応用情報技術者 2010年 秋期 午後 問01
販売戦略に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。
〔Z社の概要〕
Z社は、海外旅行を専門とする中堅の旅行会社で、首都圏に本部と複数の店舗を展開している。Z社では、自社で企画した“パッケージツアー”(以下、ツアーという)を、幅広い顧客層に向けて手ごろな価格で販売している。Z社のツアーは、人気がある海外の名所旧跡を訪問するツアーを中心とした品ぞろえで、利用する航空会社や宿泊施設、食事、観光などがあらかじめ決められている。ツアーの企画は、店舗を訪れた顧客やツアーに参加した顧客へのアンケート結果も参考にして、本部で行っている。アンケートでは、旅行で訪れてみたい場所や、ツアーに支払ってもよい上限金額などを質問し、答えてもらっている。これら顧客の希望を取り入れ、かつ、収益を確保するため、ツアーを企画する担当者には、世界各地のホテルや交通機関の事情についての専門知識などが求められる。
顧客は、目的とする訪問先や日程などに合ったツアーを探し出し、選択している。顧客にはシニア世代が多いので、店舗の担当者はそれぞれのツアーの内容を分かりやすく説明し、ツアー選択のアドバイスをするなど丁寧な販売を心掛けていて、顧客からの評判が良い。このことが口コミで広まり、集客に役立っている。一方で、店舗の担当者からは、店舗の老朽化などの意見が寄せられている。
〔Z社を取り巻く経営環境〕
近年、競合他社から多くの類似商品が発売されてきている。これらのツアーは差別化が難しいので価格競争となり、利益が低下している。また、繰り返し海外旅行に出掛ける顧客が増え、ツアーに対するニーズが多様化してきている。例えば、アフリカ大陸の秘境を訪れる旅や、訪問先で環境保護のイベントに参加するなど特定の目的をもった旅に関する問合せが増えている。しかし、Z社のツアーは、これら顧客のニーズにこたえられる品ぞろえや、仕組みとはなっていないので、対応できていない。そのほか、自分オリジナルの旅行に出掛けたいという要望も寄せられているが、個別の要望に対応するには、手間や時間、ノウハウが必要となるので実施できていない。
Z社は、世界各地の多くの旅行会社(以下、ツアーオペレータという)と提携していて、これを強みとしている。ツアーオペレータは、現地の情報に詳しく、Z社からの依頼で宿泊施設や移動手段、食事、観光など、旅行素材の手配を専門に行っている。ツアーオペレータからは、著名な指揮者による演奏会や4年に1度開催されるサッカーのワールドカップのチケットなど、他社では入手が困難な“希少価値の高い旅行素材”が度々持ち込まれる。しかし、これをツアーに組み入れると、提供価格が高額となるので、手ごろな価格での提供を特徴としているZ社では活用していない。
Z社では、これらの状況から“競合他社との価格競争”及び“多様化した顧客ニーズ”の二つの課題への対応策として、“希少価値の高い旅行素材”を活用することにした。さらに、商品の見直し、対象顧客層の設定、販売施策の検討などを実施し、これまでの手ごろな価格での販売から、高付加価値による高価格での販売へと販売戦略を転換し、これに向かって経営資源をシフトすることにした。
〔商品の見直し〕
“希少価値の高い旅行素材”をテーマにしてツアーを構成した“テーマツアー”を開発する。例えば、有名な豪華客船でのクルーズをテーマにしたツアーに、ベテラン添乗員の同行、ゆとりある日程、荷物の配送サービスなどを付加して、最上級の旅を演出する。
また、“希少価値の高い旅行素材”に、自分がよく利用する航空会社や好みのホテル、レストラン、観光地などを組み合わせ、これに航空機の乗継情報やホテルの居心地の良い部屋など担当者のノウハウを提供して、自分オリジナルのこだわりの旅行計画を作ることができる“フリープラン”を新たに開発する。
これらの商品について、図に示す商品マップを作成し、それぞれの位置付けを確認した。
〔対象顧客層の設定〕
海外旅行を希望する人を、地理的変数や人口統計的変数、心理的変数、行動的変数などを使用して共通するニーズや特徴を明らかにし、グループ分けする。また、市場の規模や収益性、参入障壁、競合状態、相乗効果などの判断基準から、各グループの有効性を分析した。
