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応用情報技術者 2019年 春期 午後02


ホテルチェーンのビジネスコンセプトに関する次の記述を読んで、設問1〜5に答えよ。

 D社は、国内でビジネスホテルチェーンを展開している業界大手企業である。D社が運営するホテルのビジネスコンセプトは、次のとおりである。  ・都市のターミナル駅の徒歩圏内に、150〜200部屋の中規模ホテルを展開する。  ・ターゲット顧客は、低価格志向の出張客及び観光客とする。  ・ホテルの1階に直営レストランを併設する。  ・ITを活用したサービス向上と、低コスト運営を目指す。  ホテル業界全体は、訪日外国人旅行者の増加で業績が伸びているが、D社は競合ホテルの低価格戦略の影響を受け、ここ数年の利益は頭打ちとなっている。そこで、D社経営企画部では、利益を増大させることを目的に、事業戦略立案チームを発足させて、これまでD社では手掛けていなかった形態のホテル事業の検討をすることにした。   〔D社のファイブフォース分析と課題〕  チームリーダに任命された経営企画部X部長は、自社の特徴、課題、及び収益構造を把握するために、ファイブフォース分析を行い、ホテル業界におけるD社が受ける脅威を表1に整理した。
応用情報技術者試験(令和元年 午後 問02 表01)
 ホテル業界では、新規開業時に掛かる多額の初期投資を、確実に回収することが課題である。代替サービスの多様及び顧客の交渉力の脅威に対しては、低価格だけではなく、付加価値の高いサービスを提供することが課題である。供給業者の交渉力の脅威は、現在の仕入価格交渉力を維持できなければ大きな問題がある。  X部長は、これらの課題を踏まえて、初期投資と運営コストを抑えた新しい形態のホテル事業の検討に着手した。   〔企業が所有している保養所の実態〕  新しい形態のホテル事業を検討している中、X部長は、D社の大口顧客の企業経営者から、多くの企業が自社の保養所運営で問題を抱えていることを耳にした。企業の保養所は、従業員福利厚生制度の一環として設けられてきた。従業員とその家族などが、年間を通じて1泊2食付きで3、4千円で利用できるので、かつての利用実績は高かった。しかし、近年、①余暇に関する個人の価値観の変化、及び海外旅行が手軽になったことから、利用者数は大きく減少し、企業の重荷になっている。  温泉地で有名なC市では、半径1km以内の距離エリアに十数件の保養所が点在している。築年数を経た趣の良いこぢんまりとした建物、30年ほど前の好況期に建てられた高級感のある建物など、それぞれに独自の魅力がある。一方で、隣接する昔ながらの商店街では、地元の名産品を提供する飲食店、生産陶器屋が細々と営業をしている。   〔保養所を活用した観光ホテル事業の提案〕  D社にとって、新たな形態のホテル事業として観光ホテル事業に進出する場合は新規の参入となり、②その参入障壁を越えなければならない。また、大口顧客の企業経営者の話から、観光地に保養所を所有する企業(以下、所有企業という)は、長年課題してきた保養所の運営コストを削減したいと考えていることが分かった。  X部長は、所有企業と提携し、保養所を活用した観光ホテル事業を考えた。また、地元の役所、観光組合、商店街と協業して地域を活性化することで、ホテルの集客力を高めようと考えた。事業戦略改革チームは、X部長の考えを具体的に進めるために、C市に立地している保養所の現在の運営コストを分析して観光ホテル事業の収支を試算し、所有企業に対して次の提案をした。  ・D社は、所有企業から土地と建物を借り、保養所の経営及び運営全般を受託する。  ・D社は、施設整備費などのランニングコストを全額負担する。  ・D社は、各保養所での売上の一定料率を、賃貸料として各所有企業に還元する。  ・観光ホテルとして、所有企業の従業員などのほかに一般宿泊客を受け付ける。  ・所有企業の従業員は、現行の保養所の料金のまま一般宿泊客よりも優先的に予約できる。さらに、他社の魅力的な保養所も他社の保養所の料金で利用でき、楽しみが増える。  この提案を実行することによって、D社は、これまで培ってきたホテルの運営ノウハウを生かして利益を増大させ、観光ホテルのチェーン化の足掛かりにすることができる。また、所有企業は、売上の還元などによって保養所の運営コストを削減できる。さらに、従業員福利厚生制度を維持したまま、自社の保養所の運営業務からも解放される。  D社の提案は、最終的にC市に保養所を所有する企業8社に受け入れられた。その後、D社は、地域の活性化に向けて、地元の役所、観光組合、商店街との調合いを開始した。   〔観光ホテル事業のビジネスコンセプト〕  X部長は、観光ホテル事業のビジネスコンセプトを、次のように整理した。  ・近隣エリアの複数の保養所を一つのホテル組織として一体化し、運営する。  ・一般宿泊客は、1泊2食付きで9,000円の年間均一料金とする。  ・D社の既存のビジネスホテルチェーンで使用している宿泊予約システムを一部機能追加しての導入、各部屋へのタブレット端末設置など、ITを活用した使い勝手の良いサービスを提供する。  D社の提案とこれらのビジネスコンセプトによって、③所有企業の従業員に対しては、値段、サービスなどの機能的価値とは異なる、新たな感情的価値を提供できる。  一般宿泊客に対しては、低価格で付加価値の高いサービスを提供できる。また、供給業者に備品などをまとめて発注することで、仕入価格交渉をこれまで以上に有利に進めることが期待できる。  飲食は観光地のアピールポイントの一つであるが、D社が受ける脅威の一つである代替サービスとはあえて争わない。ホテル内で調理して提供するのは朝食だけにして、宿泊客に商店街の飲食店の食事券と土産物屋の割引券を渡し、夕食時に地元での商店街へ足を運んでもらう。④これには、D社の飲食関連コストの上昇を抑制すること以外の狙いもある。  X部長は、保養所資産の有効活用と徹底的なコスト削減、及び高い客室稼働率・リピート率の確保によって、2年間で観光ホテル事業を黒字にすることを目標にした。   〔複数の保養所を一体化した運営の課題と施策の検討〕  複数の保養所を一体化して運営する上での課題は、顧客に対するサービスの品質を低下させないことと、人件費全体の縮小である。支配人、部門長などの管理職は自社の既存ホテルから配置できるが、宿泊客の増加が予想されるのでスタッフ職従業員(以下、スタッフという)が不足する。そこで急務となる新たなスタッフの確保と教育に対して、X部長は次の施策を考えた。  ・スタッフの募集を地元の役所に支援してもらう。  ・スタッフ業務の経験がなくても短期間で戦力できるように、業務を標準化するとともに、スタッフ向け研修を整備する。  ・スタッフ業務運行基準を作成する。各自が管理職と話し合って設定した目標値を達成したスタッフに対する厚遇制度を設けて、スタッフのモチベーションを上げる。  支配人と部門長は近隣エリアの複数の保養所を管理し、当初、スタッフは各保養所に固定で配置する計画であった。その後の検討によって、スタッフの稼働予定及び実績を管理するスタッフ稼働管理システムを導入し、保養所ごと、時間帯ごとにスタッフの繁閑具合を可視化することにした。⑤このシステムの導入によって、顧客の予約状況からスタッフを配置するよう計画を見直すことができる

