応用情報技術者 2016年 春期 午後 問10
キャパシティ管理に関する次の記述を読んで、設問1〜4に答えよ。
X社は、娯楽チケット販売業を営む会社である。2013年1月に策定した中期事業計画において、“取扱いチケットの種類の増加と新サービスの提供によって、2015年度(2015年4月1日から2016年3月31日まで)の売上を2012年度の2倍にする”という目標を立てた。中期事業計画どおりの売上の達成は不確実性を含んでいたが、事業目標の達成を見越して娯楽チケットの販売システム(以下、販売システムという)を2013年度に再構築した。
〔再構築後の販売システムの概要とキャパシティ計画〕
販売システムは、再構築以前からイベント会社とコンビニエンスストアの店頭、電話、インターネット(PC、スマートフォンなど)からの購入に対応していた。サービス利用者のチケットの購入手段は、利便性が高い点や購入記録が残る点からインターネットが主流であった。販売システムの再構築によって次のサービスを実現した。
・遊園地や映画のチケットを、利用する直前でも割引価格で購入できる。
・購入したチケットをスマートフォンで電子チケットとして受け取ることができる。
・会員制度を新設する。会員はチケットの先行購入予約が可能になり、さらに、購入実績に応じてポイントを受け取る特典を与えられる。
再構築後の販売システムを利用する販売店のチケット担当の責任者は、会員にポイントを付与する条件(対象のチケット、顧客、購入手段、期間、時間帯など)を簡単な操作で登録できるようになった。
再構築する販売システムのキャパシティ計画を策定するに当たって、2013年4月に、サービスに対する需要となるデータ処理件数を検討した。データ処理件数数上に遷移すると想定し、2012年度の実績値と2013〜2015年度のチケット売上の計画値を基に、3年間のデータ処理件数を見積もった。これらを表1に示す。

次に、販売システムの再構築について、表2に示す二つの案を考えた。

①案1と案2を比較検討した結果、案2を選択して初回のシステム再構築を行った。
また、データ処理件数が表1の見積りどおりに増加した場合、2016年3月までに追加構築を完了する予定を立てた。
〔追加構築の実施〕
案2での初回構築は、2013年12月に無事完了した。2014年1月に再構築後のシステムでのサービスを開始した直後から、遊園地や映画館を利用する直前でも電子チケットを購入できるサービスが、予想以上に好評だった。それまでは単価が高いコンサートや演劇のチケットが売上の柱だったので平均販売単価は下がったが、販売件数が大きく増加したので売上が伸びた。その結果、2013年度のチケット売上は、ほぼ計画どおりであった。しかし、データ処理件数は、見積りよりも15%程度上回っていた。
1年後の2015年4月初旬に、2013年度と2014年度のチケット売上の実績及びデータ処理件数の実績を表2に加え、表3を作成した。

2014年度の実績値と2012年度の実績値を比較すると、チケット売上はほぼ計画どおりの約1.6倍であるが、データ処理件数は見積りを大きく上回る約2.1倍になっていた。そのまま運用を続けていたところ、②アプリケーションサーバの CPU 使用率がしきい値を超え、警告メッセージが出るようになった。そこで、案2での追加構築を 2015年8月に完了させ、その後、警告メッセージは出なくなった。
〔サービス運用段階のキャパシティ管理活動〕
システム部の ITサービスマネージャの Y 君は、アプリケーションサーバの警告メッセージが出た後に販売システムを追加構築する判断をしたことを反省し、キャパシティに起因したインシデントの発生を抑制するために、キャパシティ管理活動を次のとおりに定め、実行した。
(1) 監視
キャパシティの評価指標を日常のオペレーションレベルで監視する。しきい値を超えた場合などは、システム運用監視ツールで警告メッセージを出し、a 管理プロセスを通じて、適切に対処する。
(2) 分析
監視活動によって収集された情報を、モデル化などの技法を用いて分析する。将来の予測を基に、資源の増強の要否や実施時期などを検討する。さらに、③キャパシティ管理のプロセスを評価するための KPI を設定する。
(3) チューニング
分析結果を基に、資源の割当量や利用条件の変更などの対応策を検討し、適切な状態に調整する。
(4) 実装
