応用情報技術者 2023年 春期 午後 問05
Webサイトの増設に関する次の記述を読んで、設問に答えよ。
F社は、契約した顧客(以下、顧客という)にインターネット経由でマーケット情報を提供する情報サービス会社である。F社では、マーケット情報システム(以下、Mシステムという)で顧客向けに情報を提供している。Mシステムは、Webアプリケーションサーバ(以下、WebAPサーバという)、DNSサーバ、ファイアウォール(以下、FWという)などから構成されるWebサイトとF社の運用PCから構成される。現在、Webサイトは、B社のデータセンター(以下、b-DCという)に構築されている。
現在のMシステムのネットワーク構成(抜粋)を図1に、DNSサーバbに登録されているAレコードの情報を表1に示す。

〔Mシステムの構成と運用〕
・Mシステムを利用するにはログインが必要である。
・FWbには、DMZに設定されたプライベートアドレスとインターネット向けのグローバルアドレスを1対1で静的に変換するNATが設定されており、表1に示した内容で、WebAPサーバb及びDNSサーバbのIPアドレスの変換を行う。
・DNSサーバbは、インターネットに公開するドメインexample.jpとF社の社内向けのドメインf-sha.example.lanの二つのドメインのゾーン情報を管理する。
・F社のL3SWの経路表には、b-DCのWebサイトへの経路と①デフォルトルートが登録されている。
・運用PCには、②優先DNSサーバとして、FQDNがnsb.f-sha.example.lanのDNSサーバbが登録されている。
・F社の運用担当者は、運用PCを使用してMシステムの運用作業を行う。
〔Mシステムの応答速度の低下〕
最近、顧客から、Mシステムの応答が遅くなることがあるという苦情が、Mシステムのサポート窓口に入ることが多くなった。そこで、F社の情報システム部(以下、システム部という)の運用担当者のD主任は、運用PCを使用して次の手順で原因究明を行った。
(i) 顧客と同じURLであるhttps://a/ でWebAPサーバbにアクセスし、顧客からの申告と同様の事象が発生することを確認した。
(ii) FWbのログを検査し、異常な通信は記録されていないことを確認した。
(iii) SSHを使用し、③広域イーサ網経由でWebAPサーバbにログインしてCPU使用率を調べたところ、設計値を超えた値が継続する時間帯があることを確認した。
この結果から、D主任は、WebAPサーバbの処理能力不足が応答速度低下の原因であると判断した。
〔Webサイトの増設〕
D主任の判断を基に、システム部では、これまでのシステムの構築と運用の経験を生かすことができる、現在と同一構成のWebサイトの増設を決めた。システム部のE課長は、C社のデータセンタ(以下、c-DCという)にWebサイトcを構築してMシステムを増強する方式の設計を、D主任に指示した。
D主任は、c-DCにb-DCと同一構成のWebサイトを構築し、DNSラウンドロビンを利用して二つのWebサイトの負荷を分散する方式を設計した。
D主任が設計した、Mシステムを増強する構成を図2に示す。

図2の構成では、DNSサーバbをプライマリDNSサーバ、DNSサーバcをセカンダリDNSサーバに設定する。また、運用PCには、新たにbを代替DNSサーバに登録して、bも利用できるようにする。
そのほかに、L3SWの経路表にWebサイトcのDMZへの経路を追加する。
DNSサーバbに追加登録するAレコードの情報を表2に示す。

表2の情報を追加登録することによって、WebAPサーバb、cが同じ割合で利用されるようになる。DNSサーバb、cにはc転送の設定を行い、DNSサーバbの情報を更新すると、その内容がDNSサーバcにコピーされるようにする。
WebAPサーバのメンテナンス時は、作業を行うWebサイトは停止する必要があるので、次の手順で作業を行う。④メンテナンス中は、一つのWebサイトでサービスを提供することになるので、Mシステムを利用する顧客への影響は避けられない。
(i)事前にDNSサーバbのリソースレコードの d を小さい値にする。
(ii)メンテナンス作業を開始する前に、メンテナンスを行うWebサイトの、インターネットに公開するドメインのWebAPサーバのFQDNに対応するAレコードを、DNSサーバ上で無効化する。
(iii)この後、一定時間経てばメンテナンス作業が可能になるが、作業開始が早過ぎると顧客に迷惑を掛けるおそれがある。そこで、⑤手順(ii)でAレコードを無効化したWebAPサーバの状態を確認し、問題がなければ作業を開始する。