設問1〔D社のファイブフォース分析と課題〕について、(1)、(2)に答えよ。

(1)表1中のイ〜オのうち、業界外の要因に分類される脅威を二つ選び、記号で答えよ。

模範解答

イ、ウ

解説

解答の論理構成

  1. ファイブフォース分析では、自社が属する「業界」そのものとは別に、業界の外側から加わる圧力を
    ①新規参入者、②代替製品・サービスの2要因と定義しています。
  2. 表1を確認すると、外部から業界に影響を与える脅威として該当するのは次の2行です。
    • 「イ 新規参入の脅威 ― “土地や建物の取得に多額の初期投資を要し、かつ、ホテル運営のノウハウを必要とするので、参入障壁が高い。”」
    • 「ウ 代替サービスの脅威 ― “主要サービスである宿泊や飲食について、b又は高付加価値の代替サービスが現れた場合、顧客はそちらへ流れる懸念がある。”」
  3. これらはともに、ホテル業界内部のプレーヤー(既存競合・顧客・供給業者)ではなく、“業界の外”から新しく入ってくる競争要因であるため、「業界外の要因」に該当します。
  4. よって、業界外の要因に分類される脅威は記号「イ」「ウ」であり、設問の解答は「イ、ウ」となります。

誤りやすいポイント

  • 「供給業者の交渉力の脅威(オ)」も業界外と誤解しやすい
    → ファイブフォース分析では“仕入先”は外部要因ではあるものの、設問は“業界外=競争原理としての外圧”という文脈で聞いているため、新規参入・代替サービスに限定している。
  • 「顧客の交渉力の脅威(エ)」は一見外部に見えるが、業界需要側で常に存在する要因であり、内部競争を左右する力として扱われる。
  • 「業界内の[ a ]の脅威(ア)」は“既存競合間の対抗”であり、明らかに業界内要因。

FAQ

Q: 供給業者も業界外なのに、なぜ選ばないのですか?
A: 設問が求める“業界外の要因”は、新たに業界へ脅威をもたらす主体(新規参入・代替サービス)を指しています。供給業者は既に取引関係の中に存在しており、分類の意図が異なります。
Q: 「顧客の交渉力」は外からの圧力では?
A: ファイブフォースでは顧客も外部関係者ですが、需要側として常に存在しているため“業界構造に内包した力”と捉えられます。設問文脈では新規参入・代替サービスのみを外部脅威と見なしています。
Q: ファイブフォース分析で最も重要な要素は?
A: 事業の特徴で変わります。ホテル業界のように固定費比率が高い場合は「業界内の競争」と「代替サービス」が特に利益率を左右しやすい傾向があります。

関連キーワード: ファイブフォース分析, 参入障壁, 代替サービス, 交渉力, 競争要因

設問1〔D社のファイブフォース分析と課題〕について、(1)、(2)に答えよ。

(2)表1中のabに入れる適切な字句を、10字以内で答えよ。

模範解答

a:競合他社 b:低価格

解説

解答の論理構成

  1. ファイブフォース分析の“業界内の競合”
    【問題文】表1の記号アには
    「業界内のaの脅威」
    とあります。隣の分析結果では
    「顧客獲得競争が消耗戦になることが危惧される。」
    と述べており、既に同業者との価格・サービス競争を示唆しています。したがって a は “競合他社” と置くのが最も自然です。
  2. 代替サービスの“低価格”要因
    【問題文】表1の記号ウでは
    「主要サービスである宿泊や飲食について、b又は高付加価値の代替サービスが現れた場合…」
    と記されています。ここで “又は” の対になる語は “高付加価値” の反対概念、すなわち“低価格”です。よって b は “低価格” となります。
結論
a:競合他社
b:低価格

誤りやすいポイント

  • 記号アを「顧客」と読み違え、“顧客の脅威”と誤答するケース。表では顧客の交渉力は別にエで扱われています。
  • 記号ウで“格安”“安価”など類義語を書いてしまうミス。設問は原文の言い回しと合わせる必要があります。
  • 「高付加価値」と対比させる視点を見落とし、単に“代替サービス”や“新サービス”と書いてしまう混同。

FAQ

Q: ファイブフォース分析で“業界内の競合他社”は常に脅威と考えるのですか?
A: 一般に固定費が高く退出障壁が大きい業界ほど価格競争が激化しやすく、脅威度が上がります。本問のホテル業界はまさにその典型です。
Q: “低価格”と“高付加価値”は同時に成立しませんか?
A: 競争戦略上は両立が難しいケースが多く、ファイブフォース分析では別個の軸として脅威を評価します。本問でも「低価格サービス」か「高付加価値サービス」かで顧客が流出する可能性を示しています。
Q: 顧客の交渉力が強い業界では、どのような対応策がありますか?
A: 価格以外の差別化(ブランド力、体験価値など)を高めて価格依存を下げる、ロイヤルティプログラムを導入して囲い込みを行うなどが有効です。

関連キーワード: ファイブフォース分析, 競争戦略, 代替サービス, 参入障壁

設問2

保養所の利用者数が減少した理由である本文中の下線①は、ファイブフォース分析のどの脅威に該当するか。表1中のイ〜オで答えよ。

模範解答

解説

解答の論理構成

  1. 下線①の内容
    • 【問題文】では「①余暇に関する個人の価値観の変化、及び海外旅行が手軽になったことから、利用者数は大きく減少し」と記述されています。
    • これは「海外旅行」という外部の選択肢が台頭し、従来の保養所利用に“代わる”行動を顧客が選択している状況です。
  2. ファイブフォース分析の該当脅威
    • 表1の「ウ」の行には「代替サービスの脅威」が挙げられ、分析結果として「主要サービスである宿泊や飲食について、b又は高付加価値の代替サービスが現れた場合、顧客はそちらへ流れる懸念がある。」と示されています。
    • ここで言う「代替サービス」は、ホテル・保養所が提供する宿泊機能に対して競合する“他の余暇手段”全般を指します。
  3. 対応付け
    • 下線①の「海外旅行が手軽になったこと」=宿泊・余暇サービスの新たな選択肢の出現
    • したがって、下線①は「代替サービスの脅威」に該当し、表1で対応する記号は「ウ」です。