キャパシティ計画及びチューニング活動に基づき、変更を b 管理プロセスを通じて稼働環境に展開する。
〔追加構築後のキャパシティ対応〕
2016 年 4 月、Z 社は Z 社が主催するイベントのチケット販売の独占契約を得た。これを成功させて、Z 社との提携を実現すれば中長期的な売上の拡大が期待できる。
Z 社イベントのチケットの申込みにおいて、ピークが予想される 18~21 時は、他のチケットの販売と合わせるとアプリケーションサーバの CPU 使用率が一時的にしきい値を超え、応答時間が悪化することが懸念された。しかし、資源の増強を伴う変更作業は期間が必要なので、当面の間はサービスの提供内容とサービス要求の調整との釣合いを取って、インシデントの発生を防ぐことにした。そこでY君は、この需要管理の方針に基づき、対策を検討した。Z社イベントのチケットの申込みは、インターネットの会員サイト内に専用 URL を設け、3日間限定で先着順に受け付ける。再構築後の販売システムのサーバ負荷状況を調査すると、応答時間の悪化が発生したのは 18〜21 時の時間帯の2回だけであった。Z社イベントのチケット販売を優先するために、Z社イベントのチケットの申込件数がピークとなる時間帯に、インターネットでの他のチケットの申込量を減らすことができれば、サービス全体に支障が出ないと判断した。Y君は、④このための具体的な対策を販売部と共同で立案し、販売部の部長の承認を得た。
さらに、経営層から顧客データ活用によるマーケティング強化の指示があった。これまで一定期間ごとに分散保存していた会員の購入記録を、一括して蓄積できるデータウェアハウスを構築する。購入が見込める会員を迅速に選別して優先販売やキャンペーンの案内をする販売促進機能の検討を開始した。⑤この販売促進機能によって、将来見込まれる販売件数の増加をキャパシティ計画に反映し、処理能力を増強したり、ストレージの容量を増やしたりする必要がある。
設問1:
本文中の下線①について、二つの構築案から案2を選択した理由としてふさわしいものを解答群の中から二つ選び、記号で答えよ。
解答群
ア:事業計画どおりの売上の達成は不確実性を含んでいる。
イ:システム再構築の全体作業工数が小さい。
ウ:システム再構築の全体費用が小さい。
エ:スケールアップでサービスを停止することなくシステムを増強できる。
オ:余剰資源を抑えることができる。
模範解答
ア、オ
解説
解答の論理構成
-
不確実な事業計画
- 【問題文】には「“取扱いチケットの種類の増加と新サービスの提供によって、2015年度(2015年4月1日から2016年3月31日まで)の売上を2012年度の2倍にする”という目標を立てた。中期事業計画どおりの売上の達成は不確実性を含んでいたが、…」とあります。
- 達成が不確実であれば、初期投資を抑え、需要に応じて拡張できる構成が望ましいです。
- よって「ア:事業計画どおりの売上の達成は不確実性を含んでいる。」が選択理由となります。
-
余剰資源の抑制
- 表2より
• 案1:再構築前の3.5倍の処理能力/構築費用80百万円
• 案2:初回構築2.0倍→追加構築3.5倍(計90百万円) - 案1は一括で3.5倍分を導入するため、需要が想定以下だった場合に資源が遊休化します。
- 案2は「サーバ台数の追加で、サービスを停止することなく容量・処理能力の増強が可能」と段階的に拡張できるため、余剰資源を最小化できます。
- したがって「オ:余剰資源を抑えることができる。」が選択理由です。
- 表2より
-
他の選択肢が誤りとなる理由
- イ:総工数は表2に示されておらず根拠不足。
- ウ:総費用は80百万円(案1)<90百万円(案2)であり、案2の方が小さいわけではない。
- エ:表2の無停止増強は案2の特徴ですが、この機能は“余剰資源抑制”のための手段であって「案2を選んだ決め手」とまでは言えない。試験では目的(不確実性対応と余剰資源抑制)を問うています。
よって正答は「ア、オ」です。
誤りやすいポイント
- 「構築費用が安いから案2」と早合点しやすい(実際は90百万円>80百万円)。
- “無停止で増強可能”というキーワードに飛びつき「エ」を選んでしまう。これは導入後の運用メリットであって採択理由の本質ではない。
- 表2の処理能力倍率を読み違え、「案1=2倍、案2=3.5倍」と誤認すると判断を誤る。
FAQ
Q: 「増強時に無停止」という特徴は選択理由にならないのですか?
