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応用情報技術者 2010年 秋期 午前227


問題文

コンピュータグラフィックスに関する記述のうち、適切なものはどれか。

選択肢

テクスチャマッピングは、すべてのピクセルについて、視線とすべての物体との交点を計算し、その中から視点に最も近い交点を選択することによって、隠面消去を行う。
メタボールは、反射・透過方向への視線追跡を行わず、与えられた空間中のデータから輝度を計算する。
ラジオシティ法は、拡散反射面間の相互反射による効果を考慮して拡散反射面の輝度を決める。(正解)
レイトレーシング法は、形状が定義された物体の表面に、別に定義された模様を張り付けて画像を作成する。

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ラジオシティ法の拡散反射【午前2解説】

正解の理由

ラジオシティ法は、拡散反射(拡散面)の間での相互照明を物理的にモデル化して輝度(放射輝度や放射率)を求める手法です。面同士が光をやり取りする「相互反射(間接光)」を考慮する点が特徴であり、したがって選択肢の が正しいといえます。ラジオシティは視点に依存しない(view‑independent)解を求め、面ごとのエネルギ保存則とフォームファクタ(面間の幾何学的寄与)を用いて輝度を決定します。

解法ステップ

  1. 各選択肢のキーワード(テクスチャマッピング、メタボール、ラジオシティ、レイトレーシング)について定義を確認する。
  2. ラジオシティが何を扱うか(拡散反射、相互反射、面単位での輝度計算)を思い出す。
  3. 他の選択肢の記述が定義と合致しているかを検証する(レンダリング手法と表現の混同がないかを確認)。
  4. 最も定義に合致するものを選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 「テクスチャマッピングは、すべてのピクセルについて視線とすべての物体との交点を計算し…隠面消去を行う。」
    • 誤り。テクスチャマッピングは表面に模様(画像)を貼る技術であり、隠面消去(可視性の決定)は別の処理です。隠面消去は zバッファ、スキャンライン法、BSP、あるいはレイトレーシング(視線追跡)など複数の手法で行われます。テクスチャ貼付は可視点が決まった後のシェーディング段階で適用されることが多いので、命題は概念を取り違えています。
  • イ: 「メタボールは、反射・透過方向への視線追跡を行わず、与えられた空間中のデータから輝度を計算する。」
    • 誤り。メタボール(メタクル)自体はスカラー場(影響関数の和)の等値面として定義される暗黙的な形状表現です。メタボールはオブジェクトの表現であり、レンダリング方法(ポリゴン化してラスタライズ、あるいはレイキャスティング/レイトレーシングで描画)とは独立です。したがって「視線追跡を行わない」と断定できず、記述は不正確です。
  • : 「ラジオシティ法は、拡散反射面間の相互反射による効果を考慮して拡散反射面の輝度を決める。」
    • 正しい。ラジオシティは拡散面間のエネルギー交換(間接光)を解くため、拡散反射のみを前提にした放射輝度方程式を扱います。形式的には面ごとの放射輝度 を、放射出力 、反射率 、フォームファクタ を用いて のように表現します(離散化した場合)。
  • エ: 「レイトレーシング法は、形状が定義された物体の表面に、別に定義された模様を張り付けて画像を作成する。」
    • 誤り。レイトレーシング(ray tracing)は主に視線を逆に追跡して交差点での光輸送(直接光、反射、透過など)を計算するレンダリング手法であり、テクスチャ貼付(模様を表面に張る)はテクスチャマッピングという別処理です。レイトレーシングの過程でテクスチャ座標を用いてテクスチャを参照することはありますが、「レイトレーシング=模様を張り付ける」ではありません。

よくある誤解

  • テクスチャマッピングと隠面消去を混同する
    • テクスチャは表面属性(色・凹凸)を与える処理で、隠面消去は可視性(どの面が見えているか)を決める処理。処理の役割が異なります。
  • 隠面消去は必ずレイトレーシングで行うと思い込む
    • 隠面消去には zバッファやスキャンライン法など高速なラスタライズ向け手法があり、レイトレーシングはその一例に過ぎません。
  • メタボール=レンダリング手法と考える誤り
    • メタボールは形状の表現方法(暗黙曲面)です。レンダリングにはポリゴン化やレイキャストなど様々な手法が使えます。

補足コラム

ラジオシティ法の特徴と実用面:
  • 視点非依存解:シーン全体の拡散光分布を解くため、一度計算すれば複数視点で再利用可能です(静的シーン向き)。
  • フォームファクタ:2面間の見えやすさ・幾何学的寄与を示す を計算することが中心問題になります。数値計算にはパッチ分割(有限要素的離散化)やガザリング、プログレッシブラジオシティといった手法が使われます。
  • 限界:純粋なラジオシティは鏡面反射(ハイライト)や透過を扱えないため、フォトリアルな表現ではレイトレーシングやポスト処理と組み合わせるのが一般的です(ハイブリッド法)。
参考式(離散ラジオシティ方程式):
ここで は面 i の放射輝度、 は自発光、 は反射率、 はフォームファクタ。

FAQ

Q: ラジオシティは鏡面反射を扱えますか?
A: 基本のラジオシティは拡散反射のみを仮定するため扱えません。鏡面成分を扱うにはレイトレーシングとの併用やハイブリッド手法が必要です。
Q: メタボールはどうやって描画しますか?
A: 一般には等値面をポリゴン化(例:Marching Cubes)してラスタライズするか、レイキャスティング/レイトレーシングで暗黙面の交差を求めて描画します。レンダリング手法は表現と独立です。
Q: 隠面消去の高速手法は?
A: 実装上は zバッファ(深度バッファ)によるピクセル単位の深度比較が最も一般的です。スキャンライン法やBSPツリー、あるいはレイトレーシングも可視性判定に用いられます。

関連キーワード: コンピュータグラフィックス、ラジオシティ、拡散反射、フォームファクタ、テクスチャマッピング、隠面消去、zバッファ、メタボール、レイトレーシング
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