応用情報技術者 2018年 秋期 午後 問10
キャパシティ管理に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。
K社は、ガス会社G社の情報システム子会社であり、G社に顧客管理サービス(以下、本サービスという)を提供している。本サービスは、G社が家庭用電力事業に新規参入したときに、K社がその事業の顧客管理を支援するためのシステム(以下、本システムという)を導入して開始されたものである。G社は本サービスを利用して、営業部門の電力料金計算・請求業務、及びコールセンタでの顧客からの問合せ対応・新規顧客受付業務を行っている。
K社では、年に数回の計画停止期間以外は、毎日9時から22時まで、本サービスのオンラインサービスを提供している。
〔本システムの概要〕
本システムは、サーバ1台で稼働し、表1に示す五つの機能をオンライン処理又はバッチ処理で実現している。

〔本サービスのキャパシティ管理〕
K社のL氏は、ITサービスマネージャとして本サービスのキャパシティ管理を担当し、具体的には次の業務を行っている。
(1) キャパシティ計画
① 毎年1回、G社営業部門から本サービスに対する需要予測を入手し、G社と合意したサービスを考慮して資源の使用量を見積もる。これを基に、キャパシティを拡充するための期間、監視項目、監視項目のしきい値などのキャパシティ計画を作成し、G社に説明している。
(2) キャパシティ監視
① オンライン処理の監視項目は、サーバのCPU使用率、オンライン応答時間及びオンライン処理件数であり、1分間隔で集計し、測定値として収集する。ここで、オンライン応答時間とは、サーバが要求を受け付けてから応答するまでの時間のことである。バッチ処理の監視項目は、1分間隔で集計するサーバのCPU使用率及び毎日のバッチ処理時間である。
② 監視項目の測定値が、あらかじめ決められたしきい値を超えた場合は、インシデントとして対応する。
なお、社内及び社外のネットワークには十分なキャパシティがあり、サービス提供に支障がないので、監視項目を設定していない。
(3) 分析及び対策
① 監視項目の測定値について、キャパシティ計画で見積もったとおりに資源が使用されているかなどの視点から毎月1回分析を行う。また、夜間バッチ処理時間については、毎月1回妥当性を確認する。
② キャパシティに関わるインシデントの対応を終了した後は、キャパシティ計画の妥当性を検討し、必要に応じてキャパシティ計画を見直す。
〔オンライン応答時間の悪化〕
本サービスの提供を開始してから6か月後のある日、9時15分にオンライン応答時間の測定値がしきい値を超えたことから、K社はインシデント対応を開始した。また、コールセンタからK社に“オンライン処理の応答が遅い”というクレームがあった。このときは、数分後にオンライン応答時間の悪化は解消されたので、K社では解決策は必要ないと判断し、インシデント対応を終了した。
翌日L氏は、前日のオンラインサービス提供時間帯のサーバの資源使用状況について分析することにした。このときのサーバのCPU使用率とオンライン処理件数は図1に示すとおりである。

CPU使用率が高い9~11時を詳細に調査したところ、一時的にCPU使用率が100%となっているときがあることが判明した。9~11時の120分間の1分間隔のCPU使用率は、図2に示すとおりである。

調査結果から、CPU使用率が100%に達している時間帯が、a機能の処理を実行している時間帯と一致した。また、過去1か月の状況を調査したところ、9~11時の時間に100%に近いCPU使用率を記録することが数回あったので、L氏はすぐに実施する暫定策として、午前中は、a機能の処理を実行せず、12時に実行することにした。また、恒久策として、3か月後にサーバのCPU能力向上を行うことにした。
〔夜間バッチ処理の終了時刻の遅延〕
オンライン応答時間の悪化から数日後に、夜間バッチ処理の終了時刻が遅延するインシデントが発生し、オンラインサービスの開始が遅れた。その結果、顧客情報照会ができないことから、コールセンタの業務に支障を来した。
