応用情報技術者 2013年 春期 午前2 問71
問題文
MRPの特徴はどれか。
選択肢
ア:顧客の注文を受けてから製品の生産を行う。
イ:作業指示票を利用して作業指示、運搬指示をする。
ウ:製品の開発、設計、生産準備を同時並行で行う。
エ:製品の基準生産計画を基に、部品の手配数量を算出する。(正解)
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資材所要量計画(MRP)【午前2解説】
正解の理由
MRP(資材所要量計画)は、基準生産計画(マスタ生産計画)と部品表(BOM)を基に、各部品・資材の手配数量と手配時期を算出する手法です。したがって選択肢のうち、基準生産計画を基に部品の手配数量を算出する内容である エ が当てはまります。MRPはBOM展開(ボム・エクスプロージョン)、リードタイムのオフセット、受払在庫の考慮(既存在庫や入荷予定の差引)により「必要量(net requirements)」を導き出します。
解法ステップ
- 問題文からキーワードを抽出:「基準生産計画」「部品の手配数量」→ MRPの主要機能と一致するか確認。
- 各選択肢を業務プロセスに照らして照合:
- 受注後に生産する流れはMTO系(Make to Order)。MRPは主に基準生産計画駆動。
- 作業指示票での細かな作業・運搬指示は工場の現場管理や生産管理の別領域。
- 開発・設計・生産準備を同時並行で行うのはConcurrent Engineering(同時並行設計)。
- 上記より、基準生産計画から部品手配数量を算出する機能を示す選択肢を正答とする。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 顧客の注文を受けてから製品の生産を行う。
→ これは「受注生産(MTO)」の説明であり、MRPは通常マスタ生産計画(先に立てる生産計画)に基づく計画的な資材所要量算出手法であるため不適切です。 -
イ: 作業指示票を利用して作業指示、運搬指示をする。
→ 作業指示票は具体的な作業指示や現場の運搬指示に使われますが、MRPは何をいつ手配するか(資材数量・時期)を算出する上位計画であり、現場の配送指示や作業指示の詳細までは扱いません。 -
ウ: 製品の開発、設計、生産準備を同時並行で行う。
→ これは「同時並行設計(Concurrent Engineering)」の説明で、MRPの主目的(部品所要量の算出)とは別領域です。 -
エ: 製品の基準生産計画を基に、部品の手配数量を算出する。
→ これがMRPの本質を示す記述です。BOM展開・リードタイム考慮・既存在庫差引によるグロス→ネットの計算(所要量算出)を行います。
(補助例)完成品を100個作る場合に、BOMで部品Aが1個、部品Bが2個必要ならば、Aの総所要量は100、Bは200となり、これを在庫や入荷予定で調整して手配数量を決めます。
よくある誤解
- 「MRPは現場の作業指示まで行う」
→ 実務ではMRPは計画(何をいつ何個手配するか)を作り、作業指示や現場搬送は別システムや工程管理で実行されます。MRPは上位の資材計画機能です。 - 「MRP=ジャストインタイム(JIT)」
→ 両者は目的に重なる部分もありますが、JITは在庫削減と連続フロー重視、MRPはBOMと生産計画に基づく部品所要量算出という方法論の違いがあります。 - 「MRPは受注がないと機能しない」
→ MRPは基準生産計画(需要予測や受注に基づく)を前提に動くため、受注が直接のトリガーではないケースも多いです(計画生産)。
補足コラム
- MRPの歴史的背景:MRPの概念は1960年代に米国で実用化・普及し始め、その後の発展で1970年代〜1980年代に広く採用されました(Orlickyらの研究などが普及に寄与)。MRPはさらに生産資源全体を計画するMRP II、統合的な業務システムとしてのERPへと進化しました。
- MRPの主要要素:基準生産計画(MPS)、部品表(BOM)、在庫情報、リードタイム、ロットサイズ(ロットフォーロット・EOQ等)、安全在庫。
- 基本計算(グロス→ネットの概念):
- Gross requirements(総必要量) = 製品計画 × BOM係数
- Net requirements(正味必要量) = max(0, Gross requirements − On-hand − Scheduled receipts)
- 簡単なPython例(手配量計算の概念示唆):
# 完成品数とBOMから部品の総必要量を計算(概念例)
finished = 100
bom = {'A':1, 'B':2}
onhand = {'A':20, 'B':50}
scheduled = {'A':0, 'B':0}
net = {}
for part, qty in bom.items():
gross = finished * qty
net_req = max(0, gross - onhand.get(part,0) - scheduled.get(part,0))
net[part] = net_req
print(net) # {'A': 80, 'B': 150}
FAQ
Q. MRPとMRP II、ERPの違いは?
A. MRPは部品所要量の算出に特化。MRP IIは生産能力や工数、原価まで含めた生産管理の統合化。ERPは財務・購買・販売など企業全体の業務を統合します。
A. MRPは部品所要量の算出に特化。MRP IIは生産能力や工数、原価まで含めた生産管理の統合化。ERPは財務・購買・販売など企業全体の業務を統合します。
Q. MRPは小規模事業でも有効か?
A. 需要の見通しやBOMが明確であれば有効ですが、導入コストや運用負荷を考慮し、適切なスケールでの導入が望まれます。
A. 需要の見通しやBOMが明確であれば有効ですが、導入コストや運用負荷を考慮し、適切なスケールでの導入が望まれます。
Q. リードタイムが不確実な場合の対応は?
A. 安全在庫設定や短サイクルの再計画、リードタイム短縮活動(調達先改善など)で対応します。
A. 安全在庫設定や短サイクルの再計画、リードタイム短縮活動(調達先改善など)で対応します。
関連キーワード: MRP、資材所要量計画、BOM展開、基準生産計画、リードタイム、所要量計算、ロットサイズ、MRP II、在庫管理

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