プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験 概要
プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験の試験内容・出題形式・対策情報
本試験の問題演習(過去問・サンプル問題)は現在準備中です。 まずは以下の試験概要をご覧ください。
本ページは、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が公表した「見直しの検討状況」および「プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(仮称)シラバス(案)」をもとに、現時点で判明している情報を整理したものです。試験区分名称・出題数・合格基準・免除制度・実施時期などは今後変更される可能性があります。シラバス案は改訂が続いているため、参照している版と公表状況は本文「シラバス概要」冒頭の表に一元的にまとめています。最新情報は必ずIPA公式をご確認ください。
プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(PD-S)とは
プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)は、DXやAI利活用による価値創造に向けたスキルを評価するため、現行の応用情報技術者試験と高度試験を大括り化して再編した新試験です。「マネジメント領域」「データ・AI領域」「システム領域」の3区分が設けられ、本ページはそのうち システム区分(PD-S) を扱います。
システム区分は、デジタル技術を活用したシステムの要件定義からアーキテクチャ設計、開発、運用までを主導するための専門知識を評価する区分です。現行のシステムアーキテクト試験やネットワークスペシャリスト試験、エンベデッドシステムスペシャリスト試験などに近い領域をカバーすると考えられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 区分 | プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(PD-S)※名称は仮称 |
| レベル | レベル3〜4相当と推定(IPA未公表。応用情報・高度試験の再編のため) |
| 実施方式 | CBT方式 |
| 試験構成 | 科目A-1/科目A-2/科目B |
| 試験時間 | 科目A-1:90分/科目A-2+科目B:合計120分 |
| 出題数 | A-1:60問/A-2:23問/B:12問 |
| 重点領域 | 要件定義・アーキテクチャ設計・開発・インフラ・運用 |
| 開始予定 | 2027年度 夏頃〜秋頃 |
| 公式情報 | IPA公式:見直しの検討状況 |
| シラバス | 科目A-2・科目Bの出題範囲が公表済み(版と公表状況は「シラバス概要」を参照) |
- 3区分の中の「システム領域」:システムの企画・要件定義からアーキテクチャ設計・開発・運用までを技術面から主導する力を評価する。3区分の中で最も技術寄りの区分。
- 複数の高度試験を統合:現行ではシステムアーキテクト・ネットワークスペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリストなど試験名ごとに分かれていた専門性を、より大括りな「システム領域」として整理し直す方向で検討されている。
- 全区分共通の科目構成:3区分はいずれも、科目A-1(90分・60問)+(科目A-2 23問+科目B 12問を120分扱い)という同一構成。A-1が知識確認、A-2以降が応用・実務評価に相当すると読み取れる。
- CBT方式で実施予定。ただし出題形式(多肢選択式か記述・論述式か)はIPA未公表で、現行の午後試験のような記述・論述が残るかは不明。
試験の形式・出題構成・採点方式
システム区分は、3科目構成で実施されます(3区分共通・IPA検討状況による暫定値)。
- 科目A-1: 90分/60問(3区分と情報処理安全確保支援士試験の共通知識)
- 科目A-2: 23問(区分ごとの専門知識)
- 科目B: 12問(技能。事例に基づく総合的な判断)
- 試験時間: 科目A-1が90分、科目A-2と科目Bを合わせて120分
採点・合格基準: 配点・基準点はIPAから今後公表される予定です。現時点では未確定のため、正式発表をご確認ください。
対象者像・求められる知識と技能
対象者像
- システムアーキテクト、アプリケーション/インフラの設計者
- ネットワーク・データベース・組込み等のスペシャリスト