A: 無停止は重要な運用利点ですが、設問は「案2を選択した理由」として“より本質的な経営・キャパシティ観点”を問うています。不確実な需要に対応し、余剰資源を抑えられる点が優先されます。
A: 無停止は重要な運用利点ですが、設問は「案2を選択した理由」として“より本質的な経営・キャパシティ観点”を問うています。不確実な需要に対応し、余剰資源を抑えられる点が優先されます。
Q: 案2の総費用が高いのに採択されたのはなぜ?
A: 初期投資を抑え需要に合わせて拡張できるため、需要が想定より少なければ追加構築を見送れます。結果としてトータルコストを最適化できる可能性があります。
A: 初期投資を抑え需要に合わせて拡張できるため、需要が想定より少なければ追加構築を見送れます。結果としてトータルコストを最適化できる可能性があります。
Q: キャパシティ管理では“段階的拡張”が推奨されるのですか?
A: 需要が読みづらい場合や変動が大きい場合は、段階的拡張(スケールアウト)が余剰資源を抑え、投資リスクを低減するため有効です。
A: 需要が読みづらい場合や変動が大きい場合は、段階的拡張(スケールアウト)が余剰資源を抑え、投資リスクを低減するため有効です。
関連キーワード: キャパシティ計画, 需要予測, スケールアウト, 追加構築
設問2:
本文中の下線②は、2013年12月の初回構築後からキャパシティ管理の観点で実施すべきであった事項ができていなかったことで発生した。実施すべきであった事項を、30字以内で述べよ。
模範解答
計画を定期的に見直し、データ処理件数を予測する。
解説
解答の論理構成
-
事実確認
- 2013年4月に「表1…3年間のデータ処理件数を見積もった」とあるように、初回キャパシティ計画は2013年度~2015年度分のみでした。
- ところが実運用を始めると「2013年度の…データ処理件数は、見積りよりも15%程度上回っていた」「2014年度…データ処理件数は見積りを大きく上回る約2.1倍」と実績が急増しています。
-
問題の発生
- 実績値の増大を反映しないまま運用を続けた結果、「②アプリケーションサーバの CPU 使用率がしきい値を超え、警告メッセージが出るようになった」ことが記載されています。
-
足りなかった活動の特定
- ITIL などのキャパシティ管理では「定期的なキャパシティ計画の見直し」と「将来負荷の予測」が基本です。
- 本文にも「(2) 分析…将来の予測を基に、資源の増強の要否や実施時期などを検討する」とあり、これを実施していれば警告発生前に増強できたはずです。
-
結論
- よって不足していたのは、初回構築後も継続的に実績を評価し、計画値を更新してデータ処理件数を再予測することです。
誤りやすいポイント
- 警告メッセージ=監視強化と早合点し、「監視を強化する」とだけ書くと失点します。問題は監視結果を計画に反映しなかった点です。
- 「追加構築を早める」と答えるのも誤り。追加構築は結果であり、原因は見通しの欠如です。
- “CPU 使用率のしきい値設定”など運用設定の問題と考えがちですが、しきい値は既に正しく機能しており、そのアラートを予防できなかったのが本質です。
FAQ
Q: 監視は行っていたのに、なぜ警告が出るまで気付けなかったのですか?
A: 監視で得た実績値をキャパシティ計画にフィードバックし、将来需要を再予測するプロセスが欠落していたためです。
A: 監視で得た実績値をキャパシティ計画にフィードバックし、将来需要を再予測するプロセスが欠落していたためです。
Q: 「データ処理件数を予測」と「キャパシティ計画の見直し」は別物ですか?
A: 密接に関連しています。見直しは現状実績を反映し、予測は将来需要を定量化します。両方をセットで行うことがキャパシティ管理の要です。
A: 密接に関連しています。見直しは現状実績を反映し、予測は将来需要を定量化します。両方をセットで行うことがキャパシティ管理の要です。
Q: 予測精度が低い場合はどうすればよいですか?