D主任は、検討結果を基に作成したWebサイトの増設案を、E課長に提出した。増設案が承認され実施に移されることになった。
設問1:〔Mシステムの構成と運用〕について答えよ。
問題文を見る模範解答
FWf
解説
解答の論理構成
-
問題文には、次の記述があります。
「F社のL3SWの経路表には、b-DCのWebサイトへの経路と①デフォルトルートが登録されている。」
デフォルトルートは、L3SWが“その他すべての宛先”にパケットを転送する際の経路です。 -
図1では、L3SWからインターネット側へ出る際に中継している機器は「FWf」と名前が付けられています。
すなわち、L3SWが“未知の宛先=インターネット”へパケットを流す場合、最初に渡す相手(ネクストホップ)は「FWf」です。 -
したがって、下線①のデフォルトルートのネクストホップとなる機器は
【模範解答】で示されたとおり「FWf」となります。
誤りやすいポイント
- 「FWb」はb-DC側のファイアウォールであり、L3SW(社内)とは直接つながっていない点を見落としてしまう。
- 「広域イーサ網」へ直接ルートがあると誤解し、ネクストホップをWAN側と答えてしまう。
- NATやDMZの記述に気を取られ、経路制御(ルーティング)の観点を後回しにしてしまう。
FAQ
Q: デフォルトルートは必ずインターネット向けですか?
A: 多くの企業ネットワークではインターネット出口を指すことが多いですが、閉域網しか持たない場合は別のルートがデフォルトになることもあります。
A: 多くの企業ネットワークではインターネット出口を指すことが多いですが、閉域網しか持たない場合は別のルートがデフォルトになることもあります。
Q: ネクストホップとゲートウェイの違いは?
A: ほぼ同義で使われますが、ルーティングテーブル項目としては「ネクストホップ」が正式な用語です。端末設定画面などの「デフォルトゲートウェイ」と対応します。
A: ほぼ同義で使われますが、ルーティングテーブル項目としては「ネクストホップ」が正式な用語です。端末設定画面などの「デフォルトゲートウェイ」と対応します。
Q: FWfが故障した場合、L3SWはどうなりますか?
A: デフォルトルートしか持たない宛先への通信が行えなくなり、インターネットやb-DC以外の外部ネットワークに到達できません。冗長構成を取るにはFWfの二重化やスタティック/ダイナミックルーティングの予備経路が必要です。
A: デフォルトルートしか持たない宛先への通信が行えなくなり、インターネットやb-DC以外の外部ネットワークに到達できません。冗長構成を取るにはFWfの二重化やスタティック/ダイナミックルーティングの予備経路が必要です。
関連キーワード: デフォルトルート, ネクストホップ, ファイアウォール, ルーティングテーブル, NAT
設問1:〔Mシステムの構成と運用〕について答えよ。
問題文を見る模範解答
L3SW, FWb, L2SWb
解説
解答の導き方
-
宛先となるDNSサーバを特定する
問題文に「運用PCには、②優先DNSサーバとして、FQDNがnsb.f-sha.example.lanのDNSサーバbが登録されている」とあるので、運用PCはまず「nsb.f-sha.example.lan」に対応するIPアドレスへパケットを送ることになります。 -
FQDN→IPの対応を確認する
表1を見ると、項番3に「nsb.f-sha.example.lan」「192.168.0.1/24」が登録されています。したがって運用PCが送る宛先IPは「192.168.0.1」であり、これはプライベートアドレス空間の一つです。 -
宛先の配置を図で確認する
図1ではWebサイトbのDMZに「L2SWb」があり、その下に「192.168.0.0/24」と記載され、DNSサーバbはL2SWbに接続されています。よって宛先はL2SWb配下のセグメントに属します。 -
運用PC→宛先までの経路をたどる(機器名ベース)
図1で運用PCは「L3SW」に接続されています。また問題文に「F社のL3SWの経路表には、b-DCのWebサイトへの経路と①デフォルトルートが登録されている」とあるため、L3SWは宛先がb-DC側ネットワーク(192.168.0.0/24)であることを判定すると、b-DCへの経路を使ってパケットを送ります。図の接続関係から、その経路はL3SW → (広域イーサ網経由) → FWb → L2SWb → DNSサーバbとなります。 -
設問が求めるものに合わせる(経由する「機器名」)
設問は「パケットがDNSサーバbに到達するまでに経由する機器名を、図1中の名称で全て答えよ」とあるため、途中で通る機器名(出発点と到達点は含めない)を列挙します。したがって正答は L3SW、FWb、L2SWb となります。
