応用情報技術者 2022年 春期 午後 問09
販売システムの再構築プロジェクトにおける調達とリスクに関する次の記述を読んで、設問1〜3に答えよ。
D社は、若者向け衣料品の製造・インターネット販売業を営む企業である。売上の拡大を目的に、販売システムを再構築することになった。再構築では、営業部門が販促促進の観点で要望した、購買傾向を分析した商品の絞込機能、及びお薦め商品の紹介機能を追加する。あわせて、販売システムとデータ接続している現行の在庫管理システム、生産管理システムなどのシステム群(以下、業務系システムという)を新しいデータ接続仕様に従って改修する。また、スマートフォン向けの画面デザインや操作性を向上させる。これらを実現するために、販売システムの再構築及び業務系システムの改修を行うプロジェクト(以下、再構築プロジェクトという)を立ち上げた。
再構築プロジェクトのプロジェクトマネージャにはシステム部の E 課長が任命された。E社の要員は E 課長と開発担当の F 君の2名である。業務系システムの改修は、このシステムの保守を担当している Y社に依頼する。販売システムの再構築の要員は、Y社以外の外部委託先から調達する。
〔販売システムの要件定義〕
販売システムの要件定義を 3 月に開始した。実現する機能を整理するため、営業部門内にアンケートした要望事項を確定する。この作業を実施するために、E 課長から外部委託先の選定を指示された F 君は、衣料品販売業務のシステム開発実績はないが、他業種での販売システムの開発実績が豊富である Z 社から派遣契約で要員を調達することにした。派遣労働者の指揮命令者に任命された F 君は、次の条件を Z 社に提示したいと E 課長に報告した。
(a) 作業場所は D社内であること
(b) F 君が派遣労働者への作業指示を直接行うこと
(c) 派遣労働者に衣料品販売業務に関する D社の社内研修を D社の費用負担で受講してもらうこと
(d) F 君が事前に候補者を面接して評価し、派遣労働者を選定すること
これに対してE課長から、①これらの条件のうち労働者派遣法に抵触する条件があると指摘されたので、これを是正した上で Z 社に依頼し、要員を調達した。
E課長は、要件定義作業を始めてから、営業部門が新機能を盛り込んだ業務フローのイメージを十分につかめていないことに気づいた。営業部門に紙ベースの画面デザインだけを用いて説明していることが原因であった。そこで、②システムが提供する機能と利用者との関係を利用者の視点でシステムの動作や利用例を使って表現した、UMLで記述する際に使用される図法で作成した図を使って説明し、営業部門と合意して要件定義作業は3月末に終了した。
〔開発スケジュールの作成〕
要件定義作業を終えたF君は、次の項目を考慮して図1に示す再構築プロジェクトの開発スケジュールを作成した。
・外部設計で、画面レイアウト、画面遷移と操作方法、ユーザインタフェースなどを定義した画面設計書を作成する。また、販売システムと業務システムとのデータ接続仕様を決定する。
・外部設計完了後、ソフトウェア設計〜ソフトウェア統合テスト(以下、ソフトウェア製造という)を、販売システム、業務システムでそれぞれ実施する。
・販売システム及び業務システムのソフトウェア製造完了後、両システムを統合して要件を満たしていることを検証するシステム統合テスト、更にシステム全体が要件どおりに実現されていることを検証するシステム検証テストを実施する。
・システム検証テストと営業部門によるユーザ受入れテスト(UAT:User Acceptance Test)の結果を総合的に評価して、稼働可否を判断する。稼働が承認された場合、営業部門が要求している8月下旬に新しい販売システムを稼働してサービスを開始する。

〔外部委託との開発委託契約〕
販売システムの再構築作業は、要件定義作業で派遣労働者を調達した Z 社に開発を委託することにした。F 君は、③Z 社との開発委託契約を、次のように作業ごとに締結しようと考え、E 課長から承認された。
・外部設計は、作業量に応じて報酬を支払う履行割合型の準委任契約を結ぶ。
