情報処理安全確保支援士 2025年 秋期 午前2 問23
問題文
商用目的で開発するソフトウェアの開発請負契約書には、企業間で様々な事項を取り決めておく必要がある。この開発請負契約書に取決めがない場合に、ソフトウェアの著作権の帰属先に関する説明として、適切なものはどれか。ここで、ソフトウェアは注文者から委託された請負人が開発するものとする。
選択肢
ア:請負人、注文者のどちらにも帰属しない。
イ:請負人と注文者の両方に帰属する。
ウ:請負人に帰属する。(正解)
エ:注文者に帰属する。
ソフトウェアの著作権の帰属(開発請負契約がない場合)【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論→注文者と請負人の間で著作権の帰属に関する特段の合意がない場合、著作権は開発を実際に行った請負人に帰属します。
- 根拠→著作権の原則は「創作した者が著作者」であり、請負契約でも別段の定めがなければ実際の創作者に権利があることになります。
- 差がつくポイント→契約書で「著作権譲渡」や「利用許諾」を明記すること、納品物の物理的所有と著作権は別物である点を押さえてください。
正解の理由
注文者から委託を受けた請負人がソフトウェアを実際に創作している場合、著作権は原則としてその創作者(請負人)に帰属します。商習慣としては契約書で「著作権を注文者に譲渡する」「注文者に利用許諾を付与する」等を定めることが多いですが、問題文のように契約書に取決めがないときは法の一般原則が適用されます。したがって正解は ウ(請負人に帰属する)です。なお、著作財産権(複製・翻案・公衆送信など)は譲渡可能である一方、著作者人格権は譲渡できない点にも注意が必要です。
よくある誤解(2〜3 行)
- 発注者が代金を支払っていれば自動的に著作権も発注者に移ると考える誤解があります。代金支払いと著作権移転は別問題です。
- 納品物の形ある媒体の所有=著作権の所有と捉える誤りも多く、区別が重要です。
解法ステップ
- 問題文から契約種別を確認する(ここでは請負で、取決めがない)。
- 著作権の一般原則を適用する(創作した者が著作者)。
- 契約で別段の定めがないことを確認した上で、請負人が著作権者であると判断する。
- 選択肢を照合し、請負人に帰属するものを選ぶ(ウ)。
選択肢別の誤答解説
- ア: 請負人、注文者のどちらにも帰属しない。
→ 誤り。著作権は無主体ではなく、創作した者に帰属するのが原則です。 - イ: 請負人と注文者の両方に帰属する。
→ 誤り。著作権を同時に両者が保有するという扱いは通常なく、明示的な共同著作など特別な事情がない限り当てはまりません。 - ウ: 請負人に帰属する。
→ 正解。契約での別段の定めがない場合、実際に創作した請負人が著作権者となります。 - エ: 注文者に帰属する。
→ 誤り。注文者に帰属させたい場合は契約書で著作権譲渡や包括的利用許諾を明記する必要があります。
補足コラム(関連知識など)
- 実務上の対策:受託開発では著作権帰属条項(譲渡/利用許諾/ソースコードの扱い)を明確にし、検収や保守に関する権利範囲も定義してください。
- 著作財産権と著作者人格権の違い:前者は譲渡可能で契約で扱える一方、後者は譲渡できない(性質上保護される)。
- エスクローや第三者保管:発注側がソースコードの利用継続を確保したい場合、エスクロー契約や利用許諾の恒久化を検討します。
サンプル条項(例)
第X条(著作権の帰属) 1. 本契約に基づき請負人が作成したソフトウェアに関する著作権は、別段の定めがある場合を除き請負人に帰属するものとする。 2. 発注者は当該ソフトウェアを業務遂行の目的で利用するための非独占的、譲渡不可の利用許諾を受けるものとする(期間・範囲を明記)。 3. 当事者が著作権の譲渡を希望する場合は、別途書面で合意し、対価を定めるものとする。
FAQ
Q: 著作権を発注者に確実に移したい場合はどうすればよいですか?
A: 著作権譲渡の条項を契約書に明記し、譲渡対象や対価、譲渡の方法(書面等)を明確に定めます。
A: 著作権譲渡の条項を契約書に明記し、譲渡対象や対価、譲渡の方法(書面等)を明確に定めます。
Q: 納品されたソースコードの物理媒体は発注者が所有していますが、著作権は誰のものですか?
A: 物理媒体の所有と著作権は別物であり、著作権は原則として創作した請負人に帰属します。契約で別途定める必要があります。
A: 物理媒体の所有と著作権は別物であり、著作権は原則として創作した請負人に帰属します。契約で別途定める必要があります。
Q: 請負人が著作権者でも、発注者は自由に改変・再配布できますか?
A: いいえ。利用許諾がない限り改変・再配布は著作権侵害となる可能性があるため、用途と範囲を契約で定めてください。
A: いいえ。利用許諾がない限り改変・再配布は著作権侵害となる可能性があるため、用途と範囲を契約で定めてください。
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