誤りやすいポイント
-
表1の「項番1」にあるグローバルアドレス(例えば「200.a.b.1/28」)と混同して、必ずインターネット経由(FWfを通る)と考える。
→ 本問では運用PCの優先DNSが「nsb.f-sha.example.lan」(項番3の192.168.0.1)であり、かつL3SWにb-DCへの経路があるため、FWfではなくFWb経由となります。 -
「広域イーサ網」や「インターネット」を経由機器に含めてしまう。
→ 設問は『機器名』を問うており、広域イーサ網やインターネットは図中でネットワーク(経路)を表す要素であって単一の機器名ではないため、経由する機器名としては含めません。 -
経由機器に出発点(運用PC)や到達点(DNSサーバb)を含めてしまう。
→ 「到達するまでに経由する機器」を答える問題なので、途中で通る機器のみを書くこと。 -
L2/L3の役割を取り違えて順序を間違える。
→ 図1の接続順序(運用PC→L3SW→…→L2SWb→DNSサーバb)に従うこと。
FAQ
Q: 図中の「広域イーサ網」は経由する機器として答えるべきですか?
A: いいえ。設問は「経由する機器名」を問うているため、図中でネットワークの役割を示す「広域イーサ網」は機器名ではありません。途中で実際にパケットを転送する機器名(本問ではL3SW、FWb、L2SWb)を答えます。
A: いいえ。設問は「経由する機器名」を問うているため、図中でネットワークの役割を示す「広域イーサ網」は機器名ではありません。途中で実際にパケットを転送する機器名(本問ではL3SW、FWb、L2SWb)を答えます。
Q: もし運用PCの優先DNSに「nsb.example.jp」(表1の200.a.b.1/28)を指定していたら経路は変わりますか?
A: 変わるかどうかはルーティング次第です。図中では「F社のL3SWの経路表には、b-DCのWebサイトへの経路と①デフォルトルートが登録されている」と明記されているため、200.a.b.1がb-DC側のアドレス空間に含まれるならL3SW→FWb→L2SWbが使われます。逆にL3SWに該当の経路がなければデフォルトルート(FWf→インターネット)へ流れる点に注意してください。
A: 変わるかどうかはルーティング次第です。図中では「F社のL3SWの経路表には、b-DCのWebサイトへの経路と①デフォルトルートが登録されている」と明記されているため、200.a.b.1がb-DC側のアドレス空間に含まれるならL3SW→FWb→L2SWbが使われます。逆にL3SWに該当の経路がなければデフォルトルート(FWf→インターネット)へ流れる点に注意してください。
Q: 「経由する機器名」に運用PCやDNSサーバbを含めてはいけないのですか?
A: 問い方が「到達するまでに経由する機器名」を求めているため、出発点(運用PC)と到達点(DNSサーバb)は除き、途中で通過する機器を列挙します。
A: 問い方が「到達するまでに経由する機器名」を求めているため、出発点(運用PC)と到達点(DNSサーバb)は除き、途中で通過する機器を列挙します。
関連キーワード: L3スイッチ、L2スイッチ、ファイアウォール、DNS、DMZ
設問2:〔Mシステムの応答速度の低下〕について答えよ。
問題文を見る(1)本文中のaに入れる適切なFQDNを答えよ。
模範解答
a:miap.example.jp
解説
解答の論理構成
- 顧客がアクセスするURLは本文で
「顧客と同じURLであるhttps://a/ でWebAPサーバbにアクセスし」と示されています。 - 顧客向けに公開されているWebAPサーバbのFQDNは表1の項番2に記載された
「サーバのFQDN:miap.example.jp」です。
これはインターネット向けドメイン example.jp 配下に登録されているグローバル公開用の名前であり、顧客も同じ名前でアクセスします。 - 従って a には「miap.example.jp」が入るのが妥当です。
誤りやすいポイント
- 社内向けの「apb.f-sha.example.lan」と混同する
→ .lanドメインは社内専用であり、顧客は使用しません。 - IPアドレス(「200.a.b.2/28」など)を直接URLと誤解する
→ 問題文は「URL」の空欄を問うており、数値ではなくFQDNを要求しています。 - Webサイト増設後に追加される「200.c.d.82/28」のAレコードと早合点する
→ 設問は「現在の応答速度低下の調査」に関する部分であり、増設前の状況を問います。
FAQ
Q: 社内からのアクセスでも「miap.example.jp」を使うのですか?
