定と VLAN インタフェース数は直接関係がありますか?
A: 優先制御自体はキュー制御の話ですが、新たな PC 用 VLAN を切り分けた結果として L3SW0 に SVI を追加する必要が生じます。

関連キーワード: VLANインタフェース, タグVLAN, 優先制御, トランキング, SVI

設問4〔電話サービスで発生した問題と対策〕について、(1)〜(5)に答えよ。

(3)本文中の下線③の処理が行われたとき、キュー1 に音声フレームが残っていなくても、キュー1 に入った音声フレームの出力が待たされることがある。音声フレームの出力が待たされるのはどのような場合か、20 字以内で答えよ。 このとき、L2SW の内部処理時間は無視できるものとする。

模範解答

データフレームが出力中の場合

解説

解答の論理構成

  1. 【問題文】に、キュー構成と優先度の規則が示されています。
    引用:
    • 「それぞれキュー1 とキュー2 の二つの出力キューを作成し、キュー1 を優先度キューとする。」
    • 「最優先の設定によって、キュー1 のフレーム出力が優先され、キュー1 にフレームがなくなるまでキュー2 からフレームは出力されない。」
  2. 上記から、キュー1(音声)とキュー2(データ)の出力順序は「キュー1がある限りキュー2は送らない」という“非プリエンプティブ”な優先制御であることが分かります。
    ここで「非プリエンプティブ」とは、いったん出力が始まったフレームは途中で割り込めない方式です。
  3. ③の設定では、引用:
    • 「音声フレームをキュー1, データフレームをキュー2 に入れる」
      したがって、音声フレームが優先対象ですが、すでにポートからデータフレーム(キュー2)が“送信中”の瞬間に音声フレームが到着すると、物理リンクの特性上、そのデータフレームの送出が完了するまで待たされます。
  4. 【設問】では「L2SW の内部処理時間は無視できる」と指定があるため、遅延要因はフレーム送信時間だけに帰着します。
    よって「音声フレームの出力が待たされる」のは、「すでに始まっているデータフレームの送信が終わるまで」の状況です。
  5. 以上から、回答「データフレームが出力中の場合」が導かれます。

誤りやすいポイント

  • 「優先キュー=即時送信」と早合点し、フレーム途中割込みはできない事実を忘れる。
  • L2SW の内部処理が無視できるという条件を見落とし、スイッチ処理遅延を原因と考える。
  • “待たされる”主体を取り違え、「音声フレームが送信中でデータが待つ」と逆に答えてしまう。

FAQ

Q: 本当に割込みができないのですか?
A: 一般的なイーサネットフレームは途中で停止できません。優先制御はフレーム単位で適用されるため、送信開始後は完結まで継続します。
Q: L2SW の内部バッファリングで解消できないのでしょうか?
A: 内部バッファはフレーム到着順に格納されます。優先度による出力順は制御できますが、送信開始済みフレームへの途中介入は不可能です。
Q: フレームサイズが小さければ遅延問題は起きにくい?
A: はい。最悪遅延は「最大フレーム長 ÷ リンク帯域」の時間です。音声品質要件に応じて MTU を小さくする手法もあります。

関連キーワード: 非プリエンプティブ, 優先キュー, CoS, フレーム送出, 遅延

設問4〔電話サービスで発生した問題と対策〕について、(1)〜(5)に答えよ。

(4)本文中の に入れるポートを、図2中のa〜jの中から全て答えよ。

模範解答

ア:f, g, j イ:a, b, c, d, e

解説

解答の論理構成

  1. CoS 値が既に付加されているフレームの流入元を特定
    • 本文には「・ITEL は、音声フレームとデータフレームに異なる CoS 値を、フレーム内の TCI (Tag Control Information) の上位 3 ビットにマーキングして出力する。」とあります。
    • さらに「・L2SW01, L2SW02 及び L2SW1 では CoS 値を基に、③音声フレームをキュー1, データフレームをキュー2 に入れる。」ともあるため、ITEL→L2SW→L3SWの経路で入ってくるフレームにはすでに CoS が載っています。
  2. ITEL 経由のフレームが到着する L3SW のポートを対応付け
    • 図2 で L3SW0 の「f」は「L2SW01」に、「g」は「L2SW02」に接続されています。
    • 営業所側では L3SW1 の「j」が「L2SW1」に接続されています。
    • これら 3 ポートこそが “ITEL → L2SW → L3SW” というレイヤ2マーキング済みトラフィックの流入口です。従って
      ア:f, g, j
  3. CoS が付いていないパケットの流入元を特定
    • 本文には「・ から受信したパケットは、音声パケット、eLN サーバのパケット (以下、eLN パケットという)、その他のデータパケット (以下、D パケットという) の 3 種類に分類し、対応する DSCP 値をマーキングする。」と記載されています。
    • CoS が無い=ITEL を通過していない経路です。図2 より次のポートが該当します。
      • a:IPsec ルータ
      • b:FW
      • c:L2SW0(DMZ)
      • d:ファイルサーバ
      • e:業務サーバ
    • よって
      イ:a, b, c, d, e

