応用情報技術者 2022年 春期 午後 問02
化粧品製造販売会社Cのゲーム理論を用いた事業戦略の検討に関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。
A社は、国内大手の化粧品製造販売会社である。国内に八つの工場をもち、自社で企画した商品の製造を行っている。販売チャネルとして、全国の都市に約30の販売子会社と約200の直営店をもち、更に加盟店契約を結んだ約2万の化粧品販売店(以下、加盟店という)がある。販売子会社を通さずに販売子会社から加盟店への流通チャネルを一本化して、販売価格を維持してきた。加盟店から加盟店料を徴収する見返りに、販売棚貸などの什器の無償提供やA社の美容販売員の加盟店への派遣などのA社独自の手厚い支援を通じて、長年共栄の関係を築いてきた。化粧品販売では実際に商品を試してから購入したいという顧客ニーズが強く、A社の事業は加盟店の販売網による店舗販売が支えていた。また、各工場に隣接された物流倉庫から各店舗への配送は、外部の運送会社に従量課金制の契約で業務委託している。
A社の主な顧客層は、20〜60代の女性だが、近年は10代の若者層が増えている。取扱商品は、スキンケアを中心にヘアケア、フレグランスなど、幅広く揃えており、粗利益率の高い中高価格帯の商品が売上全体の70%以上を占めている。
〔A社の昨年度の状況と課題〕
A社の昨年度の売上高は7,600億円、営業利益は800億円であった。A社は、戦略的な観点から高品質なイメージとブランドの維持に努め、工場及び直営店を自社で保有し、積極的に広告宣伝及び研究開発を行ってきた。A社では、売上高にかかわらず、これらの設備に係る費用、広告宣伝費及び研究開発費に毎年多額の費用を投入してきたので、総費用に占める固定費の割合が高い状態であった。
A社の過去3年の売上高及び営業利益は横増だったが、今年度は、売上高は横ばい、営業利益は微減の見通しである。A社は、これまで規模の経済を生かして市場シェアを拡大し、売上高を増やすことによって営業利益を増やすという事業戦略を採ってきたが、景気の見通しが不透明であることから、景気が悪化しても安定した営業利益を確保することを今後の経営の事業方針とした。①これまでの事業戦略は今後の経営の事業方針に適合しないので、主に固定費と変動費の割合の観点から費用構造を見直し、これに応じた事業戦略の策定に着手した。
〔ゲーム理論を用いた事業戦略の検討〕
事業戦略の検討を指示された経営企画部は、まず固定費の中で金額が大きい自社の工場への設備投資に着目し、今後の設備投資案に関して次の三つの案を挙げた。
(1) 積極案:全8工場の生産能力を拡大し、更に新工場を建設する。
(2) 現状維持案:全8工場の生産能力を現状維持する。
(3) 消極案:主要6工場の生産能力を現状維持し、それ以外の2工場を閉鎖する。
表1は、景気の見通しにおける設備投資案ごとの営業利益の予測である。それぞれの営業利益の予測は、過去の知見から信頼性の高いデータに基づいている。

景気の見通しは不透明で、その予測は難しい。ここで、②設備投資案から一つの案を選択する場合の意思決定の判断材料の一つとしてゲーム理論を用いることが有効だった。この結果、A社の事業方針に従いaに基づくと、消極案が最適になることが分かった。
次に、これから最も強力な競合相手となるプレイヤーを加えたゲーム理論を用いた検討を行った。トイレタリー事業最大手B社が、3年前に化粧品事業に本格的に参入してきた。強みを既存の流通ルートを生かし、現在は低価格帯の商品に絞ってドラッグストアやコンビニエンスストアで販売して、化粧品の全価格帯を合わせた市場シェア(以下、全体市場シェアという)を伸ばしている。現在の全体市場シェアはA社が38%、B社が24%である。今後、中高価格帯の商品市場規模は現状維持で、低価格帯の商品市場規模が拡大すると予測しているので、両社の全体市場シェアの差は更に縮まると懸念している。
経営企画部は、これを受けて今後A社が注力すべき商品の価格帯について、次の二つの案を挙げた。ここから一つの案を選択する。