A: はい。運用PCも顧客と同じ動作を再現するため、インターネット公開用のFQDN「miap.example.jp」でアクセスしています。
A: はい。運用PCも顧客と同じ動作を再現するため、インターネット公開用のFQDN「miap.example.jp」でアクセスしています。
Q: TTLが大きいと何が問題になりますか?
A: 604800秒(7日)と長いため、Aレコード変更後もしばらく旧情報がキャッシュされ、負荷分散やメンテナンスの切替が遅れる可能性があります。
A: 604800秒(7日)と長いため、Aレコード変更後もしばらく旧情報がキャッシュされ、負荷分散やメンテナンスの切替が遅れる可能性があります。
Q: DNSラウンドロビン導入後もFQDNは変わりますか?
A: 変わりません。「miap.example.jp」1つに対して複数のAレコード(b-DCとc-DC)が登録され、クライアントへは順番に返されます。
A: 変わりません。「miap.example.jp」1つに対して複数のAレコード(b-DCとc-DC)が登録され、クライアントへは順番に返されます。
関連キーワード: DNSラウンドロビン, FQDN, Aレコード, グローバルIPアドレス, DMZ
設問2:〔Mシステムの応答速度の低下〕について答えよ。
問題文を見る(2)本文中の下線③について、アクセス先サーバのFQDNを答えよ。
模範解答
apb.f-sha.example.lan
解説
解答の論理構成
- 問題が尋ねているのは下線③「広域イーサ網経由でWebAPサーバbにログインしてCPU使用率を調べた」際の“アクセス先サーバのFQDN”です。
- WebAPサーバbには、外部公開用と社内向けの2つの名前が割り当てられています。表1に
・項番2「WebAPサーバb」「miap.example.jp」
・項番4「WebAPサーバb」「apb.f-sha.example.lan」
と明記されています。 - 「広域イーサ網経由」はF社とb-DCを結ぶ閉域網であり、インターネット側のNAT(“DMZに設定されたプライベートアドレスとインターネット向けのグローバルアドレスを1対1で静的に変換する”)を通りません。したがって利用されるのはDMZ内のプライベートアドレスに紐づく社内向けドメインです。
- 表1項番4に示される社内向けFQDNは「apb.f-sha.example.lan」であり、これがSSHの接続先になります。
- よって回答は「apb.f-sha.example.lan」となります。
誤りやすいポイント
- 「顧客と同じURL=miap.example.jp」をそのままSSHでも使うと誤解する。SSHの通信経路と公開Webの経路は異なるため、異なるFQDNが使われる点を混同しがちです。
- “広域イーサ網=インターネット”と早合点し、グローバル側の名前を選んでしまう。設問中のネットワーク図と「DMZ-NAT設定」の記述を突き合わせる必要があります。
- 表1の項番番号で覚えようとして番号を取り違える。番号は採点対象ではないので、必ずFQDN文字列そのものを確認しましょう。
FAQ
Q: なぜSSHでは社内向けドメインを使うのですか?
A: インターネット側のNATを経由するとファイアウォール設定や公開証明書の影響を受けます。運用者は閉域網経由で直接DMZのプライベートセグメントに入り、管理用ポートにアクセスするため、社内DNSが返す「apb.f-sha.example.lan」を使用するのが最適だからです。
A: インターネット側のNATを経由するとファイアウォール設定や公開証明書の影響を受けます。運用者は閉域網経由で直接DMZのプライベートセグメントに入り、管理用ポートにアクセスするため、社内DNSが返す「apb.f-sha.example.lan」を使用するのが最適だからです。
Q: DNSラウンドロビン導入後も管理用FQDNは変わりませんか?