その結果、“競合他社との価格競争”への対応には、価格が高くても質の高い旅行を求める“時間と資金に余裕のあるシニア世代”を対象顧客層に設定し、テーマツアーを提供することにした。しかし、もう一つの課題である“多様化した顧客ニーズ”への対応が不十分と判断し、“時間と資金に余裕のあるシニア世代”のほかに“a顧客”も併せて対象顧客層に設定し、フリープランを提供することにした。
〔販売施策の検討〕
店舗での対面販売は、顧客の要望を最大限に実現することを目標とする。中でもフリープランでは、個々の顧客の要望をヒアリングし、それに合ったプランを提示する。これを繰り返し行い、顧客とともにフリープランを作り上げ、その対応に満足してもらうことで付加価値を高め、高価格での販売を実現する。そのためには、店舗の担当者にも新たなスキルが求められるようになる。
また、店舗を改装し、顧客がゆっくりと商品を検討できるなど、施策に合った店舗作りを実現する。
以上に基づいて、販売戦略の転換を進めることにした。
設問1:
“テーマツアー”と“フリープラン”は、本文中の図のどの領域に位置付けられるか。それぞれの領域を、図中の記号で答えよ。
模範解答
テーマツアー:(領域)D
フリープラン:(領域)A
解説
解答の論理構成
-
軸の意味を把握する
図は水平方向が価格帯、垂直方向が旅行プランの自由度を示すマップです。右側ほど高価格、上側ほど顧客が主体的に旅程を組み立てるイメージになります。 -
“テーマツアー”の特性を整理
・本文に「“希少価値の高い旅行素材”をテーマにしてツアーを構成した“テーマツアー”を開発する。例えば、有名な豪華客船でのクルーズをテーマにしたツアーに、ベテラン添乗員の同行、ゆとりある日程、荷物の配送サービスなどを付加して、最上級の旅を演出する。」とあります。
・さらに「高付加価値による高価格での販売へと販売戦略を転換」と記載されています。
⇒ 価格は高いが、旅程は会社側が用意したパッケージを“選ぶ”形なので、高価格 × パッケージ型。
⇒ 図では右下象限=「領域D」。 -
“フリープラン”の特性を整理
・本文に「自分オリジナルのこだわりの旅行計画を作ることができる“フリープラン”を新たに開発する。」とあります。
・同じく販売方針は「高付加価値による高価格」であり、店舗でのヒアリングを通じて個別作成するとあります。
⇒ 価格は高い上に、顧客が主体となって“作る”プラン。
⇒ 図では右上象限=「領域A」。 -
結論
テーマツアー:領域D
フリープラン:領域A
誤りやすいポイント
- 「テーマツアーも顧客のアンケートを反映しているから“作る”側」と誤解し、上側に配置してしまう。アンケートは企画時点のインプットであり、購入時点の顧客行動は“選択”です。
- 「フリープランは顧客が組み合わせを自由にできるから価格も手ごろ」と短絡的に考え、左上に置いてしまう。本文では明確に「高付加価値による高価格」と記載されています。
- 商品マップの軸方向を取り違え、左右・上下を逆に読むミス。
FAQ
Q: テーマツアーはアンケート結果を反映しているのに、なぜ“選ぶ”側ですか?
A: 企画段階で顧客意見を取り入れても、販売時に顧客がする行動は用意されたコースを選択するだけだからです。本文の「ツアーの企画は、本部で行っている。」が示す通り、最終的な旅程は会社側が決定します。
A: 企画段階で顧客意見を取り入れても、販売時に顧客がする行動は用意されたコースを選択するだけだからです。本文の「ツアーの企画は、本部で行っている。」が示す通り、最終的な旅程は会社側が決定します。
Q: フリープランは“高価格”と断定してよいのでしょうか?
A: はい。本文には「高付加価値による高価格での販売へと販売戦略を転換」と明記され、また希少価値の高い旅行素材や担当者のノウハウを組み合わせることで単価が上がることが示唆されています。
A: はい。本文には「高付加価値による高価格での販売へと販売戦略を転換」と明記され、また希少価値の高い旅行素材や担当者のノウハウを組み合わせることで単価が上がることが示唆されています。
Q: 価格が高い=右側、自由度が高い=上側という読み方は公式に決まっているのですか?