(1) A1案(中高価格帯に注力):粗利益率が高い中高価格帯の割合を更に増やす。
(2) A2案(低価格帯に注力):売上高の増加が見込める低価格帯の割合を増やす。
これに対して、B社もB1案(中高価格帯に注力)又はB2案(低価格帯に注力)から一つを選択するものとする。両社の強みをもつ市場が異なるので、中高価格帯市場で競合した場合は、A社がより有利に中高価格帯の市場シェアを獲得できる。逆に、低価格帯市場で競合した場合は、B社に優位性がある。表2は、A社とB社がそれぞれの案の下で獲得できる全体市場シェアを予測したものである。

A社とB社のそれぞれが、相手が選択する案に関係なく自社がより大きな全体市場シェアを獲得できる案を選ぶとすると、両社が選択する案の組合せは“A社はA1案を選択し、B社はB2案を選択する”ことになる。両社ともこの案から選択する案を変更すると全体市場シェアは減ってしまうので、あえて案を変更する理由がない。これをゲーム理論では b の状態と呼び、A社はA1案を選択すべきであるという結果になった。“A1案とB2案”の組合せでのA社の全体市場シェアは37%で、現状よりも増分すると予測されたものの、③A社の全体の営業利益は増加する可能性が高いと考えた。
後日、経営企画部は、設備投資及び注力すべき商品の価格帯の検討結果を事業戦略案としてまとめ、経営会議で報告し、その内容についておおむね賛同を得た。一方、設備投資に関して a に基づくと利益率が最適となることに対し、“景気好転のケースを想定して、顧客チャネルを拡充したらどうか。”という意見が出た。また、注力すべき商品の価格帯に関して中高価格帯を選択することに対し、“更に中高価格帯に注力することには問題があるが、低価格帯市場はB社の独壇場になり、将来的に中高価格帯市場まで包み込まれるのではないか。”という意見が出た。
〔事業戦略案の策定〕
経営企画部は、前回の経営会議での意見に従って事業戦略案を策定し、再び経営会議で報告した。
(1) 売上高重視から収益性重視への転換
・低価格帯中心の商品であるヘアケア分野から撤退する。
・主要6工場の生産能力は現状維持とし、主にヘアケア商品を生産している2工場を閉鎖する。
・不採算の直営店を閉鎖し、直営店数を現在の約200から半減させる。
(2) 新たな商品ラインの開発
・若者層向けのエントリモデルとして低価格帯の商品を拡充する。中高価格帯の商品とは異なるブランドを作り、販売チャネルも変える。具体的には、自社製造ではなく④OEMメーカーに製造を委託して需要の変動に応じて生産する。また、直営店や加盟店では販売せずに⑤ドラッグストアやコンビニエンスストアで販売し、A社の美容販売員の派遣を行わない。
(3) デジタル技術を活用した新たな事業モデルの開発
・インターネットを介した中高価格帯の商品販売などのサービス(以下、ECサービスという)を開始する。2年後のECサービスによる売上高の割合を30%台にすることを目標にする。
・店舗サービスとECサービスとを連動させて、顧客との接点を増やす顧客統合システムを開発する。
新たな事業モデルにおけるECサービスでは、例えば、顧客がECサービスを利用して気になる商品があったら、顧客の同意を得てWeb上で希望する加盟店を紹介する。顧客がその加盟店に訪れるのが初めての場合でも、美容販売員は、顧客がECサービスを利用した際に登録した顧客情報を参照して的確なカウンセリングやアドバイスを行うことができるので、効果的な商品販売が期待できる。⑥この事業モデルであれば店舗サービスとECサービスとが両立できることを加盟店に理解してもらう。
経営企画部の事業戦略案は承認され、実行計画の策定に着手することになった。
設問1:〔A社の事業の状況と課題〕について、(1)、(2)に答えよ。
(1)A社として固定費と分類される費用を解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:化粧品の原材料費
イ:正社員の人件費
ウ:製造ラインで作業する外注費
エ:配送を委託する外注費
模範解答
イ
解説
解答の論理構成