- システム開発・運用の技術リーダー、SRE/プラットフォームエンジニア
求められる主な能力
- 業務・利用者の要求を分析し、システムの要件定義をまとめる
- 信頼性・性能・セキュリティを満たすアーキテクチャを設計する
- 開発・テスト・移行・運用までのライフサイクルを技術的に主導する
- クラウド・ネットワーク・組込みなどの基盤技術を適切に選定・構築する
求められる知識(想定)
- 要件定義・システム設計・ソフトウェアアーキテクチャ
- ネットワーク・サーバ・ストレージ・クラウド(IaC・コンテナ等)の基盤技術
- データベース設計・分散システム・マイクロサービス
- 開発プロセス(アジャイル/DevOps)・テスト・品質保証
- 情報セキュリティ設計、組込み・IoT、性能・可用性設計
※ 上記はIPA公表の領域定義から推定した概観です。シラバス案で示された正式な出題範囲は、次章「シラバス概要」を参照してください。
シラバス概要
シラバス案の公表状況
シラバス案は改訂が続いています。本ページが参照している版と、各科目の公表状況は以下のとおりです(2026年8月17日時点)。
| 対象 | 状況 | 参照している版 |
|---|---|---|
| 科目A-1(3区分・支援士の共通知識) | 準備中 | ー |
| 科目A-2(システム区分の専門知識) | 公表済み | Ver0.2(PDF)(2026年6月30日公表/2026年7月31日更新) |
| 科目B(システム区分の技能) | 公表済み | 同上のPDFに収録(Ver0.1から出題範囲の構造変更なし) |
| サンプル問題 | 準備中 | ー |
科目A-2と科目Bは同一のPDF(Ver0.2)に収録されています。Ver0.1では科目Bの「目標とする技能」のみでしたが、Ver0.2で科目A-2の「目標とする知識(専門知識)」が新たに追加されました。IPAは残るシラバス案・サンプル問題を2026年度夏頃を目途に順次公表するとしています。
科目A-2の出題範囲(目標とする知識)
科目A-2は、全試験区分に共通する科目Aの体系のうち、システム区分が担当する分類だけを抜き出す形で範囲が定められています。PD-Sが対象とするのは4大分類・9中分類です(分類番号が飛んでいるのは、共通体系の一部だけを担当するため)。
| 出題範囲(大分類・中分類) | 主な小分類 | 代表的な用語例 |
|---|---|---|
| 大分類1:ビジネス変革/中分類2:経営戦略・デジタル戦略 | デジタル戦略、情報システム戦略、エンタープライズアーキテクチャ | DX戦略、生成AIの活用、DX経営に求められる3つの視点、システム化計画、要件定義、調達計画、TOGAF、ザックマンフレームワーク |
| 大分類4:デジタル技術/中分類13:デジタルサービス・デジタルツール | デジタルサービスの活用、デジタルツールの活用 | 効率的消費者対応(ECR)、人的資本管理(HCM)、企業資産管理(EAM)、輸配送管理システム(TMS)、デジタルワークプレイス、エンタープライズサーチ |
| 大分類4:デジタル技術/中分類14:システムの種類・構成 | サイバーフィジカルシステム、IoT・組込みシステム、コンピュータ構成、システム構成要素 | CPS、デジタルツイン、バーチャルパワープラント(VPP)、プロセッサの高速化技術、集中処理・分散アーキテクチャ、水平負荷分散 |
| 大分類4:デジタル技術/中分類15:クラウド | クラウドサービス、基盤技術 | XaaS、サーバ仮想化、ネットワーク仮想化、ストレージ仮想化、コンテナイメージ |
| 大分類4:デジタル技術/中分類16:ネットワーク | ネットワーク方式、データ通信と制御、通信プロトコル、ネットワーク応用、ネットワーク管理 | センサーネットワーク、無線LAN、OSI基本参照モデル、ネットワークトポロジ、構成管理・障害管理・性能管理 |
| 大分類4:デジタル技術/中分類17:データベース | データベース方式、データベース設計、データ操作、トランザクション、データベース応用 | 3層スキーマアーキテクチャ、概念・論理データモデル、一貫性制約、同時実行制御、コミットメント制御、分散データベース |
| 大分類5:システムの開発・運用/中分類20:システムライフサイクルプロセス | 開発プロセスの概要、システム要件定義、設計、実装・構築、統合・テスト、導入・受入れ支援、運用、保守・廃棄 | SLCP、システムの境界の定義、コーディング標準、ソフトウェア統合、カバレージ、ミューテーションテスト、AIOps、リバースエンジニアリング |