・ソフトウェア製造は、請負契約を結ぶ。Z 社に図1のソフトウェア製造の詳細なスケジュールを作成してもらい、週次の進捗確認会議で進捗状況を報告してもらう。
・ソフトウェア製造作業を終了した Z 社からの納品物(設計書、プログラム、テスト報告書など)に対して、D社は6月最終週に a し、その後、支払手続に入る。
・ソフトウェア製造で Z 社が開発した販売システムのソフトウェアを D社が他のプロジェクトで再利用できるように、開発委託契約の条文中に “ソフトウェアの b は D社に帰属する” という条項を加える。
・システム統合テスト及びシステム検証テストは、履行割合型の準委任契約を結ぶ。
一方、業務システムの改修作業は、Z 社と同様の開発委託契約にすることを Y社と合意しており、現在の業務系システムの保守に支障を来さないことを確認済みである。
〔開発リスクの特定と対応策〕
E 課長は、F 君が作成した開発スケジュールをチェックして、販売システムの再構築に関するリスクを三つ特定し、それらを回避又は軽減する対応策を検討した。
一つ目として、外部設計で作成した画面設計書を提示された営業部門が、画面操作のイメージをつかむのにかなりの時間を要し、後続のソフトウェア製造の期間にまでかなり仕様変更要求が相次ぐで、外部設計に手戻りが発生するリスクを挙げた。この対応策として、外部設計でプロトタイピング手法を活用して開発することにした。D社が調査したところ、Z 社にはプロトタイピング手法による開発実績が多数あり、Z 社の開発標準は今回の販売システムの開発でも適用できることが分かった。プロトタイピング手法による開発は、営業部門が理解しやすく、意見の吸収に有効である。しかし、営業部門の意見に際限なく耳を傾けると外部設計の完了が遅れるという新たなリスクが生じる。E 課長は F 君に、追加・変更の要求事項の c 提出件数の上限、及び対応工数の上限を定め、提出された追加・変更の要求事項の優先度を考慮した上でスコープを決定するルールを事前に営業部門と合意しておくように指示した。
二つ目に、Z社の製造したプログラムの品質が悪いというリスクを挙げた。外部設計書に正しく記載されているにもかかわらず、Z社での業界慣習の理解不足でプログラムが適切に製造されず、後続の工程で多くの品質不良が発覚すること、不良の改修が8月下旬のサービス開始に間に合わなくなる。これに対し、E課長はF君に、Z社に対して業界慣習に関する教育を行うよう指示した。さらに、④ソフトウェア製造は請負契約であるが、D社として実行可能な品質管理のタスクを追加し、このタスクを実施することを契約条件に記載するように指示した。
三つ目に、スマートフォン向けの特定のWebブラウザ(以下、ブラウザという)では正しく表示されるが、他のブラウザでは文字ずれなどの問題が生じるリスクを挙げた。E課長は、利用が想定される全てのブラウザで動作確認することで問題発生のリスクを軽減することにした。しかし、利用が想定されるブラウザは5種類以上あるが、開発スケジュール内では最大2種類のブラウザの動作確認しかできないことが分かった。現状のスマートフォン向けのブラウザの国内利用シェアを調べると、上位2種類のブラウザで約95%を占めることが分かった。E課長は、営業部門と8月下旬のサービス開始前に⑤ある情報を公表することを前提に、上位2種類のブラウザに絞って動作確認することで合意した。
設問1:〔販売システムの要件定義〕について、(1)、(2)に答えよ。
(1)本文中の下線①について、E課長が指摘した条件を、本文中の(a)〜(d)の中から選び、記号で答えよ。
模範解答
(d)
解説
解答の論理構成
-
【問題文】では外部委託先から派遣労働者を受け入れる際の条件として
“(a) 作業場所は D 社内であること”、
“(b) F 君が派遣労働者への作業指示を直接行うこと”、
“(c) 派遣労働者に衣料品販売業務に関する D 社の社内研修を D 社の費用負担で受講してもらうこと”、
“(d) F 君が事前に候補者を面接して評価し、派遣労働者を選定すること”
の4点が提示されています。 -
