応用情報技術者 2011年 秋期 午前2 問73
問題文
電機メーカのA社は、GPLが適用されたオープンソースソフトウェアの一部を改変した二次的著作物を搭載してテレビの新製品を開発した。この製品を販売するに当たり、A社が求められるGPLのルールに則した適切な対応はどれか。
選択肢
ア:請求があればA社が修正した部分を含む全ての二次的著作物のソースコードを公開しなければならない。(正解)
イ:二次的著作物に静的にリンクしている、別のアプリケーションのソースコードは公開しなくてもよい。
ウ:二次的著作物のソースコードを公開する際には、諸費用などの対価を請求してはならない。
エ:二次的著作物を入手した購入者が、その複製を再配布することを禁止しなければならない。
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GPLのソース公開義務【午前2解説】
正解の理由
A社が自社製品にGPL適用の改変済みソフトウェアを組み込み、テレビを販売した行為は「配布(頒布)」に当たります。GPLは配布を行う者に対して、受領者が実行・再利用できるように対応することを要求します。具体的には、改変した二次的著作物(および配布したバイナリに対応する完全なソースコードと、ビルド/インストールに必要なスクリプト等)を受領者に提供する義務があります。したがって、選択肢の中では ア が正しい対応を示しています。
なお、GPLは「ソース提供時に一切の料金請求を禁じる」ものではありません。例えば、ソースを物理メディアで郵送する場合にその実費(媒介費用)や、GPL本文が明示する「物理的な移転のための手数料」を請求することは許されています。書面による提供オファー(ソース入手方法を示す書面)を用いる場合にも、その提供にかかる物理的な媒費の範囲で料金を請求できる旨がライセンス文書に示されています。
解法ステップ
- 配布の有無を確認する
- 製品(テレビ)を販売しているため「配布」に該当する。内部利用だけなら義務は発生しないが、販売は配布である。
- 適用ライセンスの要件を確認する
- GPLは配布時にソースコード(改変部分を含む)を受領者に提供することを要求する。提供方法は同梱、またはバイナリ配布時の書面オファー等。
- 各選択肢とライセンス要件を照合する
- ソース提供の範囲、リンクの影響、料金徴収の可否、再配布禁止の可否をライセンス条項と照らして判定する。
- 正答を決定する
- 上記照合により、改変を含む全ての二次的著作物のソース提供を求める ア が適合する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 正しい
- 改変した部分を含む二次的著作物のソース(ビルドに必要なスクリプト等を含む)を、受領者に提供しなければならない。提供方法はバイナリに同梱、またはバイナリ配布時にソース取得方法を書面で示す等がある。
- イ: 誤り
- 「静的にリンクしている別のアプリケーションのソースは公開不要」という記述は一般に誤り。静的リンクは結合されたプログラムを作るため、GPL適用コードと結合された部分も二次的著作物と判断されやすく、ソース提供義務が及ぶ可能性が高い。動的リンクか静的リンクかのみで自動的に免除されるわけではなく、結合の程度や派生性の判断が重要である。
- ウ: 誤り(ただし一部正しい点あり)
- 「諸費用などの対価を請求してはならない」は不正確。GPLはソースコード自体の無償公開を要求するが、物理的な頒布(媒体の実費や発送費)や、GPLが明示する範囲での手数料の請求は認められている。重要なのは、ライセンスが要求する範囲を超えて受領者の再利用・再配布権を制限してはならないこと。
- エ: 明確に誤り
- GPLは受領者に対して再配布を許諾するライセンスであり、受領者が複製や再配布することを禁止することはできない。逆に、追加的制限(再配布の禁止など)を課すことはライセンス違反である。
よくある誤解
- 「GPLの下では一切料金を取れない」
- 誤り。製品やソースの頒布自体に対して料金を取ることは可能。ただし、受領者に対する再利用・再配布権を制限してはならない。ソースの郵送料や物理メディアの実費を請求することも許される。
- 「動的リンクなら必ず安全」
- 動的リンクだからといって自動的に免除されるとは限らない。結合の程度や著作物性により、ライセンス上の義務が及ぶ場合があるため注意が必要。
- 「配布しなければ何でもできる」
- 企業内でのみ使う(配布しない)場合はソース開示義務は発生しないが、製品を外部に渡す(販売、提供)と義務が発生する。
補足コラム
- ソースコードの範囲
- GPLでいう「ソースコード」には、標準的に「最も高水準に近い形のソース(human-readable)」「ビルドやインストールに必要なスクリプト」「バイナリと対応するすべてのファイル」が含まれます。単に改変部分だけでなく、バイナリを再現するために必要な全てが対象です。
- 提供方法の実務
- 一般的な対応策としては、製品にソースを同梱するか、製品包装やマニュアルにソース入手方法(ダウンロードURLや書面オファー)を明示する方法があります。書面オファーを用いる場合、提供可能期間や実費範囲の管理・記録を残しておくと良いでしょう。
- ライセンスバージョンの違い(簡潔)
- GPLv2では「書面によるオファー等」の扱いがあり、GPLv3ではさらに明確化・追加の条項(特許や反回避規定など)がある。ネットワーク越しの利用を対象にしたAGPLは、配布を伴わないネットワーク経由の提供に対しても同様のソース提供義務を課します。
FAQ
Q: 製品に組み込んだGPL改変コードをウェブ上に公開しないとダメか?
A: 「必ずウェブで公開しなければならない」とは限りません。重要なのは受領者がソースを入手できることです。ウェブ公開は一般的で便利な手段ですが、同梱や書面オファーでも要件は満たせます。
A: 「必ずウェブで公開しなければならない」とは限りません。重要なのは受領者がソースを入手できることです。ウェブ公開は一般的で便利な手段ですが、同梱や書面オファーでも要件は満たせます。
Q: 改変箇所だけを出せば十分か?
A: 改変箇所だけでなく、バイナリを再現するために必要な完全なソース(ビルドスクリプト等)を提供する必要があります。
A: 改変箇所だけでなく、バイナリを再現するために必要な完全なソース(ビルドスクリプト等)を提供する必要があります。
Q: 「購入者に再配布を禁止させればよい」は可能か?
A: 不可です。GPLにより受領者は再配布の権利を持ち、配布者がこれを禁止することはライセンス違反になります。
A: 不可です。GPLにより受領者は再配布の権利を持ち、配布者がこれを禁止することはライセンス違反になります。
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