応用情報技術者 2023年 春期 午前2 問75
問題文
ビッグデータ分析の手法の一つであるデシジョンツリーを活用してマーケティング施策の判断に必要な事象を整理し、発生確率の精度を向上させた上で二つのマーケティング施策a, bの選択を行う。マーケティング施策を実行した場合の利益増加額(売上増加額-費用)の期待値が最大となる施策と、そのときの利益増加額の期待値の組合せはどれか。


選択肢
ア:
イ:
ウ:(正解)
エ:
🔒 解説は解答すると表示されます
期待値に基づく施策選択【午前2解説】
正解の理由
各施策について、下位の確率分岐と追加費用を考慮して「下から上へ(ボトムアップ)」期待値を計算し、初期費用を差し引いた最終的な利益増加額の期待値を比較します。施策aの期待値は70億円、施策bの期待値は82億円となり、期待値が大きい施策bを採るのが合理的です。よって、選択肢ではウ(82億円)が正解となります。
(主要計算:
施策a=0.4×(選択後の最適期待値70) + 0.6×120 − 30 = 100 − 30 = 70(億円)
施策b=0.3×(選択後の最適期待値80) + 0.7×140 − 40 = 122 − 40 = 82(億円))
施策a=0.4×(選択後の最適期待値70) + 0.6×120 − 30 = 100 − 30 = 70(億円)
施策b=0.3×(選択後の最適期待値80) + 0.7×140 − 40 = 122 − 40 = 82(億円))
解法ステップ
- 最下層の期待売上増加額を確率で重み付けして計算する(確率×売上の和)。
例:施策aの追加投資60億円の分岐は (億円)。 - 追加費用を差し引いて、その意思決定点での各選択肢の「純期待値」を求める。
例:130 − 60 = 70(億円)。追加投資なしは50(億円)なので、70の方を選択する。 - その意思決定点で選ばれた値を確率で重み付けし、上位の分岐の期待値を求める。
例:施策aの上位分岐合成は (億円)。 - 最後に初期費用を差し引いて施策全体の期待利益を求め、施策間で比較する。
例:施策aは100 − 30 = 70、施策bは122 − 40 = 82 → 施策bを選択。
(要点:常に「期待収益 − 発生する費用」をその意思決定/確率ノードごとに評価していくこと)
選択肢別の誤答解説
- ア(70億円)
これは施策aの正しい期待値であり、施策aを選んだ場合の計算結果です。ただし選択肢の中で最大ではないため最適解ではありません。 - イ(160億円)
根拠のない過大評価です。確率重み付けや費用差し引きを行わず単純合算した結果に近い誤りが考えられます(追加費用や初期費用を無視している等)。 - ウ(82億円)
施策bの正しい期待値で、両施策を比較したときに高い方です。したがって期待値最大化の観点からはこれを選びます。 - エ(162億円)
こちらも過大な値で、確率重み付けやコスト差し引きを二重に誤処理した結果などが想定されます(例えば追加投資の効果を過剰に評価した誤り)。
よくある誤解
- 下位ノードでの「追加費用」を忘れて期待値を計算してしまう。必ずその意思決定点で費用を差し引く。
- 確率の帰属先(どの枝の確率か)を取り違え、値を掛ける場所を誤る。図の確率はその分岐点に属することを意識する。
- 意思決定ノードで“平均”を取るだけでなく、「最適な選択(期待値が高い方)」を選ぶという操作を忘れる(決定ノードは選択行為)。
補足コラム
この問題はデシジョンツリーを用いた期待値最大化の典型例です。実務では期待値だけでなくリスク(分散)、資金制約、意思決定時点での情報取得コスト(情報価値)も考慮します。価値が近い場合はリスク許容度や実行可能性も判断材料になります。
- 補助概念:情報の価値(Value of Perfect Information, VPI)を求めれば、追加調査に投資すべきかの判断材料になります。
FAQ
Q1: なぜ初期費用は最後に一度だけ引くのですか?
A1: 図では初期費用が枝の出発点で一度確定する費用として与えられているため、枝内の事象(追加費用や売上)はその上に重なる要素です。ボトムアップでその枝全体の期待純利益を求め、最後に初期費用を差し引くのが自然です。
A1: 図では初期費用が枝の出発点で一度確定する費用として与えられているため、枝内の事象(追加費用や売上)はその上に重なる要素です。ボトムアップでその枝全体の期待純利益を求め、最後に初期費用を差し引くのが自然です。
Q2: 意思決定ノードで追加投資をしない方が期待値が高ければどうする?
A2: その意思決定点では期待値の高い方を常に選びます(追加投資をしない選択を取る)。本問では追加投資の有無を比較してより高い方を採用しています。
A2: その意思決定点では期待値の高い方を常に選びます(追加投資をしない選択を取る)。本問では追加投資の有無を比較してより高い方を採用しています。
Q3: 同値(期待値が同じ)になったらどう判断する?
A3: 同値ならリスク(分散)、流動性、戦略的効果などを比較して決めます。試験問題では同値のケースは少なく、同値でも明確な基準を示す問題が多いです。
A3: 同値ならリスク(分散)、流動性、戦略的効果などを比較して決めます。試験問題では同値のケースは少なく、同値でも明確な基準を示す問題が多いです。
関連キーワード: 期待値, デシジョンツリー, 意思決定分析, 期待利益, 確率加重計算

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