そこで、インシデント対応のbとして、機能を縮退してオンライン処理を行うことをG社と合意し、c機能だけでオンライン処理を行うことにした。その間、コールセンタで顧客情報登録・変更があった場合は、夜間バッチ処理が終了し、オンラインサービスが正常に回復した後に対応することにした。
L氏は、インシデントの発生原因を調査し、次のように整理した。
・夜間バッチ処理では、顧客DBに登録された全顧客を対象に処理を行っている。夜間バッチ処理の設計では、顧客の登録数(以下、顧客登録数という)が50万件になるまでは処理が9時までに終了するとしていた。
・本年度当初にG社営業部門が提示したシステム要件では、顧客登録数が前述の50万件に達するのは1年半後となっていた。しかし、G社営業部門では2か月前から臨時キャンペーンを行い、顧客登録数が予測よりも早く50万件を超えたので、夜間バッチ処理の終了時刻に遅延が発生した。
そこで、L氏は、①顧客DBの顧客登録数を監視項目として追加し、日常的に監視することにした。さらに、G社の協力を得て不要な顧客情報を顧客DBから削除し、顧客登録数を減らした。
L氏は、今後の顧客登録数の増加について、次のように整理した。
・G社営業部門の見通しでは、2年後に顧客登録数が100万件に達する。
・顧客登録数が100万件に達するまでは、9時までに夜間バッチ処理を終了できるように検討し、3か月後に予定しているサーバのCPU能力向上計画に反映する。
〔キャパシティ管理の強化〕
L氏は、サーバのCPU能力を向上させるまで、オンライン応答時間の悪化が起きない方策を検討した。CPU使用率とオンライン応答時間の関連性を分析した結果、CPU使用率が95%を超えるとオンライン応答時間が急激に悪化する傾向があることが分かった。そこで、L氏は、オンラインサービスへの影響を軽減するためにCPU使用率のしきい値を、95%よりも低い値に設定し、応答時間の遅延が発生する前にdとして対応することにした。また、今回の夜間バッチ処理の終了時刻の遅延に関連して、今後は②G社営業部門と定期的に打合せを行い、本サービスに対する需要予測に影響を与える、G社のキャンペーンの実施などに関する情報を事前に入手することにした。
設問1:〔オンライン応答時間の悪化〕について、(1)、(2)に答えよ。
(1)本サービスにおけるインシデント管理の目的を解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:G社営業部門やコールセンタと合意したサービスを迅速に回復するため
イ:応答時間の悪化の傾向分析を通じてインシデントの再発を防止するため
ウ:応答時間の悪化の根本原因を特定し、恒久的な解決策を提案するため
エ:コールセンタからの苦情に関するサービス報告書を作成するため
模範解答
ア
解説
解答の論理構成
- 【問題文】では“9時15分にオンライン応答時間の測定値がしきい値を超えたことから、K社はインシデント対応を開始した。また、コールセンタからK社に“オンライン処理の応答が遅い”というクレームがあった。”とあります。
- さらに“数分後にオンライン応答時間の悪化は解消されたので、K社では解決策は必要ないと判断し、インシデント対応を終了した。”と続きます。
- ここから読み取れるのは、K社が最優先にしたのは“原因究明”ではなく“サービスの早期復旧”であった点です。
- ITサービスマネジメントにおけるインシデント管理の目的は「合意済みサービスをできるだけ早く回復し、ビジネスへの影響を最小化する」ことです。
- 解答群を見ると、この目的に合致するのは“ア:G社営業部門やコールセンタと合意したサービスを迅速に回復するため”のみです。
- よって、正答はアになります。
誤りやすいポイント
- 「イ」や「ウ」のように“再発防止”や“根本原因分析”を選びたくなるが、これは問題管理の領域でありインシデント管理の一次的目的ではありません。
- “エ”は報告書作成という結果的に必要な作業を述べているだけで、インシデント管理の本来目的とはずれます。
- “迅速に回復”というキーワードを見落とし、CPU能力向上などの恒久策の話題と混同しやすいので注意が必要です。
FAQ
Q: なぜ“根本原因の特定”はインシデント管理の目的ではないのですか?