A: 本文では軸のラベルそのものは明示されていませんが、販売戦略上の文脈(手ごろ⇔高級、選ぶ⇔作る)を踏まえて読めば自然に導けます。
A: 本文では軸のラベルそのものは明示されていませんが、販売戦略上の文脈(手ごろ⇔高級、選ぶ⇔作る)を踏まえて読めば自然に導けます。
関連キーワード: 市場セグメンテーション、ポジショニング、高付加価値戦略、カスタマイズ、ターゲティング
設問2:対象顧客層の設定について(1)、(2)に答えよ。
(1)本文中の下線部の判断基準は、マーケティングのどの段階で使用されるか。解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:自社の位置付けの確認
イ:市場の細分化
ウ:ターゲット市場の選定
エ:マーケティングミックスの検討
模範解答
ウ
解説
解答の論理構成
- 問題文では、まず「海外旅行を希望する人を、地理的変数や人口統計的変数、心理的変数、行動的変数などを使用して共通するニーズや特徴を明らかにし、グループ分けする。」と述べています。
→ これは市場を区分けする“市場の細分化(セグメンテーション)”の説明です。 - その直後に「また、市場の規模や収益性、参入障壁、競合状態、相乗効果などの判断基準から、各グループの有効性を分析した。」とあります。
→ 細分化した各セグメントを“どれだけ魅力的か”という基準で評価している段階です。 - さらに「その結果、“時間と資金に余裕のあるシニア世代”を対象顧客層に設定し…」と続き、実際に狙う顧客層を決定しています。
→ 評価後に“対象顧客層に設定”する行為は、マーケティング理論でいう“ターゲット市場の選定(Targeting)”に該当します。 - したがって、下線部の判断基準「市場の規模や収益性、参入障壁、競合状態、相乗効果など」は、市場細分化後に各セグメントを評価し選択する“ターゲット市場の選定”で用いる指標であり、解答群では「ウ:ターゲット市場の選定」が適切です。
誤りやすいポイント
- 「地理的変数~行動的変数」で区分けする部分まで読んで「イ:市場の細分化」と答えてしまう。実際にはその後に“評価・選定”まで行っている点を見落としやすいです。
- 「エ:マーケティングミックスの検討」と混同するケース。判断基準に“4P(製品・価格・流通・プロモーション)”の具体策が示されていないためマーケティングミックスではありません。
- “自社の位置付けの確認(ア)”と“ターゲット市場の選定(ウ)”の用語のニュアンス混同。市場規模や収益性などは自社ではなく“市場セグメント”を評価する指標であることに注意が必要です。
FAQ
Q: 「市場の規模や収益性」などをチェックした後に行う“ターゲット市場の選定”と“ポジショニング”は違うのですか?
A: “ターゲット市場の選定”は「狙うセグメントを絞り込む」段階、“ポジショニング”は「選んだターゲットに対して自社商品の立ち位置を明確にする」段階です。本問は前者に該当します。
A: “ターゲット市場の選定”は「狙うセグメントを絞り込む」段階、“ポジショニング”は「選んだターゲットに対して自社商品の立ち位置を明確にする」段階です。本問は前者に該当します。
Q: 「参入障壁」「競合状態」はなぜ評価対象になるのですか?
A: 参入障壁が高く競合が少ないセグメントは利益率が高くなる可能性があるためです。選定時に魅力度を測る典型的な指標として用いられます。
A: 参入障壁が高く競合が少ないセグメントは利益率が高くなる可能性があるためです。選定時に魅力度を測る典型的な指標として用いられます。
Q: 判断基準に「相乗効果」とありますが、具体的には何を指しますか?
