応用情報技術者 2020年 秋期 午前2 問31
問題文
無線LANのアクセスポイントやIP電話機などに、LANケーブルを利用して給電も行う仕組みはどれか。
選択肢
ア:PLC
イ:PoE(正解)
ウ:UPS
エ:USB
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PoE給電方式【午前2解説】
正解の理由
LANケーブル(イーサネットケーブル)を介して機器に電力を供給する技術は、イのPoE(Power over Ethernet)です。PoEはスイッチやインジェクタ側(PSE: Power Sourcing Equipment)から同軸ではなくツイストペアのLANケーブルを通じて直流電力を送り、無線LANアクセスポイントやIP電話機、ネットワークカメラなどの機器(PD: Powered Device)を駆動します。機器検出と電力量交渉(検出・分類フェーズ)を行うため、非対応機器に誤って高電力を印加してしまうリスクが低く、安全に給電できます。
また、規格ごとの代表的な供給能力は次の通りで、複数のIEEE規格によって段階的に高出力が可能になっています。
- IEEE 802.3af: PSE側最大15.4W(PDが受け取れる代表値 約12.95W)
- IEEE 802.3at (PoE+): PSE側最大30W(PD受取 約25.5W)
- IEEE 802.3bt Type3: PSE側最大60W(PD受取 約51W)
- IEEE 802.3bt Type4: PSE側最大100W(PD受取 約71W前後)
これらから、LANケーブルを用いて給電する技術として正しく該当するのはイのPoEとなります。
解法ステップ
- 問われている要件を整理:LANケーブルを使って「給電」する仕組みかどうかを確認する。
- 各選択肢の定義を思い出す:PLC(電力線通信)=電源線での通信、UPS=無停電電源装置(電源バックアップ)、USB=専用ケーブルでの給電/データ通信、PoE=イーサネットでの給電。
- LANケーブル経由での給電に該当するものを選ぶ。上記照合でPoEが合致するため選択。
この手順で迷わずイを選べます。
選択肢別の誤答解説
-
ア: PLC
電力線通信(Power Line Communication)は家庭や建物の電源配線を通じてデータを送る技術であり、LANケーブルを使って機器に電力を供給する仕組みではありません。名称に「電力」はありますが、用途が異なります。 -
イ: PoE
LANケーブル(ツイストペア)を介して電力を供給する技術で、無線APやIP電話に広く使われます。検出・分類の手順があり、規格(802.3af/at/bt)により供給量が定義されています。 -
ウ: UPS
UPS(無停電電源装置)は電源障害時に機器へ一時的に電力を供給するバックアップ装置であり、給電の経路(AC出力やバッテリ)や用途が違います。LANケーブルを介して給電する機能は標準ではありません。 -
エ: USB
USBは給電とデータ伝送を同一ケーブルで行えますが、物理的にLANケーブルではなくUSBケーブルを用います。距離や供給電力、ネットワーク接続形態も異なるため本問の条件には合致しません。
よくある誤解
- PoEは単に電圧を流すだけと思われがちだが、実際には「検出(Detection)→分類(Classification)→電力供給(Power)→維持(Maintain)」というハンドシェイクを行い、非対応機器を保護する手順がある。
- 規格ごとの「最大値」と「実際に機器が受け取る値(PD側)」を混同しやすい。仕様表にある「最大○W」はPSEが供給可能な最大で、ケーブル損失や規格上のPD受取上限によりPDが受け取れる電力は小さくなる点に注意する。
- 「PoEなら距離無制限」は誤りで、PoEを含むイーサネットは配線長が100m程度の制限があるため、給電可能距離にも影響する。
補足コラム
- 給電方式の分類:
- Endspan(スイッチが直接PoEを供給)とMidspan(既存スイッチに対しPoEインジェクタを挟む)があります。導入形態に応じて選びます。
- ペアの使い方:初期のPoEは「余剰対(spare pair)」を使う方式と、データ対を利用して「ファントム給電(phantom power)」する方式があり、802.3btでは4対全てを使って高出力を実現します。
- ケーブルと損失:長距離や高出力時はケーブルの導体抵抗で損失が増えるため、Cat5eでも動作しますがCat6以上を推奨する場面があります。電力損失は により評価できます()。
- 器具の互換性:PoE対応機器は規格を確認してください。非準拠の受電機を無理にPoEで給電すると故障することがあります。パッシブPoE(検出無しで電源を供給する)も存在し、注意が必要です。
FAQ
Q1. 既存のスイッチでPoEにできますか?
A1. 既存のスイッチがPoE非対応なら、PoEインジェクタ(midspan)を各機器前段に入れる方法で対応可能です。PoE対応スイッチ(endspan)は一括管理が容易です。
A1. 既存のスイッチがPoE非対応なら、PoEインジェクタ(midspan)を各機器前段に入れる方法で対応可能です。PoE対応スイッチ(endspan)は一括管理が容易です。
Q2. PoEでどれくらいの距離まで給電できますか?
A2. イーサネット配線の一般的な最大距離は約100mです。これがPoEの実用的な距離上限になり、長距離ではリピータや電源配置の工夫が必要です。
A2. イーサネット配線の一般的な最大距離は約100mです。これがPoEの実用的な距離上限になり、長距離ではリピータや電源配置の工夫が必要です。
Q3. PoEでカメラやAP以外にも使えますか?
A3. 近年はセンサー、薄型ディスプレイ、LED照明、組込機器などさまざまなPDがPoE化されています。必要電力が規格のPD受取上限内か確認してください。
A3. 近年はセンサー、薄型ディスプレイ、LED照明、組込機器などさまざまなPDがPoE化されています。必要電力が規格のPD受取上限内か確認してください。
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