同じ段落に
“E 課長から、①これらの条件のうち労働者派遣法に抵触する条件があると指摘”
とあり、いずれかが法違反であると示唆されています。 -
労働者派遣法では、派遣先が派遣元の労働者を「面接」「試験」等によって個人単位で選抜する行為(いわゆる“事前面接”)を禁止しています。これは「特定行為の禁止」(法第40 条の7)に該当します。
-
よって、派遣先が “F 君が事前に候補者を面接して評価し、派遣労働者を選定する” という【問題文】の “(d)” は明確に労働者派遣法に抵触します。
-
以上から、E課長が指摘した条件は “(d)” であり、模範解答とも一致します。
誤りやすいポイント
- (b) を違反と思い込む
「指揮命令は派遣先が行う」ことは労働者派遣契約の大前提であり、禁止事項ではありません。 - (c) を違反と勘違い
教育訓練は本来派遣元の責務ですが、派遣先が自社費用で実施すること自体は自由です。 - 条文名を覚えずに「感覚」で判断
派遣法の“特定行為の禁止”を知らず、(a)~(d)をなんとなく選んでミスするケースが多発します。
FAQ
Q: 面接が全て禁止なら、派遣先はどうやってスキルを確認するのですか?
A: 履歴書や職務経歴書など“書面”による情報提供は認められています。個人を呼んでの面接や試験が禁止されているだけです。
A: 履歴書や職務経歴書など“書面”による情報提供は認められています。個人を呼んでの面接や試験が禁止されているだけです。
Q: (b) の「直接指示」は派遣法違反ではないのですか?
A: 違反ではありません。労働者派遣契約では“指揮命令権”は派遣先にあります。そのため派遣先が日常の業務指示を行うのは正当な行為です。
A: 違反ではありません。労働者派遣契約では“指揮命令権”は派遣先にあります。そのため派遣先が日常の業務指示を行うのは正当な行為です。
Q: 社内研修を派遣先費用で実施する場合、派遣元への通知は必要ですか?
A: 通知義務は法定されていませんが、派遣元と事前に合意を取り、労働条件明示書にも反映させるのが実務上望ましいです。
A: 通知義務は法定されていませんが、派遣元と事前に合意を取り、労働条件明示書にも反映させるのが実務上望ましいです。
関連キーワード: 労働者派遣法, 特定行為の禁止, 事前面接, 調達管理, プロジェクトマネジメント
設問1:〔販売システムの要件定義〕について、(1)、(2)に答えよ。
(2)本文中の下線②の図を一般的に何と呼ぶか。10字以内で答えよ。
模範解答
ユースケース図
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には、下線②として
「②システムが提供する機能と利用者との関係を利用者の視点でシステムの動作や利用例を使って表現した、UMLで記述する際に使用される図法で作成した図」
とあります。 - ここで強調されているポイントは
- 「システムが提供する機能」と「利用者(=アクター)」の“関係”を示す
- “利用者の視点”で“利用例”を表現する
- “UMLで記述する際に使用される図法”
- UML の各種図のうち、上記 3 点を満たす代表例は「ユースケース図」です。
- ユースケース図は、アクターとユースケース(システムが提供する機能=利用例)を関連線で結び、利用者視点でシステム範囲を示すことを目的とします。
- 以上から、下線②の図を一般的に呼ぶ名称は「ユースケース図」となります。
誤りやすいポイント
- 「システムの動作や利用例」という語から「アクティビティ図」「シーケンス図」を連想してしまう。これらは処理の流れやメッセージ交換を時系列で示す図であり、利用者と機能の対応関係を主眼にしません。
- 「利用者の視点」というキーワードに捉われ過ぎて、画面遷移を示す「ステートマシン図」や「画面遷移図」と混同するケース。ユースケース図は画面遷移を詳細に描くものではありません。
- UML 図法=全ての UML 図を想起し、具体的名称を答えず「UML 図」とだけ記入してしまう誤答。
FAQ
Q: ユースケース図では業務フローも表現できますか?