A: 既存事業や経営資源と“相乗効果”が見込めるかどうか、例えば既存チャネルや提携先を活用できるか、ブランド強化につながるか、などを指します。
A: 既存事業や経営資源と“相乗効果”が見込めるかどうか、例えば既存チャネルや提携先を活用できるか、ブランド強化につながるか、などを指します。
関連キーワード: 市場細分化、ターゲティング、セグメンテーション、ポジショニング、4P
設問2:対象顧客層の設定について(1)、(2)に答えよ。
(2)本文中のaに入れる適切な字句を、Z社の課題に考慮して、20字以内で述べよ。
模範解答
「自分オリジナルの旅行に出掛けたい」
または
「繰り返し海外旅行に出掛ける」
解説
解答の論理構成
- 課題の整理
- 価格競争への対策は“時間と資金に余裕のあるシニア世代”で対応すると本文に明記されています。
引用:“価格が高くても質の高い旅行を求める“時間と資金に余裕のあるシニア世代”を対象顧客層に設定し、テーマツアーを提供することにした。”
- 価格競争への対策は“時間と資金に余裕のあるシニア世代”で対応すると本文に明記されています。
- 多様化ニーズへの追加ターゲットが必要
- 本文は多様化の具体例として二つの顧客像を列挙しています。
① “繰り返し海外旅行に出掛ける顧客が増え、ツアーに対するニーズが多様化してきている。”
② “自分オリジナルの旅行に出掛けたいという要望も寄せられているが、個別の要望に対応するには…”
- 本文は多様化の具体例として二つの顧客像を列挙しています。
- フリープランの開発目的
- “自分がよく利用する航空会社や好みのホテル…自分オリジナルのこだわりの旅行計画を作ることができる“フリープラン”を新たに開発する。”
- したがって、フリープランは②のニーズに直接対応していることが分かります。
- a に入る顧客像の決定
- ““多様化した顧客ニーズ”への対応が不十分と判断し、“時間と資金に余裕のあるシニア世代”のほかに“a顧客”も併せて対象顧客層に設定し、フリープランを提供することにした。”
- 多様化ニーズを代表し、フリープランと合致するのは②の要望です。
- 以上より、a には
「自分オリジナルの旅行に出掛けたい」
を入れるのが適切です。
誤りやすいポイント
- “繰り返し海外旅行に出掛ける顧客”を選ぶと、フリープランの“オリジナル志向”を見落とす受験生がいます。
- “シニア世代”を二重に設定してしまい、課題の切り分け(価格競争 vs 多様化)を取り違えるミス。
- “希少価値の高い旅行素材”に目が向きすぎ、ターゲットではなく商品特徴を入れてしまう誤答。
FAQ
Q: どちらの顧客像でも正解になるのですか?
A: 問題文は多様化ニーズの例を二つ提示しているため、どちらを選んでも論理的整合性があります。模範解答でも両方示されています。
A: 問題文は多様化ニーズの例を二つ提示しているため、どちらを選んでも論理的整合性があります。模範解答でも両方示されています。
Q: “フリープラン”と“テーマツアー”の違いは?
A: “テーマツアー”は商品側が用意した豪華素材を楽しむパッケージ、“フリープラン”は顧客要望をヒアリングして旅行素材を組み合わせ、オーダーメイド感を提供する点が異なります。
A: “テーマツアー”は商品側が用意した豪華素材を楽しむパッケージ、“フリープラン”は顧客要望をヒアリングして旅行素材を組み合わせ、オーダーメイド感を提供する点が異なります。
Q: 店舗担当者に求められる“新たなスキル”とは?
A: 顧客ヒアリング能力、旅行素材の組合せ提案力、そして高価格帯商品を納得してもらうためのプレゼンテーション力などです。
A: 顧客ヒアリング能力、旅行素材の組合せ提案力、そして高価格帯商品を納得してもらうためのプレゼンテーション力などです。
関連キーワード: セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、付加価値、顧客ニーズ
設問3:販売施策の検討について(1)、(2)に答えよ。
(1)店舗での対面販売において、店舗の担当者に求められるようになる新たなスキルを30字以内で具体的に述べよ。
模範解答
世界各地のホテルや交通機関の事情についての専門知識の活用
解説
解答の論理構成
- 【問題文】の「店舗での対面販売は、顧客の要望を最大限に実現することを目標とする」「そのためには、店舗の担当者にも新たなスキルが求められるようになる。」から、フリープランの作成を支える専門的な知識が追加で必要になると読み取れます。
- その専門知識の具体例を【問題文】の別箇所に探すと、「ツアーを企画する担当者には、世界各地のホテルや交通機関の事情についての専門知識などが求められる。」と明記されています。
- フリープランは「自分オリジナルのこだわりの旅行計画」を組み立てる商品であり、顧客の細かな要望に応じて宿泊施設・移動手段を柔軟に組み合わせる必要があります。したがって、店舗担当者にも同じ「世界各地のホテルや交通機関の事情についての専門知識」を活用するスキルが必須と結論付けられます。
- 以上より、解答は「世界各地のホテルや交通機関の事情についての専門知識の活用」となります。
誤りやすいポイント
- 「ヒアリング能力」「コミュニケーション力」など一般的な接客スキルだけを書くと、【問題文】の具体的な“新たなスキル”の説明にならず失点しやすいです。
- 「ツアーオペレータとの交渉力」などを挙げる受験者もいますが、現場で顧客とプランを作る工程に直接結び付きません。
- 既存業務で求められていた説明力と混同し、「パンフレット説明力」と書くのも誤答となります。
FAQ
Q: なぜ“専門知識”であって“コミュニケーション能力”ではないのですか?