A: 根本原因の追究は問題管理の役割であり、インシデント管理はまず“早期復旧”にフォーカスします。
A: 根本原因の追究は問題管理の役割であり、インシデント管理はまず“早期復旧”にフォーカスします。
Q: “数分後にオンライン応答時間の悪化は解消された”のに調査を行ったのは矛盾では?
A: インシデント管理で復旧後、必要に応じて問題管理やキャパシティ管理で追加分析を行うのは一般的です。目的が異なるだけで両者は補完関係にあります。
A: インシデント管理で復旧後、必要に応じて問題管理やキャパシティ管理で追加分析を行うのは一般的です。目的が異なるだけで両者は補完関係にあります。
Q: ITIL用語を覚えていないと解けませんか?
A: 本文に“解決策は必要ないと判断し、インシデント対応を終了した”とあり、対応が“復旧優先”であった事実から選択肢を絞れます。フレームワーク名を知らなくても、本文の意図をつかめば解答可能です。
A: 本文に“解決策は必要ないと判断し、インシデント対応を終了した”とあり、対応が“復旧優先”であった事実から選択肢を絞れます。フレームワーク名を知らなくても、本文の意図をつかめば解答可能です。
関連キーワード: インシデント管理、サービスレベル、早期復旧、影響最小化
設問1:〔オンライン応答時間の悪化〕について、(1)、(2)に答えよ。
(2)本文中のaに入れる適切な字句を表1中の機能名称から選べ。解答欄には表1中の機能名称に対応する項番を答えよ。
模範解答
a:2
解説
解答の論理構成
- 問題文では、CPU 使用率が 100% に達している時間帯(9〜11 時)が “a機能の処理を実行している時間帯と一致” すると示されています。
- 表1を見ると、オンラインサービス提供時間帯(9〜22 時)に 1 時間間隔で起動するバッチ処理は “項番 2 「検針データ取込み」” だけです。
- 【問題文引用】
“注1) 日中バッチ処理は、オンラインサービス提供時間帯の9~22時に1時間間隔で起動され、数分間で完了する。”
- 【問題文引用】
- 他の機能を確認すると、
- 項番1・5 はオンライン処理で常時稼働するため 1 時間ごとの突発的ピークと一致しにくい。
- 項番3・4 は “夜間バッチ処理” で 22 時以降に実行され、該当時間帯では動作しません。
- したがって、9〜11 時に数分間だけ現れる CPU ピークは “項番 2 検針データ取込み” と判断できます。
- よって a に入る機能名称の項番は 2 となります。
誤りやすいポイント
- 「CPU 100% =オンライン処理」と短絡し、項番1「顧客情報照会」や項番5「顧客情報登録・変更」を選んでしまう。表1の “日中バッチ処理” の記述を見落とさないことが重要です。
- 夜間バッチ処理(項番3・4)を選択肢に入れてしまう。22 時以降に実行されるため時間帯が合致しません。
- 表1の “重要度順” という注記を “実行頻度” と混同し、誤って項番1を選んでしまう。
FAQ
Q: CPU 使用率が 100% になると必ずしもオンライン応答時間が悪化するのでしょうか?
A: 必ずではありませんが、本システムでは “CPU 使用率が 95% を超えるとオンライン応答時間が急激に悪化” する傾向が分析で確認されています。CPU がボトルネックになりやすい構成だからです。
A: 必ずではありませんが、本システムでは “CPU 使用率が 95% を超えるとオンライン応答時間が急激に悪化” する傾向が分析で確認されています。CPU がボトルネックになりやすい構成だからです。
Q: なぜ暫定策として 12 時に実行時間をずらすだけで良いのですか?