- 固定費とは、【問題文】にある「売上高にかかわらず…毎年多額の費用を投入してきたので、総費用に占める固定費の割合が高い状態」と記載されているように、操業度(生産量・売上高)の増減にかかわらず一定額発生する費用を指します。
- 解答群を個別に判定します。
- ア:化粧品の原材料費
→ 生産量が増えれば材料を多く仕入れるため変動費です。 - イ:正社員の人件費
→ たとえ生産量が多少増減しても毎月ほぼ固定額を支払うため固定費です。 - ウ:製造ラインで作業する外注費
→ 作業量に応じて支払う出来高契約が一般的で、変動費に当たります。 - エ:配送を委託する外注費
→ 【問題文】には「外部の運送会社に従量課金制の契約で業務委託」とあり、配送量に比例して費用が増減する変動費です。
- ア:化粧品の原材料費
- よって固定費に該当するのは「イ:正社員の人件費」となります。
誤りやすいポイント
- 「正社員も部署によっては残業や歩合が変動するから変動費では?」と考えがちですが、会計上は通常、基本給部分を中心に固定費として扱います。
- 「製造ラインで作業する外注費」を固定費と誤認するケース。外注先との契約形態(出来高払か月極か)を読み飛ばさないことが重要です。
- 配送費は社内物流部門を自前で保有していれば人件費や車両償却分が固定費になり得ますが、本問は「従量課金制」と明示されているため変動費です。
FAQ
Q: 契約社員やパートの人件費は固定費ですか?
A: シフト時間や生産量に応じて増減させる運用が多く、変動費として扱うのが一般的です。
A: シフト時間や生産量に応じて増減させる運用が多く、変動費として扱うのが一般的です。
Q: 研究開発費は固定費と見なされるのですか?
A: 【問題文】の「広告宣伝費及び研究開発費に毎年多額の費用を投入」部分のように、長期的に一定額を計上する企業方針であれば固定費に分類します。
A: 【問題文】の「広告宣伝費及び研究開発費に毎年多額の費用を投入」部分のように、長期的に一定額を計上する企業方針であれば固定費に分類します。
Q: 外注費が月額固定で契約されている場合はどうなりますか?
A: 月極め定額であれば操業度に関係なく発生するため固定費になります。契約形態で判断することが重要です。
A: 月極め定額であれば操業度に関係なく発生するため固定費になります。契約形態で判断することが重要です。
関連キーワード: 固定費, 変動費, 原価分類, 損益分岐点, コスト構造
設問1:〔A社の事業の状況と課題〕について、(1)、(2)に答えよ。
(2)本文中の下線①のこれまでの事業戦略が今後の経営の事業方針に適合しないのは、総費用に占める固定費の割合が高い状態が営業利益にどのような影響をもたらすか。30字以内で述べよ。
模範解答
売上高の増減に対して営業利益の増減幅が大きくなる。
解説
解答の論理構成
-
固定費の特性を確認
- 問題文には「総費用に占める固定費の割合が高い状態」とあります。固定費は生産量や売上高に“比例しない”ため、売上が増減しても額面は変わりません。
-
売上高が変動したときの影響
- 同じく問題文では「売上高にかかわらず、これらの設備に係る費用、広告宣伝費及び研究開発費に毎年多額の費用を投入」と述べています。
- つまり売上高が減少しても固定費はそのまま残るため、営業利益は大きく圧迫されます。逆に売上高が増えれば固定費は増えないので、営業利益は急速に拡大します。
-
安定的な利益確保という経営方針とのギャップ
- 今後の方針は「景気が悪化しても安定した営業利益を確保すること」です。売上に対して利益の振れ幅が大きい状態は、この方針と整合しません。
-
以上より
- 固定費比率が高いと「売上高の増減に対して営業利益の増減幅が大きくなる」ため、過去の拡大路線は現方針に適合しないと結論づけられます。
誤りやすいポイント
- 固定費と変動費を逆に捉え、「固定費が多い=利益が安定する」と誤解する。
- 売上高が増えた場合のみを想定し、減少局面でのリスクを見落とす。
- 売上総利益(粗利)と営業利益を混同し、販管費・固定費の影響を計算に入れない。
FAQ
Q: 固定費を削減すると必ず営業利益は増えますか?
