システム監査技術者 2025年 午前2 問13
問題文
特許法に基づく特許権侵害への対応策に関する記述として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:差止請求権は、特許権者及び専用実施権者だけにとどまらず、非独占的通常実施権者も行使できる権利である。
イ:特許権者が損害賠償請求権を行使する場合は、常に侵害行為に過失があったことを立証する必要がある。
ウ:特許権者が補償金請求権を行使する場合は、必ず侵害行為を停止するよう書面を提示し、警告する必要がある。
エ:特許権者は、特許権を侵害する者だけでなく、侵害するおそれのある者に対しても、差止請求権を行使できる。(正解)
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特許権侵害への法的対応【午前2解説】
正解の理由
エが適切です。特許権者は、特許権を侵害している者だけでなく、侵害するおそれのある者に対しても、侵害の停止や予防を請求できます。これを差止請求権といいます。
解法ステップ
- 差止請求権を行使できる人を確認します。非独占的通常実施権者は、差止請求権を行使できません。
- 損害賠償請求について、侵害者の過失の立証が常に必要かを確認します。特許法では、侵害者の過失が推定されます。
- 補償金請求権について、書面による警告が常に必要かを確認します。警告以外に、出願公開を知っていた場合も請求の要件を満たし得ます。
- 差止請求の対象には、現に侵害している者のほか、侵害するおそれのある者も含まれると判断します。
選択肢別の誤答解説
-
ア:誤り
差止請求権を行使できるのは、特許権者または専用実施権者です。非独占的通常実施権者には、差止請求権は認められていません。 -
イ:誤り
特許権侵害では、侵害者に過失があったものと推定されます。そのため、特許権者が損害賠償請求を行う際に、過失を常に立証しなければならないわけではありません。 -
ウ:誤り
補償金請求権は、出願公開後の実施について、出願人が相手に書面で警告した場合だけでなく、相手が出願公開された発明であることを知っていた場合にも行使できることがあります。したがって、書面による警告が必ず必要とはいえません。 -
エ:正しい
特許権者は、侵害行為の停止だけでなく、侵害を予防するための措置も請求できます。請求の相手には、現に侵害している者だけでなく、侵害するおそれのある者も含まれます。
よくある誤解
-
通常実施権があれば、差止めも請求できると思う
非独占的通常実施権は、特許発明を実施するための権利です。差止請求権が当然に付いてくるわけではありません。 -
損害賠償を請求する側が、過失を必ず証明すると思う
特許権侵害では過失が推定されるため、立証の負担が軽減されています。 -
補償金請求には、必ず事前の書面警告が必要だと思う
書面警告は要件の一つですが、相手が出願公開を知っていた場合も請求の対象となり得ます。
補足コラム
差止請求権と損害賠償請求権は、目的が異なります。差止請求権は侵害の停止・予防を求めるもので、損害賠償請求権は侵害によって生じた損害の回復を求めるものです。設問では、それぞれの権利の対象者や成立要件を分けて整理すると判断しやすくなります。
FAQ
Q. 侵害するおそれがあるだけでも、差止請求はできますか?
A. できます。差止請求は、現に行われている侵害の停止だけでなく、侵害の予防も対象とします。
A. できます。差止請求は、現に行われている侵害の停止だけでなく、侵害の予防も対象とします。
Q. 特許権者は、侵害者の過失を全く気にしなくてよいのですか?
A. 損害賠償請求では過失が推定されますが、個別の事情によって推定が覆る可能性はあります。常に過失の立証が必要、というわけではありません。
A. 損害賠償請求では過失が推定されますが、個別の事情によって推定が覆る可能性はあります。常に過失の立証が必要、というわけではありません。
Q. 補償金請求権は、特許権が成立する前でも関係しますか?
A. はい。出願公開後、特許権の設定登録前に行われた一定の実施について、登録後に補償金を請求できる制度です。
A. はい。出願公開後、特許権の設定登録前に行われた一定の実施について、登録後に補償金を請求できる制度です。
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