A: モデルの前提を短周期でレビューし、統計的手法やトレンド外挿、場合によってはシミュレーションを併用して精度を高めます。
A: モデルの前提を短周期でレビューし、統計的手法やトレンド外挿、場合によってはシミュレーションを併用して精度を高めます。
関連キーワード: キャパシティ計画, 需要予測, しきい値管理, CPU使用率, モニタリング
設問3:〔サービス運用段階のキャパシティ管理活動〕について、(1)、(2)に答えよ。
(1)本文中のa、bに入れる適切な字句を解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:インシデント及びサービス要求
イ:構成
ウ:サービスレベル
エ:変更
オ:問題
カ:リリース及び展開
模範解答
a:ア
b:カ
解説
解答の論理構成
- 【問題文】では監視活動について「しきい値を超えた場合などは、システム運用監視ツールで警告メッセージを出し、a 管理プロセスを通じて、適切に対処する。」と述べています。
監視で発生するのは“警告メッセージ”という運用現場の出来事です。これは利用者からの“問い合わせ”や“要求”と同じく運用フェーズで扱うべき事象なので、ITIL では「インシデント管理」と「サービス要求管理」をまとめて扱うプロセスが該当します。解答群の「ア:インシデント及びサービス要求」がぴったり合致します。 - 実装に関して【問題文】は「変更を b 管理プロセスを通じて稼働環境に展開する。」と記載しています。
キャパシティ増強という“変更”は、テスト済みのモジュールや設定を本番環境へ“リリース”し、“展開”する段階で完了します。ITIL ではこの一連を担当するのが「リリース及び展開管理プロセス」です。解答群の「カ:リリース及び展開」が該当します。 - 以上から
a = 「インシデント及びサービス要求」
b = 「リリース及び展開」
となります。
誤りやすいポイント
- 「エ:変更」を [b] に選びたくなるが、変更管理は“承認・計画”までで、実際に環境へ入れるのはリリース及び展開管理である点を混同しがちです。
- 監視で発生するのは“問題”ではなく“インシデントやサービス要求”であるため、[a] に「オ:問題」を選ぶミスが多いです。問題管理は根本原因分析と恒久対策に焦点を当てます。
- 構成管理(イ)は“構成情報の正確性維持”が目的で、運用上のアラート対応プロセスとは役割が異なる点を押さえましょう。
FAQ
Q: インシデント管理とサービス要求管理が統合されている理由は何ですか?
A: 両者とも“利用者からの連絡窓口”という性質を持ち、受付・記録・追跡・エスカレーションの流れが共通しているため、運用効率向上の観点で同一プロセスとして扱われます。
A: 両者とも“利用者からの連絡窓口”という性質を持ち、受付・記録・追跡・エスカレーションの流れが共通しているため、運用効率向上の観点で同一プロセスとして扱われます。
Q: 変更管理とリリース及び展開管理の主な違いは?
A: 変更管理は「変更を実施すべきか、いつ実施すべきか」を決めるガバナンス寄りのプロセス、リリース及び展開管理は「決定された変更を実際に本番へ導入する」実務寄りのプロセスです。
A: 変更管理は「変更を実施すべきか、いつ実施すべきか」を決めるガバナンス寄りのプロセス、リリース及び展開管理は「決定された変更を実際に本番へ導入する」実務寄りのプロセスです。
Q: リリース及び展開管理で特に重視される指標は何ですか?
