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応用情報技術者 2010年 秋期 午前280


問題文

A社は,B社に委託して開発したハードウェアに,C 社が開発して販売したソフトウェアパッケージを購入して実装し、組込み機器を製造した。A社はこの機器を自社製品として出荷した。小売店の D 社は、この製品を仕入れて販売した。ソフトウェアパッケージに含まれていた欠陥が原因で、利用者が損害を受けたとき、製造物責任法(PL 法)上の責任を負うのはだれか。ここで、A社、B社、C 社、D 社及び損害を受けた利用者はすべて日本国内の法人又は個人とする。

選択肢

機器を製造し出荷したA社が責任を負う。(正解)
ソフトウェアを開発し販売した C社が責任を負う。
ハードウェアを開発したB社が責任を負う。
販売したD社が責任を負う。

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製造物責任の帰属【午前2解説】

正解の理由

本問では、最終製品として市販された組込み機器に含まれる欠陥(ソフトウェア由来)によって利用者が被害を受けた場合のPL法上の責任主体を判定します。製造物責任法(PL法)は、欠陥のある「製造物」を製造し、販売等した者に対して無過失責任を負わせる制度です。今回の事例では、A社がハード・ソフトを組み込み、自社製品として出荷しているため、PL法上の「製造者」ないし最終製造者にあたり主たる責任を負います。したがって (A社が責任を負う)は妥当です。
ただし重要な点として、欠陥原因が部品やソフトウェアそのものにあり、その供給者がPL法上の「製造者」に該当する場合には、B社やC社も個別事案で責任を問われ得ます。販売のみを行ったD社は通常は主要な責任主体ではありませんが、販売形態や表示内容によっては責任が生じ得ます(後述参照)。

解法ステップ

  1. 「製造者」の定義を確認する(最終製品として市場に出した者、又は自らの名称で販売した者が主に対象)。
  2. 事実関係を整理する(誰が組立・実装し、誰の名で出荷したか)。
  3. 欠陥の原因帰属を考える(ソフトウェア自体の欠陥か、組込や連携ミスか)。
  4. 各当事者がPL法上の「製造者」や「供給者」に該当するかを判断する(該当するときは複数の責任主体になり得る)。
  5. 結論として、最終製品を製造・出荷した者を主要な責任主体とする(本問ではA社)。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 機器を製造し出荷したA社が責任を負う。
    正解。A社は自社製品として市場に出荷しており、PL法上の最終製造者として主たる責任を負う。製造物が欠陥で損害が生じた場合、債務不履行や過失証明を要せず、欠陥・原因・損害の立証があればA社に責任が及ぶ。
  • イ: ソフトウェアを開発し販売したC社が責任を負う。
    ソフトウェア提供者が必ずしも直接のPL責任主体とならない。組込みソフトが製造物の一部として欠陥原因そのものと認められる場合や、C社が自ら製品として出荷した場合にはC社も責任を負う可能性があるが、本件ではA社が最終製造者として出荷しているため原則的にはA社が主要責任者となる。
  • ウ: ハードウェアを開発したB社が責任を負う。
    B社はハードの開発を担当したが、組立・出荷を行ったのはA社であるため、一般的にはA社が主要責任を負う。ただし、欠陥原因がB社の製造した部品やハード設計に直接由来する場合は、B社もPL責任を負う可能性がある。
  • エ: 販売したD社が責任を負う。
    小売店は通常は販売者としての位置にあり、原則的に製造者ほどの責任は負わない。例外的に販売者が自らを製造者として表示していたり、製造者が不明で代位的責任が問われる場合には責任が及ぶことがあるが、本問の通常の流通形態ではD社が主要責任者となる根拠は薄い。

よくある誤解

  • 誤解1: 「最初に欠陥を作った者だけが責任を負う」
    実際は、最終製品を市場に出した者(最終製造者)がPL法上の主要責任者となることが多い。欠陥の原因が部品・ソフト自体にある場合には、供給者も個別に責任を問われ得るため、作成者のみに限定されない。
  • 誤解2: 「ソフトウェアはPL法の対象外」
    組込みソフトウェアがハードと一体化した製品の一部として欠陥原因となる場合、PL法上対象となり得る。純粋なサービス型ソフト等は別途検討が必要。

補足コラム

PL法における責任のイメージは「欠陥がある製造物を出荷した者に対する無過失責任」です。被害者は以下の3点を立証する必要があります。
  • 欠陥(製造物が通常有すべき安全性を欠くこと)
  • 損害(身体・財産上の損害)
  • 因果関係(欠陥と損害との間の因果)
一方で、製造者側は欠陥不存在や回避可能性(例:公知の危険回避は不可能だった等)を主張して責任を軽減・否定することもあります。また、複数の事業者が関与する場合は訴訟上で連帯して責任が問われることもあり、後で負担割合を清算する仕組みになります。
短い具体例: A社が汎用ソフトを買って組み込んだ機器で事故発生 → 欠陥がソフトのバグと判明した場合、A社は最終製造者としてまず請求を受ける。C社のソフトが直接原因であると証明されれば、C社も責任を問われ得る。

FAQ

Q1: ソフトウェア単体を販売した会社は必ずPL責任を負いますか?
A1: 必ずではありません。ソフトが単独で提供されるサービス的な性質か、ハードに組み込まれ製品の一部として機能しているかで判断が分かれます。組込ソフトは製造物の一部として扱われ得ます。
Q2: 小売店(D社)はどんな場合に責任を負いますか?
A2: 小売店が自らを製造者として表示している場合や、製造者が判明しない場合には代位的に責任が及ぶ可能性があります。通常は最終製造者への追及が先になります。
Q3: 責任の分担はどう決まりますか?
A3: 裁判等で欠陥の原因と各社の関与度合いを検討し、連帯責任や求償によって負担割合が清算されます。法律上は被害者の保護を優先し、事業者間の内部調整は別途行われます。

関連キーワード: 製造物責任、PL法、最終製造者、組込みソフト、部品供給者、販売者責任、欠陥立証、因果関係
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