A: 変動費や売上高との兼ね合いによりますが、売上高が横ばいでも固定費を下げればブレイクイーブンポイントが下がり、利益は安定しやすくなります。
A: 変動費や売上高との兼ね合いによりますが、売上高が横ばいでも固定費を下げればブレイクイーブンポイントが下がり、利益は安定しやすくなります。
Q: 変動費比率を下げる取り組みは本問の論点ですか?
A: 本設問は固定費比率の高さがもたらす利益感度に焦点を当てています。変動費比率の調整は別の費用構造改善策として論じられます。
A: 本設問は固定費比率の高さがもたらす利益感度に焦点を当てています。変動費比率の調整は別の費用構造改善策として論じられます。
Q: 規模の経済を活かす戦略と固定費増加は表裏一体ですか?
A: はい。大量生産で単位当たりコストを下げるには大規模投資が必要になり、固定費が増えるため売上変動に敏感になります。
A: はい。大量生産で単位当たりコストを下げるには大規模投資が必要になり、固定費が増えるため売上変動に敏感になります。
関連キーワード: 固定費, 変動費, 損益分岐点, 利益感度, 規模の経済
設問2:〔ゲーム理論を用いた事業戦略の検討〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(1)本文中の下線②について、設備投資額案の選択にゲーム理論を用いることが有効だったが、それは表1中の景気の見通し及び営業利益の予測がそれぞれどのような状態で与えられていたからか。30字以内で述べよ。
模範解答
景気の見通しの予測は難しいが営業利益は予測できる。
解説
解答の論理構成
-
問題設定の確認
- 【問題文】には、景気について「“景気の見通しは不透明で、その予測は難しい”」と明記されています。
- 一方で同じ段落に「“それぞれの営業利益の予測は、過去の知見から信頼性の高いデータに基づいている”」とあり、営業利益は各案ごとに具体的な数値(表1:640、880、1,200…など)で与えられています。
-
ゲーム理論が有効となる条件
- ゲーム理論、特にやの考え方は「状態の確率が分からない(あるいは分かりにくい)が、各状態でのペイオフは分かる」場面で威力を発揮します。
- 本問では“景気(状態)”は読めないが“営業利益(ペイオフ)”は把握できるという構図が、まさにその条件に合致しています。
-
解答の導出
- 以上より「景気の見通し(状態)の予測は難しいが、営業利益(ペイオフ)は予測できる」ことが、ゲーム理論を判断材料に採用した理由となります。
- これを簡潔にまとめたものが模範解答です。
誤りやすいポイント
- 「景気が不透明だからゲーム理論を使う」とだけ記述し、営業利益が予測できる点に触れない。
- 「営業利益の数値が表1にあるから」とだけ書き、景気予測の難しさを示さない。
- 「不確実性=確率がゼロ」など極端な表現をしてしまう。ゲーム理論は確率が未知でも活用可能という点を押さえる必要があります。
FAQ
Q: 景気の確率分布を推定できてもゲーム理論は不要ですか?
A: 推定できるなら期待値計算でも意思決定は可能です。ただし競合や複数ステークホルダーを同時に考慮する場合は、引き続きゲーム理論が有効です。
A: 推定できるなら期待値計算でも意思決定は可能です。ただし競合や複数ステークホルダーを同時に考慮する場合は、引き続きゲーム理論が有効です。
Q: 表1の具体的な数値(例:640、880…)を解答に入れる必要はありますか?
A: いいえ。本設問では数値の引用は不要で、状態とペイオフの関係性を示せば十分です。
A: いいえ。本設問では数値の引用は不要で、状態とペイオフの関係性を示せば十分です。
Q: “ミニマックス”と“ナッシュ均衡”はどう違いますか?