A: 代表的なものに“リリース成功率”“リリース後インシデント発生件数”“展開時間”などがあり、サービスの安定稼働と変更リスク低減を評価します。
A: 代表的なものに“リリース成功率”“リリース後インシデント発生件数”“展開時間”などがあり、サービスの安定稼働と変更リスク低減を評価します。
関連キーワード: インシデント管理, サービス要求, リリース管理, 展開管理, キャパシティ管理
設問3:〔サービス運用段階のキャパシティ管理活動〕について、(1)、(2)に答えよ。
(2)本文中の下線③について、KPIとしてふさわしいものを解答群の中から全て選び、記号で答えよ。
解答群
ア:インターネットの応答時間が遅いごとに起因するSLA違反の回数
イ:設定した資源利用量のしきい値を超えた回数
ウ:ソフトウェアの品質が低いことに起因するインシデントの発生回数
エ:不十分な資源割当てに起因するインシデントの発生回数
模範解答
イ、エ
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には、下線部 ③として
“キャパシティ管理のプロセスを評価するための KPI を設定する”
と記載されています。
したがって選ぶべき指標は、キャパシティ不足の兆候や対応の適切さを数量化できるものです。 - 選択肢を確認します。
ア:インターネットの応答時間が遅いごとに起因するSLA違反の回数
→ 応答時間は利用者視点のサービス品質であり、SLA管理の指標に該当します。キャパシティ管理プロセスそのものの効果測定とはずれます。
イ:設定した資源利用量のしきい値を超えた回数
→ 【問題文】の監視では“キャパシティの評価指標…しきい値を超えた場合などは、システム運用監視ツールで警告メッセージ”とあり、キャパシティ容量判定の直接的な指標です。プロセス評価に適しています。
ウ:ソフトウェアの品質が低いことに起因するインシデントの発生回数
→ 品質保証やリリース管理の領域であり、キャパシティ管理プロセス評価とは直接関係しません。
エ:不十分な資源割当てに起因するインシデントの発生回数
→ 資源計画やチューニングが適切に行われたかどうかを示す尺度で、キャパシティ管理プロセスの有効性に直結します。 - よってキャパシティ管理プロセスを評価するKPIとして妥当なのは
イ、エ となります。
誤りやすいポイント
- SLA違反回数(選択肢 ア)をキャパシティKPIと誤認する。SLA達成責任はサービスレベル管理であり、キャパシティ管理の狙いとは範囲が異なる点に注意。
- ソフトウェアの不具合(選択肢 ウ)によるインシデントは、構成管理やテストの問題であって、CPUやメモリなどリソース計画の善し悪しを示さない。
- しきい値超過回数(選択肢 イ)とインシデント回数(選択肢 エ)は目的が似て見えるが、前者は予兆、後者は結果という違いを押さえる。
FAQ
Q: キャパシティ管理のKPIは数値が小さいほど良いのですか?
A: ほとんどの場合は小さいほど望ましいです。しきい値超過や資源不足インシデントはゼロが理想ですが、システム成長を考慮すると一定の発生を管理可能な範囲に抑えることが目標となります。
A: ほとんどの場合は小さいほど望ましいです。しきい値超過や資源不足インシデントはゼロが理想ですが、システム成長を考慮すると一定の発生を管理可能な範囲に抑えることが目標となります。
Q: SLA違反回数をキャパシティKPIに含めてはいけませんか?
A: 不可ではありませんが、本問では“プロセスを評価”と明示されています。SLAはサービス提供全体の成果指標であり、プロセス単体の有効性を測る指標としては粒度が合いません。
A: 不可ではありませんが、本問では“プロセスを評価”と明示されています。SLAはサービス提供全体の成果指標であり、プロセス単体の有効性を測る指標としては粒度が合いません。
Q: 資源増強が間に合わずインシデントが発生した場合、どのKPIが悪化しますか?
A: 資源割当て不足に起因するインシデント回数(選択肢 エ)が直接増えます。また増強遅延の前兆としてしきい値超過回数(選択肢 イ)も増えることが多いです。
A: 資源割当て不足に起因するインシデント回数(選択肢 エ)が直接増えます。また増強遅延の前兆としてしきい値超過回数(選択肢 イ)も増えることが多いです。
関連キーワード: キャパシティ管理, KPI, しきい値, インシデント, SLA
設問4:〔追加構築後のキャパシティ対応〕について、(1)、(2)に答えよ。
(1)本文中の下線④について、需要管理の方針を支援するために有効な対策を40字以内で述べよ。
模範解答
他のチケットをピーク時間帯以外に申し込む場合は付与ポイントを増額する。
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には「アプリケーションサーバの CPU 使用率が一時的にしきい値を超え、応答時間が悪化することが懸念された」ことが示されています。
- 同時に「Z社イベントのチケット販売を優先するために…インターネットでの他のチケットの申込量を減らすことができれば、サービス全体に支障が出ない」と明記されています。
- つまり“他のチケット購入を 18~21 時から外す”需要シフトが核心です。
- 販売システムには「会員制度」を導入し、「購入実績に応じてポイントを受け取る特典」があると書かれています。ポイントは会員行動をコントロールできる既存機能です。
- 需要管理では価格・割引・ポイントなどのインセンティブでピーク負荷を平準化する施策が一般的です。
- そこで「ピーク時間帯以外に申し込む場合は付与ポイントを増額する」という対策が、(1)イベント優先、(2)既存機能活用、(3)利用者メリットの三拍子を満たし、需要管理方針を支援する最適解となります。
誤りやすいポイント
- 追加サーバ増設などキャパシティ拡張策を書いてしまう
→ 問題設定は「期間が必要なので当面はサービス要求と調整」と明示。 - 単に「時間帯を制限する」と回答し、ユーザーメリットを示さない
→ インセンティブがないと利用者は行動を変えにくい。 - 「Z社チケットの販売時間を変える」と書く
→ 優先すべきは“Z社イベント”であり、他チケット側を調整するのが条件。
FAQ
Q: 価格割引ではなくポイント増額とした理由は?
