応用情報技術者 2012年 秋期 午前2 問80
問題文
ソフトウェアやデータに瑕疵がある場合に、製造物責任法の対象となるものはどれか。
選択肢
ア:ROM 化したソフトウェアを内蔵した組込み機器(正解)
イ:アプリケーションが CD-ROMに入ったソフトウェアパッケージ
ウ:利用者がOSをインストールしたPC
エ:利用者によってネットワークからダウンロードされたデータ
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製造物責任法の対象範囲【午前2解説】
正解の理由
製造物責任法(PL法)は「有形の製造物」に欠陥があり、それによって人や物に損害が生じた場合に製造業者等が責任を負う制度です。組込み機器にROM化したソフトウェアが内蔵されている場合、そのソフトウェアは当該機器の一部として一体化しており、機器自体(有形の製造物)の欠陥として扱われうるため、設問ではアが製造物責任法の対象になります。
一方、アプリケーションを記録したCD-ROMや利用者が後からインストールしたOS、ネットワークからダウンロードしたデータは、原則として「無形のソフトウェア」や「個別に配布されるデータ」であり、ソフトウェアそのものの瑕疵(バグや設計ミス)だけではPL法の対象になりません。ただし、CD-ROM自体の物理的欠陥(例えば鋭利な破片が飛散して物理的損害を生じた場合)は、媒体という有形物の欠陥としてPL法の対象になり得ます。したがって、選択肢の中で製造物(機器)に組み込まれ一体化しているケースが適切であり、アが正解です。
解法ステップ
- 「製造物責任法が扱う対象」を確認する:有形の製造物が原則。
- 各選択肢について「有形か無形か」「製造物に一体化しているか」を判定する。
- 組込みでROMに焼かれ機器の一部となっているソフトは一体化(有形の製造物の一部)と判断。
- CD-ROMは媒体(有形)とソフト(無形)を区別。ソフト自体の瑕疵は無形で対象外。
- 利用者が後からインストールしたソフトやダウンロードデータは利用者側の配布・取得であり無形で対象外。
- 「有形の製造物の欠陥として扱えるか」を基準に正答を選ぶ。
- 例外(媒体の物理欠陥など)を検討し、設問文の表現に合わせて最も妥当な選択肢を決定する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 組込み機器にROM化して内蔵されたソフトウェアは、その機器の構成部分として一体化しているため、機器の欠陥としてPL法の適用対象になりうる。製造者の責任追及が可能なケースが多い点で本問の正解となる。
- イ: CD-ROMに入ったソフトウェアは、媒体(CD-ROM)と中身(ソフト)を分けて考える必要がある。ソフトのバグそのものは無形でPL法の対象外だが、CD-ROM自体に物理的・製造的欠陥がありそれが直接の損害原因になった場合は媒体として有形の製造物の欠陥に該当する可能性がある。設問はソフトの瑕疵を問うためイは不適切。
- ウ: PC本体は有形の製造物であり、本体の製造上の欠陥はPL法の対象だが、「利用者がOSをインストールした」場合、そのOSの瑕疵は元来の機器の製造物責任とは区別される。OSが事前にメーカーによってプリインストールされている(出荷時から一体化している)場合は評価が変わるが、本問は利用者が後からインストールしたケースなのでPL法の対象とはならない。
- エ: ネットワークからダウンロードされたデータは無形の情報であり、原則PL法の対象外。ダウンロードによる被害は契約責任や不法行為責任、製品保証とは別の法的論点で処理されることが多い。
よくある誤解
- 「ソフトウェアが入っていればすべて製造物責任法の対象だ」と誤解する。ポイントは「一体化しているか(有形の製造物の一部か)」であり、配布形態や時点により扱いが変わる。
- 「CD-ROM=有形だから常にPL法適用」と考えるのも誤り。媒体の物理欠陥は対象になり得るが、媒体に記録されたプログラムそのもののバグは無形で原則対象外。
- 「PCに入っているソフトなら製造者の責任」と混同しやすいが、メーカーが出荷時に組込・プリインストールしたソフトと、利用者が後からインストールしたソフトでは法的評価が異なる点に注意。
補足コラム
- 組込みソフトやファームウェアは機器の動作に直接関与するため、実務上は機器の欠陥として取り扱われることが多いです。メーカーが製品の仕様として提供・管理しているソフトは製造物の一部とみなされやすく、製造者責任の対象となる可能性が高くなります。
- ソフトウェアの瑕疵で被害が出た場合でも、PL法でカバーできないケースでは民法上の不法行為責任や契約責任(瑕疵担保、保証)で対応することが一般的です。被害回復や責任追及のルートが異なるため、問題文の条件を正確に読み分けることが重要です。
FAQ
Q1: メーカーが提供するダウンロード更新(ファームウェア・アップデート)で事故が起きたらPL法の対象になりますか?
A1: 更新が製品の仕様に組み込まれ、メーカーの管理下で機器の一部として提供されている場合は、PL法の対象となる可能性があります。提供形態・時点・一体性の判断が鍵です。
A1: 更新が製品の仕様に組み込まれ、メーカーの管理下で機器の一部として提供されている場合は、PL法の対象となる可能性があります。提供形態・時点・一体性の判断が鍵です。
Q2: CD-ROMに入ったソフトのバグで機器が壊れたら製造物責任になるか?
A2: ソフトのバグ自体は無形の瑕疵でPL法の対象外が原則ですが、CD-ROMの物理欠陥による直接の物理損害なら媒体の有形欠陥として検討されます。被害原因を因果関係で分けて考える必要があります。
A2: ソフトのバグ自体は無形の瑕疵でPL法の対象外が原則ですが、CD-ROMの物理欠陥による直接の物理損害なら媒体の有形欠陥として検討されます。被害原因を因果関係で分けて考える必要があります。
Q3: ダウンロードしたデータで被害が出た場合、どこに請求できる?
A3: PL法は基本的に適用外です。契約責任(提供元との契約)や不法行為責任、ソフト販売者・配布者の注意義務違反など別の法律問題として請求を検討します。
A3: PL法は基本的に適用外です。契約責任(提供元との契約)や不法行為責任、ソフト販売者・配布者の注意義務違反など別の法律問題として請求を検討します。
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