A: 業務フロー自体はアクティビティ図が得意です。ユースケース図は“誰がどの機能を使うか”を俯瞰するために使い、詳細なフローは別の図で補完すると効果的です。
A: 業務フロー自体はアクティビティ図が得意です。ユースケース図は“誰がどの機能を使うか”を俯瞰するために使い、詳細なフローは別の図で補完すると効果的です。
Q: アクターは人だけを描くのですか?
A: いいえ。外部システムやタイマーなど、人以外でもシステム外から機能を利用・起動する要素はアクターとして表現します。
A: いいえ。外部システムやタイマーなど、人以外でもシステム外から機能を利用・起動する要素はアクターとして表現します。
Q: ユースケース図を作成するタイミングはいつが適切ですか?
A: 要件定義初期に作成し、関係者との共通認識を形成する用途が多いです。本問でも営業部門との合意形成に活用しています。
A: 要件定義初期に作成し、関係者との共通認識を形成する用途が多いです。本問でも営業部門との合意形成に活用しています。
関連キーワード: UML, ユースケース, アクター, システム機能, 利用者視点
設問2:〔外部委託先との開発委託契約〕について、(1)、(2)に答えよ。
(1)本文中の下線③について、D社が本文のとおりにZ社と契約を締結した場合、D社の立場として正しいものを解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:外部設計に携わったZ社要員を、引き続きソフトウェア製造に従事させることができる。
イ:合意した外部設計に基づいたソフトウェア製造は、Z社に完成責任を問える。
ウ:システム統合テスト時にはZ社が製造したプログラムの不良を知り速やかに通知しても、Z社に契約不適合責任を問えない。
エ:ソフトウェア製造時にZ社が携わった外部設計の不良が発覚した場合、Z社に契約不適合責任を問える。
模範解答
イ
解説
解答の論理構成
-
本文の下線③では、開発工程ごとに契約形態を分ける方針が示されています。特に
“・外部設計は、作業量に応じて報酬を支払う履行割合型の準委任契約を結ぶ。
・ソフトウェア製造は、請負契約を結ぶ。”
とあり、外部設計とソフトウェア製造で異なる民法上の契約類型が採用されています。 -
準委任契約は、受託者が善管注意義務を果たして“作業を実施する”ことが目的で、成果物の完成責任(契約不適合責任)は課されません。一方、請負契約は“仕事の完成”が目的であり、受託者は完成責任を負うことが民法で定められています。
-
したがって、外部設計(準委任)についてはZ社に成果物の完成責任を問えませんが、ソフトウェア製造(請負)については完成責任を問うことが可能です。
-
解答群を検討すると
ア:要員のアサインはZ社の裁量であり、D社が直接強制できるわけではないため誤り。
イ:請負契約に基づき“合意した外部設計に基づいたソフトウェア製造”についてZ社に完成責任を問える——本文と民法の規定に合致して正しい。
ウ:請負契約なら契約不適合責任を問えるので誤り。
エ:外部設計は準委任契約であり契約不適合責任を問えないため誤り。 -
よって正解は「イ」となります。
誤りやすいポイント
- 契約形態の違い(請負 vs 準委任)を混同し、すべて請負と誤認する。
- 「契約不適合責任=完成責任」と短絡し、準委任でも同じ責任を追及できると勘違いする。
- 要員の継続配置を委託元が指示できると誤解(独立した事業者である点を失念)。
- テストフェーズで発見した欠陥通知のタイミングと請負の責任範囲を混同し、通知すれば責任追及できないと思い込む。
FAQ
Q: 準委任契約でも成果物の瑕疵があれば何も請求できませんか?
A: 完成責任はありませんが、受任者に善管注意義務違反があれば損害賠償を請求できます。ただし請負のような契約不適合責任とは別概念です。
A: 完成責任はありませんが、受任者に善管注意義務違反があれば損害賠償を請求できます。ただし請負のような契約不適合責任とは別概念です。
Q: D社がZ社要員の継続配置を条件に契約することは絶対にできませんか?