A: ミニマックスは「最悪ケースでの損失を最小にする」単独意思決定の基準、ナッシュ均衡は「相互に戦略を変えない状態」を示す多主体ゲームの解になります。本設問の②は前者に近い状況です。
A: ミニマックスは「最悪ケースでの損失を最小にする」単独意思決定の基準、ナッシュ均衡は「相互に戦略を変えない状態」を示す多主体ゲームの解になります。本設問の②は前者に近い状況です。
関連キーワード: ゲーム理論, 意思決定, 不確実性, ペイオフ, ミニマックス
設問2:〔ゲーム理論を用いた事業戦略の検討〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(2)本文中のa、bに入れる適切な字句を解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:混合戦略
イ:ナッシュ均衡
ウ:パレート最適
エ:マクシマックス原理
オ:マクシミン原理
模範解答
a:オ
b:イ
解説
解答の論理構成
-
まず、a が示す判断基準は「今後の経営の事業方針」である
【問題文】では
「景気が悪化しても安定した営業利益を確保することを今後の経営の事業方針」と明言されています。
つまり最悪の景気シナリオ(悪化)でも営業利益が最大となる案を選ぶ必要があります。
表1を見ると“悪化”列で最も大きい営業利益は「消極案 740」。
最悪ケースでの最大値を選ぶ考え方はゲーム理論でいう「マクシミン原理」であり、解答群オに該当します。 -
続いて、b の該当箇所
【問題文】「両社ともこの案から選択する案を変更すると全体市場シェアは減ってしまうので、あえて案を変更する理由がない。」
相手が戦略を固定したときに自社が戦略を変えても利得(ここではシェア)が増えない組合せはゲーム理論で「ナッシュ均衡」と呼ばれます。
したがって解答群イが入ります。 -
以上より
a:オ(マクシミン原理)
b:イ(ナッシュ均衡)
誤りやすいポイント
- 「マクシマックス原理」と混同
マクシマックスは“好転”のような最高ケースで最大利得を狙う楽観的基準。本文は最悪ケース重視なので不適。 - 「パレート最適」を選ぶミス
パレート最適は誰も損をせずに誰かが得られる状態を指し、本文の「一方が変更しても利得は増えない」とはニュアンスが異なる。 - 混合戦略の早合点
本問で各社は離散的に1案だけを選択する前提で確率分布を用いる混合戦略ではない。
FAQ
Q: マクシミン原理は常に安全志向の企業に適しますか?
A: いいえ。最悪ケースのみを重視するため期待値が低くなることもあります。設備投資など固定費が大きく景気変動リスクを嫌う場合に有効です。
A: いいえ。最悪ケースのみを重視するため期待値が低くなることもあります。設備投資など固定費が大きく景気変動リスクを嫌う場合に有効です。
Q: ナッシュ均衡に到達しても双方が最大利得とは限らないのですか?
A: その通りです。ナッシュ均衡は「一方的な戦略変更で利得を改善できない」状態であり、必ずしも双方の利得が最大になるわけではありません。
A: その通りです。ナッシュ均衡は「一方的な戦略変更で利得を改善できない」状態であり、必ずしも双方の利得が最大になるわけではありません。
Q: 混合戦略はどのような場面で必要ですか?
