応用情報技術者 2017年 春期 午前2 問02
問題文
の計算を、で近似計算ができる条件として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:が1に比べて非常に小さい。(正解)
イ:がに比べて非常に大きい。
ウ:が1よりも大きい。
エ:が1よりも大きい。
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二項展開の一次近似【午前2解説】
正解の理由
(1+α)^n を 1 + nα で近似するときは、二項展開における高次の項(α^2, α^3, …)が無視できることが必要です。二項定理より
となります。高次項を無視するためには が十分小さく、特に二次項が一次項に比べて極めて小さいことが求められます。選択肢の中でこの条件を表しているのは ア の「が1に比べて非常に小さい。」であり、したがってこれが正解です。
解法ステップ
- 二項展開を書き下す:。
- 近似 1 + nα を成立させるには二次以上の項が無視できること。まず二次項の大きさを一次項と比較する: すなわち がより厳密な目安となる。
- 通常の設問文の趣旨(選択肢レベルの単純化)では「が1に比べて非常に小さい」が最も適合するため ア を選ぶ。
(補足)もし目的が「(1+α)^n ≈ 1(=0次近似)」なら を要求する点に注意。
選択肢別の誤答解説
- ア:正解。高次の項を無視するにはが十分小さいことが基本条件。具体的には二次項が一次項に比べて小さいこと、 を満たすのが望ましい。
- イ:がに比べて非常に大きい、すなわち は α が大きいことを示すため近似が成り立ちません。大きな α では高次項が支配的になります。
- ウ:表記の意味は 、すなわち です。これは α が非常に大きいことを示し、前述の通り高次項が無視できないため近似は不適切です(前回の指摘で「意味が不明瞭」としたのは誤りで、正しくは「α が大きすぎるため近似不可」と説明すべきです)。
- エ: は一次項の絶対値が 1 を超えることを意味しますが、これは一次近似が成り立つかどうかの直接的な肯定条件ではありません。一次近似(1 + nα)が妥当であるためには一次項に対する二次項の比が小さい必要があり、 はむしろ誤差が大きくなる可能性を示します。したがって不適切です。
よくある誤解
- 「 が小さければ良い」と混同する誤り:目的によって基準が異なります。近似 1 + nα を妥当とするには二次項が一次項に比べ極めて小さいこと()が重要で、これは必ずしも と同義ではありません。
- 表記の読み違い: を見て「小さいことを示す」と誤解することがありますが、実際には を意味し、近似には不利です。
補足コラム
より厳密に誤差を評価するなら、二次項の絶対値を一次項に対する相対誤差として見る方法が有効です。相対誤差の目安として
が 0.01(1%)以下であれば二次項は一次項に対して十分小さいと判断できます。例えば のときには が目安です。したがって「が1より小さい」だけでなく、n に応じてより厳しい条件が必要になる場面があることを把握しておくとよいでしょう。
FAQ
Q. n が非常に大きい場合、どの程度小さければ良いですか?
A. 二次項抑制の条件 を使います。n が大きいほど許容される |α| は小さくなります。極端に大きな n では α = O(1/n) 程度が必要になることがあります。
A. 二次項抑制の条件 を使います。n が大きいほど許容される |α| は小さくなります。極端に大きな n では α = O(1/n) 程度が必要になることがあります。
Q. 近似 1 + nα と(1+α)^n を比較する際、絶対誤差と相対誤差どちらを見れば良いですか?
A. 目的次第です。結果の大きさが重要なら相対誤差(高次項を一次項で割った値)を見ると実用的です。小さな変化の評価なら絶対誤差でも十分な場合があります。
A. 目的次第です。結果の大きさが重要なら相対誤差(高次項を一次項で割った値)を見ると実用的です。小さな変化の評価なら絶対誤差でも十分な場合があります。
関連キーワード: 二項定理、テイラー近似、級数展開、相対誤差、近似条件

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