A: 独立請負人の人選は原則Z社の裁量です。特定技術者を指定する場合は別途合意(指名条項や成果物担保条項等)が必要であり、本文の契約形態だけではD社が一方的に強制できません。
A: 独立請負人の人選は原則Z社の裁量です。特定技術者を指定する場合は別途合意(指名条項や成果物担保条項等)が必要であり、本文の契約形態だけではD社が一方的に強制できません。
Q: 請負契約で完成責任を追及する際、テスト完了後に欠陥が見つかっても対応できますか?
A: 民法の契約不適合責任は引渡し後でも一定期間内なら追及可能です。システム開発では保証期間や受入れ基準を契約で明確に定め、後日のトラブルに備えるのが一般的です。
A: 民法の契約不適合責任は引渡し後でも一定期間内なら追及可能です。システム開発では保証期間や受入れ基準を契約で明確に定め、後日のトラブルに備えるのが一般的です。
関連キーワード: 請負契約, 準委任契約, 完成責任, 契約不適合責任, 善管注意義務
設問2:〔外部委託先との開発委託契約〕について、(1)、(2)に答えよ。
(2)本文中のa、bに入れる適切な字句を5字以内で答えよ。
模範解答
a:検収
b:著作権
解説
解答の論理構成
- ①【問題文】には「ソフトウェア製造作業を終了した Z 社からの納品物(設計書、プログラム、テスト報告書など)に対して、D 社は6月最終週に a し、その後、支払手続に入る。」とあります。
- 納品物を受領して支払手続に進む前に行う正式行為は、成果物の受入れ検査を意味する「検収」です。
- したがって a には「検収」が入ります。
- ②同じ段落に「開発委託契約の条文中に “ソフトウェアの b は D 社に帰属する” という条項を加える。」とあります。
- ソフトウェアの帰属先を明示する権利は知的財産権の中でも著作物であるプログラムの「著作権」です。
- よって b には「著作権」が入ります。
誤りやすいポイント
- 「検収」と「受領」の混同
- 受領は単なる受け取り、検収は内容確認と受入れ判定という契約上の重要工程です。
- 「著作権」と「所有権」のすり替え
- ソフトウェアは無体物なので物理的な所有権でなく著作権を移転させる条項が必要です。
- 請負契約=成果物の品質保証付きという理解不足
- 検収で合格しなければ支払いが発生しない点まで押さえておく必要があります。
FAQ
Q: 検収と受入テストは同じものですか?
A: 検収には受入テスト結果の確認が含まれる場合が多いですが、契約上は「成果物の仕様適合を発注者が正式に確認する行為」を指し、テスト工程そのものとは区別されることがあります。
A: 検収には受入テスト結果の確認が含まれる場合が多いですが、契約上は「成果物の仕様適合を発注者が正式に確認する行為」を指し、テスト工程そのものとは区別されることがあります。
Q: 著作権を発注者に帰属させても委託先が再利用できるようにしたい場合は?
A: 契約に「利用許諾(ライセンス)」条項を設け、委託先へ非独占的使用権を残す方法が一般的です。
A: 契約に「利用許諾(ライセンス)」条項を設け、委託先へ非独占的使用権を残す方法が一般的です。
Q: 準委任契約では検収は不要ですか?