A: お互いが純粋戦略で決定すると一方的に不利になる場合、確率で戦略を混在させて相手の読みを外す必要があります。本問は純粋戦略で均衡が成立するため不要です。
A: お互いが純粋戦略で決定すると一方的に不利になる場合、確率で戦略を混在させて相手の読みを外す必要があります。本問は純粋戦略で均衡が成立するため不要です。
関連キーワード: ゲーム理論, マクシミン原理, ナッシュ均衡, 意思決定理論, 市場シェア
設問2:〔ゲーム理論を用いた事業戦略の検討〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(3)本文中の下線③について、このように考えた理由を、25字以内で述べよ。
模範解答
中高価格帯の商品は粗利益率が高いから
解説
解答の論理構成
- 下線③では「A社の全体の営業利益は増加する可能性が高い」と述べられています。
- A社が選択すべきとされたのは “A1案(中高価格帯に注力)” です。
これは「粗利益率が高い中高価格帯の割合を更に増やす」方針を意味します。 - 問題文には「粗利益率の高い中高価格帯の商品が売上全体の70%以上を占めている。」と明示されています。
└ 高い粗利益率 ⇒ 売上が同じでも利益への寄与が大きい。 - さらに “A1案とB2案” の組合せでは、A社の全体市場シェアは「37%」と現状(「38%」よりやや減少)注しますが、平均単価が高いため売上総利益はむしろ伸びる可能性があります。
- 以上より、営業利益に最も直接影響するのは数量ではなく「単価×粗利益率」であり、中高価格帯への注力が合理的と判断できます。
誤りやすいポイント
- 市場シェアの数字だけに目を奪われ、「粗利益率」の記述を見落とす。
- A1案でシェアが減ると読んでしまい、利益も下がると短絡的に結論づける。
- 「粗利益率」と「営業利益率」を混同し、固定費の存在を無視する。
- 表2の各セルを“差分”で解釈し、絶対値を正確に把握しない。
FAQ
Q: なぜ低価格帯に注力するA2案では利益増が見込みにくいのですか?
A: 低価格帯は数量は伸びても単価と粗利益率が低いため、固定費を賄えるだけの営業利益を確保しにくいからです。
A: 低価格帯は数量は伸びても単価と粗利益率が低いため、固定費を賄えるだけの営業利益を確保しにくいからです。
Q: 市場シェアが減っても売上高が維持できるのはなぜですか?
A: 中高価格帯は単価が高いので、数量が多少減っても売上高は大きく落ちません。結果として売上総利益も確保しやすくなります。
A: 中高価格帯は単価が高いので、数量が多少減っても売上高は大きく落ちません。結果として売上総利益も確保しやすくなります。
Q: 粗利益率と営業利益率の違いは?
A: 粗利益率は売上総利益/売上高、営業利益率は営業利益/売上高です。後者は粗利益から販売管理費・固定費を差し引いた後の指標です。
A: 粗利益率は売上総利益/売上高、営業利益率は営業利益/売上高です。後者は粗利益から販売管理費・固定費を差し引いた後の指標です。
関連キーワード: 粗利益率, 価格戦略, ゲーム理論, 商品ミックス, 固定費
設問3:〔事業戦略案の策定〕について、(1)、(2)に答えよ。
(1)本文中の下線④及び下線⑤の施策について、固定費と変動費の割合の観点から費用構造の変化に関する共通点を、15字以内で答えよ。
模範解答
固定費の割合の減少
解説
解答の論理構成
- 【問題文】では、自社製造をやめて「④OEMメーカーに製造を委託」すると記載されています。
─ 自社工場を使わなければ、設備減価償却や保守などの固定費が発生しません。委託費は生産数量に応じて支払うため変動費化します。 - さらに販売チャネルについて「⑤ドラッグストアやコンビニエンスストアで販売」するとあります。
─ 直営店や美容販売員に掛かる家賃・人件費といった固定費を削減でき、代わりに流通マージンという販売数量比例の変動費が中心になります。 - 以上の施策はどちらも「固定費を減らし、変動費比率を高める」という同一の費用構造変化をもたらします。
- よって共通点は「固定費の割合の減少」となります。
誤りやすいポイント
- 「OEM=外注費が増えるのでコスト増」と短絡的に判断し、固定費・変動費の区別を見落とす。
- ドラッグストア販売を「販路拡大=追加投資」と捉え、直営店・美容販売員の固定費削減効果を計算に入れない。
- 共通点を「変動費の割合の増加」と書き、設問が求める“固定費と変動費の割合の観点”の両面を表現できていない。
FAQ
Q: OEM委託でも最低発注量契約があれば固定費では?