A: 9〜11 時はオンライン処理が混み合う時間帯のため、CPU に余裕がない状態です。12 時にずらすことで同時実行を回避し、ピーク負荷を下げられるからです。
A: 9〜11 時はオンライン処理が混み合う時間帯のため、CPU に余裕がない状態です。12 時にずらすことで同時実行を回避し、ピーク負荷を下げられるからです。
Q: 日中バッチを止めると業務影響はないのですか?
A: 注1)で “障害が発生した場合でも、当処理は、当日の当初予定から3時間以内に実行する必要がある” と規定されており、12 時実行であれば要件を満たすため業務影響は許容範囲内です。
A: 注1)で “障害が発生した場合でも、当処理は、当日の当初予定から3時間以内に実行する必要がある” と規定されており、12 時実行であれば要件を満たすため業務影響は許容範囲内です。
関連キーワード: キャパシティ管理、CPU使用率、バッチ処理、しきい値、インシデント管理
設問2:〔夜間バッチ処理の終了時刻の遅延〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(1)本文中のbに入れる適切な字句を解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:恒久策
イ:暫定策
ウ:奨励策
エ:リスク軽減策
模範解答
b:イ
解説
解答の論理構成
- 問題文では
“そこで、インシデント対応のbとして、機能を縮退してオンライン処理を行うことをG社と合意し、c機能だけでオンライン処理を行うことにした。”
と述べられています。 - ここで行っている対処は、夜間バッチ処理が終わるまでの間だけ“機能を縮退”してサービスを継続させる一時的措置です。恒久的に機能を制限するわけではありません。
- ITサービスマネジメント(ITIL など)では、こうした“サービスを早期復旧させるための一時的対応”を「暫定策」と呼びます。
- 選択肢を検討します。
- ア:恒久策…恒常的な解決策であり今回の文脈と不一致。
- イ:暫定策…一時的な回避策であり本文の状況に合致。
- ウ:奨励策…推奨事項の意味でキャパシティ管理の用語としては使われにくい。
- エ:リスク軽減策…リスク対応の広義の対策であり、本文の“縮退運用”という臨時措置を直接示す語ではない。
- 以上より、bには “暫定策” が適切です。
誤りやすいポイント
- “機能を縮退してオンライン処理を行う”=性能を下げてでも止めない、という文脈を“恒久策”と誤読しやすい。恒久策は根本原因を解消して同じ問題が再発しないようにする対応を指します。
- 「リスク軽減策」を“とりあえずリスクを下げる”という曖昧な捉え方で選んでしまうケース。ITサービス運用では“暫定策/恒久策”という対で覚えておくと判別しやすいです。
- “奨励策”はPMBOK の推奨対応などで目にするものの、キャパシティ管理のインシデント対応では用いません。選択肢の中で実務用語らしく見えて紛らわしいので注意。
FAQ
Q: 暫定策と恒久策はどう区別すべきですか?
A: 暫定策は“ユーザ影響を最小化しサービスを早期復旧させるための一時処置”、恒久策は“根本原因を除去し再発を防ぐ抜本対策”です。今回の縮退運用はサービス復旧を目的とした一時的措置なので暫定策になります。
A: 暫定策は“ユーザ影響を最小化しサービスを早期復旧させるための一時処置”、恒久策は“根本原因を除去し再発を防ぐ抜本対策”です。今回の縮退運用はサービス復旧を目的とした一時的措置なので暫定策になります。
Q: 縮退運用を選ぶ際のポイントは?
A: 重要度が高い機能を優先して残すことです。本問題でも“顧客情報照会”だけ残しています(問題文中のcに該当)。サービスレベルを完全に満たせない場合でも、利用者影響を最小限に抑えられます。
A: 重要度が高い機能を優先して残すことです。本問題でも“顧客情報照会”だけ残しています(問題文中のcに該当)。サービスレベルを完全に満たせない場合でも、利用者影響を最小限に抑えられます。
Q: 暫定策を実施したら恒久策は不要ですか?