誤りやすいポイント

  • L3SW1 の「j」を見落とし、本社側の f・g だけを選んでしまう。営業所でも同じ優先制御を行う点を忘れないことが重要です。
  • 「b」はインターネット接続用 FW からのトラフィックなので音声とは無関係と早合点し、イから外してしまうケース。CoS が付かない代表的な経路であることを確認しましょう。
  • CoS と DSCP の役割を逆に解釈し、タグ VLAN のみを根拠にポートを絞り込んでしまうミス。

FAQ

Q: CoS と DSCP の違いは何ですか?
A: CoS は IEEE802.1Q の VLAN タグ内 TCI フィールド上位 3 ビットで行うレイヤ2 の優先度情報、DSCP は IP ヘッダ中の フィールド(旧 ToS フィールド)上位 6 ビットで行うレイヤ3 の優先度情報です。
Q: 営業所側でも DSCP マーキングが必要なのでしょうか?
A: はい。L3SW1 に入る時点では CoS→DSCP 変換が行われるため、本社と同じポリシーで QoS 制御を一貫させられます。
Q: IPsec ルータからのパケットにも DSCP を付け直すのはなぜですか?
A: ルータ側で QoS を行っていない前提のためです。L3SW で DSCP を付与してから社内に流すことで、音声や eLN パケットの優先度を確実に伝播できます。

関連キーワード: CoS, DSCP, Priority Queuing, VLAN Tagging, Diffserv

設問4〔電話サービスで発生した問題と対策〕について、(1)〜(5)に答えよ。

(5)本文中の下線④について、eLN パケットをDパケットと異なるキュー2 に入れる目的を、35 字以内で述べよ。

模範解答

Dパケットによる eLNパケット転送への影響を少なくするため

解説

解答の論理構成

  1. 事象の把握
    【問題文】では「eLN サーバから S 基礎コースの動画パケットが大量に送信されたことが分かった」とあり、これがL3SW0に集中して「音声パケットの遅延又は c が発生」したことが原因と述べています。
  2. 優先制御の設計方針
    ・音声は最優先(キュー1、PQ)
    ・残るトラフィックを「eLN パケット」と「D パケット」に分離し、WRRで比率を変える
    この方針は【問題文】の「キュー2 には重み比率 75%、キュー3 には重み比率 25% の WRR を設定する」に明示されています。
  3. キュー分離の狙い
    【問題文】の下線④「eLN パケットをキュー2, D パケットをキュー3 に入れる」により、
    ・eLN パケット(動画学習)はキュー2で 75% の帯域を確保
    ・D パケット(その他の業務データ)はキュー3で 25% に抑制
    と設定されます。これにより D パケットが帯域を消費しても eLN パケットへの影響が小さくなります。
  4. 結論
    したがって「eLN パケットを D パケットと異なるキュー2 に入れる目的」は
    「Dパケットによる eLNパケット転送への影響を少なくするため」
    となります。

誤りやすいポイント

  • WRR の重み比率を逆に解釈し、キュー3(25%)の方が優先されると思い込む。
  • 目的を「eLN パケットを優先するため」とだけ答え、何から守るのかを示せない。
  • PQ と WRR を混同し、キュー2 も PQ だと誤認する。

FAQ

Q: 75% と 25% の重みはどのように作用しますか?
A: 換算するとキュー2 が 3 回送出される間にキュー3 は 1 回送出される比率です。これにより eLN パケットが D パケットより帯域を多く得られます。
Q: 音声パケットは WRR の対象になりますか?
A: なりません。音声パケットは「キュー1 は PQ の最優先キュー」と定義され、WRR よりも高い優先度で常に先に処理されます。
Q: CoS と DSCP の関係は?
A: 「CoS 値に対応した DSCP 値を、IP ヘッダの d フィールド…にマーキング」することで、L2 の優先度情報を L3 に引き継ぎます。

関連キーワード: CoS, DSCP, PQ, WRR, Diffserv
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