A: 変わりません。ラウンドロビン対象は外部公開ドメイン「miap.example.jp」であり、運用者向けの「apb.f-sha.example.lan」「apc.f-sha.example.lan」は引き続き個別のサーバを特定する用途で残ります。
A: 変わりません。ラウンドロビン対象は外部公開ドメイン「miap.example.jp」であり、運用者向けの「apb.f-sha.example.lan」「apc.f-sha.example.lan」は引き続き個別のサーバを特定する用途で残ります。
Q: TTLを小さくする理由は何ですか?
A: メンテナンス前にAレコードを無効化しても、DNSキャッシュに古い情報が残っていると顧客が停止対象サーバへ到達してしまいます。TTLを短くしてキャッシュを早く更新させることで、影響時間を最小限に抑えられます。
A: メンテナンス前にAレコードを無効化しても、DNSキャッシュに古い情報が残っていると顧客が停止対象サーバへ到達してしまいます。TTLを短くしてキャッシュを早く更新させることで、影響時間を最小限に抑えられます。
関連キーワード: FQDN, DMZ, NAT, DNSキャッシュ, SSH
設問3:〔Webサイトの増設〕について答えよ。
問題文を見る(1)本文中のb〜dに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
b:DNSサーバc
c:ゾーン
d:TTL
解説
解答の論理構成
-
b の判定
- 本文には「運用PCには、新たにbを代替DNSサーバに登録して、bも利用できるようにする。」とあります。「新たに」「も利用できるようにする」とあるので、運用PCが今使っているものとは別のDNSサーバを追加で登録する、という意味です。
- 運用PCに今登録されているDNSサーバは、下線②のとおり「優先DNSサーバとして、FQDNがnsb.f-sha.example.lanのDNSサーバb」です。
- 増設後の構成では、c-DCのWebサイトcにDNSサーバcが加わります。表2にも、社内向けドメインのレコードとして「DNSサーバc nsc.f-sha.example.lan 192.168.1.1/24」があり、運用PCから広域イーサ網経由で問い合わせることができます。
- DNSサーバbはプライマリ、DNSサーバcはセカンダリとして同じゾーン情報をもつので、DNSサーバcを代替DNSサーバに登録しておけば、DNSサーバbが応答しないときにもDNSサーバcで名前解決を続けられます。
- したがって b には「DNSサーバc」が入ります。
-
c の判定
- 本文には「DNSサーバb、cにはc転送の設定を行い、DNSサーバbの情報を更新すると、その内容がDNSサーバcにコピーされるようにする。」とあります。
- プライマリDNSサーバのゾーン情報をセカンダリDNSサーバにコピーする仕組みは「ゾーン転送」です。よって c には「ゾーン」が入ります。
-
d の判定
- 本文の手順(i)は「事前にDNSサーバbのリソースレコードの d を小さい値にする。」です。
- リソースレコードのうち、ほかのDNSサーバやクライアントがキャッシュしてよい時間を表す値はTTL(Time To Live)です。表2の注記にも「各リソースレコードのTTLは、表1と同じ604800を設定する。」とあり、このままでは手順(ii)でAレコードを無効化しても、キャッシュが最長604,800秒(7日間)残ります。前もってTTLを小さくしておけば、無効化がすぐに反映されます。よって d には「TTL」が入ります。
以上より
b:DNSサーバc
c:ゾーン
d:TTL
b:DNSサーバc
c:ゾーン
d:TTL
誤りやすいポイント
- b を単に「DNSサーバ」と答えてしまう。代替DNSサーバに「DNSサーバ」を登録する、では文が成り立ちません。登録する機器を、図2の機器名で特定して答えます。
- b を「DNSサーバb」と答えてしまう。DNSサーバbは既に優先DNSサーバとして登録されているので、「新たに」登録するものではありません。
- c を「データ」「レコード」と答えてしまう。DNSサーバ間で同期する単位はゾーンです。
- d を「有効期限」や「キャッシュ時間」と書いてしまう。リソースレコードの項目名としてはTTLが正式な名称です。
FAQ
Q: 優先DNSサーバと代替DNSサーバはどう使い分けられますか?