A: 準委任は「成果物を完成させる義務」がなく履行割合での支払いが基本ですが、進捗報告や成果物確認を節目で実施することは実務上よくあります。
A: 準委任は「成果物を完成させる義務」がなく履行割合での支払いが基本ですが、進捗報告や成果物確認を節目で実施することは実務上よくあります。
関連キーワード: 検収, 著作権, 請負契約, 準委任契約, プロトタイピング
設問3:〔開発リスクの特定と対応策〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(1)本文中のcに入れる適切な字句を5字以内で答えよ。
模範解答
c:提出期限
解説
解答の論理構成
- 問題文では、プロトタイピングを採用することによって “営業部門の意見に際限なく耳を傾けると外部設計の完了が遅れる” という新たなリスクが発生すると述べています。
- このリスクを抑えるために、E 課長は F 君に “追加・変更の要求事項の c 提出件数の上限、及び対応工数の上限を定め” と指示しました。
- 外部設計の完了遅延を防ぐために必要なのは、要求事項を受け付ける「期限」を設けることです。期限を過ぎた要求は次フェーズへ繰り越すことで、スケジュールを守ることができます。
- したがって、c に入る語は “提出期限” が最も適切となります。
誤りやすいポイント
- 「提出件数そのものを制限する」と早合点し、「総」「累計」などの語を入れてしまう。
- “上限” という言葉に引きずられ、「最大」「上限値」を入れてしまう。実際には「いつまでに出すか」を定義しないと手戻りは防げません。
- プロトタイピング=柔軟な変更受付と考え、「制約を設けないのが正解」と誤解する。プロトタイピングでもスコープ管理は不可欠です。
FAQ
Q: プロトタイピングを採用しても変更要求を制限するのですか?
A: はい。短いサイクルで試作品を見せることで理解は深まりますが、無制限に要求を受け付けるとスケジュールが破綻します。そこで “提出期限” と “件数上限” を明示します。
A: はい。短いサイクルで試作品を見せることで理解は深まりますが、無制限に要求を受け付けるとスケジュールが破綻します。そこで “提出期限” と “件数上限” を明示します。
Q: 「提出期限」と「提出件数の上限」は両方必要ですか?
A: 必要です。期限を区切るだけでは短期間に大量の変更要求が集中する恐れがあります。件数上限を設けて初めて作業負荷を定量的に管理できます。
A: 必要です。期限を区切るだけでは短期間に大量の変更要求が集中する恐れがあります。件数上限を設けて初めて作業負荷を定量的に管理できます。
Q: 「提出期限」の決め方に標準はありますか?
A: プロジェクトの規模やフェーズ長によりますが、一般に外部設計終了の2〜3週間前に設定し、余裕を持って影響分析が行えるようにします。
A: プロジェクトの規模やフェーズ長によりますが、一般に外部設計終了の2〜3週間前に設定し、余裕を持って影響分析が行えるようにします。
関連キーワード: スコープ管理, プロトタイピング, 変更管理, リスク対策
設問3:〔開発リスクの特定と対応策〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(2)本文中の下線④について、追加すべき品質管理のタスクを、20字以内で述べよ。
模範解答
作業の途中で品質レビューを行う。
解説
解答の論理構成
- リスクの確認
- 本文では「二つ目に、Z社の製造したプログラムの品質が悪いというリスクを挙げた」とあり、品質低下が重大リスクです。
- D社がとれる対策の範囲
- 下線部④に「ソフトウェア製造は請負契約であるが、D社として実行可能な品質管理のタスクを追加し、このタスクを実施することを契約条件に記載」と記述されています。
- 請負契約であっても、発注者が途中成果物を確認する“レビュー”は契約違反になりません。
- 最適な品質管理タスクの導出
- 検収や受入試験は“納品後”の作業であり「作業の途中」で行うタスクではありません。
- コード・設計書を順次点検し、欠陥を早期に発見できるレビューが最も適切です。
- 結論
- よって、追加すべきタスクは「作業の途中で品質レビューを行う」となります。
誤りやすいポイント
- 「受入検査」や「検収」を答えてしまう
納品後の工程であり“途中”のタスクではありません。 - 「テスト追加」と回答する
テストは実装完了後が主で、設計段階の欠陥を早期に発見できません。 - 「進捗会議」を品質管理と混同する
進捗把握は管理タスクであり、品質を直接高める施策ではありません。
FAQ
Q: 請負契約なのにレビューに立ち入っても問題ないのですか?
A: 納品物の品質確保を目的とするレビューは、発注者の正当な権利として契約条項に盛り込めます。施工方法への過度な介入を避ければ請負の独立性も保てます。
A: 納品物の品質確保を目的とするレビューは、発注者の正当な権利として契約条項に盛り込めます。施工方法への過度な介入を避ければ請負の独立性も保てます。
Q: レビューはどの成果物を対象とすべきですか?