A: 【問題文】に「購入実績に応じてポイントを受け取る特典」とあるため、仕組みが既に実装済みで導入が容易だからです。
A: 【問題文】に「購入実績に応じてポイントを受け取る特典」とあるため、仕組みが既に実装済みで導入が容易だからです。
Q: 時間帯制限だけではだめなのか?
A: 強制的な制限はユーザビリティ低下や売上毀損の恐れがあります。ポイント増額は自発的行動変容を促せるため需要管理の観点で優れています。
A: 強制的な制限はユーザビリティ低下や売上毀損の恐れがあります。ポイント増額は自発的行動変容を促せるため需要管理の観点で優れています。
Q: 付与ポイントはどの時間帯に増やすべき?
A: 応答時間悪化が発生しない「18〜21 時以外」に設定し、ピークからの需要分散を狙います。
A: 応答時間悪化が発生しない「18〜21 時以外」に設定し、ピークからの需要分散を狙います。
関連キーワード: キャパシティ管理, 需要管理, インセンティブ設計, ポイント制度
設問4:〔追加構築後のキャパシティ対応〕について、(1)、(2)に答えよ。
(2)本文中の下線⑤について、処理能力が十分でないときにX社で発生するおそれがある事象を、本文の状況に基づき30字以内で述べよ。
模範解答
会員の購入記録を検索するときに応答時間が悪化する。
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には、販売促進機能の前提として
“これまで一定期間ごとに分散保存していた会員の購入記録を、一括して蓄積できるデータウェアハウスを構築する。”
と記載されています。 - さらに、同じ段落で
“購入が見込める会員を迅速に選別して優先販売やキャンペーンの案内をする”
とあり、販売促進機能では会員の購入記録を横断的に検索・抽出する処理が頻繁に走ることが読み取れます。 - ⑤の下線部は、
“将来見込まれる販売件数の増加をキャパシティ計画に反映し、処理能力を増強したり、ストレージの容量を増やしたりする必要がある。”
と、計画通りに増強しない場合のリスクを問うています。 - 会員購入記録の横断検索は CPU・I/O を大量に消費するため、処理能力が不足すると “応答時間の悪化” が顕在化しやすいことは、過去の本文事例
“アプリケーションサーバの CPU 使用率がしきい値を超え、応答時間が悪化”
からも示唆されます。 - したがって「処理能力が十分でないときに発生するおそれがある事象」は
“会員の購入記録を検索するときに応答時間が悪化する。”
となります。
誤りやすいポイント
- “ストレージ不足でデータが保存できなくなる” と答えると、処理性能に関する問いからズレます。
- “販売促進機能全体が停止する” など大げさに書くと具体性が不足し減点対象です。
- “レスポンス遅延” とだけ書くと「何の処理で遅延するのか」が不明瞭になります。
FAQ
Q: データウェアハウス構築が原因なのにストレージ障害を答えてはいけないのですか?
A: 本設問は処理能力不足による現象を問うており、保存可否でなく“検索時の応答時間”が焦点です。
A: 本設問は処理能力不足による現象を問うており、保存可否でなく“検索時の応答時間”が焦点です。
Q: “検索” ではなく “抽出” と書いたら減点ですか?
A: 処理内容を具体的に示せば大きな減点はありませんが、本文で暗示される “検索” を使う方が無難です。
A: 処理内容を具体的に示せば大きな減点はありませんが、本文で暗示される “検索” を使う方が無難です。
Q: 応答時間が悪化する対象を “販売促進処理” とまとめても良いですか?
A: 抽象度が高いため減点リスクがあります。“会員の購入記録を検索するとき” まで明示する方が安全です。
A: 抽象度が高いため減点リスクがあります。“会員の購入記録を検索するとき” まで明示する方が安全です。
関連キーワード: キャパシティ管理, データウェアハウス, 応答時間, 需要管理, KPI