誤りやすいポイント

  • 「顧客が減った=顧客の交渉力」と短絡し、表1の「エ」を選んでしまう。顧客が“他社ホテルとの価格交渉”を強めているわけではなく、サービスそのものを替えている点が違いです。
  • 「余暇に関する価値観の変化」を“業界内競争”と誤解する。業界内(ホテル vs ホテル)ではなく、ホテル以外の余暇手段へ流れる点が代替サービスの典型です。
  • 参入障壁(表1のイ)と混同しやすい。海外旅行が増えたのは競合が“新規参入”したのではなく、別業態が既存サービスを置き換えているにすぎません。

FAQ

Q: 代替サービスの脅威は必ずしも価格が安い場合だけですか?
A: いいえ。「b又は高付加価値の代替サービス」とあるように、安価でも高付加価値でも顧客が流れる可能性があります。
Q: 「海外旅行」はホテルと直接競合しないのでは?
A: “余暇の過ごし方”という顧客ニーズを満たす手段としては競合します。ファイブフォース分析では「同じ欲求を満たす異なる手段」は代替サービスに含めます。
Q: 顧客数減少=業界衰退と考えてよいですか?
A: 必ずしも衰退とは限りません。代替サービスに顧客を奪われているだけで、業界が価値を再定義すれば再成長も可能です。

関連キーワード: ファイブフォース分析, 代替サービス, 競争戦略, レジャー需要, ホスピタリティ

設問3

本文中の下線②について、観光ホテル事業において新規参入の立場であるD社が、所有企業と提携することによって可能になった、参入障壁を越えるための対策を、25字以内で述べよ。

模範解答

開業時の初期投資を賃借料で代替する。

解説

解答の論理構成

  1. 参入障壁の正体
    【問題文】では、ホテル業界の新規参入における難しさを「“新規開業時には、土地や建物の取得に多額の初期投資を要し”」と明言しています。つまり“土地・建物取得コスト”が大きな壁です。
  2. D社が取った対策
    参入障壁を回避する手段として、D社は「“D社は、所有企業から土地と建物を借り”」るスキームを採用しました。買わずに借りる=固定資産への巨額投資を不要にすることを意味します。
  3. ファイナンス視点の効果
    取得ではなく賃借に切り替えると、初期キャッシュアウトを最小化しつつ、賃料を“変動費”として支払えばよい形になります。これが「参入障壁を越える」ロジックです。
  4. 模範解答との対応
    上記を25字以内で要約したのが「開業時の初期投資を賃借料で代替する。」という模範解答です。

誤りやすいポイント

  • “ホテル運営ノウハウ”も障壁ではありますが、本設問は「土地・建物の取得資金」への対策を問うている点を取り違えやすいです。
  • 「運営を受託する」とだけ書くと “賃借” のニュアンスが抜け、初期投資回避が伝わらず減点されがちです。
  • 「所有企業の従業員が利用できる」など福利厚生面に注目しすぎて、本質の資金負担軽減を記述し忘れるケースがあります。

FAQ

Q: “賃貸料で代替” と “賃料を支払う” は同じ意味ですか?
A: はい。ここでは「取得=資本支出」をやめて「賃料=運営コスト」に置き換えることがポイントです。
Q: ノウハウ面の障壁はどう越えたのですか?
A: D社は既存ビジネスホテルで培った運営ノウハウをそのまま観光ホテルに転用することで克服しています。ただし設問②で問われているのは初期投資の壁です。

関連キーワード: ファイブフォース分析, 参入障壁, 資産ライト戦略, キャッシュフロー, アウトソーシング

設問4〔観光ホテル事業のビジネスコンセプト〕について、(1)〜(3)に答えよ。

(1)本文中の下線③について、提供できる新たな感情的価値を、25字以内で述べよ。

模範解答

他社の魅力的な保養所も利用できる楽しみ

解説

解答の論理構成

  1. 【問題文】では、D社が提案する制度によって、保養所の従業員は
    「所有企業の従業員は、現行の保養所の料金のまま一般宿泊客よりも優先的に予約できる。さらに、他社の魅力的な保養所も他社の保養所の料金で利用でき、楽しみが増える。」
    と明示されています。
  2. 下線③は「所有企業の従業員に対しては、値段、サービスなどの機能的価値とは異なる、新たな感情的価値を提供できる」と述べています。
    1. で引用した「楽しみが増える」ことが、新たな“感情的価値”に該当します。
  3. よって、下線③で問われる感情的価値は「他社の魅力的な保養所も利用できる楽しみ」と整理できます。