A: 設計書・ソースコード・テスト仕様書など主要成果物すべてを対象にし、段階ごとにチェックリストを用いて体系的に実施すると効果的です。
A: 設計書・ソースコード・テスト仕様書など主要成果物すべてを対象にし、段階ごとにチェックリストを用いて体系的に実施すると効果的です。
Q: レビューとウォークスルーの違いは?
A: レビューは第三者が正式に評価する手続き、ウォークスルーは開発者主体で説明し合う非公式点検です。本設問では正式な「品質レビュー」が求められます。
A: レビューは第三者が正式に評価する手続き、ウォークスルーは開発者主体で説明し合う非公式点検です。本設問では正式な「品質レビュー」が求められます。
関連キーワード: 品質レビュー, リスク対応, 請負契約, コードインスペクション
設問3:〔開発リスクの特定と対応策〕について、(1)〜(3)に答えよ。
(3)本文中の下線⑤について、8月下旬のサービス開始前に公表する情報とは何か。35字以内で述べよ。
模範解答
上位2種類以外のブラウザでは問題が生じる場合があること
解説
解答の論理構成
-
事実整理
- 本文では、スマートフォン向けブラウザが「5種類以上」存在し、「上位2種類のブラウザで約95%を占める」と明記されています。
- しかし「開発スケジュール内では最大2種類のブラウザの動作確認しかできない」と制約が示されています。
-
リスクと対応策
- 他ブラウザで「文字ずれなどの問題が生じるリスク」が指摘されています。
- そこでE課長は「8月下旬のサービス開始前に⑤ある情報を公表すること」を条件に、動作確認を「上位2種類のブラウザ」に限定すると営業部門と合意しました。
-
公表すべき情報の推論
- 合意の前提は “利用者に対してサポート範囲を明示し、不具合が起こり得るブラウザを事前に知らせる” ことです。
- よって、公表する内容は「上位2種類以外のブラウザでは問題が生じる可能性」を示す注意喚起になります。
-
結論
- 解答は模範解答どおり
「上位2種類以外のブラウザでは問題が生じる場合があること」
- 解答は模範解答どおり
誤りやすいポイント
- 「上位2種類のブラウザを推奨」とだけ書くと、“他ブラウザで問題が起こる” という肝心のリスク開示が欠落します。
- 「動作保証ブラウザ一覧」など製品名を羅列すると、本設問の趣旨(リスクの周知)がぼやけます。
- ブラウザ数や利用シェアなどの数字「5種類以上」「約95%」を解答文に含める必要はありません。公表内容そのものを答える設問です。
FAQ
Q: なぜ「サポートブラウザを限定する」だけでは不十分なのですか?
A: ユーザが限定外ブラウザを使用したときに不具合が起きても自己責任と理解してもらうためには、問題が生じ得ることを明言して注意喚起する必要があるからです。
A: ユーザが限定外ブラウザを使用したときに不具合が起きても自己責任と理解してもらうためには、問題が生じ得ることを明言して注意喚起する必要があるからです。
Q: 「問題が生じる可能性」と「動作保証しない」は同じ意味になりますか?
A: ほぼ同義ですが、「問題が生じる可能性がある」と表現することで完全に保証しないこと、かつ発生頻度や内容が未確定であることを示せます。
A: ほぼ同義ですが、「問題が生じる可能性がある」と表現することで完全に保証しないこと、かつ発生頻度や内容が未確定であることを示せます。
Q: ブラウザの利用シェアが変動した場合はどう対処しますか?
A: 公表情報に「現時点での主要ブラウザ」など時点を明記し、定期的に市場シェアを確認してテスト範囲・公表内容を見直すのが望ましいです。
A: 公表情報に「現時点での主要ブラウザ」など時点を明記し、定期的に市場シェアを確認してテスト範囲・公表内容を見直すのが望ましいです。
関連キーワード: ブラウザ, 動作保証, リスク通知, サポート範囲, 品質確保


