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ネットワークスペシャリスト 2023年 午前210


問題文

複数のVLANを一つにまとめた単位でスパニングツリーを実現するプロトコルはどれか。

選択肢

BPDU
GARP
MSTP(正解)
RSTP

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MSTPによるVLAN統合【午前2解説】

正解の理由

複数のVLANをまとめた単位でスパニングツリーを構成する仕組みを指すのは、 の MSTP(Multiple Spanning Tree Protocol)です。MSTPはIEEEで標準化された仕組み(802.1s を 802.1Q に統合)で、複数のVLANを「MSTインスタンス(MSTI)」という論理的なグループに割り当て、各インスタンスごとにスパニングツリーを動作させます。これにより、VLANごとに個別のSTPを走らせる必要がなくなり、インスタンス数を抑えて負荷軽減とトラフィックの負荷分散が可能になります。
同時に留意すべき点は、MSTPが「複数VLANをまとめて管理できる標準的なプロトコルの一つ」であることです。ベンダー独自の方式(例:CiscoのPVST/PVST+やRPVST+など)はVLANごとに別個のSTPを実行する別アプローチを採りますが、MSTPは標準ベースでVLANのグルーピングを行います。

解法ステップ

  1. 問題文のキーワードを確認:「複数のVLANを一つにまとめた単位」「スパニングツリーを実現」 → VLANをグループ化してSTPを動かす仕組みを問うていると判断する。
  2. 選択肢の意味を素早く照合する:
    • BPDU は STP 情報を運ぶフレーム(プロトコル本体ではない)
    • GARP は属性登録プロトコル(VLAN登録はGVRP等で扱う)
    • RSTP は収束を速める STP のバージョン(802.1w)
    • MSTP は複数VLANをインスタンス単位でまとめる仕様(802.1s/802.1Q)
  3. 定義に合致するものを選ぶ → MSTP が該当。

選択肢別の誤答解説

  • ア: BPDU
    BPDU(Bridge Protocol Data Unit)はスパニングツリーで交換される制御フレームであり、STP系プロトコルの動作に必要な情報を運びます。しかし「VLANをまとめてスパニングツリーを実現するプロトコル」そのものではありません。BPDUは手段(フレーム)、問題は方式(プロトコル)を問いています。
  • イ: GARP
    GARP(Generic Attribute Registration Protocol)は属性の登録・通知のための枠組みで、VLAN情報の自動登録には GVRP(GARP VLAN Registration Protocol)などが使われます。VLANメンバシップの伝播には関係しますが、スパニングツリーのインスタンス化やVLANのグルーピングによるSTP制御を行うものではありません。
  • ウ: MSTP
    正答。MSTP(Multiple Spanning Tree Protocol)は複数のVLANをまとめてMSTインスタンスに割り当て、各インスタンスでスパニングツリーを構成します。MSTPはIEEE標準(802.1s、後に802.1Qに統合)に基づき、CIST(Common and Internal Spanning Tree)と複数のMSTIを持つ概念で動作します。
  • エ: RSTP
    RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol、IEEE 802.1w)は収束速度を改善したSTPであり、ルート再計算の迅速化が目的です。RSTP自体は「VLANをまとめる」仕組みを規定するものではなく、単体での高速収束の仕様です。MSTPとは用途が異なります(ただしMSTPは内部でRSTPの高速収束メカニズムを利用します)。

よくある誤解

  • 「MSTPだけがVLANをグループ化できる」:MSTPはそのための標準的手法の一つですが、ベンダー固有のPVST/PVST+のように別のアプローチ(VLAN毎に独立したSTPを動かす)も存在します。唯一の手段ではありません。
  • 「BPDU=プロトコル」:BPDUはプロトコルでやり取りされるフレームであり、STP系プロトコルそのもの(MSTPやRSTPなど)と役割が異なります。
  • 「GARPがそのままSTP構成をする」:GARP/GVRPはVLANメンバシップ通知に関与しますが、STPのインスタンス管理やルート選定を行うものではありません。

補足コラム

  • MSTPの構成要点:MSTPではスイッチ群を「MSTリージョン」としてまとめ、各スイッチで同一のリージョン名とリビジョンを設定する必要があります。リージョン内で VLAN → MSTI(インスタンス) の対応を設定します。MSTPはCIST(リージョン間で共通のSTP)と内部のMSTIで成り立ち、外部との相互接続ではCISTが働きます。
  • 簡易的な Cisco IOS での設定例(イメージ):
spanning-tree mode mst
spanning-tree mst configuration
 name MST_REGION
 revision 1
 instance 1 vlan 10-20
 instance 2 vlan 21-30
!
  • 利点:スイッチのCPU/メモリ負荷低減、経路の負荷分散、管理するSTPインスタンス数の削減。欠点としてはリージョン設定の不整合によるトラブルや、細かいVLAN単位の制御が必要な環境では柔軟性が低くなることがあります。

FAQ

Q. MSTPとRSTPはどちらを使うべきですか?
A. MSTPは「複数VLANを論理グループ化してSTPを運用したい」場合に有効です。RSTPは単に収束を速くしたいだけの場面で用います。両者は排他的でなく、MSTPは内部でR(S)TPの高速化メカニズムを利用します。
Q. PVST/PVST+とMSTPの違いは何ですか?
A. PVST/PVST+はベンダー(主にCisco)によるVLANごとに独立したSTPインスタンスを持つ方式で、非常に細かい制御が可能ですがインスタンス数が多くなります。MSTPは複数VLANをグループ化してインスタンス数を抑えつつ負荷分散を行う標準方式です。
Q. BPDU は無視してよいですか?
A. いいえ。BPDUはSTP系プロトコルが情報を交換するための基本単位です。BPDUのやり取りがなければSTPは動作しませんが、BPDU自体は「VLANをまとめるプロトコル」ではありません。

関連キーワード: VLAN、MSTP、MSTI、CIST、BPDU、GARP、GVRP、RSTP、PVST、IEEE802.1s、802.1Q
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