誤りやすいポイント

  • 「料金が安い」「予約が優先される」など“機能的価値”を答えてしまう。下線③は「感情的価値」を問うため不適切です。
  • 「他社の保養所が使える」までで止め、「楽しみ」や「ワクワク感」といった感情面を表現し忘れる。
  • 『保養所』を『ホテル』や『施設』と書き換えてしまい、原文の固有名詞を改変するミス。

FAQ

Q: 機能的価値と感情的価値はどう違いますか?
A: 機能的価値は価格や利便性など実用面のメリット、感情的価値は楽しさ・満足感・誇らしさなど心理面のメリットです。本問では「楽しみが増える」という感情面を聞いています。
Q: 「他社の保養所を格安で利用できる」ではだめですか?
A: “格安”は価格に関する機能的価値を強調する表現なので、感情的価値を問う設問意図とはずれます。「利用できる楽しみ」と感情面に焦点を当てましょう。
Q: 感情的価値は具体的にどのようなマーケティング効果がありますか?
A: 楽しみやワクワク感は顧客ロイヤルティを高め、口コミ増加やリピート利用につながります。企業の福利厚生満足度向上という副次効果も期待できます。

関連キーワード: ファイブフォース分析, 付加価値, 参入障壁, コスト削減, ロイヤルティ

設問4〔観光ホテル事業のビジネスコンセプト〕について、(1)〜(3)に答えよ。

(2)本文中の下線④について、D社の飲食関連コストの上昇を抑制すること以外の狙いを、30字以内で答えよ。

模範解答

地域を活性化することで、ホテルの集客力を高めること

解説

解答の論理構成

  1. 下線部④の直前には、D社が夕食を外部に委ねる具体策が記述されています。
    引用:「ホテル内で調理して提供するのは朝食だけにして、宿泊客に商店街の飲食店の食事券と土産物屋の割引券を渡し、夕食時に地元での商店街へ足を運んでもらう。」
    ➡︎ 宿泊客を商店街へ誘導する仕組みです。
  2. その少し前には、X部長の狙いが明示されています。
    引用:「地元の役所、観光組合、商店街と協業して地域を活性化することで、ホテルの集客力を高めようと考えた。」
    ➡︎ 地域活性化とホテルの集客力向上がセットで語られています。
  3. よって、④の「これ」には「飲食関連コストの上昇抑制」に加え、
    「地域を活性化し、その結果ホテルの集客力を高める」狙いが内包されます。
    したがって模範解答「地域を活性化することで、ホテルの集客力を高めること」と合致します。

誤りやすいポイント

  • 夕食外部化=単なる〝地元への配慮〟と早合点し、ホテル側の利益(集客力向上)を見落とす。
  • 「飲食関連コストの上昇を抑制」だけで完結していると勘違いし、追加の狙いを書かない。
  • 「地域活性化」と「集客」を別々に記述し、因果関係の一体性を欠いてしまう。

FAQ

Q: 「地域活性化」は本当にホテル側のメリットになるのですか?
A: はい。前述の引用のとおり、地域を活性化することでホテルの集客力を高めることが X部長の狙いとして明示されています。
Q: 夕食を外部に任せると顧客満足度が下がりませんか?
A: 地元飲食店の食事券・割引券をセットで提供し、観光地ならではの体験価値を高めているため、満足度低下よりむしろ差別化要素として機能します。
Q: この施策は代替サービスの脅威にどう作用しますか?
A: 低価格競争を避けつつ高付加価値を提供し、地域体験を組み込むことで、単なる宿泊施設との競合を弱める効果があります。

関連キーワード: 地域活性化, 付加価値, 参入障壁, コスト削減, ファイブフォース分析

設問4〔観光ホテル事業のビジネスコンセプト〕について、(1)〜(3)に答えよ。

(3)D社が、近隣エリアで複数の保養所を活用した観光ホテル事業に進出する戦略をとる場合の狙いを、解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群  ア:一般宿泊客の顧客満足度の向上  イ:飲食に関する新規参入の脅威の削減  ウ:効率の良い観光ホテル運営  エ:自然災害発生による被害リスクの分散

