応用情報技術者 2013年 秋期 午前2 問37
問題文
PC からサーバに対し、IPv6 を利用した通信を行う場合、ネットワーク層で暗号化を行うのに利用するものはどれか。
選択肢
ア:IPsec(正解)
イ:PPP
ウ:SSH
エ:SSL
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IPsecによる暗号化【午前2解説】
正解の理由
設問は「ネットワーク層で暗号化を行うもの」を問うています。IPパケット自体(ネットワーク層)を保護するプロトコルはIPsecであり、したがって正解はアです。IPsecはIPヘッダのペイロード(および必要に応じてIPヘッダの一部)を保護するための規格で、認証・整合性(AH)や暗号化(ESP)を提供し、鍵管理にはIKE(例:IKEv2)を用います。これにより、ホスト間・ゲートウェイ間でIPレベルのセキュリティを確保できます。
解法ステップ
- 「ネットワーク層で暗号化」をキーワードとして層(OSI または TCP/IP)を特定する。
- 各選択肢をその動作層に対応付ける。
- IPsec → ネットワーク層
- PPP → データリンク層(ポイントツーポイント)
- SSH → アプリケーション層(TCP上で動作)
- SSL/TLS → アプリケーションとトランスポートの間(セッション/トランスポート層)
- ネットワーク層で動作するプロトコルはIPsecのみなので選択する。
選択肢別の誤答解説
- ア IPsec
- 正解。IP(IPv4/IPv6)パケット単位での認証・暗号化を提供するプロトコル群。AH(Authentication Header)・ESP(Encapsulating Security Payload)とIKEによる鍵管理が主要要素。IPv6では設計当初からIPsecサポートが想定されている。
- イ PPP
- 誤り。PPP(Point-to-Point Protocol)はデータリンク層のプロトコルで、シリアルやダイヤルアップ等の点対点接続を提供する。認証(PAP/CHAP)や拡張オプションはあるが、設問の「ネットワーク層での暗号化」ではない。
- ウ SSH
- 誤り。SSHはアプリケーション層のプロトコルで、TCP(通常ポート22)上でリモートシェルやトンネル、ポートフォワーディングを安全に行う。ホストやポート単位での保護は可能だが、IPパケット全体をネットワーク層で暗号化するものではない。
- エ SSL(TLS)
- 誤り。SSL(現行はTLS)は主にトランスポートとアプリケーションの間で動作し、アプリケーション層プロトコル(HTTP等)の通信を保護する。IP層での暗号化とは層が異なる。
よくある誤解
- SSHとIPsecを混同する
- SSHは安全な端末接続やポート転送を提供するため「安全な通信」と誤認されがちですが、層が異なりIPパケット全体を暗号化するのはIPsecです。
- TLS/SSLは「ネットワーク全体を守る」と思い込む
- TLSは個々のアプリケーション接続(例:HTTPS)を保護するため、同一ホスト内の他プロセスや非対応アプリは保護対象外です。ネットワーク層で全トラフィックを保護するにはIPsecが適切です。
- IPv6ではIPsecが常に自動的に有効と思う
- IPv6設計時にIPsecサポートが前提とされた歴史はあるものの、実際の運用や実装で自動的に有効になるとは限りません(管理方針や実装依存)。
補足コラム
- IPsecの主要コンポーネント
- AH(Authentication Header): パケットの認証・完全性を提供(暗号化はしない)
- ESP(Encapsulating Security Payload): 暗号化と認証を提供(機密性を確保)
- モード: トランスポートモード(エンドツーエンドでペイロード保護)とトンネルモード(ゲートウェイ間でIP全体をカプセル化)
- 鍵管理: IKE/IKEv2(セキュアな鍵交換とSA管理)
- NATとの関係
- NAT環境ではESPが問題になることがあり、NATトラバーサル(NAT-T)やUDPを使ったカプセル化で対応することが多いです。特にIPv4のNAT環境を考慮する場合に重要になります。
FAQ
Q: IPv6では必ずIPsecを使うべきですか?
A: セキュリティ要件によります。IPv6はIPsecのサポートを前提に設計された面がありますが、運用で常に有効化されるわけではありません。用途(VPN、エンドツーエンド保護など)に応じて導入判断を行います。
A: セキュリティ要件によります。IPv6はIPsecのサポートを前提に設計された面がありますが、運用で常に有効化されるわけではありません。用途(VPN、エンドツーエンド保護など)に応じて導入判断を行います。
Q: SSHでVPN代わりにできませんか?
A: SSHのポートフォワーディングやトンネルで限定的なVPN的接続は可能ですが、ネットワーク層で全トラフィックや複数プロトコルを透過的に保護する用途ではIPsecの方が適しています。
A: SSHのポートフォワーディングやトンネルで限定的なVPN的接続は可能ですが、ネットワーク層で全トラフィックや複数プロトコルを透過的に保護する用途ではIPsecの方が適しています。
Q: SSLとTLSは同じですか?
A: 概念的には同じ目的(アプリケーション層の保護)ですが、TLSがSSLの後継であり、現在はTLSが標準です。どちらもネットワーク層の暗号化ではありません。
A: 概念的には同じ目的(アプリケーション層の保護)ですが、TLSがSSLの後継であり、現在はTLSが標準です。どちらもネットワーク層の暗号化ではありません。
関連キーワード: IPv6、IPsec、ESP、AH、IKEv2、トンネルモード、トランスポートモード、SSH、TLS、PPP

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