A: クライアントは、まず優先DNSサーバに問い合わせます。優先DNSサーバから応答がないときに、代替DNSサーバに問い合わせます。本問では、b-DCが使えないときにもc-DCのDNSサーバcで名前解決できるようにしています。
A: クライアントは、まず優先DNSサーバに問い合わせます。優先DNSサーバから応答がないときに、代替DNSサーバに問い合わせます。本問では、b-DCが使えないときにもc-DCのDNSサーバcで名前解決できるようにしています。
Q: ゾーン転送にはどのポートが使われますか?
A: 通常はTCPの53番です。ゾーン全体のような大きなデータを確実に転送するため、TCPが使われます。
A: 通常はTCPの53番です。ゾーン全体のような大きなデータを確実に転送するため、TCPが使われます。
Q: TTLを小さくし過ぎるとどんなデメリットがありますか?
A: キャッシュがすぐに失効するので問合せが増え、DNSサーバの負荷が高くなります。メンテナンスの前だけ一時的に小さくし、終わったら元に戻す運用が一般的です。
A: キャッシュがすぐに失効するので問合せが増え、DNSサーバの負荷が高くなります。メンテナンスの前だけ一時的に小さくし、終わったら元に戻す運用が一般的です。
関連キーワード: DNS, 優先DNSサーバ, 代替DNSサーバ, ゾーン転送, TTL
設問3:〔Webサイトの増設〕について答えよ。
問題文を見る(2)本文中の下線④について、顧客に与える影響を25字以内で答えよ。
模範解答
Mシステムの応答速度が低下することがある。
解説
解答の論理構成
- 【問題文】では、二つのWebサイトの負荷分散方式として“DNSラウンドロビン”を採用し、通常は“WebAPサーバb、cが同じ割合で利用”されると記載されています。
- ところが下線④の手順では、“メンテナンス中は、一つのWebサイトでサービスを提供する”と明示されています。すなわち、ラウンドロビンによる負荷分散が停止し、残った片方のWebAPサーバに全アクセスが集中します。
- 既に現状でも“WebAPサーバbの処理能力不足が応答速度低下の原因”と判断されていることから、片方に負荷を一本化すれば再び同様の事象が発生し得ると推論できます。
- したがって顧客に表れる影響は“応答速度が低下することがある”という点に収束し、模範解答「Mシステムの応答速度が低下することがある。」となります。
誤りやすいポイント
- 「サービス停止」と即断し、稼働継続中である点を見落とす。実際は“一つのWebサイトでサービスを提供”するため完全停止ではありません。
- “レスポンス遅延”と“接続失敗”を混同する。問題文では性能劣化の再発が論点で、接続不可までは示唆していません。
- 影響対象を“運用担当者”と誤解する。設問は“顧客への影響”を問うています。
FAQ
Q: ラウンドロビンが無効になるだけで本当に遅延が起こるのですか?
A: 現状の分析で“WebAPサーバbの処理能力不足”が判明しており、負荷が集中すれば再び許容量を超える恐れがあります。
A: 現状の分析で“WebAPサーバbの処理能力不足”が判明しており、負荷が集中すれば再び許容量を超える恐れがあります。
Q: TTLを小さくしているのだから影響は出ないのでは?
A: TTL短縮はAレコード無効化を素早く周知するためであり、アクセス集中という根本問題を解決するものではありません。
A: TTL短縮はAレコード無効化を素早く周知するためであり、アクセス集中という根本問題を解決するものではありません。
Q: メンテナンス時にアクセスを完全遮断する方が安全では?