| 大分類5:システムの開発・運用/中分類21:開発・運用の方法論 | 開発の手法・方法論、開発関連の設計手法、ユーザーインタフェース、開発プラットフォーム、Webアプリケーション開発、AI駆動開発、フィジカルコンピューティング、OS | ウォーターフォールモデル、アジャイル、DevOps、ソースコード管理(SCM)、ISO 9241、AI駆動開発、バイブコーディング、CRISP-DM、DFT・FFT、マイクロカーネル |
| 大分類6:セキュリティ/中分類26:セキュリティ実装技術・評価 | セキュアプロトコル、認証・認可技術、OSのセキュリティ、ネットワークセキュリティ、データベースセキュリティ、AIセキュリティ、アプリケーションセキュリティ、セキュリティ評価基準 | IPsec、TLS、SSH、送信ドメイン認証、強制アクセス制御(MAC)、ステートフルパケットフィルタリング、プロンプトインジェクション対策、SAST・DAST、CORS、HSTS、CSMS、JVN |
用語例はシラバス案から一部を抜粋したものです。網羅的な一覧はIPAのPDF原文を参照してください。
科目A-2の範囲をどう読むか
現行制度で学習してきた人にとって、科目A-2の大半は「現行のどの試験の午前IIか」に読み替えられます。
- 中分類16(ネットワーク)は、ネットワークスペシャリスト試験(NW)に相当
- 中分類17(データベース)は、データベーススペシャリスト試験(DB)が扱ってきた範囲と重なる。データベース設計・トランザクション・分散データベースまで含まれており、システム区分でもデータベースの専門知識が問われることが確認できる(現行のDBがどの区分にどう再編されるかは、IPAから明示されていません)
- 中分類14の一部・21のフィジカルコンピューティングは、エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)が担ってきた領域
- 中分類2・20(デジタル戦略・情報システム戦略、システムライフサイクルプロセス)は、システムアーキテクト試験(SA)と応用情報技術者試験(AP)の開発プロセス領域がベース
- 中分類26(セキュリティ実装技術・評価)は、情報処理安全確保支援士試験(SC)の実装技術寄りの範囲と重なる
一方で、現行の高度試験ではあまり問われてこなかった新顔もはっきりしています。AI駆動開発(バイブコーディング、エージェント活用)、AIセキュリティ(プロンプトインジェクション対策、LLMの脅威への対策)、AIOps、サイバーフィジカルシステム・デジタルツイン、CRISP-ML、UXライティングなどがこれにあたります。SA・NW・DB・ESの学習資産はそのまま使える一方、この新顔の領域は既存の過去問では埋まらないため、優先的に補強する価値があります。
科目Bの出題範囲(目標とする技能)
科目Bは、PD-Sで問われる実務的・総合的判断力を示す領域として、4大項目・15小項目で構成されます。Ver0.1からVer0.2にかけて構造の変更はありません。現行のシステムアーキテクト・ネットワークスペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリストが担っていた領域の大括り化が読み取れます。
1. システムアーキテクチャに関すること
- 1-1. デジタル戦略、業務モデリング及びニーズ分析を踏まえた業務要件の定義、システム化計画の立案
- 1-2. システム要件における機能要件の定義(データ構造の設計を含む)
- 1-3. システム要件における非機能要件の定義(性能、品質、セキュリティなど)
- 1-4. クラウドサービスの活用、マイクロサービス化、仮想化、マイグレーションなどを考慮したシステムアーキテクチャ設計
- 1-5. IoTを含む組込みシステム、制御システムにおける、ソフトウェアとハードウェアの間のトレードオフ、セーフティ・高信頼性、環境・法令などを考慮したシステムアーキテクチャ設計
関係者からの情報収集と要求の整理、矛盾する要求の調整、運用コスト・信頼性・パフォーマンスを最適化したアーキテクチャ設計などが「目標とする技能」として挙げられています。
2. ネットワークに関すること
- 2-1. ネットワーク基盤(クラウド環境を含む)を構成する各種通信方式、プロトコル、アドレッシング、通信規格、VPN、ネットワーク・サーバ仮想化技術、ネットワークセキュリティ技術などのネットワーク関連技術の適用
- 2-2. インターネット、クラウドサービス、及び各種ネットワークサービスの選定とオンプレミスネットワークを組み合わせた、ネットワーク基盤の設計(冗長化含む)、構築、導入