A: 店舗担当者は既に丁寧な接客で評価されています。【問題文】が「新たなスキル」として強調しているのは、フリープランを組むための具体的な旅行素材の知識です。
A: 店舗担当者は既に丁寧な接客で評価されています。【問題文】が「新たなスキル」として強調しているのは、フリープランを組むための具体的な旅行素材の知識です。
Q: 「世界各地のホテルや交通機関の事情」はどのように活用されるのですか?
A: 顧客の要望に沿って航空機の乗継や快適な部屋を提案するなど、オーダーメイド旅行の品質向上に直結します。
A: 顧客の要望に沿って航空機の乗継や快適な部屋を提案するなど、オーダーメイド旅行の品質向上に直結します。
Q: 企画担当者の業務内容をそのまま店舗担当者が行うことになるのですか?
A: 全てを行うわけではありませんが、顧客との対話を通じたプラン作成に必要な範囲で同等の知識を活用することが求められます。
A: 全てを行うわけではありませんが、顧客との対話を通じたプラン作成に必要な範囲で同等の知識を活用することが求められます。
関連キーワード: カスタマイゼーション、対面販売、顧客志向、付加価値、専門知識
設問3:販売施策の検討について(1)、(2)に答えよ。
(2)店舗作りのコンセプト案として、Z社の施策から考えて適切でないものを解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:機能と効率を優先したカフェのイメージ
イ:高級感とくつろいだ雰囲気を演出するラウンジのイメージ
ウ:自分にフィットしたものを提供してくれるブティックのイメージ
模範解答
ア
解説
解答の論理構成
-
施策の目的
- 【問題文】では店舗販売のゴールを「顧客の要望を最大限に実現すること」と明記し、さらにフリープランについて「顧客とともにフリープランを作り上げ、その対応に満足してもらうことで付加価値を高め、高価格での販売を実現する」と述べています。
- そのため店舗自体も「顧客がゆっくりと商品を検討できる」環境に改装するとしています。
-
望ましい店舗イメージ
- 高単価・高付加価値の商品を検討するには、落ち着ける空間で担当者と対話しながら時間をかけて決める体験が必要です。
- したがって「高級感とくつろいだ雰囲気を演出するラウンジのイメージ」や「自分にフィットしたものを提供してくれるブティックのイメージ」は、対話型・提案型販売に合致します。
-
不適切な案の判断
- 選択肢「ア:機能と効率を優先したカフェのイメージ」は“効率重視”が前面に出ており、長時間の相談やパーソナル提案には不向きです。
- 「ゆっくりと商品を検討できる」環境とは対極にあるため、Z社の施策にそぐわないと判断できます。
-
結論
- よって適切でないものは「ア」となります。
誤りやすいポイント
- 「カフェ=リラックスできる」と早合点し、時間をかけた提案に適すると誤解する。実際は“機能と効率”が強調されており回転率重視のイメージ。
- 問題文のキーワード「ゆっくり」「満足してもらう」「高価格での販売」を読み飛ばし、低価格大量販売型と混同してしまう。
- 選択肢ウを「ファッションの例だから旅行とは無関係」と除外してしまう。ブティックは“個別対応”“パーソナライズ”の象徴であり本施策に適合する。
FAQ
Q: ラウンジとブティック、どちらがより適切ですか?
A: どちらも「高級感」「パーソナル対応」という点で目指す方向に合致しており、いずれも“適切”と判断できます。問題は“不適切”を選ぶ設問なので両者の優劣をつける必要はありません。
A: どちらも「高級感」「パーソナル対応」という点で目指す方向に合致しており、いずれも“適切”と判断できます。問題は“不適切”を選ぶ設問なので両者の優劣をつける必要はありません。
Q: カフェでも高級路線にすればよいのでは?
