応用情報技術者 2023年 秋期 午前2 問22
問題文
図の論理回路において、S=1, R=1, X=0, Y=1のとき、Sを一旦0にした後、再び1に戻した。この操作を行った後のX, Yの値はどれか。

選択肢
ア:X=0, Y=0
イ:X=0, Y=1
ウ:X=1, Y=0(正解)
エ:X=1, Y=1
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NANDラッチの動作【午前2解説】
正解の理由
図中のクロス結合した2個のNANDゲートを用いた回路は、NAND型SRラッチです。本問では「X, Y」を各NANDゲートの出力(NAND出力直後のノード)として扱うと、与えられた初期値と整合します。そこで各出力を次のように表します。
初期状態は S=1, R=1, X=0, Y=1 であり、これらは上の式を満たします(, )。ここで問題の操作は「Sを一旦0にしてから再び1に戻す」ことです。時系列で評価すると次のようになります。
- Sを0にすると上段NANDの出力は常に1になる()。
- これにより下段NANDは となる。
- Sを1に戻した後も、, のまま安定します。
したがって操作後の出力は X=1, Y=0、すなわち選択肢 ウ に一致します。
解法ステップ
- ノード定義を明確にする:本解説では X,Y を「各NANDゲートの出力(NAND出力直後)」とする。
- ブール式を立てる:, 。
- 初期値が方程式を満たすことを確認する。
- 操作を時間順に追う(S:1→0→1)。S=0でXが1に強制され、続いてYが0へ変わる。その後S=1に戻しても得られた (X=1, Y=0) が保持される。
- 選択肢と照合して ウ を選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: X=0, Y=0
Sを0にした瞬間は両方1になるか、あるいは下がる側が変化して0になる場面はあるが、Sを1に戻した後の安定状態としては成立しない(上段が1のまま下段が0になり、再びS=1でもXは1に保持されるため)。 - イ: X=0, Y=1
これは問題の与えられた「初期」状態と一致するが、Sを0にして戻す操作により状態が変化するため操作後の結果ではない。 - エ: X=1, Y=1
Sを0にした瞬間にXが1にはなるが、同時に下段は0に切り替わるため最終的に (1,1) にはならない。
(正解は本文中の導出で示した通り ウ)
よくある誤解
- X, Y がどの点を指すかを混同する:NAND出力直後か、インバータ後かで式が逆転する。必ず解析開始時にノード定義を明確にすること。
- 「Sを0にする」操作を瞬間的にしか評価せず、戻した後のフィードバックによる再安定化を無視する。ラッチはフィードバックで状態を保持するため、時系列で追う必要がある。
- NANDの論理をANDやORと混同する(特に否定の扱い)。NANDは 。
補足コラム
NAND型SRラッチの動作要点:
- 入力 S,R がともに1のときは「保持」状態(出力は以前の状態に依存)。ただし、ラッチの二つの可能な保持状態は互いに補数(NAND出力同士は常に互いに補数)です。
- S を一瞬 0 にパルスすると(R=1 のまま)上段が1になり、結果として下段が0になる。Sを1に戻してもこの状態(Q=1, Qbar=0)が保持される。これが「セット」操作に相当します。
- 同様に R を0にパルスするとリセット(Q=0, Qbar=1)される。S=R=0 は禁止状態(不定)になる。
表現としては、NANDラッチの基本式を
,
と書くと直感的です。
FAQ
Q1. 図のインバータ記号があるのに、なぜNAND出力直後として扱うのですか?
A1. 問題文の与えられた初期値(S=1,R=1,X=0,Y=1)が、NAND出力直後の定義で論理式と整合するため、その解釈で解析すると一貫した時間応答が得られます。解析では常にどのノードをX,Yと呼ぶかを明示してください。
A1. 問題文の与えられた初期値(S=1,R=1,X=0,Y=1)が、NAND出力直後の定義で論理式と整合するため、その解釈で解析すると一貫した時間応答が得られます。解析では常にどのノードをX,Yと呼ぶかを明示してください。
Q2. 伝搬遅延がある場合の扱いは?
A2. 実際の回路では伝搬遅延により一時的な遷移順が生じますが、SRラッチの安定状態は先述のブール式から決まる。設問のように入力を一時変化させる操作はその最終安定状態を決定するため、遅延の順序に依存するが最終的には上述の結論に収束します(禁止状態やメタステーブルは別問題)。
A2. 実際の回路では伝搬遅延により一時的な遷移順が生じますが、SRラッチの安定状態は先述のブール式から決まる。設問のように入力を一時変化させる操作はその最終安定状態を決定するため、遅延の順序に依存するが最終的には上述の結論に収束します(禁止状態やメタステーブルは別問題)。
関連キーワード: ラッチ、SR、クロス結合、NANDゲート、セット・リセット

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