A: 不要ではありません。暫定策で応急処置を行った後、恒久策を計画・実装し再発防止を図るのが運用管理の基本です。本問題でも3か月後のCPU能力向上など恒久策が別途計画されています。
A: 不要ではありません。暫定策で応急処置を行った後、恒久策を計画・実装し再発防止を図るのが運用管理の基本です。本問題でも3か月後のCPU能力向上など恒久策が別途計画されています。
関連キーワード: 暫定策、縮退運用、インシデント対応、キャパシティ管理
設問2:〔夜間バッチ処理の終了時刻の遅延〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(2)本文中のcに入れる適切な字句を表1中の機能名称から選べ。解答欄には表1中の機能名称に対応する項番を答えよ。
模範解答
c:1
解説
解答の論理構成
- まず、縮退運転中に許可したい処理が何であるかを読み取ります。
【問題文】では、夜間バッチの遅延によって
「オンラインサービスの開始が遅れた。その結果、顧客情報照会 ができないことから、コールセンタの業務に支障を来した。」
とあります。したがって、最低限必要なのは 参照系の処理 です。 - 夜間バッチ処理中のデータベース制約を確認します。
注②に「夜間バッチ処理中は、他の処理では顧客DBの参照はできるが更新はできない。」と明記されています。つまり更新系は実行不可です。 - 表1の各機能を照合します。
表1より参照系のみの機能は
項番1 「顧客情報照会」―“顧客DBを参照する。”
です。他の機能はすべて “顧客DBを更新する” ため、夜間バッチ中には実行できません。 - 以上から、縮退運転で残すべき c は「顧客情報照会」、解答欄には対応する項番1を記入するのが妥当です。
誤りやすいポイント
- 夜間バッチ中でも“参照はできる”という記述を見落とし、「更新系も動くのでは」と誤解する。
- 重要度が高い順の“項番”と、表の“機能名称”を取り違える(設問は項番を答えさせる)。
- コールセンタの業務支援=登録・変更と早合点し、顧客情報登録・変更(項番5)を選んでしまう。
FAQ
Q: 重要度が一番高い機能を残すという意図ですか?
A: 重要度順ではなく、“夜間バッチ中も実行可能かつ業務継続に必須な参照系”という技術的制約で選定しています。
A: 重要度順ではなく、“夜間バッチ中も実行可能かつ業務継続に必須な参照系”という技術的制約で選定しています。
Q: 参照系のみ許可しても、登録・変更受付を後でまとめて行うことでデータ不整合は起きませんか?
A: バッチ終了後に更新処理を再開するため、整合性は業務運用手順で担保できます。夜間バッチ中は更新禁止なので衝突も生じません。
A: バッチ終了後に更新処理を再開するため、整合性は業務運用手順で担保できます。夜間バッチ中は更新禁止なので衝突も生じません。
Q: CPU能力向上後は縮退運転策を廃止できますか?
A: 性能ボトルネックが解消されれば通常運用に戻せますが、非常手段として手順書に残しておくのが望ましいです。
A: 性能ボトルネックが解消されれば通常運用に戻せますが、非常手段として手順書に残しておくのが望ましいです。
関連キーワード: キャパシティ管理、縮退運転、参照系処理、バッチ処理、ボトルネック
設問2:〔夜間バッチ処理の終了時刻の遅延〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(3)本文中の下線①で顧客登録数を監視項目として追加する目的を、25字以内で述べよ。
模範解答
夜間バッチ処理の終了時刻の予測を行うため
解説
解答の論理構成
- 夜間バッチ処理は「顧客の登録数(以下、顧客登録数という)が50万件になるまでは処理が9時までに終了すると設計」されています。
- しかし「臨時キャンペーン」で「顧客登録数が予測よりも早く50万件を超え」たため、「夜間バッチ処理の終了時刻に遅延」が発生しました。
- 遅延は顧客登録数の増減と強く相関するため、L氏は「顧客DBの顧客登録数を監視項目として追加し、日常的に監視」する対策を決定しました。
- 以上より、顧客登録数を常時把握できれば、閾値超過が近いことを早期に検知し「夜間バッチ処理の終了時刻」を事前に見積もれます。
- したがって、追加監視の目的は「夜間バッチ処理終了時刻を予測すること」と導けます。
誤りやすいポイント
- 「処理時間短縮のため」とだけ書くと“予測”の視点が欠落し減点対象となります。
- 「CPU負荷の把握」などリソース側だけに着目し、顧客登録数と終了時刻の因果を示さない解答は的外れです。
- “遅延発生後の事後対応”と混同し、監視の目的を「削除対象顧客を探すため」と誤記するケースがあります。
FAQ
Q: 顧客登録数を監視してもCPU使用率のしきい値だけでは不十分ですか?
