応用情報技術者 2014年 春期 午前2 問52
問題文
システム開発のプロジェクトにおいて、EVMを活用したパフォーマンス管理をしている。開発途中のある時点でCV(コスト差異)の値が正、SV(スケジュール差異)の値が負であるとき、プロジェクトはどのような状況か。
選択肢
ア:開発コストが超過し、さらに進捗も遅れているので、双方について改善するための対策が必要である。
イ:開発コストと進捗がともに良好なので、今のパフォーマンスを維持すればよい。
ウ:開発コストは問題ないが、進捗に遅れが出ているので、遅れを改善するための対策が必要である。(正解)
エ:進捗は問題ないが、開発コストが超過しているので、コスト効率を改善するための対策が必要である。
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EVMの差異指標【午前2解説】
正解の理由
EVM(Earned Value Management)では、出来高(EV)、計画価値(PV)、実コスト(AC)を用いてパフォーマンスを評価します。差異は次の式で定義されます。
- (スケジュール差異)
- (コスト差異)
したがって、CVが正であるとは を意味し、実際の支出よりも出来高(価値)の方が大きく「コスト面では好ましい(費用効率が良い)」ことを示します。一方、SVが負であるとは を意味し、「予定より出来高が小さく進捗が遅れている」ことを示します。これらを合わせて解釈すると、コストは問題ない(むしろ効率的)だが進捗に遅れが出ている状況です。よって選択肢の中では ウ が該当します。
解法ステップ
- 指標の定義を確認する:
- EV(出来高)=完了した作業の価値(予算ベース)
- PV(計画価値)=その時点までに計画されている価値
- AC(実コスト)=実際に投入されたコスト
- 差異の式を使う:
- 、符号が負なら遅延
- 、符号が正ならコスト面は良好
- 与えられた符号(CV>0、SV<0)を当てはめ、状況を文章化する:
- コストは効率的だが進捗は遅れ → 遅れ改善の対策が必要
- 必要ならSPIやCPIで追加評価:
- (進捗比率)、(コスト効率)
(簡単な数値例)PV=100、EV=80、AC=70 の場合:
- (遅延)
- (コスト良好)
選択肢別の誤答解説
- ア: 「開発コストが超過し、さらに進捗も遅れている」——CVが正ならコスト超過ではなくコスト効率が良いので誤り。
- イ: 「開発コストと進捗がともに良好」——SVが負なら進捗が良好ではないため誤り。
- ウ: 「開発コストは問題ないが、進捗に遅れが出ているので、遅れを改善するための対策が必要である」——CV>0 と SV<0 の意味と一致するため正解。ここではコストは許容範囲か好調だが、スケジュール回復が優先。
- エ: 「進捗は問題ないが、開発コストが超過している」——SVが負のため進捗が問題ないという前提が崩れる。またCVが正なのでコスト超過でもない。誤り。
よくある誤解
- SV と CV の式を逆に覚える(例:SV = PV - EV とすると解釈が逆転する)。正しくは 。
- CV が正=「予算に余裕がある」と単純に考え、進捗遅延を見落とす。コスト良好でもスケジュール問題はプロジェクト全体に影響する。
- SV は時間単位の遅れと思い込み、金額ベースでの評価(EVとPVの差)を無視する。SVは通常価値の差(貨幣単位)で表されるが、時間ベースの評価(SV(t))を用いることもあるので区別する。
補足コラム
EVMは差異の符号だけでなく比率でも見ると有益です。
- :1.0以上ならコスト効率良好
- :1.0未満なら進捗遅延
また、遅れ対策はコストとのトレードオフが生じます。代表的手法:
- リソースを追加してクラッシング(費用増で短縮)
- 並行実行でファストトラッキング(品質やリスクに注意)
- スコープ調整によるスケジュール短縮(最終成果物の見直し) 対策を選ぶ際はCPIや予測EAC(Estimate at Completion)との整合性を確認してください。
FAQ
Q: CV>0 で本当に「費用に余裕」があるのですか?
A: CV>0 はその時点での出来高が実コストを上回っていることを示しますが、今後の作業でコストが増える可能性はあるため「余裕あり」と即断せず予測(EAC)を算出して判断します。
A: CV>0 はその時点での出来高が実コストを上回っていることを示しますが、今後の作業でコストが増える可能性はあるため「余裕あり」と即断せず予測(EAC)を算出して判断します。
Q: SV<0 でもSPIが1.0以上になることはありますか?
A: 理論上、SV(差の絶対値)とSPI(比)は同じ基準のEVとPVを用いるため整合します。通常、SV<0ならです。計算誤りや別単位(時間とコスト)混同がないか確認してください。
A: 理論上、SV(差の絶対値)とSPI(比)は同じ基準のEVとPVを用いるため整合します。通常、SV<0ならです。計算誤りや別単位(時間とコスト)混同がないか確認してください。
Q: SVは時間で評価できますか?
A: 標準的には金額(価値)の差で表しますが、スケジュール差を時間で管理したい場合はSV(t)など時間ベースの指標に変換して使う手法もあります。変換方法は組織の慣行に依存します。
A: 標準的には金額(価値)の差で表しますが、スケジュール差を時間で管理したい場合はSV(t)など時間ベースの指標に変換して使う手法もあります。変換方法は組織の慣行に依存します。
関連キーワード: EVM, EV, PV, AC, CV, SV, SPI, CPI, 進捗管理, コスト管理, EAC, クラッシング, ファストトラッキング

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