応用情報技術者 2019年 秋期 午前2 問16
問題文
システムの信頼性向上技術に関する記述のうち、適切なものはどれか。
選択肢
ア:故障が発生したときに、あらかじめ指定されている安全な状態にシステムを保つことを、フェールソフトという。
イ:故障が発生したときに、あらかじめ指定されている縮小した範囲のサービスを提供することを、フォールトマスキングという。
ウ:故障が発生したときに、その影響が誤りとなって外部に出ないように訂正することを、フェールセーフという。
エ:故障が発生したときに対処するのではなく、品質管理などを通じてシステム構成要素の信頼性を高めることを、フォールトアボイダンスという。(正解)
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信頼性向上技術【午前2解説】
正解の理由
正解は エ です。選択肢の記述は「品質管理などを通じてシステム構成要素の信頼性を高めること」を指しており、これはフォールトアボイダンス(fault avoidance、故障回避)そのものです。フォールトアボイダンスは設計段階や製造・運用プロセスで故障の発生を未然に防ぐ取り組み(部品選定、設計審査、品質管理、試験・検出による不良除去など)を含み、故障が起きてから対処するのではなく発生確率を下げる点が特徴です。
解法ステップ
- 各選択肢のキーワードを抽出する(「安全な状態」「縮小したサービス」「影響が外部に出ないよう訂正」「品質管理で信頼性を高める」など)。
- それぞれのキーワードを代表する信頼性用語の定義と照合する。
- 定義が一致する選択肢を正解とする。今回は「品質管理による信頼性向上」がフォールトアボイダンスに一致するため選択する。
選択肢別の誤答解説
- ア:
- 誤り。記述は「故障時にあらかじめ指定された安全な状態に保つこと」を述べており、これはフェールセーフ(fail-safe)の定義です。フェールセーフは故障時に安全側へ遷移させて被害を最小化する設計思想(例:鉄道の信号、航空機の安全ロック)です。
- イ:
- 誤り。記述は「縮小した範囲のサービスを提供すること」とあり、これはフェールソフト(fail-soft、またはフェイルソフト)の説明に該当します。フェールソフトは故障時に機能を縮小(グレースフルデグラデーション、縮退)してサービスを継続する方式(例:機能の一部を停止して重要機能は維持)です。
- ウ:
- 誤り。記述は「故障の影響が外部に出ないよう訂正すること」とあり、これはフォールトマスキング(fault masking、障害隠蔽)の定義です。フォールトマスキングは冗長化や誤り訂正により障害の影響を内部で吸収し外部に誤りを出さない手法(例:二重化・多数決、エラー訂正符号)です。
- エ:
- 正解。上記のとおり、品質管理等で構成要素の信頼性を高めることはフォールトアボイダンスの本質です。
よくある誤解
- フェールセーフとフェールソフトを混同する:フェールセーフは「安全状態の維持」、フェールソフトは「機能を縮小して動作継続」であり目的(安全優先か機能継続か)が異なります。
- 冗長化=常にフォールトマスキングではない:冗長化はフォールトマスキングやフォールトトレランスの手段になり得ますが、運用設計次第でフェイルオーバー(代替切替)や通知機構に使うこともあります。
- 「故障を訂正する」ことと「故障を防ぐ」ことを混同する:前者はフォールトマスキングやフォールトトレランス、後者はフォールトアボイダンスです。用途に応じて使い分ける必要があります。
補足コラム
信頼性向上の手法は大きく分けて次のカテゴリに整理できます。
- フォールトアボイダンス(故障回避): 設計・製造・品質管理で故障発生を低減する。
- フォールトマスキング(障害隠蔽)/フォールトトレランス: 冗長化や誤り訂正で障害の影響を吸収する。
- フェールソフト(縮退動作): 機能を縮小してサービスを維持する。
- フェールセーフ(安全化): 故障時に安全側に移行して被害を低減する。 実務ではこれらを組み合わせ、例えば高可用性システムではフォールトアボイダンスで故障率を下げつつフォールトマスキングとフェールソフトでサービス継続性を確保し、重要箇所にはフェールセーフ設計を施す、という具合に多層防御が行われます。
FAQ
Q: フォールトアボイダンスの具体例は?
A: 部品の厳選、耐環境試験、設計レビュー、ソフトウェアのコードレビューや静的解析、製造工程の品質管理(バーンイン、信頼性試験)などが挙げられます。
Q: フォールトマスキングと冗長化の違いは?
A: フォールトマスキングは「冗長化やエラー訂正によって障害の影響を外部に出さないこと」を指します。冗長化はその実現手段の一つです(例:トリプルモジュラー冗長(TMR)で多数決により誤りを隠蔽)。
Q: 試験で素早く見分けるコツは?
A: 「起きた故障への対処」か「未然防止」かを切り分けるとよいです。未然防止=フォールトアボイダンス、発生後の動作が「安全にする」ならフェールセーフ、「機能を落として継続」ならフェールソフト、「誤りを訂正/隠蔽」ならフォールトマスキング。
関連キーワード: フェールセーフ、フェールソフト、フォールトマスキング、フォールトアボイダンス、縮退、冗長化、フォールトトレランス、品質管理、信頼性試験、FMEA

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