A: 顧客登録数はバッチ処理レコード量を直接決定するため、CPUだけでなく処理時間全体の予測指標になります。両方を併用することで精度が向上します。
A: 顧客登録数はバッチ処理レコード量を直接決定するため、CPUだけでなく処理時間全体の予測指標になります。両方を併用することで精度が向上します。
Q: 監視項目の追加はキャパシティ計画のどの活動に該当しますか?
A: 「キャパシティ監視」の強化に該当し、測定値の分析結果を「キャパシティ計画」へフィードバックして計画を見直します。
A: 「キャパシティ監視」の強化に該当し、測定値の分析結果を「キャパシティ計画」へフィードバックして計画を見直します。
Q: 顧客登録数が増え続ける場合の次の対応策は?
A: ハードウェア増強や処理ロジック改善(並列化・分割処理)などでバッチ性能を底上げし、しきい値を更新することが考えられます。
A: ハードウェア増強や処理ロジック改善(並列化・分割処理)などでバッチ性能を底上げし、しきい値を更新することが考えられます。
関連キーワード: キャパシティ監視、バッチ処理時間、しきい値、リソース予測、ワークロード
設問3:〔キャパシティ管理の強化〕について(1)、(2)に答えよ。
(1)本文中のdに入れる適切な字句を、10字以内で答えよ。
模範解答
d:インシデント
解説
解答の論理構成
- まず【問題文】には、キャパシティ監視について「“監視項目の測定値が、あらかじめ決められたしきい値を超えた場合は、インシデントとして対応する。”」と明記されています。
- 〔キャパシティ管理の強化〕の記述では「“CPU使用率が95%を超えるとオンライン応答時間が急激に悪化”」することが判明したため、「“CPU使用率のしきい値を、95%よりも低い値に設定し、応答時間の遅延が発生する前にdとして対応する”」とあります。
- しきい値を超えたときに行う対応は 1. で引用した定義に従い “インシデントとして対応” です。したがって d には「インシデント」が入るのが論理的帰結となります。
誤りやすいポイント
- “予防的対応だからイベント管理” と早合点しやすいですが、【問題文】でしきい値超過時の用語を明確に「インシデント」と規定している点を見落とすと誤答になります。
- “95%よりも低い値に設定” という記述から “閾値” を答えてしまうケースがありますが、求められているのは閾値ではなく“対応の扱い”です。
- ITIL の一般知識で “障害はインシデント、性能低下は問題管理” などと混同し、「問題」や「イベント」と書いてしまうケースも散見されます。
FAQ
Q: しきい値を下げたのに、なぜ“イベント”ではなく“インシデント”なのですか?
A: 本問題では【問題文】で「“しきい値を超えた場合は、インシデントとして対応する”」とルール化されています。しきい値を変更しても、そのルールが変わらない限り超過はインシデント扱いです。
A: 本問題では【問題文】で「“しきい値を超えた場合は、インシデントとして対応する”」とルール化されています。しきい値を変更しても、そのルールが変わらない限り超過はインシデント扱いです。
Q: インシデントと問題管理の違いは?