A: 最低発注量があっても自社設備ほど固定的ではなく、需要縮小時には契約見直しで変動部分を大きくできます。問題文は「需要の変動に応じて生産」と明記しているため、変動費扱いで良いです。
A: 最低発注量があっても自社設備ほど固定的ではなく、需要縮小時には契約見直しで変動部分を大きくできます。問題文は「需要の変動に応じて生産」と明記しているため、変動費扱いで良いです。
Q: ドラッグストア販売でも販促費が固定化しないのですか?
A: 自社美容販売員を派遣しないので人件費の固定化を回避できます。販促は主に数量比例のリベートや広告協賛金となり、変動費性が高いです。
A: 自社美容販売員を派遣しないので人件費の固定化を回避できます。販促は主に数量比例のリベートや広告協賛金となり、変動費性が高いです。
Q: 固定費削減は利益率改善につながる?
A: 売上変動が激しい業界では、固定費を圧縮すると損益分岐点が下がり不況時の利益悪化を抑えられます。問題文でも「景気が悪化しても安定した営業利益を確保」との方針に合致します。
A: 売上変動が激しい業界では、固定費を圧縮すると損益分岐点が下がり不況時の利益悪化を抑えられます。問題文でも「景気が悪化しても安定した営業利益を確保」との方針に合致します。
関連キーワード: 固定費, 変動費, OEM, 流通チャネル, 外部委託
設問3:〔事業戦略案の策定〕について、(1)、(2)に答えよ。
(2)本文中の下線⑥について、A社の経営企画部が新たな事業モデルにおいて店舗サービスとECサービスが両立できると判断した化粧品販売の特徴を、本文中の字句を使って25字以内で述べよ。
模範解答
顧客は実際に商品を試してから購入したい。
解説
解答の論理構成
- 下線⑥は「この事業モデルであれば店舗サービスとECサービスとが両立できる」と述べています。
- その根拠となる化粧品販売の特徴は【問題文】の冒頭付近に記載された
「化粧品販売では実際に商品を試してから購入したいという顧客ニーズが強く、A社の事業は加盟店の販売網による店舗販売が支えていた。」という一文です。 - つまり、
・ECサービスで商品情報を取得
・店舗で「実際に商品を試す」
という流れを一本化すれば、オンラインとオフラインの利点を同時に満たせるため、両立可能と判断できます。 - したがって、問われている〈店舗サービスとECサービスが両立できると判断した理由〉を本文中の字句で表すと
「顧客は実際に商品を試してから購入したい。」
となります。
誤りやすいポイント
- 「ECなら試せない=両立不可」と早合点してしまう。本文では店舗連動を前提にしている点を見落とさないことが重要です。
- 顧客ニーズの表現を本文とずらして書き換えると減点対象になります。「実際に商品を試してから購入したい」という字句をそのまま用いる必要があります。
- 両立の理由を「美容販売員のカウンセリング」などと勘違いしがちですが、中心に据えるべきは“試用ニーズ”です。
FAQ
Q: ECと店舗の役割分担は具体的にどうなるのですか?
A: ECで商品情報と購入動機を形成し、店舗でテスター・カウンセリングを受けて最終購入を決める二段構えを想定しています。
A: ECで商品情報と購入動機を形成し、店舗でテスター・カウンセリングを受けて最終購入を決める二段構えを想定しています。
Q: 低価格帯でも同じモデルは機能しますか?
A: 低価格帯は試用より手軽さが重視されるため、必ずしも店舗連動が前提ではありません。中高価格帯の“試して納得”型購買に特に効果があります。
A: 低価格帯は試用より手軽さが重視されるため、必ずしも店舗連動が前提ではありません。中高価格帯の“試して納得”型購買に特に効果があります。
Q: なぜ美容販売員の派遣有無より試用ニーズを優先するのですか?
A: 販売員は購入後押しの要素ですが、“試用”は購入意思決定そのものに直結するため、両立判断の核心になります。
A: 販売員は購入後押しの要素ですが、“試用”は購入意思決定そのものに直結するため、両立判断の核心になります。
関連キーワード: ゲーム理論, オムニチャネル, 消費者行動, 市場シェア, 固定費率