- 2-3. ネットワーク基盤の運用、トラブル対応(原因特定・対処)、保守及び改善
各レイヤーのプロトコル特性の理解と反映、IPアドレス・AS番号・ドメイン名の管理、IoT/M2M・エッジコンピューティングへの対応、性能維持と障害対応が具体的に挙げられています。
3. フィジカルコンピューティングに関すること
- 3-1. IoTを含む組込みシステム、制御システムのソフトウェア設計(リアルタイム処理など)
- 3-2. IoTを含む組込みシステム、制御システムのハードウェア設計(センサー、アクチュエーターの活用など)
- 3-3. 要素技術、デバイスなどの適用可能性(環境面の要件適合性も含む)を踏まえた選定・調達・導入
ソフトウェア要件の分析とタスク分割、性能・信頼性・機密性を満たすハードウェア設計、センサーネットワークやゲートウェイ、サーバシステムの調査・選定が中心です。
4. システムの開発・運用に関すること
- 4-1. システム及びソフトウェアの設計・実装・インテグレーション
- 4-2. システムのテストの計画と実施、結果の分析、品質評価
- 4-3. システム開発の手法の適用
- 4-4. 開発プラットフォームの活用、システムの運用管理、インフラストラクチャの管理、サイト信頼性エンジニアリング(SRE)
Webアプリケーションやシステム・オブ・レコード(SoR)などのシステム特性を踏まえた設計、テスト手法の選択と計画書作成、開発手法・技術動向の調査と適用、開発プラットフォームのメリット・デメリットや限界点の見極めが技能として定義されています。
(注)上記はシラバス案の大項目・小項目から抽出し、要約・整理したものです。各小項目に紐づく「目標とする技能の例」の全文はIPAのPDF原文を参照してください。
現行制度との関係・免除制度(検討中の扱い)
IPAは現行試験と新区分の対応関係を公表していません。プレス発表の記述は「現在の応用情報技術者試験と高度試験を大括り化したうえで内容を再編し、『マネジメント領域』『データ・AI領域』『システム領域』の三つの試験区分を設ける」までです。以下の対応づけは、公表済みの出題範囲と現行試験の範囲を照らし合わせた本サイトによる推定であり、IPAの公式見解ではありません。
| 旧制度 | システム区分との重なり(推定) |
|---|---|
| 応用情報技術者試験(AP) | 高度試験とともに大括り化され、各区分へ再編・統合(IPA公表) |
| システムアーキテクト試験(SA) | 設計・アーキテクチャ領域が重なる |
| ネットワークスペシャリスト試験(NW) | インフラ・ネットワーク領域が重なる |
| エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES) | 組込み・IoT領域が重なる |
| データベーススペシャリスト試験(DB) | データベース領域が重なる(ただしデータ・AI区分とも重複) |
なお科目A-2の出題範囲では、データベース(中分類17)はデータ・AI区分とシステム区分の両方に指定されています。現行のDBがどちらか一方に引き継がれると断定できる材料はありません。
免除制度(検討中): プロフェッショナルデジタルスキル試験の各区分については、現行の高度試験と同等の免除制度を設けることが検討されています。経過措置として、現行の高度試験等で一部科目の免除要件を満たした場合に、一定期間、同試験の一部科目を免除する案も示されています。詳細は未確定のため、現行制度で免除要件を満たしておくことがリスクヘッジになります。
実施時期・今後のスケジュール(暫定)
- 2026年3月31日: IPAが「見直しの検討状況」を公表(プロフェッショナルデジタルスキル試験の新設案を提示)
- 2026年6月30日: システム区分のシラバス案Ver0.1公表(科目Bの「目標とする技能」。マネジメント区分と同時公表。データ・AI区分は準備中)
- 2026年7月31日: 同シラバス案がVer0.2に更新(科目A-2の「目標とする知識」が追加。科目Bの構造は変更なし)
- 2026年度中: 残りのシラバス案・サンプル問題を順次公表予定(2026年度夏頃目途)
- 2026年度: 現行の応用情報・高度試験はCBT方式へ移行し、前期(2026年11月頃)・後期(2027年2月頃)に実施予定(システムアーキテクト・ネットワークスペシャリストは前期、エンベデッドシステムスペシャリストは後期)。現行制度は2026年度の実施をもって終了予定
- 2027年度 夏頃〜秋頃: プロフェッショナルデジタルスキル試験の開始を想定(最終決定はIPAの公表による)