模範解答

解説

解答の論理構成

  1. 問われているのは「近隣エリアで複数の保養所を活用した観光ホテル事業に進出する戦略」の“狙い”です。
  2. 【問題文】には、戦略の核となる方針として
    ・「近隣エリアの複数の保養所を一つのホテル組織として一体化し、運営する。」
    ・「⑤このシステムの導入によって、顧客の予約状況からスタッフを配置するよう計画を見直すことができる」
    と記載されています。
  3. これらは保養所同士を束ね、人的・物的リソースを全体最適で再配置することで「運営の効率」を高める意図を明示しています。
  4. 解答群を照合すると、効率化に焦点を当てた選択肢は「ウ:効率の良い観光ホテル運営」のみです。
  5. よって解答は「ウ」となります。

誤りやすいポイント

  • 選択肢「ア:一般宿泊客の顧客満足度の向上」は確かに IT 活用や均一料金で期待できますが、設問が強調するのは「複数の保養所を活用」する部分であり、主目的は運営効率化です。
  • 「エ:自然災害発生による被害リスクの分散」は拠点が複数になると副次的に得られる場合もありますが、【問題文】はリスク分散よりも「コスト削減」と「稼働率の確保」を前面に出しています。
  • 「イ:飲食に関する新規参入の脅威の削減」は、夕食を商店街に任せる施策であって、複数保養所の一体運営とは直接結び付きません。

FAQ

Q: 一体化運営で本当にサービス品質は落ちないのですか?
A: 【問題文】には「顧客に対するサービスの品質を低下させないこと」が課題と書かれており、スタッフ教育や稼働管理システムで品質維持を図る計画です。
Q: なぜ均一料金「1泊2食付きで9,000円」に設定したのですか?
A: 価格を単純化することで予約を取りやすくし、高い客室稼働率を実現する狙いがあります。複数施設を束ねるからこそ平均稼働率で利益を確保しやすくなります。
Q: IT 投資はコスト増になりませんか?
A: 既存チェーンで運用実績のあるシステムを「一部機能追加」して流用するため、開発費を抑えつつ効率化効果が得られる設計です。

関連キーワード: ファイブフォース分析, 参入障壁, コストリーダーシップ, リソース最適化, 稼働率向上

設問5

本文中の下線⑤について、スタッフの配置をどのようにしたらよいか。30字以内で述べよ。

模範解答

保養所全体でスタッフを最適配置する。

解説

解答の論理構成

  1. 現状の課題
    【問題文】には「当初、スタッフは各保養所に固定で配置する計画であった。」とあり、施設ごとの人員固定が前提でした。
  2. システム導入による可視化
    さらに「スタッフ稼働管理システムを導入し、保養所ごと、時間帯ごとにスタッフの繁閑具合を可視化することにした。」とあるように、需要(繁閑)が把握できる環境が整備されます。
  3. 下線⑤の狙い
    下線⑤は「顧客の予約状況からスタッフを配置するよう計画を見直すことができる」と記述されています。ここで問われているのは、可視化した情報をどう活かすかという新しい配置方針です。
  4. 導かれる結論
    予約の変動に合わせて柔軟に動かすには、個別施設単位ではなく「複数の保養所を一体化して」考える必要があります。よって、答えは「保養所全体でスタッフを最適配置する。」となります。

誤りやすいポイント

  • 「繁忙施設だけに増員」と書いてしまい、全体最適ではなく部分最適になってしまう。
  • 「シフトを自動作成する」とシステム機能に言及してしまい、設問が求めるスタッフ配置方針から外れる。
  • 予約状況=稼働率に気を取られ、スタッフの“移動”という視点を落とす。

FAQ

Q: システム導入前後で何が一番変わるのですか?
A: 稼働状況をリアルタイムに把握できるため、複数施設を横断した人員配置が可能になります。
Q: 「最適配置」とは具体的に何を指しますか?
A: 予約数や時間帯ごとの業務量に応じ、余剰スタッフを別施設へ回すなどして人件費を抑えつつサービス品質を維持することです。
Q: 各スタッフの移動コストは考慮しなくてよいのですか?
A: 距離が近い「近隣エリアの複数の保養所」であるため移動負担が小さく、全体最適化の利点の方が大きいと判断できます。

関連キーワード: ワークフォース管理, 需要予測, リソース最適化, サービス品質, コスト削減
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