応用情報技術者 2014年 秋期 午前2 問42
問題文
通信を要求した PC に対し、ARPの仕組みを利用して実現できる通信可否の判定方法のうち、最も適切なものはどれか。
選択肢
ア:PCにインストールされているソフトウェアを確認し、事前に許可されているソフトウェア以外がインストールされていない場合だけ通信を許可する。
イ:PCの MACアドレスを確認し、事前に登録されている MACアドレスである場合だけ通信を許可する。(正解)
ウ:PCのOSのパッチ適用状況を確認し、最新のパッチが適用されている場合だけ通信を許可する。
エ:PCのウイルス対策ソフトの定義ファイルを確認し、最新になっている場合だけ通信を許可する。
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MACアドレスによる判定【午前2解説】
正解の理由
ARP(Address Resolution Protocol)は、IPv4アドレスとMACアドレス(L2アドレス)を対応付けるためのプロトコルです。ネットワーク上で通信要求を行った端末のMACアドレスはARP応答やARPテーブルから取得できるため、事前に登録されたMACアドレスと照合して通信可否を判断する方式は、ARPの仕組みだけで実現可能です。したがって選択肢のうち、ARPの情報を直接利用して判定できるのは イ(MACアドレス照合)です。
ただし重要な点として、MACアドレスはソフトウェア的に変更(偽装)できるため、MAC照合だけでは完全に信頼できません。ARPスプーフィング(ARPポイズニング)やNICのMAC書き換えでなりすましが可能なので、実運用では802.1Xやスイッチのポートセキュリティ、DHCPスヌーピング/Dynamic ARP Inspection(DAI)などの追加対策を組み合わせる必要があります。
解法ステップ
- ARPの役割を確認する:IPアドレスからMACアドレスを求めるためのプロトコルであることを把握する。
- 各選択肢がARPで得られる情報だけで判定できるか検討する:ソフトウェア設定やパッチ状況、ウイルス定義はARPでは取得できない。
- ARPで得られるのはMACアドレスのみであるため、MAC照合が可能かどうかを確認する。
- セキュリティ上の限界(MAC偽装やARP攻撃)を念頭に置き、単独利用の可否を判断する。
選択肢別の誤答解説
-
ア: PCにインストールされているソフトウェアを確認する
→ ARPはIP⇄MACの解決に限定され、ホスト内のソフトウェア一覧を取得する機能はない。ソフトウェアの有無を判定するにはエージェントやNAC(Network Access Control)など別途の仕組みが必要。 -
イ: PCの MACアドレスを確認し、事前に登録されている MACアドレスである場合だけ通信を許可する
→ ARPを利用すれば端末のMACアドレスを取得して照合できるため、ARPの仕組みで実現可能。だが、MACは偽装可能であり、ARPスプーフィングなどのリスクがあるため単独運用は不十分。802.1X、ポートセキュリティ、DAI等の補助対策を組み合わせるのが適切。 -
ウ: PCのOSのパッチ適用状況を確認する
→ OSのパッチ状況はホスト内部の状態であり、ARPで取得できない。パッチ適用の検査にはエージェントベースの診断やNACのポスチャチェックが必要。 -
エ: ウイルス対策ソフトの定義ファイルを確認する
→ 定義ファイルの更新状況もホスト内部の情報であり、ARPでは取得不可。同様にエージェントや集中管理システムによる確認が必要。
よくある誤解
- MACアドレスは改ざん不能で信頼できる:誤り。多くのOSやNICはソフトウェア的にMACを変更でき、攻撃者は簡単に偽装可能です。必ず補助的な認証・検査を導入してください。
- ARPによる取得=端末の真正性が保証される:誤り。ARPはアドレス解決手段であり、送信元が本当に正当な端末かは別問題です。ARPポイズニングによる誤情報注入のリスクがあります。
- MACフィルタリングだけで十分なセキュリティが確保できる:誤り。運用コストや管理ミス、偽装に対する弱さがあるため、802.1X等の認証やスイッチ側の制御と組み合わせる必要があります。
補足コラム
ARPの基本動作:送信元が同一ネットワーク内の相手IPのMACを知らない場合、ブロードキャストでARPリクエストを送信し、該当IPの端末がARPリプライで自分のMACを返します。自分のARPテーブル(キャッシュ)に登録されると以後はそのMACで通信します。ローカルで確認する例:
# Linux / macOS
arp -a
# Windows (PowerShell)
Get-NetNeighbor
実運用でMAC照合を利用する際の現実的な対策例:
- 802.1X(ポートレベル認証)でユーザ/デバイスの認証を行う
- スイッチのポートセキュリティで許可MAC数や固定MACを設定する
- DHCPスヌーピング + Dynamic ARP Inspection(DAI)で不正ARPを検出阻止する
- ネットワークアクセス制御(NAC)でエージェントに基づくポスチャチェックを併用する
これらを組み合わせることで、ARPに基づく単純なMAC照合の弱点を補えます。
FAQ
Q. MACフィルタリングだけで内部ネットワークを安全にできますか?
A. 単独では不十分です。MACは偽装可能で、ARPスプーフィング等の攻撃に弱いため、802.1Xやスイッチの機能(ポートセキュリティ、DAI等)やNACと組み合わせるべきです。
A. 単独では不十分です。MACは偽装可能で、ARPスプーフィング等の攻撃に弱いため、802.1Xやスイッチの機能(ポートセキュリティ、DAI等)やNACと組み合わせるべきです。
Q. ARPで端末のOSやウイルス定義の状態は分かりますか?
A. いいえ。ARPはL2アドレスを解決するだけなので、ホスト内部の状態(パッチ適用、ソフトウェアの有無、定義ファイル更新状況)は取得できません。これらはエージェントベースやNACで確認します。
A. いいえ。ARPはL2アドレスを解決するだけなので、ホスト内部の状態(パッチ適用、ソフトウェアの有無、定義ファイル更新状況)は取得できません。これらはエージェントベースやNACで確認します。
Q. ARPスプーフィングの対策で有効な仕組みは?
A. DHCPスヌーピング、Dynamic ARP Inspection(DAI)、IP Source Guard、スイッチの静的ARP/静的MACバインディング、802.1Xなどが有効です。
A. DHCPスヌーピング、Dynamic ARP Inspection(DAI)、IP Source Guard、スイッチの静的ARP/静的MACバインディング、802.1Xなどが有効です。
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