A: インシデントはサービスを速やかに復旧させるための“現象への対処”で、問題管理は根本原因の解明と恒久対策を目的とします。本問ではまず“応答遅延を未然に防ぐ”という運用上の対処を示しているためインシデント対応に分類しています。
A: インシデントはサービスを速やかに復旧させるための“現象への対処”で、問題管理は根本原因の解明と恒久対策を目的とします。本問ではまず“応答遅延を未然に防ぐ”という運用上の対処を示しているためインシデント対応に分類しています。
Q: 閾値を 95%未満にするだけで十分ですか?
A: 短期的には効果がありますが、長期的には CPU 増強や処理分散などのキャパシティ対策が必要です。問題文でも「“3か月後にサーバのCPU能力向上”」を恒久策として計画しています。
A: 短期的には効果がありますが、長期的には CPU 増強や処理分散などのキャパシティ対策が必要です。問題文でも「“3か月後にサーバのCPU能力向上”」を恒久策として計画しています。
関連キーワード: しきい値、キャパシティ計画、CPU使用率、オンライン応答時間
設問3:〔キャパシティ管理の強化〕について(1)、(2)に答えよ。
(2)本文中の下線②でG社営業部門との打合せで情報を入手する目的を、キャパシティ管理の観点から25字以内で具体的に述べよ。
模範解答
キャパシティ計画への影響を把握するため
解説
解答の論理構成
- 【問題文】では、夜間バッチ遅延の再発防止策として、
“②G社営業部門と定期的に打合せを行い、本サービスに対する需要予測に影響を与える、G社のキャンペーンの実施などに関する情報を事前に入手する”
と記載されています。 - キャパシティ管理の目的は、将来の“需要予測”を的確に把握したうえで“資源の使用量を見積もり”、あらかじめ“キャパシティ計画”に反映することです。これは同じく【問題文】“(1) キャパシティ計画”の説明で、
“①…需要予測を入手し…資源の使用量を見積もる…キャパシティ計画を作成”
と明示されています。 - キャンペーンが急に開始されると顧客登録数や処理量が想定より増え、今回のように“夜間バッチ処理の終了時刻が遅延”するインシデントを招きます。情報を“事前に入手”できれば、CPU増強やジョブスケジュール調整などを計画的に実施でき、インシデント予防につながります。
- したがって、打合せの狙いは「キャンペーンなどの営業施策がキャパシティ計画へ与える影響を先取りし、計画を適切に更新すること」であると結論づけられます。
誤りやすいポイント
- 「需要予測を入手するため」とだけ書くと、“キャパシティ計画”への連動が示されず減点対象になりやすいです。
- 「CPU能力向上の時期を決定するため」など対策手段だけに言及し、目的(影響把握)を欠く答案も失点しがちです。
- “営業部門と協力する目的”を「顧客登録数を削減するため」と読み違えるケースがありますが、削減は今回の一時対応であり恒常的な目的ではありません。
FAQ
Q: 需要予測とキャパシティ計画は同じものですか?
A: いいえ。需要予測はビジネス側から提示される将来の利用量見込みであり、キャパシティ計画はその予測を踏まえてIT資源をどう手配・監視するかを定める文書です。
A: いいえ。需要予測はビジネス側から提示される将来の利用量見込みであり、キャパシティ計画はその予測を踏まえてIT資源をどう手配・監視するかを定める文書です。
Q: なぜキャンペーン情報が重要なのですか?
A: キャンペーンは短期間で利用量を急増させる典型的要因だからです。事前に把握すればCPU増強やバッチ再設計などを前倒しで計画できます。
A: キャンペーンは短期間で利用量を急増させる典型的要因だからです。事前に把握すればCPU増強やバッチ再設計などを前倒しで計画できます。
Q: “しきい値”と“需要予測”のどちらを優先して見直すべきですか?
A: まず需要予測を精度高くし、それを基にしきい値を設定・調整するのが一般的な順序です。
A: まず需要予測を精度高くし、それを基にしきい値を設定・調整するのが一般的な順序です。
関連キーワード: キャパシティ計画、需要予測、しきい値、インシデント管理、スケーリング