A: サービス提供を継続する要件があるため、片系運用でパフォーマンスを犠牲にしつつ稼働を維持する方針が採られています。
A: サービス提供を継続する要件があるため、片系運用でパフォーマンスを犠牲にしつつ稼働を維持する方針が採られています。
関連キーワード: 負荷分散, DNSラウンドロビン, メンテナンス, TTL, スループット
設問3:〔Webサイトの増設〕について答えよ。
問題文を見る(3)本文中の下線⑤について、確認する内容を20字以内で答えよ。
模範解答
ログイン中の利用者がいないこと
解説
解答の導き方
- 問題文に「Mシステムを利用するにはログインが必要である」とあり、利用者はWebアプリの認証を経てサービスを利用することが分かります。
- メンテナンス手順では(i)リソースレコードのTTLを小さくし、(ii)「メンテナンスを行うWebサイトの、インターネットに公開するドメインのWebAPサーバのFQDNに対応するAレコードを、DNSサーバ上で無効化する」としています。さらに手順⑤で「⑤手順(ii)でAレコードを無効化したWebAPサーバの状態を確認」と指示されています。
- Aレコード無効化により新規アクセスは他方のWebサイトへ回されますが、既に認証済みの利用者セッションや接続が残っていると、その利用者がサービスを途中で切断される恐れがあります(問題文の「メンテナンス中は、一つのWebサイトでサービスを提供することになるので、Mシステムを利用する顧客への影響は避けられない」より)。
- 以上より、⑤で確認すべき具体的な内容は「ログイン中の利用者がいないこと」です(ここでの「ログイン中」は後述の通りWebアプリケーションの認証セッションを指します)。
答え:「ログイン中の利用者がいないこと」
(補足)「ログイン中」の意味:OSのシェルログインではなく、MシステムのWebアプリケーション上で認証済みセッションを保持している利用者を指します。運用上は管理者のSSH等のセッションも別途確認しますが、設問の主目的はアプリの利用者セッションの有無確認です。
具体的に確認すべき代表的手段(試験で考えるべきポイント)
- アプリケーションのセッション管理領域(セッションDB/セッションテーブル/セッションストア)に当該WebAPサーバに紐づく有効な認証セッションがないことを確認する。
- Webアプリの管理画面やダッシュボードでアクティブセッション数が0であることを確認する。
- アクセスログや認証ログで直近に認証成功(ログイン)した記録がないこと、最終アクセス時刻を確認する。
- ss/netstatなどでHTTPS(443)のESTABLISHED接続が残っていないか確認する(ただし接続がない=セッションがないとは限らないので、セッションストア確認を優先する)。
- 運用者向けにSSH等の管理用ログインが残っていないかも合わせて確認する。
誤りやすいポイント
- 「ログイン」をOSのシェルログインと誤解する:設問は「Mシステムを利用するにはログインが必要である」を前提とするため、主にWebアプリの認証セッションを確認することが目的です。
- TCP接続の有無だけで判断する:HTTP/HTTPSのTCP接続が切れていてもアプリ側のセッション情報は残る場合があるため、セッションストア/DBの確認が必須です。
- Aレコード無効化=直ちに影響なしと誤解する:手順(i)でTTLを小さくするとはいえ、クライアント側のキャッシュやブラウザのDNS保持で切替が遅れることがあるため、TTL分の待機とセッション確認が必要です。
- 確認範囲が狭い:管理者のSSHログインやバッチ処理など、運用に支障をきたすセッションを見落とすと作業中に問題が発生します。
FAQ
Q: 「ログイン中」はOSのログインも含みますか?
A: いいえ。本設問で確認すべき「ログイン中」はMシステムのWebアプリケーション上での認証済みセッションです。運用上の安全のためにSSH等の管理用ログインも別途確認してください。
A: いいえ。本設問で確認すべき「ログイン中」はMシステムのWebアプリケーション上での認証済みセッションです。運用上の安全のためにSSH等の管理用ログインも別途確認してください。
Q: 最も確実な確認方法は何ですか?
A: セッションストア/セッションDBやアプリの管理画面でアクティブセッションがゼロであることを確認するのが最も確実です。次にアクセスログで最終アクセス時刻、さらにTCPの確立接続を確認します。
A: セッションストア/セッションDBやアプリの管理画面でアクティブセッションがゼロであることを確認するのが最も確実です。次にアクセスログで最終アクセス時刻、さらにTCPの確立接続を確認します。
Q: Aレコードを無効化した直後に作業を始めてよいですか?
A: いいえ。手順(i)でTTLを小さくしているが、設定したTTL分は待ち、かつ上記のセッション確認が完了してから作業を始めるべきです。ブラウザやOSのキャッシュの影響も考慮してください。
A: いいえ。手順(i)でTTLを小さくしているが、設定したTTL分は待ち、かつ上記のセッション確認が完了してから作業を始めるべきです。ブラウザやOSのキャッシュの影響も考慮してください。
関連キーワード: DNSラウンドロビン、TTL、セッション管理、セッションストア、TCP接続、アクセスログ