A: 「機能と効率を優先したカフェのイメージ」と明記されているため、高級カフェではなく回転率重視の業態を想定しています。文面通りに読むことが重要です。
A: 「機能と効率を優先したカフェのイメージ」と明記されているため、高級カフェではなく回転率重視の業態を想定しています。文面通りに読むことが重要です。
Q: 「ゆっくり検討できる」以外に重視すべき店舗要素は?
A: Z社の場合、担当者と顧客のコミュニケーションを深めるためのプライバシー確保、資料を見やすいテーブル配置、長時間滞在でも疲れない椅子などもポイントになります。
A: Z社の場合、担当者と顧客のコミュニケーションを深めるためのプライバシー確保、資料を見やすいテーブル配置、長時間滞在でも疲れない椅子などもポイントになります。
関連キーワード: セグメンテーション、バリュープロポジション、カスタマーエクスペリエンス、付加価値、対面販売
設問4:
販売戦略の転換の検討過程において、従来のツアーの販売継続についても検討した。販売を継続する場合のメリット、デメリットを、経営リスクの観点からそれぞれ30字以内で述べよ。
模範解答
メリット:新商品の売上が目標未達成のときに補てんが見込める。
デメリット:「高級化へのブランドイメージの転換が市場に浸透しない。」
または
「経営資源が分散されるので、販売戦略の転換が遅れる。」
解説
解答の論理構成
-
現状把握
- 問題文には「これまでの手ごろな価格での販売から、高付加価値による高価格での販売へと販売戦略を転換」するとあります。この転換により、従来ツアーを継続するか否かが経営リスクになります。
-
メリットの根拠
- 新戦略が予定どおり成果を上げるとは限りません。問題文中に「競合他社との価格競争…利益が低下」とあるように、外部要因で売上が変動しやすい市場です。
- 従来ツアーを継続しておけば、もし「高付加価値」商品の売上が伸び悩んでも、既存顧客の安定需要で損失を補えるため、「新商品の売上が目標未達成のときに補てんが見込める。」が妥当です。
-
デメリットの根拠
- 経営資源(人員・時間・店舗スペースなど)は有限です。問題文には「これに向かって経営資源をシフトすることにした」と明記されています。従来商品を並行販売すると資源が分散し、転換速度が落ちるリスクがあります。
- さらに、同じ店舗で手ごろ価格と高級価格を同時に扱うと、顧客のブランドイメージが曖昧になり、「高付加価値=高価格」というポジショニングが浸透しにくくなります。
- よってデメリットは「経営資源が分散されるので、販売戦略の転換が遅れる。」または「高級化へのブランドイメージの転換が市場に浸透しない。」となります。
誤りやすいポイント
- メリット・デメリットの視点が“売上規模”に偏り、転換失敗時のリスクヘッジやブランド確立など“経営リスク”の観点を見落としやすい。
- デメリットを「従来商品の利益率が低い」のように単なる現状課題として書き、戦略転換との因果関係を示せず減点されがち。
- 「経営資源が分散」の具体例(人員・広告費など)を書き過ぎ、設問が求める要点をぼかしてしまう。
FAQ
Q: 従来ツアーを完全に廃止するとどんなリスクがありますか?
A: 既存顧客の流出、売上の急減、キャッシュフロー悪化といった短期的リスクが高まります。そこで“補てんが見込める”というメリットが重要になります。
A: 既存顧客の流出、売上の急減、キャッシュフロー悪化といった短期的リスクが高まります。そこで“補てんが見込める”というメリットが重要になります。
Q: ブランドイメージの浸透はなぜ経営リスクにつながるのですか?
A: 高級路線が消費者に定着しないと高価格設定が正当化できず、価格弾力性が上がり利益計画が崩れるためです。
A: 高級路線が消費者に定着しないと高価格設定が正当化できず、価格弾力性が上がり利益計画が崩れるためです。
Q: 資源分散による転換遅延の影響は?
A: 競合が先に高付加価値市場を押さえる、店舗改装や従業員教育が中途半端になるなど、機会損失と追加コストの両面でリスクが拡大します。
A: 競合が先に高付加価値市場を押さえる、店舗改装や従業員教育が中途半端になるなど、機会損失と追加コストの両面でリスクが拡大します。
関連キーワード: リスクヘッジ、ブランド戦略、経営資源配分、セグメンテーション、ポジショニング


