ネットワークスペシャリスト 2022年 午前2 問02
問題文
長距離の光通信で用いられるマルチモードとシングルモードの光ファイバの伝送特性に関する記述のうち、適切なものはどれか。
選択肢
ア:シングルモードの方が伝送速度は速く、伝送距離も長い。(正解)
イ:シングルモードの方が伝送速度は速いが、伝送距離は短い。
ウ:マルチモードの方が伝送速度は速く、伝送距離も長い。
エ:マルチモードの方が伝送速度は速いが、伝送距離は短い。
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シングルモード光ファイバ特性【午前2解説】
正解の理由
選択肢のアが正しい理由は、シングルモード光ファイバは実質的にモード分散(モーダル分散)がほとんど発生しないため、同一波形の光パルスが異なる経路で到達して時間的に広がる(パルス拡がり)現象が抑えられ、高い帯域幅×距離(BT product)を実現できる点にあります。これにより同じデータレートであれば長距離伝送が可能です。なお「伝送速度が速い」は、ここでは「より高い帯域幅で長距離伝送できる」という意味で使われています。
一方で光ファイバの減衰(線減衰係数)は、材質や波長、製造品質、増幅器の有無などに依存します。モード数の違いだけで常に減衰が小さいとは限らないため、減衰については波長(例:1310 nm、1550 nm)や光増幅(EDFA等)の利用を考慮する必要があります。
解法ステップ
- 「マルチモード/シングルモード」の違いを押さえる(コア径と伝搬モード数の違い)。
- 伝送品質に影響する主因を確認する(モード分散=パルス広がり → 帯域幅低下)。
- 設問の「伝送速度」と「伝送距離」を「帯域幅と距離の組合せ」で読み替える(高帯域×長距離が可能かを判断)。
- 各選択肢と照らし合わせ、モード分散の有無が示す伝送特性を選ぶ。
短く言えば「モード分散が少ない=高帯域で長距離に向く」が判断の鍵です。
選択肢別の誤答解説
-
ア(正答)
シングルモードはコアが小さく単一モード伝搬のためモード分散がほぼなく、高い帯域幅で長距離伝送が可能。減衰については波長や材質に依存するため、単純に“減衰が必ず小さい”とは言えない点に注意。 -
イ(誤り)
「伝送距離は短い」とするのは誤り。モード分散がないため通常は長距離向けであり、短距離しか使えないという記述は逆です。 -
ウ(誤り)
マルチモードはコアが大きく複数モードが伝搬するためモード分散が大きく、距離が伸びるとパルス広がりで帯域が制限される。したがって「伝送速度も速く、距離も長い」は誤りです。 -
エ(誤り)
「マルチモードの方が伝送速度は速い」は一般的に誤解です。マルチモードは短距離でコスト効率よく高データレートを実現できる場合があるが、長距離ではモード分散で帯域が制限されます。従って「速度は速いが距離は短い」という単純な一般化は不適切です。
よくある誤解
-
モード分散と減衰を混同する
モード分散はパルスの時間的広がり(帯域制限)に関係し、減衰(光の強度低下)は材質・波長・製造品質・増幅の有無に依存します。モード数の違いだけで減衰が小さいとは限りません。 -
「伝送速度=光の伝播速度」と勘違いする
試験文の「伝送速度」は通常データ伝送可能な帯域(bit/s)を指します。光の群速度はコア材料の屈折率で決まり、モード数とは別の話です。 -
マルチモードは常に低性能という誤認
マルチモードは短距離(数十〜数百メートル)でコスト効率が良く、VCSELなどの安価な光源で十分な性能を発揮します。用途によって使い分けが必要です。
補足コラム
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代表的なコア径
- シングルモード: 約8–10 µm(波長1310/1550 nmを想定)
- マルチモード: 50 µm または 62.5 µm が一般的
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波長と減衰(目安)
- 850 nm(主にマルチモード用):一般に減衰は比較的大きい
- 1310 nm、1550 nm(主にシングルモード用):特に1550 nm付近は光増幅器(EDFA)が使え、長距離伝送に適する。1550 nmでの減衰は適切なファイバで約0.2 dB/km 程度のオーダー(実測値はファイバや条件に依存)。
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規格と実運用
マルチモード(OM3/OM4)は10Gbpsや40/100Gbpsを短距離でサポートできる設計がされている一方、シングルモードは数十〜数百kmの長距離伝送に適しています。
FAQ
Q1: シングルモードは必ず長距離で減衰も小さいですか?
A1: 必ずしも小さいとは言えません。減衰は材質・波長・製造品質などに依存します。シングルモードはモード分散がないため長距離で高帯域を実現しやすい、という点が主因です。
A1: 必ずしも小さいとは言えません。減衰は材質・波長・製造品質などに依存します。シングルモードはモード分散がないため長距離で高帯域を実現しやすい、という点が主因です。
Q2: マルチモードで10Gbpsは可能ですか?
A2: はい。特にOM3/OM4等の高性能マルチモードや適切な光源(VCSEL)を使えば短距離(数十〜数百メートル)で10Gbpsは十分可能です。
A2: はい。特にOM3/OM4等の高性能マルチモードや適切な光源(VCSEL)を使えば短距離(数十〜数百メートル)で10Gbpsは十分可能です。
Q3: 光ファイバ選びで注意すべき点は?
A3: 必要な伝送距離とデータレート、使用波長、コスト(光源・終端器具含む)、将来の拡張性を総合的に評価して選択します。
A3: 必要な伝送距離とデータレート、使用波長、コスト(光源・終端器具含む)、将来の拡張性を総合的に評価して選択します。
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